録音年:1967、68年
ez的ジャンル:新主流派Jazz
気分は... :ジョー・ヘンとパッキャオ...
今日はジャズ・サックス奏者Joe Hendersonの5回目の登場です。
『Page One』(1963年)
『In 'N Out』(1964年)
『Inner Urge』(1964年)
『Mode For Joe』(1966年)
5枚目に紹介するのは『Tetragon』(1968年)です。
これまでの4枚は全てBlue Note時代の作品すが、本作『Tetragon』はMilestone時代の作品です。
どうしてもジョー・ヘンと言えば、Blue Note時代の作品を好んで聴いてしまいますが、Milestone時代も忘れてはいけませんね。
本作『Tetragon』は『The Kicker』(1967年)に続くMilestone第2弾アルバムです。Milestone時代を代表する1枚であり、実に聴きやすい内容です。
本作は2回のセッションから構成されています。
「Tetragon」、「First Trip」、「I've Got You Under My Skin」の3曲は1967年9月27日のセッションです。メンバーはJoe Henderson(ts)、Kenny Barron(p)、Ron Carter(b)、Louis Hayes(ds)という編成です。こちらは『The Kicker』のレコーディングと同じメンバーです。
「Invitation」、「R.J.」、「The Bead Game」、「Waltz for Zweetie」の4曲は1968年5月16日のセッションです。メンバーはJoe Henderson(ts)、Don Friedman (p)、Ron Carter(b)、Jack De Johnette (ds)という編成です。
メンバー的には1968年のセッションの方が興味深いですよね。
特にDon Friedman、Jack De Johnetteのプレイには惹かれるものがあります。
全体としてはワンホーン編成でHendersonのテナーを存分に堪能できる新主流派作品に仕上がっていると思います。
Milestoneに移りさらに飛躍していくHendersonの姿を確認できる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Invitation」
1944年にBronislaw Kaperが作曲し、1956年にPaul Francis Websterが詞をつけたもの。1958年にJohn Coltraneが演奏して以来、ジャズ・スタンダードとして定着しました。
本作のハイライトかもしれませんね。美しいDon Friedmanのピアノに導かれ、Hendersonのテナーがミディアムテンポでスタートします。前半かなり抑えたプレイで優しく歌っていますが、中盤以降はゴリゴリとした武骨なフレーズも飛び出します。Hendersonのテナーを存分に堪能できる演奏です。
「R.J.」
Ron Carter作。アップテンポのスリリングな演奏です。Hendersonらしいクネクネフレーズを聴くことができるのが嬉しいですね。基本的にこういうドライブ感のある演奏は大好きです。
「The Bead Game」
Joe Henderson作。この曲はフリー・ジャズしています。Hendersonのテナー以上にエキサイティングなのがDe Johnetteのドラムです。De Johnetteの凄みのあるプレイに圧倒されてしまいますね。
「Tetragon」
タイトル曲はJoe Henderson作。それまでの3曲とは異なるセッションであり、かなり異なる印象を受けますね。Hendersonの豪快なブロウを堪能しましょう。
「Waltz for Zweetie」
Walter Bishop Jr.作。Walter Bishop Jr.自身のヴァージョンは『Coral Keys』(1972年)で聴くことができます。再び1968年のセッションでの演奏です。Friedmanのエレガントなピアノを楽しめるワルツです。Hendersonは相変わらずクネクネしたテナーを聴かせてくれます。
「First Trip」
Ron Carter作。当ブログでも紹介したHerbie Hancock『Speak Like A Child』(1968年)にも収録されていました。僕もどちらかと言えば、Herbie Hancockヴァージョンのイメージが強いですね。スウィンギーで楽しげなHancockヴァージョンと比較すると、Hendersonヴァージョンはもう少し落ち着いたブルージーな仕上がりです。両者を聴き比べるのも楽しいですね。
「I've Got You Under My Skin」
Cole Porter作のスタンダード。1936年のミュージカル映画『Born To Dance』のために書かれたものです。
当ブログではこれまでSonny Rollins、Dinah Washingtonのヴァージョンを紹介しています。1967年のセッションの中では一番好きです。同じCole Porter作ということで、『Inner Urge』収録の「Night And Day」と一緒に聴きたくなりますね。
次作『Power to the People』(1969年)でHendersonもエレクトリック路線に突入します。
『The Kicker』(1967年)
『Power to the People』(1969年)
前回のJoe Hendersonの記事(2008年12月)を読み返したら、ボクシングのドリーム・マッチ「デラ・ホーヤ対パッキャオ」について書き、パッキャオの偉大さについて触れていました。
偶然ですが、昨日もボクシングのドリーム・マッチ「パッキャオ対クロッティ」の生中継をTV観戦していました。
パッキャオのファイトを観ると、僕の潜在意識の中でジョー・ヘンのクネクネフレーズが聴きたくなるのかも(笑)