2010年03月09日

The O'Jays『Survival』

フィリーソウルを代表するグループの絶頂期の1枚☆The O'Jays『Survival』
Survival
発表年:1975年
ez的ジャンル:フィリーソウルの至宝
気分は... :ロースかつ気分にマッチする!

今日は70年代からセレクトしようと思い、CD棚から適当に4〜5枚候補をセレクトしたところ、たまたまThe O'Jays『Survival』(1975年)とBob Marley & The Wailers『Survival』(1979年)という2枚の"Survival"アルバムが含まれていました。

最終的に2枚のどちらかにしようと思い、何となく「Give the People What They Want」 が聴きたい気分なのでThe O'Jays『Survival』に決定!

フィリーソウルを代表するグループThe O'Jaysの紹介は、『Family Reunion』(1975年)に続き2回目となります。

個人的には、リアルタイムで頻繁に聴いていた『Let Me Touch』(1987年)、『Serious』(1989年)、『Emotionally Yours』(1991年)といった作品への思い入れが強いのですが、ブログで取り上げようと思うとやはり70年代の作品になってしまいますね。

Philadelphia International 第一弾アルバム『Back Stabbers』(1972年)以降、快進撃を続けた70年代The O'Jaysですが、本作『Survival』Eddie LeVertWalter WilliamsWilliam Powellによる絶頂期のO'Jaysを堪能できる1枚です。プロデュースは勿論Kenny Gamble & Leon Huff。ソングライティングも殆どがGamble & Huffです。

アルバムは全米R&Bアルバム・チャートNo.1に輝き、シングル「Give the People What They Want」もR&BチャートNo.1の大ヒットとなりました。

O'Jaysのアルバムってジャケがイマイチな印象がありますが、このジャケはインパクトがありますね!気味悪いと思う方もいるかもしれませんが、なかなかアーティスティックな感じが僕は好きです。

最近、歳のせいか脂っこいものを食べたいと思う機会がすっかり減りましたが、何故か今日はロースかつが食べたい気分!

O'Jaysの音楽って、ロースかつ気分を盛り上げてくれますよね(笑)

全曲紹介しときやす。

「Give the People What They Want」
前述のようにR&Bシングル・チャートNo.1となったヒット・シングル。やはり本作のハイライトと言えばこの曲ですね!イントロのドラムブレイク、ブリブリのベースが格好良いファンク・チューンに仕上がっています。そんな濃いめのサウンドに負けない、濃厚ヴォーカルでガンガン迫ってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=8Ex1_ExOORE

サンプリング・ネタとしてもGang Starr「Premier And The Guru」、EPMD「Give the People」、Keith Murray「Sychosymatic」等でお馴染みです。このブレイクとベースラインを聴けば、使いたくなりますね!まさにHip-Hopアーティストのために用意されたようなサウンドです。
Gang Starr「Premier And The Guru」
 http://www.youtube.com/watch?v=XP7zTejVJgQ
EPMD「Give the People」
 http://www.youtube.com/watch?v=3Jrb78l5NYM
Keith Murray「Sychosymatic」
 http://www.youtube.com/watch?v=Gc4nBVDDrzs

「Let Me Make Love to You」
この曲もシングル・カットされ、R&Bシングル・チャート第10位となりました。彼らにはこういったスケール感の大きなバラードが似合いますね。この曲はAllan Felder/Bunny Sigler作です。Hip-HopファンはNas「Revolutionary Warfare (9th Wonder Remix) 」のサンプリング・ネタとしてお聴きの方もいるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=91fONPRAt4o

Nas「Revolutionary Warfare (9th Wonder Remix) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=8Vsx-IC_ZwY

「Survival」
ディスコチックなファンキー・チューン。迫力のあるホーン隊もアッパー気分を盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=9EygWGxedlA

「Where Did We Go Wrong」
ソフトな仕上がりでアルバムにアクセントをつけています。優しげなオーケストレーションも含めて一息つける感じがいいですね。

「Rich Get Richer」
再び濃厚な O'Jaysワールドを堪能できるダンス・チューン。ラーメンで言えば、スープ濃いめ、油多めといった感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=TXFijzJGt-0

「How Time Flies」
「What Am I Waiting For」
バラード2曲。「How Time Flies」は哀愁モードで、Bunny Sigler/Ron Tyson作の「What Am I Waiting For」はエモーショナルに迫ってきます。後者はJay-Z「You Must Love Me」のサンプリング・ネタにもなっています。

「Never Break Us Up」
ラストはLeon Huff作品。小粋なミッド・チューンで軽やかに締め括ってくれます。

惜しくも、今回サバイバルできなかったBob Marley & The Wailers『Survival』(1979年)も近々紹介しますね。
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2010年03月08日

Sambalanco Trio『Reencontro Com Sambalanco Trio』

ジャズ・サンバを代表するピアノ・トリオ☆Sambalanco Trio『Reencontro Com Sambalanco Trio』
レインコントロ・コン・サンバランソ・トリオ
発表年:1965年
ez的ジャンル:ジャズ・サンバ・トリオ
気分は... :男の顔には...

今回はSambalanco Trioの3rdアルバム『Reencontro Com Sambalanco Trio』です。

Sambalanco Trioの紹介は、Lennie Daleとの共演作Lennie Dale & Sambalanco Trio『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』(1965年)に続き2回目になります。

ただし、『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』Lennie Dale中心の記事の書き方だったので、実質的には今回が最初の紹介と言えるかもしれませんね。

Sambalanco Trioは1962年にサンパウロで結成されたジャズ・サンバ・トリオ。グループ名"Sambalanco"はサンバ(Samba)とバランソ(Balanco)を組み合わせたものだと思います。メンバーはCesar Camargo Mariano(p)、Humberto Clayber(b)、Airto Moreira(ds)の三人。

Cesar Camargo Marianoは故Elis Reginaの2番目の夫であり、Maria Ritaの父親でもあります。Airto Moreiraはご存知の通り、妻Flora Purimと共にその後アメリカへ渡り、ジャズ/フュージョン・シーンで大活躍することになります。

Sambalanco Trio単独では、『Samblues』(1964年)※『Sambalanco Trio vol.1』のタイトルも在り、『Improviso Negro』(1965年)※『Sambalanco Trio vol.2』、『Nana』のタイトルも在り、『Reencontro Com Sambalanco Trio』(1965年)という3枚のアルバムをリリースしています。

今回紹介する『Reencontro Com Sambalanco Trio』(1965年)は彼らの3rdアルバムであると同時にラスト・アルバムとなる作品です。

Tamba Trioと並ぶジャズ・サンバを代表するトリオと位置づけられるSambalanco Trioですが、個人的にはTamba Trioとは相当異なる印象を受けます。

Sambalanco Trioの場合、歌ものがないせいかブラジル音楽というよりもジャズを聴いている感覚の方が強いかもしれません。特にピアノ・トリオという編成がそういった印象にさせるのでしょうが。

一方で、ピアノ・トリオにありがちな小ぢんまりとまとまっていない所が彼らの魅力だと思います。特にAirto Moreiraのドラムがバシバシ主張しているのがいいですね。

一人でウィスキーでも飲みながら聴きたくなるアルバムです。
その意味では、やはり気分がブラジル・モードよりもジャズ・モードの時に聴くのがいい作品かもしれません。

全曲紹介しときやす。

「Samba Pro Pedrinho」
Tereza Souza/Walter Santos作品。軽快なジャズ・サンバでスタートします。

「Deixa」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作の名曲。当ブログでは以前にElis Reginaのヴァージョン(『Elis, Como e Porque』のボーナス・トラック)を紹介しています。Sambalanco Trioヴァージョンは軽快な中にもエレガントな雰囲気が漂うのがいいですね。

「Lenda」
Paulo Sergio Valle/Marcos Valle作。Marianのリリカルなピアノを中心としたロマンチックな仕上がりにウットリです。

「Tensao」
Humberto Clayber作。三人の息が合ったエキサイティングな演奏に聴いている側もテンション上がります。Airtoのドラムがハジけているのがいいですね。

「Razao De Viver」
Eumir Deodato作品。エレガントな演奏ですがパッションが感じられます。

「Pra Machucar Meu Coracao」
Ary Barroso作。小粋なエレガントさが僕好みの演奏です。ラウンジでグラス片手に聴くのにピッタリな雰囲気です。

「Pot-Pourri:Samblues - Sambinha - O Amor Que Acabou - Nana - Praque Chorara - O Morro Nao Tem Vez - Roda De Samba - Samblues」
1st『Samblues』、2nd『Improviso Negro』からのメドレー。「Samblues」「Sambinha」「O Amor Que Acabou」「Praque Chorara」「O Morro Nao Tem Vez」は『Samblues』、「Nana」「Roda De Samba」は『Improviso Negro』に収録されています。まさにSambalanco Trio美味しいとこ取りのメドレーです。本作のハイライトなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=HUWCKUQVdVo

Antonio Carlos Jobim作の「O Morro Nao Tem Vez(悲しみのモロ)」は『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』でも取り上げていましたね。

「Deixa Pra La」
Luiz Fernando Freire/Sergio Augusto作。小気味良さの中に抜群のセンスを感じます。

「So...Pela Noite」
Airto Moreira作品。ジャズ・ファンがグッとくる仕上がりなのでは?

「Step Night Up」
Oliver Nelson作。1分半の短い曲ですが、洗練されたテンポの良さに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=11YqzQAy80M

「Manha De Nos Dois」
Mariza/Cesar Camargo Mariano作。ラストはしっとりとした演奏でアルバムは幕を閉じます。

1st『Samblues』(1964年)、2nd『Improviso Negro』(1965年)もどうぞ!

『Samblues』(1964年)
SAMBALANCO TRIO

『Improviso Negro(Nana)』(1965年)
IMPROVISO NEGRO
posted by ez at 01:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月07日

Karen Lano『My Name Is Hope Webster』

フレンチ女性SSWによる小さな音の玉手箱!☆Karen Lano『My Name Is Hope Webster』
My Name Is Hope Webster
発表年:2009年
ez的ジャンル:陽だまり系フレンチ女性SSW
気分は... :虹色モードで!

今日は本当はイタリアのクラブジャズ・ユニットBarrio Jazz Gangの新作『2』を紹介しようと思ったのですが、Amazonでの扱いが無いようなので断念しました。

代わって紹介するのは、パリを本拠に活動する女性シンガー・ソングライターKaren Lanoのデビュー・アルバム『My Name Is Hope Webster』(2009年)です。

昨年12月に購入して以来愛聴しており、『ezが選ぶ2009年の10枚』でも欧州女性SSWものカテゴリーで最後までLuis『Do it』とどちらを選ぶか迷った程のお気に入り作品です。

今回Amazon.co.ukでジャケが見つかったので、ようやく紹介することができます。

"ジャズ寄りの欧州女性SSW"という最近の僕が一番ハマるタイプの作品です。
思わずジャケ買いしたくなる、大自然の中で虹色の陽光を浴びたKaren Lanoが写るジャケが秀逸ですよね。

本作はフランスのジャズ・レーベルBee Jazzよりリリースされています。

レコーディングはKaren LanoのヴォーカルとDaniel Yvinec、Michael Leonhartという二人のミュージシャン三人のみで行われており、ジャズ、ポップス、フォークが融合したシンプルながらも洗練されたサウンドに仕上がっています。

ジャケのイメージそのままに、ピュア&ナチュラル&ドリーミーな音世界を聴くことができます。

全9曲のうち、オリジナルが5曲、スタンダードが2曲、残り2曲がTom Waits、Neil Youngのカヴァーという構成です。全曲英語で歌われています。

意外とJ-POP好きの人がスンナリ聴くことできる作品だと思います。
日本人の感性にマッチしているかも?

"小さな音の玉手箱"

そんな言葉がピッタリな1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Rainbow」
「Awake」と並ぶお気に入り曲。"音の玉手箱"を開けると、そこからストレンジ&ドリーミーなサウンドが流れ出し...といった雰囲気のソフト・サイケなポップ・チューン。本作の持つセンスの良さを実感できるオープニングです。

「You Were Meant For Me」
Arthur Freed作詞、Nacio Herb Brown作曲のスタンダード(1929年作)。ヴァイヴの音色がドリーミーな世界へ誘うジャジー・チューンです。

「Awake」
アルバムで一番のお気に入り。ここ数ヶ月、僕の朝のお目覚めソングになっています。朝一に聴くと、今日素敵な出来事な起こりそうな予感がしてワクワク気分になりますよ!この1曲で本作の魅力がわかるはず!超イチオシのサニー・ポップです。
http://www.youtube.com/watch?v=CWYONMJsSQY

「The Heart Of Saturday Night」
Tom Waitsのカヴァー。オリジナルはアルバム『The Heart of Saturday Night』(1974年)のタイトル曲です。奇をてらわないフォーキーな仕上がりが好感持てます。

Tom Waitsと言えば、最近は「Tom Traubert's Blues (Four Sheets to the Wind in Copenhagen)」がフジテレビのドラマ『不毛地帯』の主題歌となり注目を浴びていますね。振り返ると、当ブログでTom Waitsは未紹介でした。好きなアーティストなので近々取り上げますね。

「Hope Webster」
Karen Lanoのシンガー・ソングライターとしての魅力が実感できる1曲。囁くようなKarenのヴォーカルとアコースティック・サウンドが織り成す、ピュア&ナイーヴな世界に引き込まれます。ジワジワ高揚する終盤の展開もいいですね。

「Skylark」
Johnny Mercer作詞、Hoagy Carmichael作曲のスタンダード(1942年作)。Aretha FranklinBette Midler等もカヴァーしていますね。ミステリアスな空気で始まり、徐々にジャジー感が醸し出され、後半はホーンも加わりスタンダード然としたサウンドになっています。

「The Clearing」
この曲も"音の玉手箱"感に溢れています。聴いていると自然と童心に戻りそうなワルツ・チューンです。

「Don't Let It Bring You Down」
Neil Youngのカヴァー。オリジナルは名作『After The Gold Rush』(1971年)に収録されています。フォーキーな味わいに、ホーンによるジャズ・フレイヴァーを加えてアクセントをつけています。

「Endless Waltz」
ラストは"音の玉手箱"ワールドで締め括ってくれます。愛情たっぷりの子守唄のようです。

今回紹介できなかったBarrio Jazz Gang『2』もぜひ紹介したいと思います。最近気に入っている新作がAmazonに無いことが多く、記事作成を断念することが多いです...
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2010年03月06日

Hirth Martinez『Hirth From Earth』

全てがユニークなMartinezのデビュー作☆Hirth Martinez『Hirth From Earth』
ハース・フロム・アース
発表年:1975年
ez的ジャンル:超個性派男性シンガー・ソングライター
気分は... :実にユニーク!

今回は超個性派男性シンガー・ソングライターHirth Martinezのデビュー・アルバム『Hirth From Earth』(1975年)です。

Hirth Martinezは1945年L.A.生まれ。

1970年代にThe BandRobbie Robertsonプロデュースによるデビュー・アルバム『Hirth From Earth』(1975年)、John Simonプロデュースによる2nd『Big Bright Street』(1977年)という2枚のアルバムをリリースし、一部ファンから高い評価を得たものの、それ以降シーンから姿を消します。

そして、1998年に突如21年ぶりの3rd『I'm Not Like I Was Before』をリリースし、ファンを大いに喜ばせました。

僕の場合、Hirth Martinezの名前を初めて知ったのはフリーソウルのコンピ『Free Soul River』でした。このコンピでエンディングを飾ったのが本作のオープニング曲「Altogether Alone」です。その直後に21年ぶりのカムバック作『I'm Not Like I Was Before』がリリースされ、その人気ぶりに驚いた記憶があります。

さて、本作『Hirth From Earth』ですが、Robbie RobertsonプロデュースということでThe Band的なサウンドをイメージしてしまいますが、ロック、ジャズ、ブルース、カントリー、フォーク、ソウル、ラテン、ブラジルと多様な音楽のエッセンスが取り入れられています。個人的にはメキシコ系の血が流れるMartinezのラテン魂が顔を覗かせる曲が好きですね!

また、基本はダミ声ヴォーカルのMartinezですが、「Altogether Alone」等の曲ではソフト・タッチのヴォーカルも披露し、様々な表情でそのユニークな歌世界を聴かせてくれるのも魅力です。

レコーディングにはHirth Martinez(vo、g) 、Robbie Robertson(g)以外に、The BandGarth Hudson(p、el-p、org)、Ben Keith(pedal steel)、Bob Boucher(b)、Chuck Rainey(b)、Russ Kunkel(ds)、Spider Webb Rice(ds)、Sergio Pastora(conga)、さらにStevie Wonder三部作の功労者の二人Robert Margouleff(syn)、Malcolm Cecil(syn)等が参加しています。

聴きながら思わずニンマリしてしまうセンスの良さが光る1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Altogether Alone」
オススメその1。アルバムのハイライト。前述のようにフリーソウル人気曲でもあります。メランコリック&メロウ&ブルージーな雰囲気のボッサ・チューンに仕上がっています。ライトなアコースティック・サウンドにシンセのオブリガートが絡み、素敵だけど何処か不思議な音世界を生み出しています。歌の内容はUFOとの遭遇を歌ったユニークなものです。シンセのオブリガートはUFOなんですね...そう思って聴くとさらに興味深いです。

