2010年04月08日

Sergio Mendes & Brasil '66『Crystal Illusions』

Dave Grusinがアレンジを担当、第2期Brasil'66を代表する1枚☆Sergio Mendes & Brasil '66『Crystal Illusions』
Crystal Illusions
発表年:1969年
ez的ジャンル:オシャレ系ボッサ・ジャズ/ポップ
気分は... :「Pretty World」サイコー!

まずはサッカーの話題から...

UEFAチャンピオンズリーグは準々決勝の残り2試合が行われ、バイエルンとリヨンが勝ちました。マンチェスターUがバイエルンに敗れたのは意外でしたね。開始直後の連続2得点でマンU圧勝と思いましたが...サッカーは怖いですね。それにしてもロッペンの決勝ゴールは素晴らしかった!

マンUとアーセナルの敗退でイングランド・プレミア勢が全て姿を消してしまったのは残念ですが、たまにはこういう年があってもいいのかもしれませんね。

これで準決勝は「インテル対バルセロナ」「バイエルン対リヨン」の組み合わせとなりました。

まぁ、順当に考えれば「インテル対バルセロナ」が実質上のファイナルという気がします。最強バルサにモウリーニョのインテルがどんな策に打って出るのか楽しみですね。

さてSergio Mendesの5回目の登場です。

これまで紹介してきたSergio Mendes作品は以下の4枚。

 『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』(1966年)
 『Equinox』(1967年)
 『Look Around』(1968年)
 『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)

5枚目に紹介するのは『Crystal Illusions』(1969年)です。

最新作『Bom Tempo』をリリースしたばかりのSergio Mendes

僕もCDショップで軽く試聴しましたが、『Timeless』(2006年)、『Encanto』(2008年)という前2作と比較すれば、よりSergio Mendesらしい作品に仕上がっている印象を受けました。

それでもセルメン聴くならば、まずは60年代、70年代でしょ!ということで今回は『Crystal Illusions』(1969年)です。

Brasil'66としては、『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』(1966年)、『Equinox』(1967年)、『Look Around』(1968年)、『Fool on the Hill』(1968年)に続く5thアルバムとなります。

前作『Fool on the Hill』でメンバー・チェンジを断行し、Sergio Mendes(key)、Lani Hall(vo)以外はメンバー一新となりました。新メンバーはKaren Philipp(vo)、Sebastiao Neto(b)、Dom Um Romao(ds)、Rubens Bassini(per)の4名。実質上はこの6名にOscar Castro-Neves(g)が加わり、第2期Brasil'66を形成していきます。

第2期Brasil'66の特色としてオーケストレーションの大幅導入が挙げられますが、本作ではDave Grusinがオーケストレーションのアレンジ・指揮を担当しています。

ハイライトとなる「Pretty World」をはじめ、セルメンらしいライト&ソフトなボッサ・サウンドとオーケストレーションが上手く融合した完成度の高い1枚だと思います。

セルメン好きには間違いない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「(Sittin' On) The Dock of the Bay」
ご存知Otis Reddingの名曲カヴァー(Otis Redding/Steve Cropper作)。アルバムからの2ndシングルになっています。 オリジナルとは全く異なるソフトタッチな仕上がりですが、なかなか雰囲気があっていい感じだと思います。Otis自身のヴォーカルがなくても楽曲自体が素晴らしいことを実感できます。
http://www.youtube.com/watch?v=IOSwQAnld1Y

「Viola」
Marcos Valleのカヴァー(Paulo Sergio Valle/Marcos Valle作品)。Marcosのオリジナルは『Viola Enluarada』(1968年)に「Viola Enluarada」のタイトルで収録されています。ボッサ・サウンドとオーケストレーションのブレンドが絶妙な第2期Brasil '66らしいアレンジ・センスを堪能できる1曲です。

Marcos Valle「Viola Enluarada」
 http://www.youtube.com/watch?v=e601AKwAh_g

「Song of No Regrets」
Lani Hall/Sergio Mendes作のオリジナル。Lani HallのヴォーカルとDave Grusinによるオーケストレーションを前面に打ち出しています。

「Salt Sea」
Lani Hall/Sergio Mendes/Sebastiao Neto作のオリジナル。決して派手な楽曲ではありませんが、小粋なボッサ・チューンに仕上がっています。Oscar Castro-Nevesのギターがいいですね。

「Empty Faces」
Milton Nascimentoのカヴァー(原題 「Vera Cruz」)。Miltonのオリジナルは『Courage』(1968年)に収録されています。当ブログではElis Reginaのカヴァー(アルバム『Elis, Como e Porque』)も紹介済みです。

セルメン・ヴァージョンもオリジナルの幻想的&パーカッシヴな雰囲気を上手く活かしつつ、よりソフト&キャッチーに聴かせてくれます。Oscar Castro-NevesのギターとRubens Bassiniのパーカッションが大活躍です。

「Pretty World」
本作のハイライト。アルバムからの1stシングルにもなりました(Antonio Adolfo作、原題「Sa Marina」)。誰しもがラブリー&ハッピー・モードになれる至極の1曲ですね。個人的には当ブログでも紹介したBirgit Lystagerヴァージョン(「Vores Eget Lille Sted」としてアルバム『Birgit Lystager』収録)も超お気に入りです。また、小野リサ・ヴァージョンもセットで聴きたいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=yla_z-aFjn0

Lisa Ono「Pretty World」
 http://www.youtube.com/watch?v=QtAFiN6YT8c

「Dois Dias」
Nelson Motta/Dorival Caymmi作品。意外と地味な扱いになっていますが、個人的にはかなり好きです。オーケストレーションが入りつつ、ブラジル色もきちんと打ち出しているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qt6AzeKlucs

「You Stepped out of a Dream」
Gus Kahn作詞、Nacio Herb Brown作曲によるスタンダード(1940年)。本作らしいエレガントなアレンジにグッときます。適度にパーカッシヴなのも僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=4N3I31MNFKQ

「Crystal Illusions (Memorias de Marta Sare) 」
タイトル曲はEdu Lobo/Johnny Guarnieri/Lani Hall作。当ブログではElis Reginaのカヴァー(アルバム『Elis, Como e Porque』)も紹介済みです。ここでは幻想的なアレンジが印象的です。

未聴の方は他のBrasil'66の60年代作品もチェックしてみて下さい。

『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』(1966年)
マシュ・ケ・ナーダ

『Equinox』(1967年)
分岐点~コンスタント・レイン

『Look Around』(1968年)
Look Around

『Fool on the Hill』(1968年)
フール・オン・ザ・ヒル

強力プッシュはしませんが、気になる方は新作もチェックしてみて下さい。

『Bom Tempo』
ボン・テンポ
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2010年04月06日

Rufus Featuring Chaka Khan『Rufus Featuring Chaka Khan』

本作でもChakaは絶好調!☆Rufus Featuring Chaka Khan『Rufus Featuring Chaka Khan』
ルーファス・フィーチャリング・チャカ・カーン(紙ジャケット仕様)
発表年:1975年
ez的ジャンル:ダイナマイト・ボーカル系R&B
気分は... :スタミナがつく音楽を聴かないと...

日曜の晩に仕事で徹夜し、約36時間不眠状態であったため、昨晩は爆睡してしまい記事更新できませんでした。

今日もまだ疲れがとれません...ウ〜ンやはり歳ですな。

こんな時にはスタミナがつく音楽を聴かないと...となれば僕にとってのスタミナ音楽であるChaka Khanを聴かなければ!

これまで当ブログで紹介したChaka Khan関連作品は以下の5枚です。

 Rufus Featuring Chaka Khan
 『Rufusized』(1974年)
 『Ask Rufus』(1977年)
 Chaka Khan
 『Chaka』(1978年)
 『Naughty』(1980年)
 『What Cha Gonna Do For Me』(1981年)

今日紹介するのはRufus Featuring Chaka Khan『Rufus Featuring Chaka Khan』(1975年)です。

Rufus時代の作品となれば、メンバーにTony Maiden(g)、Bobby Watson(b)が加わりファンキー路線へシフトしていった3rd『Rufusized』(1974年)から4thRufus Featuring Chaka Khan『Rufus Featuring Chaka Khan』(1975年)、5th『Ask Rufus』(1977年)あたりが好きですね。

本作でもChakaは絶好調です。
裏ジャケに一人で堂々と写るChakaの姿にも自信が満ちていますね。

Chaka以外のRufusのメンバーはKevin Murphy(key)、Tony Maiden(g)、Bobby Watson(b)、Andre Fischer(ds)です。一作ごとにChakaの存在感が増し、それに反比例して他メンバーが地味になっていく感じですが、彼らのファンキー・サウンドとChaka特有の節回しの相乗効果がアルバムの魅力だと思います。

「Sweet Thing」「Dance Wit Me」「Jive Talkin'」といったシングル曲がハイライトだと思いますが、それ以外にもいい曲が揃っています。

ジャケの唇にグッときた方はぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Fool's Paradise」
ストリングス&ホーンも入ったエレガント・サウンド&ファンキー・リズム隊をバックにChakaがスケール感の大きなヴォーカルを聴かせてくれます。。作者のGavin Christopherは本作ではクリエイティブ・アシスタントとしてクレジットされており、本曲も含めて3曲を提供しています。1986年にはソロ・アルバム『One Step Closer』もリリースしています。
http://www.youtube.com/watch?v=lAaKKX47T2A

「Have a Good Time」
実はアルバムで一番好きな曲。アルバム中一番ファンキー度が高い仕上がりだと思います。Chakaも水を得た魚にようなヴィヴィッド・ヴォーカルを聴かせてくれます。Gavin Christopher/Tony Maiden作品。
http://www.youtube.com/watch?v=AFt9NIqaUS4

「Ooh I Like Your Loving」
Boogie Down Productions「The Blueprint」のサンプリング・ネタにもなったファンキー・グルーヴ。抑揚の効いたChakaのヴォーカルもいい感じ!Chaka Khan/Tony Maiden/Bobby Watson作。
http://www.youtube.com/watch?v=HAupPm6nbpk

「Everybody Has an Aura」
地味な曲ですがヴァイヴに溢れたChakaのヴォーカルを堪能できます。Tower Of Powerホーン隊もいい感じです。Gordon DeWitty作。

「Circles」
この曲も大好き!Little Brother「The Becoming」のサンプリング・ネタにもなっているファンキー・ミッド・チューン。中盤の郷愁を誘うメロディもグッド!Tony Dulaine作。
http://www.youtube.com/watch?v=IsnwXWow7w8

Little Brother「The Becoming」
 http://www.youtube.com/watch?v=evh78LigqpQ

「Sweet Thing」
本作のハイライト。アルバムからの1stシングルとして全米シングル・チャート第5位、同R&Bシングル・チャート第1位となったスウィートなスロウ・チューン。なんかホッと一息つける感じが大好き!Chaka Khan/Tony Maiden作。
http://www.youtube.com/watch?v=SLdl0WkMJ6o&feature=related

この曲と言えば、当ブログでも紹介したMary J. Blige(アルバム『What's The 411?』収録)のカヴァーも外せませんね。また、Hip-HopファンはMellow Man Ace「B-Boy In Love」、DMG & Daddy V「G Thang」のネタにもなっているぜひチェックを!特に「B-Boy In Love」は「Sweet Thing」気分を楽しめます。

Mary J. Blige「Sweet Thing」
 http://www.youtube.com/watch?v=--GkU2UuHeE
ChakaとMJBが共演した映像がYouTubeにありました。
 http://www.youtube.com/watch?v=J6zcRItCmfE

Mellow Man Ace「B-Boy In Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=dQfuy1XwWss
DMG & Daddy V「G Thang」
 http://www.youtube.com/watch?v=o3LwqYsuxnU

「Dance Wit Me」
「Sweet Thing」に続くシングルとして全米R&Bシングル・チャート第5位となりました。イントロのドラム・ブレイクにグッときますよね。ファンキー・リズムを堪能したい方にはオススメです。Gavin Christopher作。
http://www.youtube.com/watch?v=qCyHGM1zvX4

「Little Boy Blue」
エレガントなストリングスをバックに、Chakaが独特の節回しを聴かせてくれます。さり気ない感じが大好き!J. Farris作。
http://www.youtube.com/watch?v=r3Yp00eF_XY

「On Time」
ファンキー路線のインスト。

「Jive Talkin'」
ラストはBee Geesの全米No.1ヒット「Jive Talkin'」のカヴァー。Chakaヴァージョンもアルバムからの3rdシングルになりました。お馴染みBee Geesヴァージョンとは別の味わいで楽しめます。テンポを落とした引きずるようなグルーヴがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=0AyJvFcmQE8

未聴の方はRufusの過去記事もご参照下さい。

『Rufusized』(1974年)
Rufusized

『Ask Rufus』(1977年)
Ask Rufus
posted by ez at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月04日

The Souljazz Orchestra『Rising Sun』

Gilles Petersonも大絶賛!カナダのジャズ・ファンク・グループの新作☆The Souljazz Orchestra『Rising Sun』
RISING SUN
発表年:2010年
ez的ジャンル:カナディアン・アフロ・ファンク/スピリチュアル・ジャズ
気分は... :沈まぬ太陽!

今回はクラブジャズ・ファン要チェックの新作The Souljazz Orchestra『Rising Sun』です。

The Souljazz Orchestraは、カナダのオタワで結成されたジャズ・ファンク・バンド。

メンバーはZakari Frantz(as、fl、cla、vo)、Steve Patterson(ts、per、vo)、Ray Murray(bs、per、vo)、Pierre Chretien(key、per、vo)、Philippe Lafreniere(ds、per、vo)、Marielle Rivard(per、vo)の6名。

2005年に自主制作による1stアルバム『Uprooted』(2005年)をリリースし、Gilles Petersonから絶賛を受けます。その後当ブログでも紹介したカナダ人女性ジャズ・ヴォーカリスト/ピアニストElizabeth Shepherdも所属する人気レーベルDo Right!と契約し、『Freedom No Go Die』(2007年)、『Manifesto』(2008年)といったアルバムをリリースし、Fela Kutiばりのアフロ・ファンク・サウンドを聴かせてくれました。

4thアルバムとなる本作『Rising Sun』はStrutレーベルからのリリースです。

これまではFela Kutiばりのアフロ・ファンク・サウンドが売りでしたが、本作ではPharoah Sandersばりのアフロ・スピリチュアルなサウンドを聴かせてくれます。

『Freedom No Go Die』でもPharoahの名曲「The Creator Has A Master Plan」をカヴァーしていましたが、本作では「Rejoice」をカヴァーしています。

本作ではメンバー6名に加えて、Nicholas Dyson(tp)、Nimali Ramanayake(vo)、Philippe Charbonneau(b)の3名がゲスト参加しています。

必ずしも万人受けする作品ではありませんが、Pharoah SandersFela Kutiがお好きな人は楽しめる作品だと思います。

Gilles Petersonも彼らの最高傑作としてプッシュしているようです。

全曲紹介しときやす。

「Awakening」
オープニングは感動的なスピリチュアル・チューン。Pharoah Sanders大好きな僕としては、壮大な大地の息吹のようなスケール感の大きさにグッときます。

「Agbara」
Souljazz Orchestraらしいアフロ・ファンク・チューン。情熱的なホーンと激しくゴツゴツとしたビートに自然と体中が高揚してきます。
http://www.youtube.com/watch?v=FyNTdl5nERM

「Negus Negast」
CDショップのレビューで、エチオピアン・ジャズ・グルーヴの創始者Mulatu Astatkeの影響が大きい楽曲という紹介をよく見かけますが、日本の民謡や演歌との共通点を感じるのは僕だけでしょうか(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=CjBwNesFGoc

Mulatu Astatkeと言えば、Malcolm Catto率いるThe Heliocentricsと共演した『Inspiration Information Vol.3』を本作と同じStrutレーベルから昨年リリースしています。

「Lotus Flower」
僕の一番のお気に入り。重厚で美しいスピリチュアル・ジャズ。まさにラインジング・サンのような雄大さをグルーヴにしたような素晴らしさです。
http://www.youtube.com/watch?v=qsUCOPQQqek

「Mamaya」
生命の躍動感に満ちたようなグルーヴが魅力の1曲。大昔の戦士たちが大地を行進しているようなイメージが浮かびます。

「Serenity」
穏やかな中にも崇高な雰囲気が漂うスピリチュアル・ジャズ。静かなる闘志が湧いてきます。

「Consecration」
日本を意識したかのようなオリエンタル・ムードでスタートしますが、演奏が進むに連れてスピリチュアルな雰囲気が増していきます。特に後半の展開は僕好みです。

「Rejoice Pt.1」
「Rejoice Pt.2」
当ブログでも紹介したPharoah Sandersの名曲カヴァー(アルバム『Rejoice』収録)。生きる喜びへの賛歌といった雰囲気のオリジナル自体が大好きなので、本カヴァーも存分に堪能できました。Pt.1は壮大で美しいスピリチュアル・チューン、Pt.2ではアフロ・ファンク・テイストの躍動するグルーヴといった仕上がりです。

The Souljazz Orchestraの過去作品もどうぞ!
特にアフロ・ファンク好きは『Freedom No Go Die』『Manifesto』あたりをチェックしてみては?

『Uprooted』(2005年)
Uprooted

『Freedom No Go Die』(2007年)
フリーダム・ノー・ゴー・ダイ
「Mista President」
 http://www.youtube.com/watch?v=MWWbF8Q7Qbs
「The Blind Leading The Blind」
 http://www.youtube.com/watch?v=BklTlLL8gE4

『Manifesto』(2008年)
Manifesto
「Sankofa」
 http://www.youtube.com/watch?v=fSxH4dr6OKI
「Amen」
 http://www.youtube.com/watch?v=XwaHIAHOCkU

興味がある方はStrutレーベルの近作もどうぞ!

Mulatu Astatke& The Heliocentrics『Inspiration Information Vol.3』(2009年)
Inspiration Information, Vol. 3

Breakestra『Dusk Till Dawn』(2009年)
Dusk Till Dawn
posted by ez at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月03日

Matt Bianco『Whose Side Are You On』

Basiaも参加のデビュー・アルバム☆Matt Bianco『Whose Side Are You On』
探偵物語
発表年:1984年
ez的ジャンル:フェイク・ボッサ/ラテン系UKポップ
気分は... :探偵物語と言えば...

今日は日本でも根強い人気を誇るUKのポップ・ユニットMatt Biancoのデビュー・アルバム『Whose Side Are You On』(1984年)です。

Matt Biancoは、Haircut 100らと並ぶファンカラティーナの代表グループBlue Rondo A La TurkのメンバーであったMark Reilly(vo)が、Blue Rondo A La Turk解散後に同僚Danny White(key)とポーランド出身の女性シンガーBasia(Basia Trzetrzelewska)と共に結成したグループです。当初はKito Poncioni(b)もメンバーでしたがデビュー直前に脱退した模様です。

1984年にシングル「Get Out Of Your Lazy Bed」でデビューし、同年デビュー・アルバム『Whose Side Are You On』(1984年)をリリースします。

しかし、同作を最後にDanny WhiteBasiaが脱退し、代わりにMark Fisherが加入します。こうして二人Mark体制でその後も『Matt Bianco』(1986年)、『Indigo』(1988年)、『Samba in Your Casa』(1991年)等のアルバムをリリースするなど今日までコンスタントに活動しています。2004年にはオリジナル・メンバーが一時的に再集結し、アルバム『Matt's Mood』をリリースしています。

日本では2003年から数年間、日産・ティアナのCMに「What a Fool Believes」The Doobie Brothersの名曲カヴァー)が使用され、話題となりましたね。

Matt Bianco「What a Fool Believes」
 http://www.youtube.com/watch?v=yS3Fn-cpRuw

また、Basiaはグループ脱退後ソロ・アーティストとして活躍し、日本でも人気を博しました。Basiaの「Smooth Operator」Sadeの名曲カヴァー)も日産・ティアナのCMに使われていました。

Basia「Smooth Operator」
 http://www.youtube.com/watch?v=BIQDQgo8EKk

さて、今日紹介するデビュー・アルバム『Whose Side Are You On』(1984年)はオリジナル・メンバー唯一のアルバム(その後再結集してアルバムもリリースしていますが)として、彼らのアルバムの中でも別格扱いかもしれませんね。

僕も2nd以降のアルバムも持っていますが、圧倒的に本作『Whose Side Are You On』を聴く頻度が高いですね。

本作には『探偵物語』という一見意味不明な邦題が付けられていますが、これはMatt Biancoというグループ名が「スパイ大作戦」などのスパイ・ドラマに由来しており、それを意識したものです。「スパイ大作戦」のサントラを記事にするほどスパイものが大好きな僕としては、そのあたりにも惹かれます。

アルバムの内容はラテン、ブラジルなどのエッセンスを取り入れたお洒落なUKポップに仕上がっています。いかにもフェイクなラテン、ブラジル・サウンドですが、それもスパイものサントラに通じるものがあってグッときます。

Swing Out SisterAntenaあたりと並んで軽く見られがちなアーティストですが、先入観を持たずに聴けば結構楽しめると思います。

フリーソウル・ファンに人気の「Whose Side Are You On?」「Half A Minute」「Get Out Of Your Lazy Bed」をはじめ、いい曲揃っていますよ!

でも『探偵物語』と聞くと松田優作のドラマが観たくなりますね(笑)

全曲紹介しときやす。

「Whose Side Are You On?」
オススメその1。フリーソウル・ファンは要チェックのオープニング。いかにもフェイクっぽいんですが、それを逆手に小粋に聴かせてしまうジャジー・チューン。80年代UKっぽくていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=BU4H87kjl90

「More Than I Can Bear」
オススメその2。ボッサ・テイストのポップ・チューン。シングルにもなりました。シンセ・サウンドで上手くボッサ・テイストを醸し出しているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=DLAFQwIyK6s

「No No Never」
怪しげな哀愁のラテン・グルーヴ。この曲もフェイクっぽさが魅力です。B級スパイ映画の女スパイが活躍するお色気シーンにピッタリなのでは?

「Half A Minute」
オススメその3。シングルにもなった爽快ボッサ・チューン。Basiaの魅力全開の本曲がおそらく一番の人気曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=2DxnCiwL8-0

「Matt's Mood」
オススメその4。インストながらもクールなジャズ・ファンク・チューンとして人気ですね。ゲストのRonnie RossのサックスとRobin Jonesのパーカッションがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=_rQqRjOl8as

「Get Out Of Your Lazy Bed」
オススメその5。UKシングル・チャート第15位となったデビュー・シングル。楽しく軽快なジャンプ・チューンに仕上がっています。カヒミ・カリィもカヴァーしていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=vAc4q1YqdOU

「It's Getting Late」
この曲もいかにもフェイクっぽいですね。でもそこが好きです。ファンカラティーナ・バンド出身らしい仕上がりなのでは?

「Sneaking Out Of The Back Door」
オススメその6。スマートなUKポップ・チューン。Basiaのはつらつとしたヴォーカルがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=-CcyLGh4Whw

「Riding With The Wind」
あまり語られることのない地味な存在の曲ですが、なかなか小粋なラテン・チューンに仕上がっています。特に終盤の盛り上がりにグッときます。

「Matts Mood II」
ラストはインスト・チューン。Danny Whiteのキーボード・プレイが冴えます。
http://www.youtube.com/watch?v=sU2_nDmA-PA

興味がある方は2nd以降の作品もチェックしてみてください!

『Matt Bianco』(1986年)
Matt Bianco

『Indigo』(1988年)
インディゴ

『Samba in Your Casa』(1991年) ※「What a Fool Believes」収録
Samba In Your Casa

Basiaのソロ作もどうぞ!

『Time and Tide』(1987年)
タイム・アンド・タイド

『London Warsaw New York』(1989年)
London Warsaw New York

『The Sweetest Illusion』(1991年)
スウィーテスト・イルージョン
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2010年04月02日

De La Soul『AOI:Bionix』

AOI三部作の第2弾アルバム☆De La Soul『AOI:Bionix』
AOI: Bionix
発表年:2001年
ez的ジャンル:Native Tongues系Hop-Hop
気分は... :チャート・アクションは気にせずに...

まずはサッカー・ネタから...

昨日のUEFAチャンピオンズリーグの準々決勝「アーセナル対バルセロナ」はやはり興奮しましたね。
ガナーズ・ファン& バルサ・ファンの僕は自分でも観戦しながらどちらを応援するのだろと思っていましたが、無意識に前半バルサ、後半アーセナルを応援していた気がします。現在の力で言えば、やはりバルサが一枚上という気がしますが、アーセナルは同点まで持ち込み善戦したのでは?

アーセナルは2ndレグでセスクが出場停止というのが痛いですね。
この試合を観ながら、もしセスクがバルサに加入したら...なんてガナーズ・ファンとして良からぬ妄想をしてしまいました。

もう一試合の「インテル対CSKAモスクワ」は実力差を感じてしまう一戦でしたね。
本田も見せ場なく途中交代...やはりこのクラスとの対戦になると大きな壁がある感じですね。

さて、今日はTrugoy、Pos、Maseoの3人組Hip-HopユニットDe La Soulの5回目です。
これまで当ブログで紹介してきたDe La Soul作品は以下の4枚。

 『3 Feet High And Rising』(1989年)
 『De La Soul Is Dead』(1991年)
 『Buhloone Mindstate』(1993年)
 『Stakes Is High』(1996年)

5枚目に紹介するのは6thアルバム『AOI:Bionix』(2001年)です。

Art of Official Intelligence(AOI)シリーズ三部作の第2弾として、『Art of Official Intelligence: Mosiac Thump』(2000年)に続きリリースされた6thアルバムです。

『Art of Official Intelligence: Mosiac Thump』(2000年)
※シリーズ第1弾
Art Official Intelligence: Mosaic Thump

結局、本作を最後にTommy Boyとの契約が切れてしまい、シリーズ完結作となるはずであった第3弾アルバムはリリースされずじまいとなってしまいます。本作のチャート・アクションがDe La Soul作品中、最も低調であったことが影響したのかもしれませんね。

そんな低調なチャート・アクションが信じられないほど内容は充実していると思います。個人的には第1弾『Art of Official Intelligence: Mosiac Thump』以上に愛聴していました。

プロデュースはSupa Dave West、Kev Brown, Megahertz、Jay Dee(J Dilla)、Deaf 2 U Inc、それにメンバー自身が務めています。前作から参加しているSupa Dave Westのいい仕事ぶりが目立ちます。Jay Dee(J Dilla)は3作連続での参加になります。

ジャケが前作からシリーズになっているのもいいですね。

Cee-LoSlick Rick、Devin the Dude、B-Real、Yummy Bingham、Glenn Lewis等がゲスト参加しています。

他のDe La Soul作品がお好きな方ならば、間違いなく楽しめる作品です。
チャート・アクションや一般的な評価に惑わされず聴いてみてください!

全曲紹介しときやす。

「Intro」
オープニングはThe 5th Dimension「Black Patch」をサンプリングし、ラジオのジングル風に聴かせてくれます。本トラックの本編はラストの「Trying People」です。
http://www.youtube.com/watch?v=j-e4uclpkT0

「Bionix」
Tavares「Guiding Star」ネタのラブリー・モードでスタートしますが、その後はダーク・モードで迫ります。Supa Dave Westプロデュース。

「Baby Phat」
オススメその1。シングル・カット曲。Devin the DudeとYummy Binghamをフィーチャーしています。Devin the Dudeはソロ作品以外にもOdd Spuad、Facemobの活動でもサウスのHip-Hopアーティスト、Yummy Binghamは2006年にソロ・アルバム『The First Seed』もリリースしている実力派女性R&Bシンガーです。スペイシー・トラックとYummy Binghamのキュートなヴォーカルがいい感じです。Supa Dave Westプロデュース。The Fat Boys「Fat Boys」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=bUtf_Q4dg9Q

「Simply」
オススメその2。おそらくアルバムで一番の人気曲でしょう。Paul McCartney「Wonderful Christmastime」をサンプリングしたワンダフル&ハッピー・モードのパーティー・チューン。みんなで聴けば、ワンダフル・タイム&ビューティフル・タイムを共有できるはず!個人的にもDe La Soulマイ・ベスト5に入るくらい大好きな曲です。ラストでチラっとStevie Wonder「Sir Duke」が聴こえてくるのも嬉しいですね。Supa Dave Westプロデュース。

「Simply Havin'」
Donald Byrd「Think Twice」ネタのインタールード的な短い曲。

「Held Down」
オススメその3。Cee-Loをフィーチャー。予想通りのソウルフルな仕上がりです。Serge Gainsbourg「Ah! Melody」ネタ。プロデュースはPosです。話が逸れますが、元ネタ「Ah! Melody」を収録したSerge Gainsbourg『Histoire De Melody Nelson』を最近よく聴いています。こちらも近々紹介しますね。

「Reverend Do Good #1」
インタールード。

「Watch Out」
オススメその4。Cal Tjader「Mood for Milt」ネタのラテン&ラウンジなトラックにグッときます。彼らのキャラとCal Tjaderの音ってマッチしているかもしれませんね。Supa Dave Westプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=5C4rTVy4cSI

「Special」
オススメその5。Yummy Binghamをフィーチャー。華のあるキュート・ヴォーカルで盛り上げてくれます。なかなかキャッチーな仕上がりにグッとくるはず!Kev Brownプロデュース。

「Reverend Do Good #2」
インタールード。

「The Sauce」
Philly Blackをフィーチャー。Supa Dave Westのカッチョ良いトラックがいいですね。

「Am I Worth You?」
オススメその6。カナダ出身のネオ・ソウル・シンガーGlenn Lewisをフィーチャー。Dr. Buzzard's Original Savannah Band「Sunshower」をサンプリング。Glenn Lewisの素晴らしいヴォーカルと「Sunshower」ネタ・トラックが彼らのラップを盛り上げてくれます。Supa Dave Westプロデュース。

「Pawn Star」
Shell Councilをフィーチャー。喘ぎまくりのエロすぎるトラックにご注意を!

「What We Do (For Love)」
Sオススメその7。Slick Rickをフィーチャー。Slick RickとDe La SoulというHip-Hopレジェンド同士の共演に相応しいトラックに仕上がっているのでは?Megahertzプロデュース。

「Reverend Do Good #3」
インタールード。

「Peer Pressure」
オススメその8。B-RealをフィーチャーしたJay Dee(J Dilla)プロデュース曲。J Dillaファンは要チェックですね。

「It's American」
De La Soulらしいインタールード。

「Trying People」
オススメその9。オープニングの本編といったところです。再登場のThe 5th Dimension「Black Patch」ネタのトラックにグッときます。子供のコーラスが入っているのもいいですね。Def 2 Uプロデュース。

未チェックの方は過去記事もご参照下さい。

『3 Feet High And Rising』(1989年)
3 Feet High and Rising

『De La Soul Is Dead』(1991年)
De La Soul Is Dead

『Buhloone Mindstate』(1993年)
Buhloone Mindstate

『Stakes Is High』(1996年)
Stakes Is High
posted by ez at 02:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする