2010年03月22日

John Lewis & Sacha Distel『Afternoon In Paris』

"パリの昼下がり"に似合う小粋なジャズ☆John Lewis & Sacha Distel『Afternoon In Paris』
AFTERNOON IN PARIS
録音年:1956年
ez的ジャンル:フレンチ・ジャズ+MJQ
気分は... :久々に50年代を!

今年に入って50年代カテゴリーから1枚もセレクトしていなかったので、今回は50年代ジャズ作品の中から1枚!

セレクトしたのはModern Jazz QuartetのリーダーJohn Lewisとフランス人ミュージシャンSacha Distelの共演アルバム『Afternoon In Paris』です。

以前からパリに対する強い思いを抱いていたJohn Lewisがフランスの人気ジャズ・ミュージシャン達とパリと録音した作品が本作『Afternoon In Paris』です。

もう一人の主役Sacha Distel(1933–2004年)については詳しく知らないのですが、ギタリストのみならずシンガーしても人気を博し、俳優としても活動していたミュージシャンのようです。

レコーディング・メンバーはJohn Lewis(p)、Sacha Distel(g)、Barney Wilen(ts)、Pierre Michelot(b)、Percy Heath(b)、Connie Kay(ds)、Kenny Clarke(ds)。オリジナルLPのA面3曲のリズム隊がPierre MichelotとConnie Kay、B面3曲がPercy HeathとKenny Clarkeとなっています。

Milt Jacksonを除く新旧Modern Jazz Quartetメンバーとフランス人若手ミュージシャンの共演といったところです。

この中で本来の主役であるJohn LewisSacha Distel以上に目立っているのが、テナー・サックスのBarney Wilenです。

Barney Wilenは本作の翌年にMiles Davisが音楽を担当した映画『Ascenseur Pour L'Echafaud(邦題:死刑台のエレベーター)』のレコーディングに参加し一躍脚光を浴びることになりますが、本作でもBarneyの若々しい演奏に魅了されます。

全体としてはJohn Lewisの持つクラシカルなエッセンスとフランス人ミュージシャンのセンスの良さが上手く融合し、まさに"パリの昼下がり"といった雰囲気の小粋なジャズ作品に仕上がっています。

Sacha Distelも主役にはなりきれていませんが、彼の気の利いた演奏が全体の調和を上手くもたらしており、その意味で本作に欠かせない存在になっていると思います。

エッフェル塔をバックにトレンチコート姿で佇むLewisとSachaの二人にトリコロール・カラーを重ねたジャケも大好きです。

全曲紹介しときやす。

「I Cover The Waterfront」
Edward Heyman作詞、Johnny Green作曲のスタンダード(1933年作)。John Lewisらしいクラシカルなムードのピアノでスタートし、Sachaのロマンティックなギターを経て、Barneyの小粋なテナーに魅了されます。主役は完璧にBarneyですね。最後はLewisがエレガントに締め括ってくれます。

「Dear Old Stockholm」
Stan Getzの演奏で有名なスウェーデン民謡(原曲は「Ack Varmeland Du Skona」、「Warmland」の題名で表記されることもあります)。当ブログでは以前にMiles Davis『'Round About Midnight』のヴァージョンを紹介しています。ここではLewisのピアノ、Barneyのテナーサックス、Sachaのギター、Michelotのベースが無伴奏で交錯する気品あるテーマとBarneyやDistelがスウィングするソロ・パートのコントラストが印象的です。フレンチ・ジャズらしい洗練を感じる演奏です。

「Afternoon In Paris」
本作のために用意したJohn Lewisのオリジナル。まさにパリの昼下がりといったムードテーマに続き、Barney→Sacha→Lewis→Michelotの順にソロが展開します。それまでのエレガントムードもお構いなしのBarneyのテナーと、再びエレガントムードに引き戻すSachaの円やかのギターの対比が面白いですね。

「All The Things You Are」
Oscar Hammerstein II作詞、Jerome Kern作曲。1939年のミュージカル『Very Warm for May』のために書かれた楽曲です。本作のハイライトとしてBarneyのプレイが冴え渡る本曲を挙げる方も多いのでは?美しいLewisのピアノに続き、ハードボイルドな格好良さに溢れたBarneyのソロを堪能できます。ここからリズム隊がPercy Heath & Kenny Clarkeとなりますが、彼らのスウィンギーな推進力も聴き逃せません。

「Bag's Groove」
Milt Jackson作品。当ブログでは以前にMiles Davis『Bag's Groove』のヴァージョンを紹介したことがあります。ここでは唯一参加していないMJQメンバーを気遣ったのでしょうか(笑)。ここではLewisの小粋なピアノにグッときます。Percy Heath & Kenny Clarkeのリズム隊もかなりいい感じです。結果的にはMJQメンバーが目立つ演奏になっていますね。

「Willow Weep For Me」
「柳よ泣いておくれ」の邦題で有名なスタンダード(Ann Ronnell作品)。女性作曲家Anne RonellがGeorge Gershwinに捧げた曲です。当ブログではDexter GordonWynton Kelly『Kelly Blue』Red GarlandClifford BrownWes Montgomeryのヴァージョンを紹介済みです。

本ヴァージョンはいかにもJohn Lewisらしいクラシカルな演奏を堪能できます。本作のムードに相応しいかは別として、John Lewis絡みのアルバムならばこの手の演奏は1曲は聴きたいですよね。

僕の所有CDはオリジナル6曲のみですが、最近のCDにはボーナス・トラックとして「Little Girl Blue」と「D&E」の2曲が追加収録されているようです。
posted by ez at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする