2010年04月30日

Viva Brasil『Viva Brasil』

大人気「Skindo-Le-Le」のオリジナル収録☆Viva Brasil『Viva Brasil』
ヴィヴァ・ブラジル
発表年:1980年
ez的ジャンル:アメリカ在住ブラジル人フュージョン
気分は... :バルサ無念!

今日はViva Brasilのデビュー・アルバム『Viva Brasil』(1980年)です。

Viva Brasilは、ブラジル出身のClaudio Amaralを中心に結成されたアメリカ在住ブラジル人によるフュージョン・グループ。

これまで『Viva Brasil』(1980年)、『Festa』(1999年)、『Messages』(2000年)、『Lost & Found』(2003年)といったアルバムをリリースしています。それ以外にMark Murphyとの共演アルバム『Brazil Songs』(1984年)もあります。

また、当ブログでも紹介したJoyce Coolingのデビュー作『Cameo』(1988年)におけるViva Brasilメンバーの好サポートも印象的でしたね。

今日紹介するデビュー・アルバム『Viva Brasil』(1980年)時点のメンバーは、Claudio Amaral(g、vo、per)、Kent Middleton(per、fl)、Rubens Moura Jr.(ds、per、vo)、Jay Wagner(key、vo、per)、Edward Soleta Y Salman(b)の5名。グループの中心はClaudio AmaralJay Wagnerであり、本作でも殆どの曲を二人で書いています。

本作が注目されるようになったのは、90年代のクラブ・シーンで「Skindo-Le-Le」が大人気となったことに因るものです。元々は元々はサンフランシスコの女性バンドAlive!のカヴァー(アルバム『City Life』収録)がクラブ・シーンで注目され、その後Viva Brasilによるオリジナル・ヴァージョンも人気となりました。

MPBと呼びたくなるような演奏も含まれており、"ブラジリアン・フュージョン"というイメージで聴くと、よりブラジル色が強いアルバムだと思います。メロウ・フュージョン/AOR好きの人向けの楽曲とブラジル音楽好き向けの楽曲がバランス良く構成されています。個人的にはフュージョン色を抑えたブラジル色の強い楽曲の方が好きですね。

モロにフュージョンなアルバムが苦手な若い世代の方もスンナリと聴ける作品かもしれません。いろいろな切り口で楽しめる間口の広いアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Skindo-Le-Le」
前述のように本作のハイライト。サンバ・ビートが心地好く響く爽快ブラジリアン・フュージョン。サビの♪スキンド・スキンド・スキンド・スキンド・ド・レ・レ〜♪の部分は思わず一緒に口ずさんでしまいますね。
http://www.youtube.com/watch?v=dT3-libuPa8

前述のAlive!のカヴァー以外にも阿川泰子さんのカヴァーやA Bossa Eletricaによる北欧ブラジリアン・フュージョン・カヴァー、Viva 2001によるハウス・カヴァーも一緒にチェックしておきたいですね。
阿川泰子「Skindo-Le-Le」
 http://www.youtube.com/watch?v=hrooQRtzQ7g

「Medley:Voce Abousou/Desabafo」
2曲のメドレーというかたちですが、Antonio Carlos e Jocafi「Voce Abusou」のカヴァー&リメイクという感じですね。Antonio Carlos e Jocafiのオリジナルはアルバム『Mudei De Ideia』(1971年)に収録されています。ここではメロウなボッサ・チューンに仕上がっています。

「O Bode」
ブラジル色が強く出た1曲。フュージョン・グループというよりもMPBグループといった雰囲気です。

「Ronco Da Cuica」
「Skindo-Le-Le」に次ぐ本作のハイライト。「Skindo-Le-Le」同様、90年代クラブ・シーンで再評価された人気曲。Joao Boscoのカヴァーです。オリジナルはアルバム『Galos De Briga』(1976年)に収録されています。タイトルの通り、クイーカのリズムが鳴り響くパーカッシヴなサンバ・フュージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=vKOuKg2NfCo

「Turn To Yourself」
AOR/メロウ・フュージョン好きの人にはこの曲が一番グッとくるのでは?爽快なヴォーカルも含めて夏が待ち遠しくなる仕上がりです。

「Menina Danada」
この曲目当ての方もいるかもしれませんね。Cafe Apres-midiのコンピ『Cafe Apres-midi Vert』にも収録されている人気曲(Veve Calasans/Roberto Santana作)。バカンス・モードのトロピカル・フュージョンに仕上がっています。リラックスした雰囲気が実にいいですね。GWに聴くにはピッタリな1曲かも?

「Iemanja」
哀愁モードの仕上がり。何とJoe Hendersonがゲスト参加し、テナー・サックスのソロを聴かせてくれます。

「Dancing The Baiao」
フュージョン・ファンはグッとくるであろう爽快ブラジリアン・フュージョン。
http://www.youtube.com/watch?v=enjGwCxJUGQ

「She」
アコースティックなメロウ・バラード。AORとMPBの中間といった仕上がりです。個人的にはかなりお気に入りの1曲。

「Produto Nacional」
ラストはパーカッシヴなサンバ・チューン。フュージョン色弱め、ブラジル色強めの仕上がりが僕好みです。

昨日のUEFAチャンピオンズリーグ・セミファイナル「バルセロナ対インテル」の2ndレグはバルサの完敗でしたね。

完璧にインテルの守備的戦術の術中にはまりました。前半のインテル モッタの退場が結果的にインテルの選手全員の守備意識を強め、逆にバルサを苦しめた気がします。あれだけの爆発力を持つバルサ攻撃陣のパス回しが、何処かの島国の代表チームのように見えてしまいました。

バルサにとっては残念な結果でしたが、この敗北を引きずらずにリーガ制覇へ気持ちを切り替えて欲しいですね。
posted by ez at 00:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月29日

Melanie Fiona『The Bridge』

カナダ出身の実力派女性R&Bシンガーのデビュー・アルバム☆Melanie Fiona『The Bridge』
The Bridge
発表年:2009年
ez的ジャンル:系女性R&B
気分は... :民族、ジャンル、世代を越えて・・・

今日はカナダ出身の女性R&BシンガーMelanie Fionaのデビュー・アルバム『The Bridge』です。

発売は2009年であり結構時間が経過していますが、2010年に入りアルバムからのシングル「It Kills Me」が全米R&Bシングル・チャートNo.1を獲得し、同曲が2010年グラミーBest Female R&B Vocal Performanceにノミネートされるなど今からでも再チェックしておきたい作品です。

Melanie Fionaは1983年カナダ、トロント生まれの女性R&Bシンガー。今回紹介する『The Bridge』がデビュー・アルバムとなります。デビュー前の2008年にはKanye Westのヨーロッパ・ツアーのオープニング・アクトを務めていました。

音楽好きの母親やギタリストとして活動していた父親の影響で幼い頃から音楽に囲まれて育ったようです。また、両親は南アメリカの小国ガイアナ共和国の出身であり、そういったアイデンティティのせいかR&B/ソウルのみならず、レゲエなどの影響も強く受けているようです。

実際、本作『The Bridge』以前にSupa Dupsプロデュースのレゲエ・チューン「Somebody Come Get Me」をレコーディングしています(レゲエのコンピ・アルバム『Reggae Gold 2008 (Bonus Track Version)』収録)。

そして本作『The Bridge』ですが、タイトルには民族、ジャンル、世代等の隔たりをつなぐ"橋"という意味が込められているようです。

全体の印象としては60年代レトロ・ソウルのエッセンスを巧みに取り入れたR&Bアルバムという印象ですね。きっと母親の影響で日常的に聴いていたオールド・ソウルと彼女の世代らしいR&Bが自然なかたちで融合したものなのでしょうね。レトロと言っても60年代、70年代風ソウルを単になぞったものではないのでご安心を!

パンチの効いたMelanieのヴォーカルが実に魅力的です。少しAmy Winehouseに似たところも感じられますが、Amyのように下品な感じはなく、もっと洗練されています(Amyの場合、アノ下品さが魅力だと思いますが)。

そんなMelanieのデビュー作に大きく貢献しているのが女性R&Bシンガー/ソングライター/プロデューサーとして活躍すAndrea Martinです。当ブログでも彼女のソロ作『The Best Of You』(1998年)を紹介しました。本作でもプロデュース、楽曲提供、ヴォーカル・プロデュース、バッキング・ヴォーカルと大活躍です。

それ以外にもRob Fusari、Peter Wade Keusch、Sidh Solanki、Vada Nobles、Future Cut、Stereotypes、Dan Strong、JK、Jay Fenixがプロデューサーとして起用されています。

このままスケールの大きなシンガーに成長して欲しいですね。

全曲紹介しときやす。

「Give It to Me Right」
アルバムからの先行シングル。Zombies「Time of The Season」をサンプリングした、レトロ・・テイストのR&Bチューン。Zombies「Time of The Season」好きの方は2倍楽しめます。Andrea Martinプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=dPBQmzKQRvU

「Bang Bang」
Rob Fusariプロデュースによる軽快なソウル・チューン。パンチの効いたMelanieのヴォーカルと60年代ソウル・テイストのサウンドが実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=VsFtboDa7Is

「Monday Morning」
レトロ感覚を巧みに取り入れたキャッチーなアップ・チューン。シングルにもなりました。Peter Wade Keusch & Sidh Solankiプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=sG8QgSzY3nI

「Please Don't Go (Cry Baby)」
アルバムで一番のお気に入り。60年代モータウン好きの人は気に入るのでは?Martha Reeves & The Vandellas「Jimmy Mack」ネタのトラックにグッときてしまいます。Vada Noblesプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=XSDDA073enA

「Ay Yo」
アルバムからの最新シングル。Future Cutプロデュース。スケール感の大きなブルージーなミディアム・スロウ。Melanieのヴォーカリストとしての魅力を堪能できます。The Rhine Oaks「Tampin」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=td6CnGR36Eo

「Walk on By」
オールド・ソウルへのリスペクトに溢れたソウル・チューン。Johnny Taylor「I Believe in You」ネタ。Andrea Martinプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=6P8Z5fPtoqY

「You Stop My Heart」
60年代風の夢みるポップ・チューン。Frankie Avalon「Venus」ネタ。Future Cutプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=9ZB9wtZqWlA

「Johnny」
軽快なテンポが魅力の1曲。60年代ポップス風のリズムにHip-Hop調のスクラッチも加わる時代を越えたミクスチャー感はStereotypesプロデュースらしいかも。
http://www.youtube.com/watch?v=oI7oA6Y7cAE

「Sad Songs」
アルバムで唯一のレゲエ・チューン。Janet Kay「Silly Games」、Bobby Vinton「Mr. Lonely」 ネタ。Andrea Martinプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=7xqItZSlv4E

「Priceless」
この美メロ系のミッド・チューンがアルバムで一番オーソドックスかもしれませんね。Dan Strong & JKプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=XSDDA073enA

「It Kills Me」
前述のように全米R&BチャートNo.1を獲得し、グラミーBest Female R&B Vocal Performanceにもノミネートされたヒット・シングル。Jay Fenix & Andrea Martinプロデュース。スケール感の大きな哀愁ミディアム・スロウ。The Softones「Hey There Lonely Girl」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=Q8yZedKTXJ0

「Teach Him」
ラストはスパニッシュ・モードのアコースティック・チューン。ラテンのDNAを持つMelanieであれば、こういったテイストの曲をもっと取り入れてもいい気がしますが・・・。Gipsy Kings「No Volvere」ネタ。Andrea Martinプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=t8FmmEJ-8Pw

これを機会に本作の功労者の一人Andrea Martinのソロ作『The Best Of You』(1998年)も再チェックしてみては?

The Best of Me

さぁ、いよいよあと数時間でUEFAチャンピオンズリーグ・セミファイナル「バルセロナ対インテル」の2ndレグです。

1stレグで完敗したバルサがホームで逆転できるのか、それともインテルを率いるモウリーニョが新たな手に打って出るのか、今シーズンの欧州サッカー最大のヤマ場となる一戦を前に、今からワクワクします。

バルサ・ファンとしてはメッシの大活躍による鮮やかな逆転勝利を期待しますが、そうは簡単にはいかないでしょうね。
posted by ez at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月28日

Dinosaur Jr.『Where You Been』

いい感じに枯れてきた5thアルバム☆Dinosaur Jr.『Where You Been』
Where You Been
発表年:1993年
ez的ジャンル:轟音ギター系オルタナ・ロック
気分は... :たまにはロックも聴かないとねっ!

最近ギター掻き鳴らすロックらしいロック・アルバムを全然取り上げていませんでした。
そこで今日は豪快なギター・サウンド中心のオルタナ・ロック作品をセレクト!

Dinosaur Jr.の5thアルバム『Where You Been』(1993年)です。

Dinosaur Jr.は1984年にマサチューセッツ州アマーストで結成されたオルタナティブ・ロックバンド。

オリジナル・メンバーは、J Mascis(Joseph Donald Mascis)(vo、g)、Lou Barlow(b)、Murph(ds)の3名。

『Dinosaur』(1985年)、『You're Living All Over Me』(1987年)、『Bug』(1988年)という3枚のアルバムをインディーズよりリリース。ノイジーなギター・サウンド、泣きのメロディ、気だるいヴォーカルで人気を博しました。しかし、『Bug』を最後にLou Barlowが脱退してしまいます。

『Green Mind』(1991年)でメジャーデビューを果たし、その後『Where You Been』(1993年)、『Without a Sound』(1994年)、『Hand It Over』(1997年)という3枚のアルバムを残してグループは解散。

しかしながら、2007年にオリジナル・メンバー3名で再結成を果たし、『Beyond』(2007年)、『Farm』(2009年)とアルバムをリリースしています。

J MascisLou Barlowがいるバンドというだけでオルタナ・ロック好きはワクワクするバンドですよね。

当ブログでThe Folk ImplosionSebadohを紹介したように、Lou Barlow関連作への関心が高い僕ですが、Dinosaur Jr.作品で1枚選ぶとなると、Lou Barlow脱退後の『Where You Been』(1993年)になります。

一般にはLou Barlow在籍時の『Bug』(1988年)やメジャー第1作『Green Mind』(1991年)あたりの評価が高いと思いますが・・・

『Where You Been』は、泣きのメロディがグッとくる哀愁チューンが多い点とJ Mascisのギターが目立つ点が魅力ですね。前作『Green Mind』よりも地味な扱いをされがちなアルバムですが、『Green Mind』以上に聴きやすく、わかりやすいアルバムである気がします。

本作からMike Johnson(b、g、p)が新たにメンバーに加わり、J Mascis(vo、g)、Murph(ds)との三人体制になっています。

ジャケはかなり怖いですが、このイメージで聴かないでくださいね(笑)
いい感じに枯れてきたJ Mascisの成熟を感じる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Out There」
いきなりJ Mascisのギター全開のオープニング。アルバムからの3rdシングルにもなりました。虚しい疾走感、轟音ギター、泣きのメロディ、気だるいヴォーカルと100%Dinosaur Jr.印です。この曲を本作のハイライトに推す方も多いのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=6XBIfOFtmmM

「Start Choppin」
アルバムからの2ndシングル。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。昔も今も本作を聴くと時にはまず本曲を数回リピートで聴いてしまいます。J Mascisのメロディ・メイカーとしてのセンスと轟音ギター・バンドとしてのダイナミズムが上手く結びついた名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Phf4xvI9fpE

「What Else Is New」
スケール感の大きな1曲。この曲ではJ Mascisがドラムも叩いています。特に中盤以降の展開がたまりませんね。きっとオールド・ファンが聴いてもグッとくる1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=ruFbcNlAcqQ

「On The Way」
轟音ギターで突っ走ります。ハードコア・パンク的なものを求める方にはこのスピード感がグッとくるはず!
http://www.youtube.com/watch?v=88NH4dBGlrw

「Not The Same」
この曲はNeil Youngしていますね。アコースティックな仕上がりの哀愁チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=fKUigrPqy_o

「Get Me」
アルバムからの先行シングル。泣きのメロディにグッとくる哀愁ロック・チューン。「Start Choppin」同様、名曲の雰囲気が漂いますな。ギター・ソロもバッチリ決めてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=skcULGGF6RA

「Drawerings」
さらに哀愁ロックで畳み掛けます。この枯れ具合が本作の魅力ですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=Z9UREIuwDj8

「Hide」
疾走感が魅力の演奏です。本曲ではMike JohnsonもJ Mascisに負けじとギター・ソロを披露してくれます。

「Goin Home」
アルバム中最もメロディアスでポップな仕上がりかもしれませんね。ネオアコ好きの人が聴いても気に入るのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=5YvUzSgATPk

「I Ain't Sayin」
ラストはダイナミックなロック・サウンドで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=g-97siHhamY

気に入った方は他の作品もチェックしてみて下さい。まずは『Bug』(1988年)、『Green Mind』(1991年)あたりをオススメします。

『Bug』(1988年)
Bug

『Green Mind』(1991年)
Green Mind
posted by ez at 02:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月27日

Birgit Lystager『Love's Labyrinth』

Birgit Lystager三部作ここに完結!☆Birgit Lystager『Love's Labyrinth』
ラブズ・ラビリンス
発表年:1971年
ez的ジャンル:デンマーク産"キラキラ"ポップス
気分は... :中身はいいけど、ジャケは・・・

今回はデンマークの女性シンガーBirgit Lystagerの3rdアルバム『Love's Labyrinth』(1971年)です。

先月紹介した2nd『Ready To Meet You』(1970年)に続き、プロダクション・デシネより正規復刻リリースされたものです。

これで1st『Birgit Lystager』、2nd『Ready To Meet You』、3rd『Love's Labyrinth』という70年代初めのBirgit Lystager三部作がCDで出揃ったことになります。

三部作が手元に揃った充実感で満たされています。
プロダクション・デシネに感謝ですな。

内容の方ですが、2nd『Ready To Meet You』の流れを汲む、オリジナル曲を中心とした"キラキラ"ポップス・アルバムに仕上がっています。

Elton Johnのカヴァー「Your Song」以外は全てSvend Age Madsen(作詞)& Tom Prehn(作曲)の作品です。プロデュースも前作同様二人が手掛けています。バックも前作同様Tom Prehn's Groupのメンバーが中心です。

特に本作では煌びやかなストリングスの比重が高まっているのが特徴ですね。このストリングス・アレンジが気に入れば、本作も楽しめると思います。

本作で唯一不満が残るのはジャケですかね。
『Birgit Lystager』『Ready To Meet You』とキュートなBirgitの笑顔が輝く秀逸ジャケに魅了されましたが、本作のジャケは同一人物と思えません(笑)

何故こんなオバちゃんのような表情のジャケにしたのでしょうね???
もっと鼻血ブーになりそうなキュートなBirgitを観たかった!

全曲紹介しときやす。

「I Love You」
ドラマチック&煌びやかなオープニング。夢心地のサウンドの中から♪I Love You〜♪I Love You〜♪とBirgitのキュートな歌声が聴こえてくるだけでグッときます。

「There's A Girl」
エレガントなストリングスに圧倒される"キラキラ"ポップス。あまりの輝きに眩しくなります(笑)

「Your Song」
Elton Johnのお馴染みの名曲(Bernie Taupin/Elton John作)をカヴァー。ストリングス・アレンジの素晴らしさも手伝い、Birgitのヴォーカルにマッチしたグッド・カヴァーに仕上がっています。

「Just Before Dawn」
スケール感の大きなポップ・チューン。60年代風のポップ感覚が僕好みです。

「How Can It Be That Way」
個人的にはアルバムで一番のお気に入り。とってもサンシャイン・ポップしている感じがたまりません。Birgitのヴォーカルのキュート感もサイコーだし、コーラスもグッド!

「Oh!」
アップテンポがお好きな方にはオススメ。ホーン・セクションやヴァイヴも入り、軽快に駆け抜けていく感じがいいです。終盤の小粋な展開も秀逸!

「Love's Labyrinth」
タイトル曲は雄大なオーケストレーションが誘うスケール感の大きな仕上がり!愛の迷宮に迷い込んでしまうとなかなか抜け出すことができない?

「My Snowman」
北欧らしいタイトルですね。なかなか気の利いたアレンジにグッとくるキャッチーなポップ・チューン。

「A Strange Crowd Of Flowers」
ドラマチックなバラード。ミュージカルの1シーンのような雰囲気がありますね。

「All Kinds Of People」
ラストはピースフルなポップ・チューン。みんなで大合唱したくなります。

未聴の方は1st『Birgit Lystager』、2nd『Ready To Meet You』もぜひチェックしてみてください。

『Birgit Lystager』(1970年)
ビアギッテ・ルゥストゥエア

『Ready To Meet You』(1970年)
レディ・トゥ・ミート・ユー
posted by ez at 12:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月26日

Miles Davis『E.S.P.』

第二期黄金クインテットのスタジオ第一弾アルバム☆Miles Davis『E.S.P.』
E.S.P.
録音年:1965年
ez的ジャンル:第二期黄金クインテット帝王Jazz
気分は... :指を咥えて奥さんを見上げると・・・

今年一発目の帝王Miles Davis作品です。
セレクトしたのは第二期黄金クインテットのスタジオ録音作より1965年録音の『E.S.P.』です。

これまで紹介してきたのMiles作品は以下の13枚(録音年順)♪

 『Bag's Groove』(1954年)
 『'Round About Midnight』(1955、56年)
 『Cookin'』(1956年)
 『Miles Ahead』(1957年)
 『Milestones』(1958年)
 『Someday My Prince Will Come』(1961年)
 『Miles Smiles』(1966年)
 『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
 『In A Silent Way』(1969年)
 『On The Corner』(1972年)
 『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
 『Agharta』(1975年)
 『The Man With The Horn』(1981年)

1964年にWayne Shorterがグループに加わり、Miles Davis(tp)、Wayne Shorter(ts)、Herbie Hancock(p)、Ron Carter(b)、Tony Williams(ds)という"第二期黄金クインテット"の最後の1ピースが埋まったわけですが、『E.S.P.』は第二期黄金クインテットのスタジオ録音第一弾アルバムとなります。

この頃のジャズ界はJohn Coltraneをはじめフリー・ジャズ旋風の真っ只中にありましたが、そういった流れとは距離を置き、モード・ジャズを昇華させた知的かつミステリアスなおと空間を創造していったのが第二期黄金クインテットのスタジオ作という印象を受けます。

演奏面でも作曲面でも高い能力を有するメンバーを揃え、オリジナル曲で新たな演奏の可能性を模索していった第二期黄金クインテットの実力の高さを本作『E.S.P.』でも存分に楽しむことができます。

本作以降、第二期黄金クインテットとしては『Miles Smiles』(1966年)、『Sorcerer』(1962年、67年)、『Nefertiti』(1967年)という3枚のスタジオ録音作を残しています。

Miles作品はあまりにも膨大なので、意外と第二期黄金クインテットのスタジオ作4枚は後回しにされやすいですね(笑)。どの作品も最初のインパクトは弱いかもしれませんが、聴き重ねるほどに味わい深く感じられます。

本作は最初の奥方Francesを指を咥えて見上げるMilesの姿が写るジャケも印象的です。賛否両論あるようですが、個人的には結構好きです。本作から程なく二人の結婚生活は破綻したようですが...

第二期黄金クインテットのお披露目アルバムを存分に楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「E.S.P.」
Wayne Shorter作品。新加入のShorterの作品を冒頭に持ってくるあたりが心憎い構成ですね。"E.S.P."とはExtra-sensory perceptionの略であり、"超感覚的知覚"と訳されます。以前に紹介したShorterのリーダー作『Schizophrenia』も"精神分裂病(Schizophrenia)"でしたし、Shorterらしいタイトルかもしれませんね(笑)。

本作の充実ぶりを象徴するテンションの高い演奏ですね。Shorter & Milesによるテーマに続き、Shorter→Miles→Hancockの順でソロが展開されます。Shorter、Milesの二管によるソロも良いですが、それらを盛り上げるHancock、Ron、Tonyの演奏もスリリングです。
http://www.youtube.com/watch?v=UfjaMkxItLs

当ブログではCassandra Wilsonが本曲に歌詞をつけた「Never Broken」も紹介しました(アルバム『Traveling Miles』収録)。

「Eighty-One」
Ron Carter/Miles Davis作品。V.S.O.P. the Quintetのレパートリーとしてもお馴染みの曲ですね。Miles初の8ビート作品ということらしいです。Ron、Tonyによる変幻自在のリズム隊に合わせて、曲の表情が変化していく感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=DX6rx1poIg8

「Little One」
Herbie Hancock作品。『Maiden Voyage』収録のヴァージョンもお馴染みですね。Hancock、Ron、Tonyの構成は『Maiden Voyage』と同じなので、二管(『Maiden Voyage』はFreddie Hubbard & George Coleman)が代わると演奏全体がどう変化するのか聴き比べるのも楽しいと思います。『Maiden Voyage』ヴァージョンは、まさに大海に取り残された孤独感がよく表現された雄大な演奏が印象的でしたが、本ヴァージョンは落ち着きと成熟を感じさせるクールな演奏が印象的ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=vWf2ZgUU8zU
 
「R.J.」
Ron Carter作品。そのRonのベースに先導され、MilesとShorterが短いながらもそれぞれ素晴らしいソロを聴かせてくれます。それでもやはりRonのベースに耳が奪われてしまう曲ですね。

「Agitation」
Miles Davis作品。1967年の第二期黄金クインテットのラスト・ツアーでも頻繁に演奏されました。Tonyのエネルギッシュなドラム・ソロでスタートし、Milesのミュートによるソロも存分に楽しめます。張り詰めた緊張感の中で変幻自在にメンバーが呼応し合っているのが魅力です。
http://www.youtube.com/watch?v=9jFL1KuvSyo 
※1967年のライブ映像

「Iris」
Wayne Shorter作の美しいバラード。さすがShorterはいい曲を書きますね!第二期黄金クインテットの美学が凝縮されたインテリジェンス溢れた演奏がグッときます。美しいが甘くはない!というのが気に入っています。このタイプの曲になるとHancockのピアノが光りますね。
http://www.youtube.com/watch?v=jA0oHDUlRkk

「Mood」
Ron Carter/Miles Davis作品。ミステリアスなムードの中でリリシズム溢れるMilesのミュートが怪しく響き渡ります。音空間の余白の使い方が見事ですね。静けさの中に第二期黄金クインテットの凄みを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=pNAmtBHGzBU

第二期黄金クインテットの他のスタジオ録音作も合わせてチェックしてみて下さい。

『Miles Smiles』(1966年)
Miles Smiles

『Sorcerer』(1962年、67年)
Sorcerer

『Nefertiti』(1967年)
ネフェルティティ + 4
posted by ez at 00:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする