2010年03月11日

Floetry『Floetic』

Flow + Poetry = Floetry!グラミー3部門にノミネートされた女性R&Bデュオのデビュー作☆Floetry『Floetic』
フロエティック
発表年:2002年
ez的ジャンル:UK出身ネオ・フィリー
気分は... :空白地帯を埋めねば!

今回は2003年のグラミー賞3部門にノミネートされた女性R&BデュオFloetryのデビュー作『Floetic』です。

イギリス出身のMarsha "Songtress" Ambrosius(vo)とNatalie "Flocist" Stewart(MC)の2人組Floetryの紹介は、2ndアルバム『Flo'Ology』に続き2回目になります。

1997年にロンドンで結成されたFloetryですが、2000年にアメリカ、フィラデルフィアに拠点を移し、Jazzy Jeff率いるプロダクションA Touch Of Jazz(ATOJ)の一員に加わり、Michael Jackson等への楽曲提供で注目されるようになりました。

そんな時期にデビュー作となる本作『Floetic』(2002年)をリリースします。アルバムは全米アルバム・チャート第19位、同R&Bアルバム・チャート第4位にヒットとなり、さらに2003年のグラミー賞3部門にノミネートされるという成功を収めました。

最近、本作やJill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』(2000年)、Bilal『1st Born Second』(2001年)、 City High『City High』(2001年)、Jaguar Wright『Denials Delusions and Decisions』(2002年)といった2000年代前半のネオ・フィリーやA Touch Of Jazz関連の作品をよく聴き直しています(City HighはATOJが数曲関与しているのみで全体としてはWyclef Jean関連作品と呼ぶべきでしょうが)。

よくよく振り返ると、当ブログでこのあたりの作品がポッカリ抜けているんですよね。Jill ScottやBilalは何度も記事にしようと思いながら、次があるからいいやぁ...といつも先延ばしにしてしまい、Jaguar Wrightはてっきりエントリー済みだと勘違いしていたことに最近気付き...といった具合です。

そんな一連の作品の中で今の気分に最もフィットしたのがFloetry『Floetic』です。

プロデューサーは、Andre HarrisVidal DavisDre & Vidalコンビ、Darren HensonKeith PelzerIvan "Orthodox" Barias、それにMarsha Ambrosius自身というATOJ関連メンバーで固められています。

グループ名の通り、MarshaのヴォーカルとNatalieのラップを組み合わせたスタイルは、Lauryn Hill『The Miseducation Of Lauryn Hill』の流れを汲む新時代のR&Bという印象を受けましたね。

R&BとHip-Hopの融合というと、ヴォーカル・パートとラップ・パートが分離していて違和感を感じるものも少なくありませんが、Floetryはヴォーカルとラップが一体化してプラスαを生んでいるところが素晴らしいと思います。今聴き直しても、MarshaのヴォーカルとNatalieのラップの有機的な結合に魅了されます。

ネオ・フィリーの盛り上がりを象徴するアルバムとして忘れられない1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Big Ben」
ビッグ・ベンの鐘の音でスタートするのがロンドン出身らしいです。

「Floetic」
オススメその1。タイトル曲はシングル・カットされ、前述のようにグラミーでBest R&B Songにもノミネートされました。ATOJらしいグルーヴ感を堪能できます。ジャジーになったLauryn Hillって感じが大好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=s716EpraBB4

「Ms. Stress」
オススメその2。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。浮遊感漂うメロウ・グルーヴです。アングラ・ジャジーHip-Hop大好きな僕の嗜好のど真ん中にくる出来栄えです。
http://www.youtube.com/watch?v=_a4yertGJiU

「Sunshine」
ヒューマンな温もりが伝わってくるミディアム・スロウ。ラップ・パートで感動的なフロウを聴かせるNatalieが素晴らしい!

「Getting Late」
アルバムからの3rdシングル。MarshaのヴォーカルとNatalieのラップが見事に絡み合った哀愁スロウに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=kViVhBTFag4

「Fun」
ネオ・フィリーらしい少し引っ掛かったグルーヴがいい感じです。

「Mr. Messed Up」
オススメその3。この曲もかなり好き!エスニック&パーカッシヴなグルーヴがなかなか刺激的です。
http://www.youtube.com/watch?v=DS4588ArcD0

「Say Yes」
オススメその4。アルバムからの2ndシングル。全米R&Bシングル・チャート第8位のヒットとなりました。グループを代表する名曲なのでは?揺れる女心を歌った大人のスロウ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=PCCGIXME164

「Hello」
音の余白がいい感じのスロウ・チューン。不思議な説得力があります。

「Headache」
ジャジーHip-Hop好きの人はグッとくるメロウなジャジー・グルーヴ。

「Hey You」
ここでのNatalieはラップと言うよりも、まさにポエトリー・リーディングですね。これがMarshaのヴォーカルと実にマッチします。

「If I Was A Bird」
オススメその5。この曲も僕のお気に入り。感動的なスロウ・チューン。3月に聴くと余計なセンチメンタルな気分になりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=5QZEB1lY2dw

「Opera」
アルバムの中では一番異質な感じかも? 哀愁モードのトラックを切り裂くかのようなNatalieの鋭いフロウが印象的です。

「Subliminal」
ラストはサブリミナルなHip-Hopチューンです。Peace Of Mind!

CDには「Butterflies (Demo Version) 」「Now You're Gone (More Than I Can Feel) 」という2曲のボーナス・トラックが収録されています。

特に「Butterflies (Demo Version) 」は、MarshaがAndre Harrisとの共作でMichael Jacksonへ提供したシングル曲「Butterflies 」のFloetryヴァージョンです。MJヴァージョンと聴き比べるのも楽しいのでは?個人的にはFloetryヴァージョンの方が全然好きですが。
Floetry「Butterflies (Demo Version) 」
http://www.youtube.com/watch?v=amiXxFi-2TA

Michael Jackson「Butterflies」
 http://www.youtube.com/watch?v=zAa7z5QdL4M

未聴の方は2nd『Flo'Ology』もチェックしてみてください。

『Flo'Ology』(2005年)
Flo'Ology
Floetry feat. Common「Superstar」
http://www.youtube.com/watch?v=e9n-JoA1A1E

前述の他のネオ・フィリー、ATOJ作品も順次取り上げたいと思います。
posted by ez at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする