2010年03月31日

Joao Donato『Quem e Quem』

初めてヴォーカルに挑戦した意欲作☆Joao Donato『Quem e Quem』
ケン・エ・ケン
発表年:1973年
ez的ジャンル:脱力ヴォーカル系メロウMPB
気分は... :ユル〜くならないとね。

ブラジル音楽界を代表するキーボード奏者/コンポーザー/アレンジャーJoao Donatoの初のヴォーカル作品『Quem e Quem』(1973年)です。

Joao Donatoは1934年ブラジル アクレ州生まれ。
少年時代からアコーディオンを使って作曲を行い、10代半ばにして初レコーディングを経験し、1956年は1stアルバム『Cha Dancante』をリリースするなど、若くしてその才能を遺憾なく発揮していたようです。

ブラジルでボサノヴァが盛り上がり見せようとしていた1959年にDonatoは渡米してしまいます。
米国ではTito PuenteMongo SantamariaCal Tjaderなどのラテン・ジャズ・バンドに参加しています。

その間ブラジルに一時帰国し、『Muito A Vontade』(1962年)、『A Bossa Muito Moderna De Donato E Seu Trio』(1963年)というのアルバムをレコーディングしています。再び米国に戻ったDonatoは1965年には米国録音のリーダー作『The New Sound of Brazil』をリリースし、Bud Shank作品『Bud Shank & His Brazilian Friends』にも参加し、共演しています。1969年にはEumir Deodatoとの共演作『Donato Deodato』をレコーディング。1970年代に入るとエレピを演奏するようになり、クロスオーヴァーなアルバム『A Bad Donato』をリリースしています。

1972年のクリスマスにブラジルに戻ってきたDonatoは、Marcos Valleらのサポートを受けて今回紹介する初のヴォーカル・アルバム『Quem e Quem』(1973年)をリリースします。

80年代後半から90年代初めにかけて隠遁生活を過ごしていましたが、日本人にはお馴染みの小野リサ『Minha Saudade』(1995年)で再び脚光を浴び、活動を再開します。2000年代に入ってからもWanda Saとの共演盤『Wanda Sa com Joao Donato』(2003年)や記憶に新しいJoyce(Joyce Moreno)との共演盤『Aquarius』(2009年)など健在ぶりを見せています。

すっかり忘れていましたが、Michael Franks『Sleeping Gypsy』でも彼のプレイを聴くことができますね。

本作『Quem e Quem』は、コンポーザーのイメージが強かったDonatoがMarcos ValleとAgostinho Dos Santosに説得され、自らヴォーカルに初挑戦した作品です(全12曲中9曲でリード・ヴォーカル)。

Dorival Caymmi作品「Cala Boca Minino」以外はDonatoの楽曲であり、2曲のインストを除きPaulo Cesar Pinheiro、Joao Carlos Padu、Geraldo Carneiro、Lysias Enio(Donatoの弟)、Marcos Valleが作詞を担当しています。

本作を機に殆どインストゥルメンタル作品であったDonatoの楽曲に歌詞がつけられるようになり、同時にDonatoおよびDonato作品の評価が高まった模様です。その意味では単に初ヴォーカル・アルバムという以上にDonatoにとって転機となった作品です。

うつむいたまま顔を見せないジャケがいいですよね。
初のヴォーカル挑戦ということで照れくさい面もあったのでしょうか(笑)

決して上手いとは言えませんが、Donatoの脱力ヴォーカルは彼自身が生み出した素晴らしい楽曲と、彼自身が弾くメロウなエレピ・サウンドと実にマッチしています。

アレンジはLindolfo Gaya、Ian Guest、Laercio De Freitas、Dori Caymmi、そしてDonato本人が担当しています。

今週は気持ちが張り詰めた日が続いているので、ユル〜い音楽でも聴いて気分転換しないとね。

全曲を紹介しときやす。

「Chorou, Chorou」
軽やかなエレピと鼻歌のようなDonatoのヴォーカル、和やかな雰囲気の中にもさりげないセンスの良さがキラリと光ります。Youngbloods「RIde The Wind」あたりと一緒に聴きたくなる曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=GY2li7-mEGk

「Terremoto」
バイーア風のリズムの楽曲ですが、その部分は少し抑えめにしてソフトな仕上がりにしているのが印象的です。

「Amazonas」
『The New Sound of Brazil』(1965年)に収録されていた名曲インストの再演です。本ヴァージョンもインストですが、Nara Leaoの名盤『Os Meus Amigos Sao Um Barato』(1977年)にNaraとDonatoがデュエットしたヴォーカル・ヴァージョンが収録されています(作詞は弟Lysias Enio)。
http://www.youtube.com/watch?v=Crim_adFsrk

「Fim De Sonho」
本曲はDonatoの線の細いヴォーカルが上手くハマったロマンチックな仕上がりです。

「A Ra」
カエルの鳴き声をスキャットで表現したこの名曲を本作のハイライトに挙げる人も多いのでは?Sergio Mendes & Brasil '66「The Flog」のタイトルで歌ったヴァージョンが本曲の初録音です(アルバム『Look Around』収録)。当ブログではJoao Gilbertoのカヴァー(タイトルは「O Sapo」)も紹介しています。

Donato自身は『A Bad Donato』でスキャットなしヴァージョンをレコーディングしていますが、予備知識が無ければ本曲だと気付かないかもしれません。それに対して、本ヴァージョンはしっかりスキャット入りで「The Flog」らしく(?)聴かせてくれます。エレピ・サウンドと相俟ってなかなかグッドな仕上がりです。

「Ahie」
僕の一番のお気に入り。Eumir Deodatoとの共演作『Donato Deodato』「Where's J.D.」として収録されていた楽曲の再演です。曲自体メロウな名曲だと思いますが、ヴォーカルが入りさらに味わい深い仕上がりになっています。Dori Caymmiによるアレンジもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=yyFVKFDkmRk

「Cala Boca Minino」
本作唯一のカヴァー曲はDori Caymmi作品です。Nana Vasconcelos、Novelliも参加し、バイーア色の強く出た土着的なテイストの仕上がりです。

「Nana das Aguas」
タイトルはCandomble(アフロ・ブラジリアン宗教)の水の女神のことのようです。そのわりにはサウンドは重々しくなく、メロウなエレピとパーカッションがよくマッチしています。

「Me Deixa」
米国時代のクロスオーヴァー・サウンドの影響が窺えるインスト・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=BYYv9XQjg4A

「Ate Quem Sabe?」
前述の『Donato Deodato』「You Can Go」として収録されていた曲に弟のLysiasが詞をつけたもの。「Ahie」「Mentiras」と並ぶ僕のお気に入りです。Donatoのヴォーカルの枯れ具合がいい感じです。ここでもDori Caymmiのアレンジが光ります。

「Mentiras」
当ブログでも紹介したCal Tjader『The Prophet』(1968年)に「Warm Song」として収録されていた楽曲です。Dori Caymmiの娘Nana Caymmiの感動的なヴォーカルがフィーチャーされています。Lindolfo Gayaがさすがマエストロと思わせてくれるアレンジを聴かせてくれます。主役のはずのDonatoの存在感は薄いですが素晴らしい仕上がりです。

「Cade Jodel」
離婚によって離れ離れとなってしまった愛娘Jodelへの思いを歌ったもの。そんな複雑な歌の内容とは対照的にサウンドは実に洗練されたメロウ・チューンに仕上がっています。Marcos Valleが作詞を担当しています。

『Muito A Vontade』(1962年)
Muito a Vontade

『A Bossa Muito Moderna De Donato E Seu Trio』(1963年)
A Bossa Muito Moderna de Donato

『The New Sound of Brazil』(1965年)
ニュー・サウンド・オブ・ブラジル

『Donato Deodato』(1969年)
ドナート/デオダート

『A Bad Donato』(1970年)
A Bad Donato

『Lugar Comum』(1975年)
ルガール・コムン

小野リサ『Minha Saudade』(1995年)
サウダージ

Wanda Sa/Joao Donato『Wanda Sa com Joao Donato』(2003年)
Wanda Sa com Joao Donato

Joyce Moreno Feat. Joan Donato『Aquarius』(2009年)
アクエリアス
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2010年03月30日

Omar『There's Nothing Like This』

低予算ながら独特の雰囲気を持ったUKソウル佳作☆Omar『There's Nothing Like This』
There's Nothing Like This
発表年:1990年
ez的ジャンル:Talkin' Loud系UKソウル
気分は... :今週はシンドイ(泣)

やはり今週はシンドイ1週間になりそう(泣)

今日は90年代前半アシッド・ジャズ期のUKソウルを聴いていた方にはお馴染みの男性シンガーOmar(Omar Lye-Fook)のデビュー・アルバム『There's Nothing Like This』(1990年)です。

Omar(Omar Lye-Fook)は1968年ロンドン生まれのジャマイカ系イギリス人。ドラマーであった父親Byron Lye-Fookの影響で幼い頃から音楽に親しんでいたようです。

1990年に今日紹介するデビュー・アルバム『There's Nothing Like This』(1990年)を父親ByronのレーベルKongo Danceからリリースします。これに注目したGilles PetersonとNorman Jayが自らのレーベルTalkin' Loudから同じ1990年に再リリースします。

この再リリースを機にアシッド・ジャズ・ファンやUKソウル・ファンから注目される存在となりました。

その後『Music』(1992年)、『For Pleasure』(1994年)、『This Is Not a Love Song』(1997年) 、『Best By Far』(2001年)、『Sing (If You Want It)』(2006年)といったアルバムをリリースしています。

本作『There's Nothing Like This』はTalkin' Loudからのリリースということでアシッド・ジャズ作品との分類もあるみたいですが、基本的にはUKソウルの作品です。

僕が持っているのは上記のTalkin' Loud盤ではなく、オリジナルのKongo Dance盤です。

Kongo Dance盤のジャケはこんな感じです。
omar there's nothing like this.jpg

こっちの方がミステリアス&アンダーグランドな雰囲気でいいですよね!

僕が持っているOmar作品は『There's Nothing Like This』『Music』『For Pleasure』『This Is Not a Love Song』の4枚です。『For Pleasure』までしか持っていないと思っていたら、CD棚の奥から『This Is Not a Love Song』が見つかりました。探せばあるものですね(笑)

Kongo Dance盤で持っていることから察しがつくように、個人的には当時かなり期待していた記憶があります。殆ど一人で創りあげたそのサウンドは今聴いても実に刺激的です。よく言われるようにデモ・テープのようなチープな音作りですが、その作りすぎていない感じが逆に独特の味わいを生み出している気がします。

僕の期待も虚しく大きな成功を収めることができなかったOmarですが、本作『There's Nothing Like This』は強烈な印象を残してくれました。

今日ではブラジリアン・フレイヴァーなサウンドが指摘される本作ですが、当時はあまりそういった感覚はありませんでしたね。むしろ、ジャマイカン・フレイヴァーな感覚で聴いていた記憶があります。

低予算でも素晴らしい音楽をクリエイトできることを証明してきれたUKソウルの名盤だと思います。

全曲紹介しときやす。
※Kongo Dance盤の曲順です。Talkin' Loud盤は曲順が異なります。

「Meaning Of Life」
当時僕が一番好きだったのがこのオープニングです。チープなサウンドのスカスカ感が逆にいい雰囲気を醸し出しています。ジャマイカンなトロピカル・フレイヴァーもグッド!

「Don't Mean A Thing」
本作の持つ独特のグルーヴ感にグッときます。購入した当時はこの1、2曲目を繰り返してよく聴いていました。

「Positive」
ジャジー・キーボードとScratch Professorによるスクラッチも入ったHip-Hopテイストのトラックが印象的です。

「Fine」
多重録音でOmarが全てのヴォーカルをこなしたア・カペラ。ジャマイカ系UKブラックによるソウルって雰囲気ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bMY7quoFsUQ

「Stop Messing Around」
このあたりは90年代初めらしくNJSしています。UKテイストのGuyといった雰囲気なのでは?

「Serious Style」
このミッド・グルーヴに関しては、もう少しいいサウンド・プロダクションで聴きたい気分がします。

「There's Nothing Like This」
人気のタイトル曲はブラジリアン・フレイヴァーとUKソウルが上手く融合したメロウ・チューン。当時も良い曲だと思いましたが、今聴くとさらにグッときますね。
http://www.youtube.com/watch?v=mFnclBOlr6o

「I'm In Love」
ジャマイカン・モードのまったりメロウ・チューン。何処となくボッサな雰囲気も感じるのは僕だけでしょうか。

「You And Me」
1syソロ『UK Blak』をリリースしたばかりで、乗りにノッていたCaron Wheelerが参加しています。同じジャマイカ系イギリス人同士で意気投合したのかもしれませんね。サウンドの方もCaron Wheelerとの共演らしいクールなUKソウルに仕上がっています。

「I Don't Mind The Waiting」
UKクラブ・ミュージック経由のUKソウルって雰囲気が大好きです。

僕は『This Is Not a Love Song』(1997年)までしか持っていませんが、『Best By Far』(2001年)や『Sing (If You Want It)』(2006年)ではAngie Stoneとも共演しています。

『Best By Far』(2001年)
ベスト・バイ・ファー
Omar Feat.Angie Stone「Be Thankful」
 http://www.youtube.com/watch?v=euCCX4osKgs

『Sing (If You Want It)』(2006年)
Sing (If You Want It)
Omar Feat.Angie Stone「Stylin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=EKpMP-LoRLI
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2010年03月28日

Barrio Jazz Gang『2』

8年ぶりの新作もセンス抜群!☆Barrio Jazz Gang『2』
''2''
発表年:2010年
ez的ジャンル:イタロ・ニュージャズ/クラブジャズ
気分は... :日本では殆ど話題になりませんが...

ニュージャズ/クラブジャズの新作よりBarrio Jazz Gang『2』です。

Amazon.co.jpでの扱いが無いのでなかなか紹介できずにいましたが、今年に入って一番多く聴いている新作アルバムが本作『2』かもしれません。ここ日本では殆ど話題になることが無いようですが、個人的には年間マイベスト10の有力候補作品です。

Barrio Jazz Gangは、イタリア・ローマのニュー・ジャズ・レーベルFunky Juice Recordsを主宰するRoby ColellaとプロデューサーStefano Micarelliによるプロジェクト。2ndアルバムとなる本作『2』は1stアルバム『Spectrum』(2002年)に続く8年ぶりの新作です。

前作『Spectrum』から8年のブランクがありますが、前作同様にイタリアらしく洗練されたニュージャズ/クラブジャズを聴かせてくれます。

Roby Colella(key、programming)、Steve Micarelli(programming、g、sitar、bongo)以外に、Pauline London(vo)、Eddie Henderson(tp)、Carlo Micheli(ts、bs、fl)、Aldo Bassi(tp)が参加しています。

何と言っても注目すべきは、ベテラン・ジャズ・トランペット奏者Eddie Hendersonの参加ですね。今日は記事のネタが少ないので、少しEddie Hendersonについて説明しておきますね(笑)

Eddie Hendersonは1940年N.Y.生まれ。ジャズと医学という二つの道を同時に歩み、サンフランシスコを拠点に医学博士号を持つ異色のジャズ・ミュージシャンとして注目されるようになります。1970年前半はHerbie Hancockのグループで活躍し、70年代半ば以降はエレクトリック・マイルスばりのジャズ・ファンク作品をリリースしています。当ブログで紹介した作品の中ではCourtney Pine『Modern Day Jazz Stories』(1995年)へ参加しています。

それ以外の参加メンバーでは女性シンガーPauline Londonにも注目です。彼女はFunky Juiceの所属アーティストであり、2004年に1stアルバム『Quiet Skies』をリリースしています。個人的にはPaulineの参加が本作の魅力を大きくアップしていると思います。

YouTubeに本作の音源がないのが残念ですが、相当グッとくるアルバムです。
ニュージャズ/クラブジャズ好きの方は、CDショップ等で見かけたらぜひチェックしてみて下さい。

全曲紹介しときやす。

「Kobra Smile」
オススメその1。Micarelliのシタールとタブラの音が響き渡るインディアン・ジャズ・チューン。シタール好きの方はグッときます。

「Five Apple-Maples」
Carlo MicheliとAldo Bassiの二管をフィーチャーしています。70年代ジャズ風にさりげなくニュー・ジャズのテイストが重なっているのはいいですね。

「Take Yr Freedom Back」
オススメその2。Pauline London登場の1曲目。Paulineのスキャットに導かれるバカンス・モードのニュー・ジャズ・チューン。ここ2ヶ月ほど僕のiPodヘビ・ロテ曲の座をキープしています、

「Jumpclub」
僕のオススメその3。クラブジャズ/ニュージャズの美味しいとこ取りといった感じの疾走感がたまりません。

「Spanish Market」
Eddie Henderson参加の1曲目。タイトルの通り、ラテン・モードの仕上がり。ラウンジっぽい雰囲気もあってグッド!Micarelliのギターが結構良かったりして。

「Entre O Ceu E O Mar」
Pauline London登場の2曲目。少しレイジーなPaulineのヴォーカルとスタイリッシュなニュー・ジャズ・サウンドの相性がバッチリです。

「Amor Para Sonhar」
オススメその4。Pauline London登場の3曲目。ボッサ・テイストのブラジリアン・メロウ・チューンです。クラブ・テイストのボッサ・サウンドがお好きな方はぜひチェックしてみて下さい。「Take Yr Freedom Back」と並ぶ僕のiPodヘビ・ロテ曲です。

「One Mile To Mumbai」
Micarelliのシタールが再び登場。ただし、「Kobra Smile」のようにモロにインドといった雰囲気ではなくバカンス・モードが漂います。

「Nude Look」
Pauline London登場の4曲目。ストレート・アヘッドな雰囲気のサウンドとPaulineの魅惑のスキャットにグッときます。

「Free As The Wind」
Pauline London登場の5曲目。70年代フュージョン風のサウンドとPaulineの哀愁ヴォーカルによるメランコリック・チューン。

「Safe Under The Sun」
オススメその5。Pauline London登場の6曲目。小粋なサンバ・テイストのクラブジャズに仕上がっています。ここでのPaulineのヴォーカルはかなりキュートです。

「Sunday Show」
オススメその6。Eddie Henderson参加の2曲目。アルバムで最もエレクトロ感があるニュー・ジャズらしい仕上がりです。

1st『Spectrum』(2002年)もセットでどうぞ!

『Spectrum』(2002年)
Spectrum
「Chok-A-Block Avenue」
 http://www.youtube.com/watch?v=ZI1wzU1eMmo
「Linda Cancao」
 http://www.youtube.com/watch?v=0IQ01Pgf-j8
「Footsteps In The Green」
 http://www.youtube.com/watch?v=5CH5lmiduJA

また、本作や『Spectrum』を気に入った方は、Pauline London『Quiet Skies』(2004年)やBungalove『Samba Natural』(2007年)といったFunky Juice関連作品も要チェックだと思います。

Pauline London『Quiet Skies』(2004年)
Quiet Skies
Pauline London「In Your Eyes」
 http://www.youtube.com/watch?v=SfnBxotQpwA
Pauline London「Sing A Lullaby」
 http://www.youtube.com/watch?v=X-XZFREKscs
Pauline London「Fly In The Sky」
 http://www.youtube.com/watch?v=JXDdt8mOBys

Bungalove『Samba Natural』(2007年)
Samba Naturel
BungaLove「Maracana」
 http://www.youtube.com/watch?v=Euh0gIDbOAs
BungaLove「So'eu E Voce」
 http://www.youtube.com/watch?v=bxKQYOravHk
BungaLove「Aphrodisiaco」
 http://www.youtube.com/watch?v=pPAFQGPitjU

また、これを機会にEddie Hendersonをチェックしてみるのも楽しいと思います。特に70年代後半の作品群はエレクトリック・マイルスやレア・グルーヴ好きの人はグッとくる仕上がりなのでは?

Eddie Henderson『Sunburst』(1975年)
Sunburst
Eddie Henderson「Explodition」
 http://www.youtube.com/watch?v=50EhobTs8ds

Eddie Henderson『Heritage』(1976年)
Heritage
Eddie Henderson「Inside You」
 http://www.youtube.com/watch?v=rvLgLJs_Y4M
Eddie Henderson「Acuphuncture」
 http://www.youtube.com/watch?v=87ia_GXT89c

Eddie Henderson『Comin' Through』(1977年)
Comin' Through
Eddie Henderson「Beyond Forever」
 http://www.youtube.com/watch?v=MmYwWKxGY14
Eddie Henderson「Open Eyes」
 http://www.youtube.com/watch?v=rUrBHpEcib4
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2010年03月27日

The Peddlers『Three In A Cell』

クラブ・シーンでも大人気!再評価が高まる傑作3rd☆The Peddlers『Three In A Cell』
スリー・イン・ア・セル
発表年:1968年
ez的ジャンル:スウィンギング・ロンドン系モッド・ジャズ
気分は... :年度末はやはりバタバタ...

毎年そうですが、3月末はやはりバタバタしますね。

記事を書く時間を確保するのもひと苦労です。
でも更新しないと1日モヤモヤ気分が晴れなくなり...
う〜ん、どうすればいいんだろう(泣)
まぁ、記事エントリーは頭と心のリフレッシュにもなるし...

今日は再評価が高まる60年代作品The Peddlers『Three In A Cell』(1968年)です。

The Peddlersは、スウィンギング・ロンドンで沸いた60年代半ば〜後半のUK音楽シーンの中で、Manfred MannBrian Auger & The Trinityらと並ぶモッド・ジャズ・グループとして今日カルト的な人気を誇るグループです。

The Peddlersは、Roy Phillips(vo、key)、Tab Martin(b)、Trevor Morais(ds)の3人がマンチェスターで結成されました。

1964年にThe Song Peddlers名義でPhilipsよりシングル・デビューを果たし、The Peddlersとバンド名を改め、1967年にライブ盤によるデビュー・アルバム『Live At The Pickwick』(1967年)をリリースします。

その後CBSへ移籍し、『Free Wheeler』(1967年)、『Three In A Cell』(1968年)、『Birthday』(1969年)という今日人気の高い3枚のアルバムをリリースしています。

1970年代に入ると古巣Philipsへ戻り、『Three For All』(1970年)、『Suite London』(1972年)、『Live In London』(1974年)という3枚のアルバムを残しています(『Suite London』リリース後にMoraisは脱退)。

スウィンギング・ロンドンの時代らしいオルガンをフィーチャーしたR&Bテイストのモッド・ジャズ・サウンドとRay CharlesばりのRoy Phillipsの激シブ・ヴォーカルが魅力のグループですね。

本作『Three In A Cell』は、そんなPeddlersの魅力が凝縮された1枚だと思います。

オリジナルLPの全11曲のうち、4曲がオリジナル、残りはスタンダードのカヴァーです。

今日、クラブシーン、モッズ・ファン、サバビーア・ファンなどから人気の高い曲は、「Comin' Home Baby」「On A Clear Day You Can See Forever」「In The Still Of The Night」「Ebb Tide」「Just A Pretty Song」の5曲あたりでしょうか。特にスタンダードのヒップなカヴァーにグッとくるものが多いですね。

その一方で、エレガントなストリングスを配した正統派ヴォーカル・チューンもあるのが本作の面白いところかもしれません。ストリングス・アレンジを担当しているKeith Mansfieldが素晴らしい仕事ぶりも目立ちます。

ヴォーカル入りのグルーヴィーなモッド・ジャズに興味がある方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Comin' Home Baby」
ハイライトその1。Mel Tormeでお馴染みの曲のカヴァー(Bob Dorough/Ben Tucker作)。モッズ好きにはグッとくるR&Bテイストのオルガン・グルーヴ。Roy Phillipsのオルガン&スキャットがカッチョ良すぎます。Phillipsの喉力に圧倒されること間違いナシ。

「On A Clear Day You Can See Forever」
ハイライトその2。1929年に同名ミュージカルのために書かれたスタンダードのカヴァー(作詞Alan Jay Lerner/作曲Burton Lane)。グループの代表曲と呼べる1曲ですね。エレガント&ヒップな雰囲気がたまりません。Keith Mansfieldによるストリングス・アレンジも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=lAsNH13uLjU

本曲はBarbra Streisandが主演した同名映画の主題歌にもなり、Barbra自身が歌っています。当ブログではMario Biondi & The High Five Quintetのカヴァーを紹介しました。また、ラウンジ・ブレイクビーツの人気曲Louise Vertigo「Ou Est La Femme?」の元ネタにもなっています。

Barbra Streisand「On A Clear Day You Can See Forever」
 http://www.youtube.com/watch?v=Nz5DLO8fclA
Louise Vertigo「Ou Est La Femme?」
 http://www.youtube.com/watch?v=OmpeoeTaqHI

「Basin Street Blues」
Spencer Williams作のスタンダードのカヴァー。Louis Armstrong等でお馴染みの曲です。Phillipsの激シブ・ヴォーカルを堪能できる小粋なブルースに仕上がっています。後半のエレガントなストリングスもグッド。

「Nobody Likes Me」
Phillipsのオリジナル。比較的ポップなグルーヴィー・チューン。それでもPhillipsのヴォーカルが入ると激シブ・モードになります(笑)

「I'm A Boy in Love」
Phillipsのオリジナル。スタンダードのカヴァーと錯覚しそうな正統派ヴォーカル・チューンに仕上がっています。ロマンチックなオルガン&ストリングスが印象的です。

「People」
Barbra Streisand主演のミュージカル『Funny Girl』の挿入歌(作詞Bob Merrill/作曲Jule Styne)をカヴァー。あまり話題にはなりませんが、個人的には他のハイライト曲と同じくらいに大好きな1曲。ヒップなオルガン・ジャズに仕上がっていると思います。

「In The Still Of The Night」
ハイライトその3。Cole Porter作品のカヴァー。クラブジャズ好きの人は間違いなくグッとくるアップ・チューン。Phillipsのオルガン、Martinのベース、 Moraisのドラム&パーカッションが一体となってファンキー&ヒップなジャズ・グルーヴを聴かせてくれます。

「Ebb Tide」
ハイライトその4。Carl Sigman作詞、Robert Maxwell作曲で1953年に書かれた楽曲のカヴァー。1965年のRighteous Brothersのヒットでお馴染みですね。エレガントかつモッドな雰囲気がたまりません。

「Just A Pretty Song」
ハイライトその5。フロア・チューンとしてもお馴染みのこのラテン・フレイヴァーのオルガン・グルーヴが今日的には一番人気かもしれませんね。ラテン・リズムとオルガンの音色が実にマッチしています。Phillipsのオリジナル。

「Lost Continent」
Phillipsのオリジナル。ワルツ調のリズムをバックにPhillipsの激シブ・ヴォーカルを堪能しましょう。

「Prime Of My Life」
Billy Eckstineヴァージョンで知られるRichard Jacques作品のカヴァー。Keith Mansfieldによるストリングスが素晴らしいですね。

国内盤CDには「Handle With Care」「Horses Collar」「Say No More」「Some of This Some Of That」の4曲がボーナス・トラックで追加収録されています。 「Handle With Care」以外はモッド&ヒップな曲でお得感があります。

2nd『Free Wheelers』(1967年)もセットでどうぞ!

『Free Wheelers』(1967年)
フリーホイーラーズ
posted by ez at 04:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月26日

The Brothers Johnson『Light Up The Night』

大ヒット「Stomp!」収録。Michael Jacksonも参加!☆The Brothers Johnson『Light Up The Night』
Light Up the Night
発表年:1980年
ez的ジャンル:Quincy Jones系ディスコ/ファンク/フュージョン
気分は... :Quincy Jones & Rod Temperton恐るべし!

GeorgeLouisのファンキー兄弟The Brothers Johnsonの2回目の紹介です。

『Look Out For #1』に続いて紹介するのは『Light Up The Night』(1980年)です。

『Light Up The Night』は1st『Look Out For #1』(1976年)、『Right On Time』(1977年)、『Blam!』(1978年)に続く4thアルバムです。前3作同様に彼らを見出したQuincy Jonesがプロデュースし、前3作同様に全米R&Bアルバム・チャートNo.1に輝いています。

本作では何と言っても、Quincy Jonesのお抱えソングライターとしてヒット曲を連発中であった元HeatwaveRod Tempertonの参加が注目ですね。

事実、Rod Tempertonがソングライティングに参加した「Stomp!」 は大ヒットを記録し、Brothers Johnsonを代表するディスコ・クラシックとなりました。

また、同じくQuincy Jones & Rod Tempertonコンビの起用で『Off The Wall』(1979年)が大ヒットしたMichael Jacksonもソングライティング&バック・ヴォーカルで参加しています。

その意味では、Michael Jackson『Off The Wall』(1979年) 、George Benson『Give Me The Night』(1980年)、Quincy Jones『The Dude』(1981年)あたりと一緒に聴くと楽しさが倍増するアルバムかもしれませんね。

George Benson『Give Me The Night』あたりと同じで、ディスコ/ファンク、フュージョン、AORが1枚で楽しめるバラエティ感が魅力だと思います。難を言えば、バラード曲が弱いのが少し残念ですね。

レコーディングには、Bill ReichenbachGary GrantJerry HeyKim HutchcroftLarry WilliamsといったSeawindメンバーやGreg Phillinganes、Steve Porcaro、Paulinho DaCosta等も参加しています。

また、ヴォーカルの弱さをカヴァーすべく、Alex Weir 、Augie Johnson、Jim Gilstrap、Josie James、Merry Clayton、Richard Heath、Scherrie Payne、Susaye Greene-Brown、Valerie Johnsonというバック・ヴォーカル陣がいい仕事しています。

本作を最後に師匠Quincy Jonesの元から巣立っていくBrothers Johnsonですが、次作『Winners』(1981年)以降は従来のような商業的成功を収めることはありませんでした。

Quincy JonesRod Tempertonの実力を思い知る華やかなアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Stomp!」
Brothers Johnsonを代表するディスコ・クラシックですね。全米シングル・チャート第7位、同R&Bシングル・チャート第1位の大ヒットとなりました。Rod Tempertonらしいキャッチーなメロディにグッときます。Georgeのリード・ヴォーカルがイマイチ弱いのが難ですが、Louis Johnsonのベースもブリブリ楽しめますし、Greg Phillinganesのシンセ・ソロもなかなか印象的です。いかにも定番!って感が好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=2EvWkUuALGg

「Light Up The Night」
タイトル曲は「Stomp!」に続きシングル・カットされました。Rod Temperton作のメロディアスなライト・ファンク。個人的には「Stomp!」よりも好きです。ライト感覚が僕の嗜好にマッチしているのだと思います。MJ「Rock With You」あたりと一緒に聴きたくなりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=9OMYKCYvJzY

「You Make Me Wanna Wiggle」
Tom Tom ClubのメンバーでもあったAlex Weirがリード・ヴォーカルをとるファンク・チューン。兄弟によるギター・ソロを堪能きます。Seawind Hornsの鳴り具合もいい感じ!
http://www.youtube.com/watch?v=d1FAh-RCsBk

「Treasure」
アルバムからの3rdシングルにもなったRod Temperton作のバラード。リード・ヴォーカルはRichard Heath。出来はフツーです(笑)。Richard Heath、Louis Johnson、Valerie Johnson(Louisの奥方)の3人はゴスペル・グループPassageとしてアルバム『Passage』(1981年)をリリースしていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=mQMjdvspdOA

「This Had To Be」
ソングライティング、アレンジ、バック・ヴォーカルでMichael Jacksonが参加しています。MJ好きの人はなかなかグッとくるポップなダンス・チューンに仕上がっています。Michael Jacksonがリード・ヴォーカルならばもっとハマる曲だと思います(Georgeゴメンネ)。
http://www.youtube.com/watch?v=OpyCroBAsKc

「All About The Heaven」
Rod Temperton作によるバラード。悪くはないけど「Treasure」より少しマシって感じですね(笑)。バラードになるとGeorgeのヴォーカルの弱点が浮き彫りになってしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=xiXR6RCB8yU

「Smilin' On Ya」
思い切りSeawindしているインスト・チューン。フュージョン・ファンは結構グッとくる仕上がりです。Jerry HeyのトランペットとLarry Williamsのシンセを堪能しましょう。

「Closer To The One That You Love」
AOR/アーバン・ソウル系のメロウ・チューン。Georgeのヴォーカルの弱さも気にならないし、AORファンはグッとくる1曲なのでは?

「Celebrations」
ラストはPaulinho DaCostaのパーカッションをフィーチャーした(ほぼ)インスト・チューン。Larry Williamsのシンセもかなり目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=8rT7dksHQnY

Richard HeathLouis JohnsonValerie Johnsonの3人によるPassage『Passage』(1981年)も面白そうですね。

『Passage』(1981年)
Passage
Passage「Have You Heard the Word」
 http://www.youtube.com/watch?v=BIKqvwJS2oM
Passage「You Can't be Livin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=D7sHwdvw48k
posted by ez at 03:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする