2010年04月13日

The 3 Pieces『Vibes Of Truth』

唯一のアルバムはDonald Byrdプロデュース☆The 3 Pieces『Vibes Of Truth』
Vibes of Truth
発表年:1975年
ez的ジャンル:Donald Byrd系ジャズ・ファンク/ソウル
気分は... :今週も時間がない!

今回はThe 3 Pieces『Vibes Of Truth』(1975年)です。

The 3 Pieces Lincoln Ross (key)、 Jerry Wilder (b、vo)、 Andre Richardson(per)の3人によって結成されたグループ。本作『Vibes Of Truth』(1975年)がグループ唯一のアルバムです。

Donald Byrdプロデュースということで、同じくDonald Byrdが見出したThe Blackbyrdsの弟分グループという見方もされているみたいですね。このあたりはあまり明るくないので僕はピンと来ませんが。

『Black Byrd』(1972年)を皮切りに、『Street Lady』(1973年)、『Stepping Into Tomorrow』(1974年)、『Places and Spaces』(1975年)、『Caricatures』(1976年)とSky High Production絡みで作品をリリースしてきたDonald Byrdですが、そこで培われたサウンド・プロダクションが本作『Vibes Of Truth』にも生かされています。

本作でDonald Byrdと共にサウンド・プロダクションの要となっているのが共同プロデュース、アレンジ、ストリングスを手掛けたWade Marcusです。Donald ByrdとWade MarcusのコンビはThe Blackbyrds作品でもいい仕事ぶりを見せています。

僕がThe 3 Piecesを知ったのは、Free Soulのコンピでした。
『Free Soul Wind』には「I Need You Girl」 、『Free Soul Earth』には「If Only I Could Prove To You」が収録されています。

最近、本作の輸入CDをいくつかのショップで見かけ、思わず購入してしまいました。前述の2曲とタイトル曲以外は過度の期待をしていませんでしたが、聴いてみたら大間違い!捨て曲ナシの充実作です。

ソウル・アルバムとジャズ・ファンク/フュージョン・アルバムのいいとこ取りといった仕上がりが魅力です。

Sky High Production好きの方、爽快グルーヴィー・ソウルがお好きな方はぜひ聴いてみてください。

全曲紹介しときやす。

「I Need You Girl」
本作のハイライト。爽快モードのグルーヴィー・ソウル。イントロのギター・カッティング&ストリングスだけでもグッとくるのに、さらに爽快ソウル・ヴォーカルで止めを刺されます。
http://www.youtube.com/watch?v=N5iiOQ67h0g

「Backed Up Against The Wall」
クールなソウル・グルーヴに仕上がっています。Marvin Gaye「Inner City Blues (Make Me Wanna Holler) 」をSky High Production風に仕上げたような印象を受けます。
http://www.youtube.com/watch?v=9hIH2oxazRc

「Vibes Of Truth」
タイトル曲もコンピ・アルバムに収録されています。ゴージャスなアレンジが印象的なソウル・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=eASqG1mPPF8

「Shortin' Bread」
ジャズ・ファンクしているインスト・チューン。パーカッシヴな仕上がりが僕好み。Lincoln Rossのトロンボーンも印象的です。Ray Parker, Jr.もギターで参加。
http://www.youtube.com/watch?v=imojZ5wnG00

「Self Dealin'」
Wade Marcusのアレンジ・センスが光ります。華やかなストリングス&ホーンと爽快ヴォーカルの絡みがいい感じ。

「Concrete Jungle」
Gilles Petersonもコンピでセレクトしていたグルーヴィー・ソウル。ホーン隊の鳴り具合がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=5JsT60GoFFs

「If Only I Could Prove To You」
「I Need You Girl」と並ぶ本作のハイライト。Marvin Gaye「What's Going On」タイプの曲ですが、Sky High Production仕様だし、よりメロウネスが効いていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=3k2-FeVx1lE

「Cool It」
めくるめくフュージョン/ジャズ・ファンク・チューン。このあたりがジャズ・アルバムっぽいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=8Xvl2Cbqv-4

「Virtue」
ラストはクール&アーバンなソウル・チューン。アーバン・ナイトな雰囲気がいいですね。

The Blackbyrdsについても近々紹介したいと思います。

先週に続き、今週もあまりブログに時間を割けそうにないので、しばらく記事がコンパクトになりそうです。どうぞご容赦願います。
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2010年04月12日

Fela Kuti『Perambulator/Original Sufferhead』

80年代のFela Kutiも絶好調!☆Fela Kuti『Perambulator/Original Sufferhead』
PERAMBULATOR/ORIGINAL SUFFERHEAD
Original Suffer Head/I.T.T.
発表年:1981年/1983年
ez的ジャンル:元祖アフロビート
気分は... :やはりバルサは強かった!

昨日のクラシコ「レアル・マドリード対バルセロナ」は興奮しました。

終わってみれば「2対0」でバルサの快勝でしたが、前半はドキドキものでした。サッカーはやはり決定力だということを痛感しました。

アフロビートの創始者Fela Kutiの3回目の登場です。

実は前回Fela Kutiを取り上げたのは昨年のサッカーUEFAチャンピオンズ・リーグ決勝「バルセロナ対マンチェスターU」戦の翌日であり、バルサの勝利を祝福すると文面と共にFela Kuti作品を紹介していました。

今回もそのパターンですね(笑)

『Ikoyi Blindness/No Buredi』『Na Poi/Zombie』に続いて紹介するのは『Perambulator/Original Sufferhead』の2in1です。

ジャケ写真の上が『Perambulator』、下が『Original Sufferhead』です。

『Perambulator』は1983年リリースですがレコーディングは1977年です。『Original Sufferhead』は1981年リリースの作品であり、バンド名としてEgypt 80の名が登場しています。

2in1といっても相変わらず2枚で全4曲。
このあたりがネックでFela Kuti作品の購入を躊躇している方がいるかもしれませんね。でも、この長尺こそがFela Kutiの魅力だと思いますよ。

Fela Kuti本人のカリスマ性と権力と対峙するゲットー・ミュージックと覚醒するビートと相俟って、誰にも真似できないアフロ・ビートを本作でも堪能できます。

さぁ、魔性のアフロ・ビートの虜になりましょう。

全曲紹介しときやす。

「Perambulator」
まずは『Perambulator』の2曲。覚醒的なベースとオルガンに導かれ、あっという間に脳内が反逆のアフロビートで占領されてしまいます。いつも思いますが、Fela Kutiの曲ってどれも長尺なのに「あれ、もう終わり?」となってしまうんですよね。それだけアフロビートにハマっている証拠だと思いますが。

「Frustration」
こちらはインスト。ジャズ色の強いフリーキーな仕上がり。ゴツゴツとしたアフロビート・ワールドを堪能しましょう。

「Original Sufferhead」
ここからは『Original Sufferhead』の2曲。この曲は2010年の今聴いても快楽度がかなり高いですね。フツーにクラブミュージックとして聴いても全然イケるのでは?いつ聴いてもエレクトリック・マイルスに通じるこの魔性のオルガンの音色がたまりませんな。
http://www.youtube.com/watch?v=Wxd66QBRH1c ※Part1
http://www.youtube.com/watch?v=6855ClqatxQ ※Part2

「Power Show」
突き抜けた感じのサックスが気持ち良い1曲。Fela Kutiの持つカリスマ・パワーと音楽センスのバランスがとれた演奏を堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=AohKMjOmGp8 ※Part1
http://www.youtube.com/watch?v=OLZs86c4RPg ※Part2

『Na Poi/Zombie』
NA POI/ZOMBIE
Zombie

『Ikoyi Blindness/No Buredi』
IKOYI BLINDNESS/NO BUREDI

いつもより記事ボリューム少ないですが、まぁ勘弁してくださいな!
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2010年04月11日

Erykah Badu『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』

遂に発売されたNew AmerykahシリーズのPart Two☆Erykah Badu『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』
New Amerykah Part Two: Return of the Ankh
発表年:2010年
ez的ジャンル:進化形ネオ・ソウル
気分は... :初期の雰囲気も漂います!

Erykah Baduの新作『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』です。

Erykah Baduの紹介は、『Mama's Gun』(2000年)、『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)に続き3回目となります。

本作『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)に続く、New AmerykahシリーズのPart Twoとして当初は2008年中にリリースされる予定の作品でしたが、ようやく今春リリースとなりました。

ジャケからしてかなりハイパーな内容をイメージしそうな新作ですが、内容は意外と初期の雰囲気も漂うキャッチーなネオ・ソウルに仕上がっています。サンプリング・ネタのセレクトも僕好みでグッときます。

プロデューサー陣は9th WonderJames PoyserShafiq HusaynSa-Ra Creative Partners)、MadlibGeorgia Anne Muldrowといった前作から引き続き参加のメンバーに加え、故J Dilla、Ta'Raach、Karriem Rigginsらが起用されています。

アルバムの内容以上に先行シングル「Window Seat」のPVが話題ですね。

ダラスのJFK暗殺現場で全裸撮影を行ったことでダラス市警より罰金を科せられると共に、バッシングを受けている模様です。

ただし、そんな大論争となったPV騒ぎも手伝ってか、アルバムは全米アルバム・チャート第4位、同R&Bアルバム・チャート第2位とまずまずのチャート・アクションを見せています。

『Baduizm』(1997年)あたりの初期作品がお好きな方も楽しめる1枚だと思います。勿論、時代を逆戻りしたのではなく、しっかり2010年らしいネオ・ソウルに仕上がっていますよ。

全曲紹介しときヤス。

「20 Feet Tall」
オープニングはErykah Badu & 9th Wonderプロデュース。Erykahと9th Wonderの個性が融合し、独特の浮遊感を持つ音空間をクリエイトしています。Wood Brass & Steel「My Darling Baby」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=pwXwMCpgGV8

「Window Seat」
前述のように物議をかもしたPVで話題となったアルバムからの先行シングル。プロデュースはErykah Badu & James Poyser。The Rootsの?uestloveも参加しており、内容的にもSoulquarians好きはグッとくネオ・ソウル・チューンに仕上がっています。PV抜きにしても十分楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=hI3TZOSP0E4

「Agitation」
Sa-Ra Creative PartnersのShafiq Husayn参加曲。1分半強の短い曲ですが、Sa-Raのハイパー音空間をErykahが駆け抜けます。David Sancious「Just As I Thought」をサンプリング
http://www.youtube.com/watch?v=fEiFVU1LxSo

「Turn Me Away (Get MuNNY)」
Karriem Riggins(ds)、James Poyser(key)、Stephen "Thundercat" Bruner(b)、Tommy Trajlio(g)等がバックを務める生音グルーヴをバックに、Erykahがブリっ子ヴォーカルを聴かせてくれます。Sylvia Striplin「You Can't Turn Me Away」のフレーズが聴こえてくるあたりがレア・グルーヴ好きにはグッときます。Erykah Baduプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=67Jn3pcc178

「Gone Baby, Don't Be Long」
Erykah Badu & Ta'Raachプロデュース。Paul McCartney & Wings「Arrow Through Me」をサンプリングした浮遊するグルーヴ感がグッとくるミッド・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=78FZdyM5-PI

元ネタのPaul McCartney & Wings「Arrow Through Me」はアルバム『Back To The Egg』(1979年)で一番好きな曲でした。久々に聴いたら、懐かしさが込み上げてきました。
Paul McCartney & Wings「Arrow Through Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=IS8eKFdNWVE

「Umm Hmm」
Erykah Badu & Madlibプロデュース。Ndugu & The Chocolate Jam Co.「Take Some Time」をサンプリングし、キャッチーなネオ・ソウル・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=p0S9UuEoR8s

元ネタのNdugu & The Chocolate Jam Co.「Take Some Time」自体がいい曲ですね。
Ndugu & The Chocolate Jam Co.「Take Some Time」
 http://www.youtube.com/watch?v=-yn70Qi-D_w

「Love」
J Dillaプロデュース。故J DillaプロデュースのトラックにErykahが手を加えたもの。Fabulous Souls「Take Me」ネタのトラックとErykahのキュートなヴォーカルの絡みがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=3-3Ilewedf8

「You Loving Me (Session)」
Erykah Baduプロデュース。インタールード的な1分強の小品。

「Fall in Love (Your Funeral)」
Karriem Rigginsプロデュース。アルバムでも1、2位を争うキャッチーな仕上がりのミッド・グルーヴ。従来からのファンはこういう曲を聴きたかったのでは?Eddie Kendricks「Intimate Friends」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=U7mhDSIM73k

「Incense」
Madlibプロデュース。Madlibのクリエイトするスペイシーな音世界の中をKirsten Agnestaの奏でるハープが響き渡るミステリアスな仕上がりの1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=a4QGNe6z5rs

「Out My Mind, Just in Time」
Movement IからIIIの三部構成から成る10分超の大作です。ジャジーなMovement Iに続き、ミステリアスなMovement II & IIIへと突入します。Movement II & IIIはGeorgia Anne Muldrowがプロデュースしています。先日、新作『Kings Ballad』を紹介したばかりのGeorgia Anne Muldrowですが、彼女の持つハイパー感覚とErykahの相性はバッチリですね。
http://www.youtube.com/watch?v=q4PRpAt2iOc

iTunesのボーナス・トラックとして「Jump Up in the Air (Stay There)」があるようです。

Part Oneを未チェックの方はこれを機会にセットでどうぞ!

『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)
New Amerykah, Pt. 1: 4th World War

もうすぐサッカー伝統のクラシコ「レアル・マドリード対バルセロナ」です。今回は見所も多く、かなり期待しています。早く寝て早起きしようっと!
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2010年04月10日

Bill Evans『You Must Believe In Spring』

Evansの美学が結実した1枚☆Bill Evans『You Must Believe In Spring』
You Must Believe in Spring
録音年:1977年
ez的ジャンル:究極の美学系ピアノ・トリオ
気分は... :必ず春はやって来る...

今回は偉大なジャズ・ピアニストBill Evans(1929-1980年)の晩年の名作『You Must Believe In Spring』です。

当ブログではこれまで紹介したEvans作品は以下の7枚。

 『Portrait In Jazz』(1959年)
 『Explorations』(1961年)
 『Waltz For Debby』(1961年) 
 『Undercurrent』(1962年) ※Jim Hallとの共演
 『Waltz For Debby』(1964年) ※Monica Zetterlundとの共演
 『Alone』(1968年)
 『New Conversations』(1978年)

今日紹介する『You Must Believe In Spring』はEvans晩年の作品ですが、1977年から1978年にかけてはキャリアの総仕上げとも呼べる作品を連発しています。

この時期に録音した『I Will Say Goodbye』(1977年)、『You Must Believe in Spring』(1977年)、『New Conversations』(1978年)、Toots Thielemansとの共演作『Affinity』(1978年)といったアルバムの充実ぶりには驚かされます。

本作でEvansとトリオを組むのはEddie Gomez(b)、Eliot Zigmund(ds)。1966年以来Evansのパートナーを務めてきたGomezとの最後の共演となります。

タイトルだけ見ると、春らしいロマンチックな作品を思い浮かべるかもしれませんが、アルバム全体は美しくも切ないムードが支配します。

私生活では最初の妻Ellaine、実兄Harryが相次いで自殺してしまうという悲劇がEvansを襲います。そんな影響がアルバムにも色濃く反映されており、妻Ellaineに捧げた「B Minor Waltz (For Ellaine) 」、兄Harryに捧げた「We Will Meet Again (For Harry) 」といったオリジナル曲が収録されています。

今は亡き愛する人々へ思いを馳せながら演奏した結果、究極に美しいピアノ・トリオ作品が完成したという印象を受けますね。

Evansが美しいピアノを奏でるほど切ない思い募る作品です。

Evans作品で真っ先に聴くべきは、Scott LaFaro(b)、Paul Motian(ds)とのトリオによる 『Portrait In Jazz』(1959年)、『Explorations』(1961年)、『Sunday At The Village Vanguard』(1961年)、『Waltz For Debby』(1961年)だと思いますが、本作を含む晩年の作品もEvans流の美学を存分に堪能できると思います。

冬が過ぎれば必ず春はやって来る...

全曲紹介しときやす。

「B Minor Waltz (For Ellaine) 」
前述のように最初の妻Ellaineに捧げた1曲。EllaineはEvansと別れた後、地下鉄に身を投げ自らの生涯に幕を閉じます。そんな悲劇的な最後を迎えた亡き妻への思いを、美しくも悲しいピアノで奏でます。ただただ美しいピアノに心を奪われるばかりです。
http://www.youtube.com/watch?v=8cR5B1Hfmvk

「You Must Believe in Spring」
タイトル曲はJacques Demy監督のミュージカル映画『Les Demoiselles de Rochefort(邦題:ロシュフォールの恋人たち、英題:The Young Girls of Rochefort)』(1967年)の挿入歌(原題は「Chanson De Maxence」)としてMichel Legrandが作曲したものです。仏詞はJacques Demy、英詞はAlan Bergman/Marilyn Bergmanによるものです。

映画『Les Demoiselles de Rochefort』の中の「Chanson De Maxence」もグッときますが、リリシズム溢れるEvansのピアノによる「You Must Believe in Spring」も魅力的です。

Evansは1976年録音のTony Bennettとの共演第2弾アルバム『Together Again』で本曲を取り上げており、それに続くレコーディングです。彼の本曲に対する強い思い入れを感じますね。♪厳しい冬が過ぎれば、暖かい春がやって来る♪当時のEvansの心情そのままだったのかもしれませんね。

「Gary's Theme」
Cal Tjaderも取り上げたヴァイヴ奏者Gary McFarlandの作品。本曲でも聴かれる張り詰めた美しさが後期Evans作品の特徴かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=6QvVpZdXJ84
※YouTubeは1979年の演奏です。

「We Will Meet Again (For Harry) 」
銃により自殺してしまった実兄Harryに捧げた曲。ピアノ教師であったHarryへのレクイエムといったところでしょうか。自身の死が近いことを予感していたかのようなタイトルも興味深いですね。Evans主導の演奏が目立つ本作ですが、ここではEddie Gomez、Eliot Zigmundとの息の合ったプレイも堪能できます。

「The Peacocks」
ジャズ・ピアニストJimmy Rowlesの作品。Evansのピアノからはいつも「わび・さび」の美意識を感じてしまいますが、本作で言えば本曲などはまさに"わび・さびプレイ"を堪能できます。コーヒーよりも緑茶が似合う演奏です。

「Sometime Ago」
Sergio Mihanovich作。昔の悲しい恋を歌ったものですが、ここではロマンチックでリリカルなピアノを堪能できます。本曲のカヴァーとしてはMichel Petrucciani & Tony Petrucciani親子による演奏もグッドです。

Michel Petrucciani & Tony Petrucciani「Sometime Ago」
 http://www.youtube.com/watch?v=OgLzgSNAD08

「Theme from M*A*S*H (Suicide Is Painless)」
邦題「もしもあの世に行けたなら」。映画にもなったTVシリーズ『M*A*S*H』のテーマ曲(Mike Altman作詞/Johnny Mandel作曲)。"静"の演奏が続く本作で唯一の"動"の演奏という気がします。ただし、「Suicide Is Painless(痛みのない自殺)」という副題がEvansの晩年の破滅的な生き方を連想してしまい、切ない思いになります。
http://www.youtube.com/watch?v=P_0ZfO7xl8k
※YouTubeは1979年の演奏です。

本曲のカヴァーとしてはAhmad Jamalによるエレピ・ヴァージョンにもグッときます。

Ahmad Jamal「Theme from M*A*S*H 」(1973年)
 http://www.youtube.com/watch?v=aZTUFoD2UN8

本作を気に入った方は晩年の他作品もどうぞ!

『I Will Say Goodbye』(1977年)
I Will Say Goodbye

『New Conversations』(1978年)
New Conversations

『Affinity』(1978年) ※Toots Thielemansとの共演
Affinity
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2010年04月09日

Komeda『What Makes It Go?』

Stereolabタイプのスタイリッシュ&ラウンジなスウェディッシュ・ポップ☆Komeda『What Makes It Go?』♪
What Makes It Go?
発表年:1998年
ez的ジャンル:ストレンジ&モンド&ラウンジ系スウェディッシュ・ポップ
気分は... :コメダ珈琲店とは関係ありません(笑)

今日はスウェディッシュ・ポップのグループKomedaの3rdアルバム『What Makes it Go?』(1998年)

Komedaはスウェーデン北部の大学街ウメオで1991年に結成されたグループ。

グループ名は、メンバーが愛知県を中心にチェーン展開するコメダ珈琲店で食した名物シロノワールの美味しさにほれ込んだことに由来する...というのは大嘘で(笑) 、ポーランドのピアニストKrzysztof Komedaからとったものです。Krzysztof KomedaはRoman Polanski監督の映画『Rosemary's Baby』のサントラ等で有名ですね。

結成時のメンバーはLena Karlsson(vo)、Henrik Andersson(g)、Marcus Holmberg(b)、Jonas Holmberg(ds)の4名。1994年にギターがMattias Norlanderが代わっています。

1993年にデビュー・アルバム『Pop Pa Svenska』をリリース。その後1995年のEP『Plan 714 till Komeda』を挟んで、2nd『The Genius of Komeda』(1996年)、3rd『What Makes it Go?』(1998年)、4th『Kokomemedada』(2003年)とアルバムをリリースしています。

今日紹介する『What Makes it Go?』(1998年)は、Komedaの持つストレンジ&モンド&ラウンジなポップ・ワールドが結実した1枚だと思います。

簡単に言ってしまうと、Stereolabがお好きな人は間違いなく気に入るアルバムだと思います。

従来のストレンジ&モンド&ラウンジなポップ感覚に、エレクトロなスタイリッシュ感が加わり、当ブログで紹介した 『Emperor Tomato Ketchup』(1996年)、 『Dots And Loops』(1997年)、『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night』(1999年)といったStereolab作品と同じテイストのアルバムに仕上がっています。

日本では殆ど知られていないグループですが、ポップ好き、ラウンジ好き、Stereolab好きの人はかなり楽しめると思います。

全曲を紹介しときやす。

「Binario」
オススメその1。このオープニングを聴いて一発でKomedaが好きになりました。Stereolabに通じるスタイリッシュ&エクスペリメンタルなサウンドにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=qvTdbb8PDsw

「It's Alright Baby」
オススメその2。シングル・カット曲。モンド&ラウンジ・モードで疾走するスウェディッシュ・ポップといった仕上がりにグッときます。Lena Karlssonのヴォーカルも実にキュート!
http://www.youtube.com/watch?v=zI6GW4RSzrU

「Curious」
ストレンジ(というより何処か変てこ)なポップ・チューン。このつかみ所のない感じがKomedaらしいかもしれませんね。

「Cul de Sac」
オススメその3。Stereolab感覚のラウンジ・チューン。勿論、Stereolab大好き!の僕は気に入っています。ストレンジなマッタリ感がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XXbXGwxLQzE

「Living Things」
エクスペリメンタル色の強いインスト。

「Flabbergast」
オススメその4。キュートなLena Karlssonのヴォーカルと近未来ラウンジ感覚のサウンドが実にマッチしています。Stereolabファンはグッとくるはず!

「Campfire」
ストレンジ&エクスペリメンタルなフォーキー・チューン。

「Happyment」
オススメその5。ストレンジなスタイリッシュ感にグッときます。不思議な国のハッピー・モードって感じです。

「Our Hospitality」
オススメその6。近未来ラウンジ感がいいですね。♪ダバダバダン♪ダバダバダン♪ダバダバダンというLena Karlssonのスキャットが脳内をリピートします。

「Focus」
オススメその7。Stereolabテイストのワルツ・チューン。近未来カフェ・ミュージックって感じですね。

「A Simple Formality」
オススメその7。ラストはラウンジ感覚のボッサ・チューン。僕の好きな要素が全て詰め込まれた文句のつけようがない出来栄えです。
http://www.youtube.com/watch?v=gB_icxperEk
※途中で終了してしまいますが、実際は5分半近い楽曲です。

気に入った方は他の作品もチェックしてみてください。

『Pop Pa Svenska + Plan 714 till Komeda』
※デビュー・アルバム+1995年作のEP
Pop På Svenska + Plan 714 Till

『The Genius of Komeda』
The Genius of Komeda
「Rocket Plane (Music On The Moon)」
 http://www.youtube.com/watch?v=c-6stBqU4Mg
「Disko」
 http://www.youtube.com/watch?v=Q7nstltc_pY
「Top Star」
 http://www.youtube.com/watch?v=wF2m_F9I88A

『Kokomemedada』
Kokomemedada
「Blossom (Got To Get It Out) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=r3y3hWuoFOg
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