「Winter Again」
僕の苦手なカントリー・タッチの仕上がりですが、 Martinezのアクの強いヴォーカルのおかげでイモ臭くならずに済んでいるので一安心(笑)

「Djinji」
オススメその2。Martinezのダミ声ヴォーカルとソウル&ジャズ・タッチのファンキー・サウンドが実にマッチしたブルーアイド・ソウル風の仕上がり。ホーン・サウンドも盛り上げてくれます。格好良い曲なのに何処かユーモラスなのがこの人らしさでしょうか。

「Be Everything」
オススメその3。ワルツ調の哀愁サウンドをバックにした寂しげなMartinezの多重ヴォーカルが印象的です。夢の中のような雰囲気を醸し出すLarry Fallonによるストリングス・アレンジが素晴らしいですね。

「Comin' Round The Moon」
Robbie Robertsonのギター・プレイが冴えるシャープなロック・チューン。Dr.Johnを連想させるMartinezの風貌とマッチする仕上がりです。

「It」
小粋なジャジー・チューン。優しげなソフト・ヴォーカルは「Djinji」あたりのダミ声ヴォーカルと同一人物のヴォーカルとは思えません。

「That's The Way It's Gotta Go」
オススメその4。ラテン・フレイヴァーのファンキー・グルーヴ。再びダミ声に戻ったMartinezのヴォーカル、Robbie Robertsonのギター、ファンキーなリズム隊、ストリングス&ホーン隊と全てが一体化した演奏は素晴らしい!の一言に尽きます。

「Silent Movies」
オススメその5。センチメンタルな気分になるカントリー・ロック。Ben Keithの味わい深いペダル・スティールが印象的です。ゆっくりと時間が流れていく感じがたまりません。

「Pity On The Fool」
ブルージーなロック・チューン。Garth Hudsonのオルガンも加わり、Robbie Robertsonのギターと合わせてThe Band風サウンドが堪能できる1曲です。

「I Don't Know Why The Hell」
オススメその6。ボッサ・テイストの効いた小粋なポップ・チューン。都会的なアレンジにグッときます。

「Saturday Night」
ニューオリンズしているジャジー・チューン。Martinezのダミ声ヴォーカルがサッチモ(Louis Armstrong)のようで良くマッチしています。

「Cold Dark Mornin'」
オススメその7。エキサイティングなリズムに魅了される新感覚のブルース・チューンといったところでしょうか。前曲ではサッチモのように聴こえたMartinezのダミ声ヴォーカルが、ここではMick Jaggerのように思えてきます。この曲にRolling Stonesを感じるのは僕だけでしょうか?

「You Are A Star」
ラストはオールド・ジャズ風の仕上がり。アコーディオン等も加わり、少し切ない雰囲気にグッときます。実に素敵なエンディングです。

Norman Seeffによるジャケも印象的ですよね。
ヴォーカルもサウンドもジャケも...あらゆる面で個性を感じる1枚です。

John Simonプロデュースによる2nd『Big Bright Street』(1977年)もセットでどうぞ!
ビッグ・ブライト・ストリート(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月05日

Solo『4 Bruthas And A Bass』

Raphael Saadiq、Gerald LeVertプロデュースの2nd☆Solo『4 Bruthas And A Bass』
4 Bruthas and a Bass
発表年:1998年
ez的ジャンル:ニュークラシック・ソウル系男性R&B
気分は... :この素晴らしさは色褪せない!

今回は90年代R&Bファンには人気が高いR&BグループSoloの2nd『4 Bruthas And A Bass』(1998年)です。

Eunique Mack、Darnell Chavis、Danielle Stokesというヴォーカル3人にべーシストのRobert Andersonを加えた4人組R&BグループSoloの紹介は、デビュー・アルバム『Solo』(1995年)に続き、2回目となります。

Jam & LewisのレーベルPerspectiveとの契約し、デビュー・アルバム『Solo』ではJam & Lewis自らもプロデュースしていましたが、本作ではJam & Lewisは制作に関与していません。

その代わり、Raphael SaadiqGerald LeVertという大物2人が各2曲プロデュースしています。古き良きソウルの伝統を継承しつつ、90年代の感覚も巧みに織り込んだ彼らのスタイルからすれば、Jam & LewisよりもRaphael SaadiqGerald LeVertの2人の方が適任という気はします。

それ以外の楽曲はセルフ・プロデュースが中心であり、全体としては1stよりも(ソウル色ではなく)R&B色が強い気がします。90年代R&Bシーンに突如登場した正統派ソウル・グループという趣であった1stと比較するとインパクトは欠けるかもしれませんね。

それでも全体の完成度で言えば、決して1stに引けを取らないと思います。個人的には普段セレクトするのであれば、『Solo』よりも『4 Bruthas And A Bass』の方が優先順位高いかも?

結果的に1stほどの成功を収めることができず、本作を最後にシーンから消えてしまったSoloですが、本作『4 Bruthas And A Bass』の素晴らしさが色褪せることはないと思います。

きっと10年、20年後も隠れた名盤として高い評価を得ているのでは?なんて期待してしまいます。

全曲紹介しときやす。

「Touch Me」
オススメその1。Raphael Saadiqプロデュースの1曲目。シングル・カットもされ、全米R&Bシングル・チャート第26位となっています。シングルになるだけあって、キャッチーな仕上がりのミッド・グルーヴです。大人のアーバン・ナイト感がグッときます。90年代R&B好きの人であれば鉄板な出来栄えなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=2jsiBP3Y8qA

「Nights Like This」
Raphael Saadiqプロデュースの2曲目。Raphaelプロデュース色が強く出た仕上がりです。このニュークラシック感の追求こそRaphael起用の狙いだったのでは?その意味では成功していると思います。

「Luv-All-Day」
Kieaun-Da Golden Childのラップをフィーチャー。彼らのスタイルにラッパーとの共演はあまりマッチしていない気がしますが、流行への配慮があったのかもしれませんね。

「Forgive Me」
オススメその2。ドラマチックなイントロで始まる、スケール感の大きなバラード。実力派グループなので、このタイプの正統派のバラードを歌うと見事にハマりますね。ただただ聴き惚れてしまいます。Travon Pottsプロデュース。

「Free-Stylin All da Woman (Interlude) 」
Robert Andersonのベースのみをバックに小粋なコーラスを聴かせてくれます。

「Sumthin Kinda Special」
オススメその3。僕の一番のお気に入り。トータルな完成度でいけばアルバム随一なのでは?ヴォーカル&メロディ&グルーヴの三拍子が揃った仕上がり。コンテンポラリーな感覚で彼らの魅力を堪能できます。

「Let Me See the Sun」
Gerald LeVert& Edwin "Tony" Nicholasプロデュースの1曲目。Geraldらしい濃い目の曲です。これ以上濃すぎるとクドい!という限界ギリギリで寸止めになっているのが心憎いですね(笑)

「Love You Down」
オススメその4。聴いていると温かい気持ちになるビューティフル・バラード。ヴォーカル・グループとしての実力を堪能できます。

「Make Me Know It」
Gerald LeVert& Edwin "Tony" Nicholasプロデュースの2曲目。この曲もガンガン濃く迫ってきます。濃度が高い曲はあまり好きじゃないんですけど、Soloならばいいかぁという気分ですかね。

「Crazy Bout U」
オススメその5。スロウ系では一番好きな曲です。胸キュンになりたい人にはピッタリなロマンチックな美メロ・ラブソングに仕上がっています。

「Get Off!」
オススメその6。ノスタルジックな味わいと90年代R&Bのセンスを上手くまとめた仕上がりです。

「I Hear Love Calling Me (Interlude) 」
短いながらも素敵なハーモニーを聴かせてくれます。

「Till Death Do Us Part」
オススメその7。Brownstoneとの共演。Soloと共演するに相応しい女性R&BグループはBrownstoneしかいないでしょ!って気がします。そんな実力派グループの顔合わせらしい正統派バラードに仕上がっています。両者とも多少控えめな印象も受けますが...

「What Would This World Be」
クラシカルなスタイルでソウルを聴かせてくれます。本来はもっとこのタイプの曲をやりたかったのでは?

「Amen (Interlude) 」
ラストは素晴らしいハーモニーで締めくくってくれます。

今週は嵐のような1週間でした。
まだ、宿題が山積み...少し仮眠をとってからやっつけようっと!
さぁ諸君、かたちにしよう!
posted by ez at 03:38| Comment(4) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする