
録音年:1966年
ez的ジャンル:北欧ボッサ系女性ジャズ・シンガー
気分は... :たった一人のあなたに...
今回は90年代後半からクラブシーンで再評価が高まっているスウェディッシュ女性シンガーLill Lindforsのアルバム『Du Ar Den Ende』(1966年)です。
4月に入ってから、落ち着かない日々が続きます。
そんな中、本作の『たった一人のあなたに』という邦題にグッときて、鎮静剤代わりに聴きたくなりました...
Lill Lindforsは1940年フィンランド、ヘルシンキ生まれの女性シンガー。スウェーデンのストックホルム近郊で育ち、1960年代初めから芸能活動を開始し、今日まで歌手、テレビ司会者等として活躍しているようです。全く把握できていませんが、シンガーとして20枚以上のアルバムをリリースしているらしいです。
そんなLill Lindfors作品の中でも本作『Du Ar Den Ende』はスウェーデン国内で20万枚以上のセールスを記録した大ヒット・アルバムのようです。
このキュートな表情のLindforsがキメ・ポーズで見つめるジャケだけで名盤の雰囲気が漂いますよね(笑)
基本的にはジャズ・シンガーに分類される人ですが、当ブログでも大プッシュのデンマークの女性シンガーBirgit Lystager同様、ブラジル音楽、ソフト・ロックの要素を積極的に取り入れている点が今日再評価されているのだと思います。僕もそんな魅力に惹かれています。
Birgit Lystagerのようにキュートな女性シンガーってイメージで聴いたのですが、曲によっては意外と個性的なヴォーカルを聴かせてくれます。
ここ数年欧州女性SSW/シンガーにハマっている僕ですが、本作のようなキュートな作品が40年以上前にあったからこそ、そうした系譜が脈々と受け継がれているのかもしれませんね。
全曲紹介しときやす。
「Du Ar Den Ende」
1952年のフランス映画『Jeux interdits(禁じられた遊び)』で一躍有名になったスペイン民謡「Romance D'Amour」のカヴァー。
ストリングスをバックに哀愁モードのヴォーカルを聴かせてくれます。
「Fri Som En Vind」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作「Canto de Ossanha」のカヴァー。ブラジル音楽ファンの方はぜひチェックを!巻き舌交じりのLindforsのヴォーカルはなかなかパンチがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=PMpdW8FQHFY
「Din Skugga Stannar Kvar」
アカデミー歌曲賞を受賞した映画「いそしぎ(he Shadow of Your Smile)」の主題歌カヴァー(Johnny Mandel作品)。当ブログではJohn Patton、Lou Donaldson、Johnny Lytle、The Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimitedのカヴァーを紹介済みです。
Astrud Gilbertoのヴァージョンでもお馴染みの曲ですね。Astrudヴァージョンがお好きな人は、ボッサな本ヴァージョンも気に入ると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=U8wbVPVLLfs
「En San Karl」
Les Reed/Barry Mason作「Just Like A Man」のカヴァー。何処となくモータウンなバックと、スウェディッシュな語感のヴォーカルが生み出す独特の雰囲気が面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=gj6TnDqMBKw
「An En Gang」
イナたい雰囲気のポップス。この垢抜けない感じも北欧らしいかも(笑)
「Ingen Kom」
Sandie Shawヴァージョンで知られる「Girl Don't Come」(Chris Andrews作)のカヴァー。少し寂しげな雰囲気がグッとくるキュートなポップ・チューン。
Sandie Shaw「Girl Don't Come」
http://www.youtube.com/watch?v=gFOvNRlE4Kk
「Flickan I Havana」
「ハヴァナの娘」。スウェーデンの吟遊詩人Evert Taube の作品。小粋なバックとキュートなLindforsのヴォーカルがよくマッチしています。
「Hor Min Samba」
Jorge Ben作の名曲「Mas Que Nada」のカヴァー。当ブログではSergio Mendes & Brasil'66、Tamba Trioのヴァージョンを紹介済みです。
ここではスウェディッシュ・ヴァージョンとして聴くことができます。サウンドはジャズ・サンバしてますが語感がいつも聴いているのと違うので面白く聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=ViHWu72iwjk
「Sa Skimarande Var Aldrig Havet」
「Flickan I Havana」に続きEvert Taube作品。ロマンチックな雰囲気のアコースティック・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=oEdiDFbN9MU&feature=related
「Jag Tycker Inte Om Dej」
北欧ボッサ好きにはグッとくるロマンチックな仕上がり。ここでのLindforsは実におしとやかなヴォーカルを聴かせてくれます!
http://www.youtube.com/watch?v=qb6el4bwFKM
「Du For Mej」
Unit 4 + 2のシングル「Concrete And Clay」のカヴァー。メキシカン・テイストも効いたポップ・チューン。
Unit 4 + 2「Concrete And Clay」
http://www.youtube.com/watch?v=76DwlgQXWmo
「Alltid Nat Sam Far Mej Att Minnas」
Hal David/Burt Bacharach作品「Always Something There To Remind Me」のカヴァー。ボッサ・テイストの素敵なポップ・チューン。コーラスの語尾がハッキリしているのがスウェーデン語らしいのでしょか?
「Lat Mej va_de' E'BRA」
Bob Dylan「Don't Think Twice It's Alright」のカヴァー。ボッサな仕上がりがいいですね。英語ではないので全然Dylanらしくありません(笑)
「Amanda Lundmon」
ラストは小粋なジャズ・チューン。アルバムで一番ジャズ・ヴォーカルっぽいのでは?ヴィヴィッドなLindforsのヴォーカルが実に魅力的です。
Birgit Lystagerのヴァージョンでもお馴染み「Tristeza」のカヴァーを収録した『Kom I Min Varld』(1968年)も聴いてみたいですね。CD化されないかなぁ。