2010年03月23日

Experience Unlimited『Experience Unlimited』

Go-Goスタイルになる以前のE.U.☆Experience Unlimited『Experience Unlimited』
エクスペリエンス・アンリミテッド
発表年:1976年
ez的ジャンル:Go-Go前夜系レア・グルーヴ/ファンク
気分は... :意外とラテンな味わいにグッときます!

今回はChuck Brown & The Soul Searchers、Trouble Funkと並ぶGo-GoバンドE.U.の前身グループであるExperience Unlimitedのアルバム『Experience Unlimited』(1976年)です。
※E.U.の1stアルバムという捉え方もありますが、ここで便宜上分けておきます。
『Free Yourself』のタイトルで紹介されることもあるようです。

Go-GoはワシントンD.C.で生まれたブラック・ミュージックであり、70年代後半にChuck Brown & The Soul SearchersTrouble Funkによって演奏スタイルが確立された模様です。Trouble Funkが1982年にリリースした「Pump Me Up」で広く知られるようになり、80年代後半から90年代初めにかけて大いに盛り上がりました。

Go-Go自体は基本的にはワシントンD.C.のローカルなダンス・ミュージックであり、商業的に大成功を収めたアーティストはいませんでした。しかし、同時期に世界中を席巻したニュージャック・スウィング(NJS)やグラウンド・ビートにも影響を与え、またHip-Hopとの関連性も深かったことから80年代〜90年代初めの黒人音楽を振り返るうえでは欠かせないものになっています。

E.U.は、Spike Lee監督の映画『School Daze』(1988年)の主題歌となった「Da Butt」がR&BチャートNo.1になるなど3曲のR&BチャートTop10ヒットを持っているグループであり、Chuck Brown & The Soul Searchers、Trouble Funkと並ぶGo-Goを代表するグループです。

僕の場合、Chuck Brown & The Soul SearchersTrouble FunkE.U.のLP/CDも持っていますが、Go-Goで直接盛り上がったというよりも、ニュージャック・スウィングやグラウンド・ビートを通じてGo-Goの影響力の大きさを実感したという感じでした。

その中でE.U.『Livin' Large』(1989年)や『Cold Kickin' It』(1990年)といったアルバムは頻繁に聴いていた記憶があります。もっとも『Cold Kickin' It』あたりはGo-Goファンからは一刀両断されてしまう作品でしょうが。

E.U.「Taste Of Your Love」(1989年)
 http://www.youtube.com/watch?v=KTK7M3xPeOo
※全然Go-Goしていませんが、今も昔も大好きな1曲です。

さて、今日紹介する『Experience Unlimited』(1976年)は、まだE.U.がGo-Goスタイルになる以前のアルバムであり、レア・グルーヴ/フリーソウル・ファンからの再評価も高い作品です。

本作におけるExperience Unlimitedのメンバーは以下の9名。

 Anthony "Block" Raston(ds)
 Gregory "Suger Bear" Elliott(b)
 Donald R. Fields(g、vo)
 Philip Harris(tp、flh、per)
 Michael "Prof. Funk" Hughes(key)
 Greylin T. Hunter(tb、vo、per)
 Andre "Pops" Lucas(conga、per、vo)
 Clarence "Oscar" Smith(sax、vo)
 David Williams(timbals、per、vo)

E.U.時代にはリード・ヴォーカルとしても活躍するGregory "Suger Bear" Elliottの名前はありますが、Ivan GoffWilliam "Juju" Houseといった後の主要メンバーの名前はここにはありません。

サウンド的にもGo-Goスタイル以前のファンク・サウンドであり、その意味でE.U.の1stアルバムというよりも、E.U.の前身バンドの作品といった聴き方がしっくりくる気がします。

本作はアフロ・ジャズ・ファンク・グループOneness Of JujuのメンバーJames Branch(Plunky Branch)らが運営していたレーベルBlack Fireからリリースされたものです。

そんな流れでアフロ〜スピリチュアル・ジャズの影響やラテン・ロックの影響が聴かれるのも興味深いです。特にラテンな味わいが個人的には魅力です。

詳しい経緯はわかりませんが、本作はJimi Hendrixへ捧げられているアルバムらしいです。

全曲紹介しときやす。

「It’s All Imagination」
オープニングはメンバーのClarence Smithの作品。Black Fireらしいアフロ・ファンク・チューンに仕上がっています。切れ味のある演奏がいいですね。

「Functus」
メンバーのMichael Hughesの作品。彼の弾くクラヴィネットが印象的なインストです。リズム・セクションはばっちり決まっているし、パーカッション類の鳴り具合がいいのもグッド!Jimi Hendrixへ捧ぐ1枚らしくハードなギター・ソロも堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=04OQXcEdkqg

「Peace Gone Away」
フリーソウルのコンピ『Free Soul Eyes』収録ということで人気の高い1曲。メンバーのDonald R. Fieldsによる作品です。Santanaをメロウ&ソウルフルにしたようなラテン・フレイヴァーが魅力ですね!ラテン・パーカッションが鳴り響く中にメロウなカッティング・ギターが聴こえてくるイントロが格好良すぎます。女性シンガーMelva "Lady" Adamsもゲスト参加し、ソウルフルな歌声で盛り上げてくれます。

「Free Yourself」
タイトル曲はGregory Elliott/Anthony Eatson/Michael Hugues作品。ホーン・セクションを前面に押し出したジャズ・ファンク・チューンです。Gregory Elliottがソングライティングを担当しているせいか、無理やりGo-Gotとの接点を見出そうとしてしまいます(笑)。そんな思いとは裏腹に後半のジャジーなフリューゲル・ホーンのソロにグッときてしまいます!
http://www.youtube.com/watch?v=qArbXuIQKIs

「Hey You」
本曲は1973年に記念すべきExperience Unlimitedのデビュー・シングルとしてリリースされた楽曲です。ファンク・チューンとしての格好良さでいえばアルバム随一の仕上がりだと思います。ハイテンション・グルーヴの虜になること間違いナシ!個人的にはアルバムのハイライトだと思います。

「People」
アルバムで唯一のメロウ&スウィートな仕上がり。アコースティックなサウンドも含めて結構グッときます。

「Funky Consciousness」
ラストはタイトルの通りのファンク・チューン。本作らしくアフロ・ファンクとラテンとジミ・ヘンが混ぜ合わさったような展開です。

本作と直接関係する訳ではありませんが、Black FireつながりでOneness Of Juju作品をチェックするのも楽しいのでは?

Oneness Of Juju『African Rhythms』
African Rhythms

Oneness Of Juju『Space Jungle Luv』
Space Jungle Luv
posted by ez at 05:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする