2010年03月14日

Georgia Anne Muldrow『Kings Ballad』

現在最もホットな女性R&Bアーティストの新作☆Georgia Anne Muldrow『Kings Ballad』
Kings Ballad
発表年:2010年
ez的ジャンル:ネオ・ソウル&ハイパー・ソウル系女性R&B
気分は... :よく働きますなぁ!

今回は現在最もホットな女性R&BアーティストGeorgia Anne Muldrowの新作『Kings Ballad』です。

Georgia Anne MuldrowはL.A.出身の女性R&Bシンガー/ソングライター/プロデューサー。

両親共にミュージシャン(母親はPharoah Sandersと活動していたことがある模様)という音楽一家に生まれ育ち、そのDNAを受け継ぎ音楽の道を志したようです。

2004年頃からPlatinum Pied PipersDwight Trible & The Life Force Trio等の作品に客演するようになります。

2004年にはミニ・アルバム『The Worthnothings EP』をリリースしています(2006年にStones Throwから再リリース)。2006年にはHip-Hopファンにはお馴染みStones Throw Recordsから同レーベル初の女性アーティストとして、初のフルアルバム『Olesi: Fragments of an Earth』をリリースします。

その後は公私のパートナーであるDudley Perkins(Declaime)とのユニットG&D名義の『The Message Uni Versa』(2007年)、Pattie Blingh and the Akebulan 5名義の『Sagal』(2007年)といったアルバムをリリースする一方で、Sa-RaErykah Badu、Mos Defといったアーティストとの共演でさらに注目を集めます。

Sa-Ra Feat. Erykah Badu & Georgia Anne Muldrow「Fly Away」(From 『The Hollywood Recordings』)(2007年)
 http://www.youtube.com/watch?v=rlqetR18cUY
Erykah Badu Feat. Georgia Anne Muldrow「Master Teacher」(From 『New Amerykah: Part One (4th World War)』)(2008年)
 http://www.youtube.com/watch?v=51oiQomYuqM
Mos Def Feat. Georgia Anne Muldrow「Roses」(From 『The Ecstatic』)(2009年)
 http://www.youtube.com/watch?v=0Gz1Sh19JNk

そして、2009年には『Early』『Umsindo』という2枚のアルバムに加え、自身がプロデュースしたコンピ・アルバム『Georgia Anne Muldrow Presents Ms One & The Gang』もリリースしています。

そんな注目度抜群の中にリリースされたのがUbiquityレーベルからリリースされた新作『Kings Ballad』です。また、本作と前後してDudley Perkins(Declaime)との共演作『Someothaship』もリリースしています。

ここ数年のGeorgia Anne Muldrowのハードワーカーぶりには驚かされます。
シンガー、ソングライター、プロデューサーと様々な立場で大活躍ですね。
まぁ、万人受けするタイプではありませんが、強烈な個性とオーラを放つ女性アーティストだと思います。

"現代版Nina Simone"という形容もされているようですが、もっとトータルなサウンド・クリエイター・タイプという印象を受けます。Sa-Ra Creative Partnersの女性版というのが僕のイメージです。

本作では『Kings Ballad』でも、ネオ・ソウルからエレクトロなハイパー・ソウル、さらにはDudley Perkins(Declaime)らとのHip-Hopチューンまで振り幅の大きな内容で楽しませてくれます。これぞというキラー・チューンはありませんが、アルバム・トータルで最新型ソウルを堪能できます。

なお、今回掲載しているジャケは輸入盤ですが、国内盤はジャケが異なるのでご注意を!(僕が所有するのは国内盤です)

これからしばらく彼女の動きから目が離せませんね!

全曲紹介しときやす。

「Indeed」
キュートなヴォーカル&浮遊するグルーヴというGeorgiaらしいオープニング。ただし、よりオーガニックな仕上がりは本作ならではかも。

「Doobie Down」
ロッキンなギターが印象的なミッド・チューン。気だるいヴォーカルによる退廃的な雰囲気がいいですね。

「Simple Advice」
Georgia独特のオーラが出まくっているミステリアスな仕上がり。ラップ・パートも含めて呪術的な雰囲気が漂います。

「Kings Ballad」
タイトル曲は故Michael Jacksonへ捧げたバラード。オルガン&ピアノの荘厳な響きがレクイエムっぽいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=GpXD7EQOYOM

「R.I.P」
この曲もMJに捧げた短いインスト。MJよ安らかに眠れ...

「Thrones」
Georgiaらしい浮遊するグルーヴが炸裂します。ここでもヴォーカルのみならず巧みなフロウを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=OTk6bY0ZsG4

「Summer Love」
公私のパートナーDudley Perkins(Declaime)とStones ThrowのラッパーM.E.D (Medaphoar)が参加。アルバム中でも注目度の高いキャッチーなHip-Hopチューンです。

「Shang-A-Lang」
エレクトロなインスト・チューン。

「The Ooh Wee Show」
「Can't Stand Yo Love」
インタールード的な「The Ooh Wee Show」に続き、僕の一番のお気に入り曲「Can't Stand Yo Love」です。ライブ仕立ての効果音も入ったコズミック・ソウルに仕上がっています。

「To The Stage」
Dudley Perkins(Declaime)名義でもリリースされていた曲の再演。勿論、Declaimeのラップをフィーチャーしています。哀愁モードのトラックが印象的です。

「March For Africa」
「Chocolate Reign」
「Baby Dee」
短い小曲2連発。「March For Africa」は不気味なマーチ、「Chocolate Reign」はエレクトロ&ジャジーなインスト。「Baby Dee」では子供の泣き声が響きます。

「Live」
哀愁モードのソウル・チューン。エスニック・テイストな仕上がりが僕好みです。

「Room Punk!」
軽快&ポップなロック・チューン。45秒であっという間に終了!

「Thatch」
Sa-Ra Creative Partnersあたりに通じるエレクトロなハイパー・コズミック・ソウル。

「Industrial Bap」
この曲もエレクトロ路線のコズミック・ソウル。

「Morena Del Ray」
ラストは哀愁モードのインスト・チューン。

他のGeorgia Anne Muldrow作品も要チェックです。

『The Worthnothings EP』(2004年)
Worthnothings
「Larva」
 http://www.youtube.com/watch?v=DTa9cBNCi-Y

『Olesi: Fragments of an Earth』(2006年)
Olesi: Fragments of an Earth
「Because」
 http://www.youtube.com/watch?v=4OFo-IdV0GE
「Wrong Way」
 http://www.youtube.com/watch?v=GG84rJnE96o

G&D『The Message Uni Versa』(2007年)
The Message Uni Versa

Pattie Blingh and the Akebulan 5『Sagal』(2007年)
Sagala
Pattie Blingh and the Akebulan 5「Reallytho」
 http://www.youtube.com/watch?v=lDDPZd-96pY

Georgia Anne Muldrow & Declaime『Someothaship』(2008年)
Someothaship
Georgia Anne Muldrow & Declaime「Shine On」
 http://www.youtube.com/watch?v=u_htH4HKihY
Georgia A. Muldrow & Declaime Feat. Kool G Rap,LMNO & Black Milk「Heaven or Hell」
http://www.youtube.com/watch?v=t1r4wBdP5LE

『Early』(2009年)
Early
「Run Away」
 http://www.youtube.com/watch?v=_RBjMrRXTxI
「Child of the Sun」
 http://www.youtube.com/watch?v=QmSTshOYn88
「Sunset」
 http://www.youtube.com/watch?v=BxGvBmDTf6I

『Umsindo』(2009年)
Umsindo
「Roses」
 http://www.youtube.com/watch?v=JnkaS6Ueo7o
「E.S.P.」
 http://www.youtube.com/watch?v=fYlNL1F0w-Q

『Georgia Anne Muldrow Presents Ms One & The Gang』(2009年)
Ms. One

Georgia Anne Muldrow客演作品も一緒にチェックしてみては?

Platinum Pied Pipers『Triple P』(2005年)
Triple P

Dwight Trible & The Life Force Trio『Love Is The Answer』(2005年)
Love Is the Answer
Dwight Trible & The Life Force Trio Feat. Sa-Ra Creative Partners & Georgia Anne Muldrow「Equipoise」
 http://www.youtube.com/watch?v=g21xmE_1gKk
Dwight Trible & The Life Force Trio Feat. Georgia Anne Muldrow「Rise」
 http://www.youtube.com/watch?v=wA1y2WCpGB8

Sa-Ra『The Hollywood Recordings』)(2007年)
The Hollywood Recordings

Erykah Badu『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)
New Amerykah, Pt. 1: 4th World War

Mos Def 『The Ecstatic』(2009年)
The Ecstatic
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2010年03月13日

Marcos Valle『Vento Sul』

O Tercoらと共演したソフト・サイケ/サイケ・フォークな異色作☆Marcos Valle『Vento Sul』
ヴェント・スル
発表年:1972年
ez的ジャンル:ソフト・サイケ/サイケ・フォーク系MPB
気分は... :サイケな異色作!

ブラジルを代表するシンガー・ソングライターMarcos Valleです。

Marcos Valleの紹介は、『Vontade De Rever Voce』(1981年)、『Previsao Do Tempo』(1973年)、Celso Fonsecaとの共演作『Pagina Central』(2009年)に続き4回目となります。

個人的には60年代後半から70年代前半のMarcos Valleが気になっています。

具体的には、『Viola Enluarada』(1968年)、『Mustang Cor de Sangue』(1969年)、『Marcos Valle』(1970年)、『Garra』(1971年)、『Vento Sul』(1972年)、『Previsao Do Tempo』(1973年)、『Marcos Valle』(1974年)あたりですね。

その中から今回は『Vento Sul』(1972年)をセレクト。
Marcos本人も認めているように、上記7枚の中でも最も異色作かもしれません。

"ソフト・サイケ/サイケ・フォーク"という印象のアルバムですね。
Juarez Machadoが手掛けたジャケがアルバムの持つ不思議なムードをよく表しています。

本作では当時ブラジルを代表するプログレッシヴ・グループであったO Tercoとの共演が話題となりました。Sergio Hinds(g)、Cezar de Merces(b)、Vinicius Cantuaria(ds)といったメンバーは当時のMarcosのバック・バンドも務めていたようですね。

それ以外にPaulo Guimaraes(fl)、Claudio Guimaraes(g)のGuimaraes兄弟とMauricio Maestro(b)、さらにはMilton Nascimentoのバック・バンドも務めたSom ImaginarioのメンバーFrederico(g)、Robertinho Silva(per)がレコーディングに参加しています。

ソフト・サイケ/サイケ・フォークなアルバムと言っても、Marcosワールドは健在です。
2曲を除き、兄Paulo Sergio Valleとのコンビによる作品です。

ブラジル音楽好きというよりも、Marcos Valle好き、サイケ・ロック/サイケ・フォーク好きの人がグッとくる作品かもしれませんね。

全曲紹介しときやす。

「Revolucao Organica」
邦題「有機的革命」。ブラジリアン・プログレ・ロックといった趣のストレンジなオープニング。妖しげに響くPaulo Guimaraesのフルートも印象的です。

「Malena」
アルバムで一番のお気に入り。ポップなソフト・サイケ・チューンに仕上がっています。♪Aleluia〜♪Aleluia〜♪のコーラス部分が大好きです。

「Pista 02」
邦題『滑走路02〜アイレロンにさわらずに着陸する方法』。航空パイロットであったPaulo Sergio Valleらしい歌かもしれません。歌詞と演奏のリズムがばっちりシンクロしているのがいいですね。

「Voo Cego」
邦題「暗闇の飛行」。Claudio Guimaraes作品です。フォーキーなソフト・サイケ。牧歌的な中にストレンジな雰囲気が漂います。

「Bodas de Sangue」
邦題「血の洗礼」。Ian Guestがオーケストレーションを担当したインスト・チューン。荘厳な雰囲気
http://www.youtube.com/watch?v=CrBsHka_W0Q

「Democustico」
頭文字Dの単語を並べたDつながりソングです。ポエトリー・リーディングのような歌い方やサウンド面も含めてSerge Gainsbourgっぽい雰囲気です。

「Vento Sul」
邦題「南の風」。タイトル曲はビューティフルな仕上がりです。切なる思いがグッと伝わってきます。

「Rosto Barbado」
邦題「ひげ面」。哀愁ブラジリアン・グルーヴですが、ロック・テイストのFredericoのギター・ソロがアクセントになっています。

「Mi Hermoza」
邦題「美しい人」。パーカッシッヴなサイケ・フォークですが中盤のロック・パートも盛り上がります。
http://www.youtube.com/watch?v=j9rdm24gEzo

「Paisagem de Mariana」
邦題「マリアーナの風景」。Frederico作品です。妖しい空気の流れる哀愁フォーキー・チューン。

「Deixa O Mundo E o Sol Entrar」
邦題「世界と太陽に腕を開いて」。ラストは実に穏やかです。ただし、悲しみを乗り越えて歩みだそうとする、開き直った穏やかさといった感じですが。Hugo Bellardがオーケストレーションを担当しています。

「O Beato」
邦題「狂信者」。CDのボーナス・トラック。本作と同じ1972年にリリースされたTVドラマのサントラ収録曲。本編の雰囲気とは全く異なるハジけた仕上がりです。

この時期のMarcosは本当に面白いですね。
まだまだ歯抜け状態のマイ・コレクションですが、ぜひコンプリートさせたいですね。

『Viola Enluarada』(1968年)
Viola Enluarada

『Mustang Cor de Sangue』(1969年)
ムスタンギ・コール・ヂ・サンギ

『Marcos Valle』(1970年)
マルコス・ヴァーリ(1970)

『Garra』(1971年)
ガーハ

『Previsao Do Tempo』(1973年)
Previsao Do Tempo

『Marcos Valle』(1974年)
マルコス・ヴァーリ(1974)
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2010年03月12日

Ronny Jordan『The Antidote』

Miles「So What」のカヴァーを含むデビュー作。Acid Jazzファンにはマストな1枚☆Ronny Jordan『The Antidote』
The Antidote
発表年:1992年
ez的ジャンル:Acid Jazz系ジャズ・ギタリスト
気分は... :So What?

今回はAcid Jazzを代表するギタリストRonny Jordanの2回目の登場です。

2nd『The Quiet Revolution』(1993年)に続いて紹介するのはデビュー・アルバム『The Antidote』(1992年)です。

個人的には前回紹介した『The Quiet Revolution』の方がお気に入りですが、シーンに与えたインパクトでは断然デビュー作『The Antidote』でしょうね。

特にシングル・ヒットしたMiles Davis「So What」のカヴァーは、当時多くの音楽ファンを魅了したと思います。

当時はAcid Jazzブームの真っ只中でしたが、その中でもかなり存在感のあるアルバムでしたよね。本作の持つクラブ・ミュージックを通過したスムース・ジャズ・ギターといった雰囲気は、他のAcid Jazz作品にはない個性を感じます。

Miles DavisWes Montgomeryといったジャズ・ジャイアントと90年代クラブ・ミュージックを見事に融合したRonny Jordanのセンスに脱帽です。

また、ギタリストのイメージが強いRonnyですが、本作ではギター以外にキーボード、シンセ、プログラミング、ヴォーカル(スキャット)も担当し、プロデュース、アレンジ、ミキシング、大半の曲のソングライティングも手掛けています。その意味では彼のトータルなサウンド・クリエイターとしての才能も光る1枚なのでは?

今聴き直しても、「So What」「Get To Grips」「See The New」の3曲は相当グッときますね!

Acid Jazzに興味がある方にはマストな1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Get To Grips」
「So What」と並ぶ人気曲。シングルにもなりました。個人的には「So What」以上に好きかも。Dodge City ProductionsのIG Culture(Ian Grant)のラップをフィーチャー。RonnyのギターとHugo Delmiraniのオルガン&ヴァイヴを中心としたクール・サウンドと淡々としたラップが実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=w_1315OuvsA

「Blues Grinder」
アシッド・ジャズ+スムース・ジャズといった感じがいいですね。まさに90年代のWes Montgomeryといった趣きですね。本曲ではAdrian Yorkのオルガン・ソロがフィーチャーされています。

「After Hours (The Antidote) 」
タイトル曲はメロウ・フュージョンしています。何の予備知識もなく聴くと、Acid Jazzだとは思わないでしょう!
http://www.youtube.com/watch?v=SPN9hl3Ftaw

「See The New」
再びIG Cultureのラップをフィーチャー。打ち込みリズムとRonnyのギターが見事に一体化し、90年代Acid Jazzらしい曲に仕上がっています。この曲も相当格好良いっす!Isabel Robertsの女声コーラス、Philip Bentの涼しげなフルートも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=c0LNfQ9qVyQ

IG Cultureと言えば、彼のグループDodge City Productions『Steppin' Up & Out』(1993年)も当時よく聴いたアルバムでした。Amazonにジャケ画像がないので保留にしていますが、見つかったら記事エントリーしたいと思います。

「So What」
前述のようにRonny Jordanの名を世に知らしめたMiles Davisの名曲カヴァー。Acid Jazzを語る上で絶対に外せない演奏ですね。Milesの名曲がこんなにクールでスピード感に溢れたクラブ・サウンドに生まれ変わるとは...と当時感動しながら聴いていた記憶があります。前年に亡くなったMilesも天国から拍手喝采していたのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=lANilh2bLo4

「Show Me (Your Love) 」
Isabel Robertsのヴォーカルをフィーチャー。個人的には女性ヴォーカルをフィーチャーした楽曲があと数曲あるとさらに嬉しかったのですが。

「Nite Spice」
アルバムの中では一番打ち込み感が強いサウンドです。個人的には少し単調な印象も受けますが。
http://www.youtube.com/watch?v=WNt495lFFPc

「Summer Smile」
メロディアスなRonnyのギターを堪能できます。スムース・ジャズ好きの方も楽しめる演奏なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=gQOBlE67KkI

「Cool And Funky」
「Get To Grips」のインスト・ヴァージョン。僕が保有するのはUS盤なのですが、オリジナルUK輸入盤には未収録のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=rQAN4DDWpLc

個人的には、本作、2nd『The Quiet Revolution』DJ Krushによるリミックス・ミニアルバム『Bad Brothers』(1994年)がRonny Jordanお気に入り3作品です。

『The Quiet Revolution』(1993年)
The Quiet Revolution
Ronny Jordan Feat. Guru「Season for Change」
http://www.youtube.com/watch?v=H2aVhox9jz8

『Bad Brothers』(1994年)
Bad Brothers
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2010年03月11日

Floetry『Floetic』

Flow + Poetry = Floetry!グラミー3部門にノミネートされた女性R&Bデュオのデビュー作☆Floetry『Floetic』
フロエティック
発表年:2002年
ez的ジャンル:UK出身ネオ・フィリー
気分は... :空白地帯を埋めねば!

今回は2003年のグラミー賞3部門にノミネートされた女性R&BデュオFloetryのデビュー作『Floetic』です。

イギリス出身のMarsha "Songtress" Ambrosius(vo)とNatalie "Flocist" Stewart(MC)の2人組Floetryの紹介は、2ndアルバム『Flo'Ology』に続き2回目になります。

1997年にロンドンで結成されたFloetryですが、2000年にアメリカ、フィラデルフィアに拠点を移し、Jazzy Jeff率いるプロダクションA Touch Of Jazz(ATOJ)の一員に加わり、Michael Jackson等への楽曲提供で注目されるようになりました。

そんな時期にデビュー作となる本作『Floetic』(2002年)をリリースします。アルバムは全米アルバム・チャート第19位、同R&Bアルバム・チャート第4位にヒットとなり、さらに2003年のグラミー賞3部門にノミネートされるという成功を収めました。

最近、本作やJill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』(2000年)、Bilal『1st Born Second』(2001年)、 City High『City High』(2001年)、Jaguar Wright『Denials Delusions and Decisions』(2002年)といった2000年代前半のネオ・フィリーやA Touch Of Jazz関連の作品をよく聴き直しています(City HighはATOJが数曲関与しているのみで全体としてはWyclef Jean関連作品と呼ぶべきでしょうが)。

よくよく振り返ると、当ブログでこのあたりの作品がポッカリ抜けているんですよね。Jill ScottやBilalは何度も記事にしようと思いながら、次があるからいいやぁ...といつも先延ばしにしてしまい、Jaguar Wrightはてっきりエントリー済みだと勘違いしていたことに最近気付き...といった具合です。

そんな一連の作品の中で今の気分に最もフィットしたのがFloetry『Floetic』です。

プロデューサーは、Andre HarrisVidal DavisDre & Vidalコンビ、Darren HensonKeith PelzerIvan "Orthodox" Barias、それにMarsha Ambrosius自身というATOJ関連メンバーで固められています。

グループ名の通り、MarshaのヴォーカルとNatalieのラップを組み合わせたスタイルは、Lauryn Hill『The Miseducation Of Lauryn Hill』の流れを汲む新時代のR&Bという印象を受けましたね。

R&BとHip-Hopの融合というと、ヴォーカル・パートとラップ・パートが分離していて違和感を感じるものも少なくありませんが、Floetryはヴォーカルとラップが一体化してプラスαを生んでいるところが素晴らしいと思います。今聴き直しても、MarshaのヴォーカルとNatalieのラップの有機的な結合に魅了されます。

ネオ・フィリーの盛り上がりを象徴するアルバムとして忘れられない1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Big Ben」
ビッグ・ベンの鐘の音でスタートするのがロンドン出身らしいです。

「Floetic」
オススメその1。タイトル曲はシングル・カットされ、前述のようにグラミーでBest R&B Songにもノミネートされました。ATOJらしいグルーヴ感を堪能できます。ジャジーになったLauryn Hillって感じが大好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=s716EpraBB4

「Ms. Stress」
オススメその2。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。浮遊感漂うメロウ・グルーヴです。アングラ・ジャジーHip-Hop大好きな僕の嗜好のど真ん中にくる出来栄えです。
http://www.youtube.com/watch?v=_a4yertGJiU

「Sunshine」
ヒューマンな温もりが伝わってくるミディアム・スロウ。ラップ・パートで感動的なフロウを聴かせるNatalieが素晴らしい!

「Getting Late」
アルバムからの3rdシングル。MarshaのヴォーカルとNatalieのラップが見事に絡み合った哀愁スロウに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=kViVhBTFag4

「Fun」
ネオ・フィリーらしい少し引っ掛かったグルーヴがいい感じです。

「Mr. Messed Up」
オススメその3。この曲もかなり好き!エスニック&パーカッシヴなグルーヴがなかなか刺激的です。
http://www.youtube.com/watch?v=DS4588ArcD0

「Say Yes」
オススメその4。アルバムからの2ndシングル。全米R&Bシングル・チャート第8位のヒットとなりました。グループを代表する名曲なのでは?揺れる女心を歌った大人のスロウ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=PCCGIXME164

「Hello」
音の余白がいい感じのスロウ・チューン。不思議な説得力があります。

「Headache」
ジャジーHip-Hop好きの人はグッとくるメロウなジャジー・グルーヴ。

「Hey You」
ここでのNatalieはラップと言うよりも、まさにポエトリー・リーディングですね。これがMarshaのヴォーカルと実にマッチします。

「If I Was A Bird」
オススメその5。この曲も僕のお気に入り。感動的なスロウ・チューン。3月に聴くと余計なセンチメンタルな気分になりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=5QZEB1lY2dw

「Opera」
アルバムの中では一番異質な感じかも? 哀愁モードのトラックを切り裂くかのようなNatalieの鋭いフロウが印象的です。

「Subliminal」
ラストはサブリミナルなHip-Hopチューンです。Peace Of Mind!

CDには「Butterflies (Demo Version) 」「Now You're Gone (More Than I Can Feel) 」という2曲のボーナス・トラックが収録されています。

特に「Butterflies (Demo Version) 」は、MarshaがAndre Harrisとの共作でMichael Jacksonへ提供したシングル曲「Butterflies 」のFloetryヴァージョンです。MJヴァージョンと聴き比べるのも楽しいのでは?個人的にはFloetryヴァージョンの方が全然好きですが。
Floetry「Butterflies (Demo Version) 」
http://www.youtube.com/watch?v=amiXxFi-2TA

Michael Jackson「Butterflies」
 http://www.youtube.com/watch?v=zAa7z5QdL4M

未聴の方は2nd『Flo'Ology』もチェックしてみてください。

『Flo'Ology』(2005年)
Flo'Ology
Floetry feat. Common「Superstar」
http://www.youtube.com/watch?v=e9n-JoA1A1E

前述の他のネオ・フィリー、ATOJ作品も順次取り上げたいと思います。
posted by ez at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月10日

The House Of Love『The House Of Love』

UKインディーズの密かな人気作品☆The House Of Love『The House Of Love』
The House of Love
発表年:1988年
ez的ジャンル:やや暗系UKインディーズ・ロック
気分は... :エコバニを思い出す!

今日は80年代UKロックからセレクトしようと思い、Echo & The Bunnymen『Heaven Up Here』(1981年)とThe House Of Love『The House Of Love』(1988年)の2枚で悩みましたが、時期的に後者の方がマッチすると思いThe House Of Loveに決定しました。

The House Of LoveはリーダーのGuy Chadwickを中心に1986年ロンドンで結成されたロック・バンド。UKロック・ファンにはお馴染みのインディーズ・レーベルCreationと契約し、1987年にシングル「Shine On」でデビューします。翌1988年にはデビュー・アルバム『The House Of Love』をリリースしています。

その後メジャー(Fontana)へ移籍し、2nd『The House Of Love』(通称Butterfly)をリリースします。アルバムはUKアルバム・チャート第8位とまずまずのチャート・アクションを見せますが、続く3rd『Babe Rainbow』(1992年)、4th『Audience With the Mind』(1993年)はさほどの成功を収めることができずバンドは解散します。2005年に再結成した模様です。

一般的には知名度が高いアーティストとは言えませんが、UKロック好きの方には高い人気を誇ったグループですね。僕自身は特にハマったという訳ではありませんが、本作『The House Of Love』はUKインディーズの名盤という印象が強いですね。タイトルもグループ名も表記されていないジャケは結構インパクトがありました。

Guy ChadwickのヴォーカルはEcho & The BunnymenのIan McCullochを彷彿させるものがありますよね。きっと今日の僕も二人のイメージが重なったので、あのようなセレクトで悩んだのだと思います。

80年代UKインディーズ・ロックらしい少し暗めの雰囲気が特徴ですね。
メンバーTerry Bickersの幻想的なギターも手伝いネオサイケ的な文脈で語られることもありますが、そういった耽美的イメージよりもネオアコ的な青臭さを持ったグループというイメージが強いですね。

特にそういった青臭さを堪能できるのが本作『The House Of Love』だと思います。

前述のようにジャケにタイトルもグループ名も表記されていないのは、裏を返せば彼らの自信の表れなのでは?

UKロック好きの人で未チェックの方はぜひお試しあれ!

全曲紹介しときやす。

「Christine」
オススメその1。デビュー・シングル「Shine On」と並ぶCreation時代の代表曲。哀愁メロディの中に青臭いテイストが香るのが初期The House Of Loveの魅力ですね。80年代インディーズ感たっぷりの名曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=OXOgRvj76zI

「Hope」
オススメその2。ネオ・アコ感漂う1曲。それでも爽快な方向に行きそうで行かないのがThe House Of Loveらしいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=N42afqZLab8

「Road」
靄がかかったような暗めのビート・チューン。80年代UKインディーズってこの暗さがグッときますよね。
http://www.youtube.com/watch?v=9JudTOsgGy0

「Sulphur」
淡々とロックしています。個人的にはもう少し明暗どちらかはっきりさせた方が好きかも?
http://www.youtube.com/watch?v=71vY-ARrq0g

「Man To Child」
オススメその3。決して明るいわけではありませんが、ピュアな雰囲気が魅力ですね。結構好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=c3dTWfNci7M

「Salome」
オススメその4。疾走感で言えばアルバム随一かも?行き場のない世界から抜け出そうとするかのように走り続けます!
http://www.youtube.com/watch?v=GAvE68Ah6XI

「Love In A Car」
夢の中へトリップしているかのような、曲全体を支配するエコー感が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=udVFy8iYoQg

「Happy」
タイトルに反して全然ハッピー気分な雰囲気ではありません(笑)。それでも力強さは感じます。

「Fisherman's Tale」
オススメその5。幻想の世界を浮遊しているかのような雰囲気が好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=oh2P-RxAueM

「Touch Me」
ラストは哀愁メロディで締め括ってくれます。中盤のサイケ・ワールドがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=g7wvBBpvlbI

興味のある方は2nd以降の作品もどうぞ!特に2ndは1stと同じ『The House of Love』というタイトルなのに注意してくださいね。ファンの方は"Butterfly"の通称で区別しているようです。

『The House of Love(Butterfly)』(1990年)
The House of Love (Butterfly)
「I Don't Know Why I Love You」
 http://www.youtube.com/watch?v=DVdfi1VoM7w
「Beatles And The Stones」 ※タイトルがグッときますね!
 http://www.youtube.com/watch?v=Fp4abwz7CoE

『Babe Rainbow』(1992年)
Babe Rainbow
「You Don't Understand」
 http://www.youtube.com/watch?v=_NHOvpvMJM8
「Crush Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=pMTfAywUIcw

『Audience With the Mind』(1993年)
Audience With the Mind
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