2010年05月31日

Reverie『Reverie』

「In Every Way」は要チェック!☆Reverie『Reverie』
レベリー
発表年:1980年
ez的ジャンル:USローカル・フュージョン
気分は... :まずは「In Every Way」ですな!

今回はフィラデルフィアのローカル・シーンで活躍していた4人組フュージョン・バンドReverieのデビュー・アルバム『Reverie』です。今年、世界初CD化された作品です。

グループに関する情報が全くないので、ライナーノーツの情報を整理すると以下のとおりです。

Mark Knox(key)とJim Miller(ds)の二人が故郷のインディアナポリスで1970年代半ばに活動を開始したのがReverieの歴史の始まりのようです。その後、拠点を東海岸に移し、Ed Yellen(sax)、Gerald Veasley(b)の二人が加入し、4人のラインナップが揃いました。

アルバムとしては、1stとなる本作『Reverie』(1980年)、2nd『Watch the Skies』(1982年)、3rd『Reverie In Concert』(1985年)、4th『Tunnel Vision』(1991年)という4枚をリリースしています。

ベースのGerald Veasleyはその後Grover Washington Jr.のバンドで活躍したり、ソロ作品も数多くリリースしています。

本作『Reverie』は1979年にレコーディングされ、1980年にリリースされたデビュー・アルバムであり、メンバー以外に有名ギタリストLarry Coryell(g)とStan Slotter(tp、flh、fl)の二人がゲスト参加しています。

たまたまCDショップで本作の真っ赤なジャケ(上記のジャケ画像ではわかりづらいですが)が目に留まり、試聴したのが購入のきっかけでした。1曲目のブラジリアン度数の高い「In Every Way」を聴いてグッときてしまいました。さらに曲目を確認すると、ボーナス・トラックに当ブログでもイチオシの和製ボッサ・バンドImmigrant's Bossa Bandによる「In Every Way」のリエディットも収録されているのも発見!こうして購入決定という運びとなりました。

アルバム全体としては、ハイライト曲「In Every Way」が突出しているのも事実ですが、単調なアルバム構成にはなっていないので楽しめます。モロにフュージョン一辺倒ではない感じがいいですね。

まずは「In Every Way」1曲のみでも相当楽しめると思います。

全曲紹介しときやす。

「In Every Way」
本作のハイライト。前述のように僕はこの至極のブラジリアン・フュージョンを聴いて購入を決めました。Gilles Petersonによるコンピ『Digs America, Vol. 2』にも収録されるなどクラブシーンでも人気の高い1曲のようですね。聴いていると、心が晴れ晴れとする爽快さがたまりません。ブラジリアン・フレイヴァーの中にワルツを織り交ぜる小粋なセンスにも脱帽です。Mark Knox作。
http://www.youtube.com/watch?v=0Wkhx_jilgk

「For You」
幻想的かつロマンチックなバラード。作者であり演奏でも主役のEd Yellenのサックスを堪能しましょう。

「Indian Summer」
ミステリアスな序盤を経て疾走するジャズ・グルーヴ。Mark Knox作。フュージョン一辺倒にならないのがいいですね。

「Stop & Be Friendly」
Larry Coryellを迎えたスリリングなファンキー・チューン。緊迫感の高さが伝わってきます。Larry Coryellと共にベースのGerald Veasleyのプレイが目立ちます。Ed Yellen作。

「Caribbean」
前半のジャズ・ファンクな展開から中盤以降は高速フュージョンになってきます。"カリビアン"ってイメージはビミョーな気もしますが(笑)。Mark Knox作。

「Whatever It Takes」
ラストもブラジリアン・フレイヴァーな演奏で締め括ってくれます。ホーン隊の活躍と作者Gerald Veasleyのファンキー・ベースが目立ちます。

CDには「Water Ballet」「In Every Way(Immigrant's Bossa Band Nobu's Re:edit)」の2曲がボーナス・トラックで追加収録されています。特に後者はオリジナル同様楽しめると思います。

昨日のサッカー「日本対イングランド」は楽しめましたね。

マスコミが騒ぐほど善戦したとは思いませんでしたが、中村俊を外し、アンカーを置く布陣は本番でもぜひ採用して欲しいです。個人的には稲本を使って欲しいですね。
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2010年05月30日

Angela Johnson『It's Personal』

トータルなサウンド・クリエイターとしての才能を存分に楽しめる1枚☆Angela Johnson『It's Personal』
It's Personal
発表年:2010年
ez的ジャンル:サウンド・クリエイター系女性R&B
気分は... :今聴きたいR&Bって、こんな感じ!

今回は一部に根強いファンを持つ女性R&BシンガーAngela Johnsonの新作『It's Personal』です。

購入してから約1ヶ月半が経ちますが、かなり気に入っています。僕が今聴きたいR&Bって、こんなタイプの作品かもしれません。

当ブログでは彼女が所属していたユニットCooly's Hot-Boxの作品はエントリーしましたが、ソロ作を紹介するのは初めてですね。

Angela Johnsonはニューヨーク州出身。1992年に大学の仲間であるJohn-Christian UrichらとCooly's Hot-Boxを結成し、クラブ・シーンを中心に人気を博しました。特に本国以上にUKで人気が高かったですね。アルバムとしては『Take It』(2002年)、『Don't Be Afraid-Get On』(2004年)の2枚をリリースしています。

その後はソロ・アーティスト、プロデューサーとして活躍しています。ソロではこれまで『They Don't Know』(2002年)、『Got To Let It Go』(2005年)、『A Womans Touch:Vol.1』(2008年)といったアルバムをリリースしており、本作『It's Personal』は4枚目のソロ・アルバムとなります。

UKで人気のある彼女らしく、本作はUKのR&BレーベルDomeからのリリースとなっています。

本作では後述する1曲を除きAngela Johnson自身がプロデュースしています。また、ソングライティング(共作含む)、アレンジも全て彼女自身が手掛けており、シンガーのみならずトータルなサウンド・クリエイターとしての才能を存分に楽しめるアルバムになっています。

ゲストとして、昨年リリースした『If These Walls Could Talk』が高い評価を受け、日本でも一気に知名度が上がった期待のUS男性R&BシンガーDarienが参加しています。

DarienとAngelaは共に西ロンドンの人気ユニットReel Peopleの作品でフィーチャーされていたUS出身R&Bアーティストであり、その意味では"Reel Peopleつながり"で接点が生まれたのかもしれませんね。

また、人気ハウス・ユニットBlazeJosh Milanが1曲プロデュースしています。Blazeは先日名作『25 Years Later』(1990年)を紹介したばかりですね。

クラブ・ミュージックを経由してきた大人のR&Bといった雰囲気がたまりません。
洗練されたR&Bを欲している方にはピッタリな1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Only One」
オープニングは美しくエレガントなミディアム・チューン。バイオリンやチェロも加わり、ジワジワと感動を高めてくれます。

「Hurts Like Hell」
オススメその1。UKで人気のある彼女らしいクラブ・テイストの仕上がり。派手さはありませんが実に洗練されています。

「Be Myself」
ジャジー・テイストのミッド・グルーヴ。全て彼女一人でこなしたヴォーカル・プロダクションが素晴らしいですね。

「Better」
オススメその2。シングルにもなったダンサブル・チューン。躍動感があっていいですね。Cooly's Hot-Box時代からのファンは大満足のアップ・チューンだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=FbL8oGubvTs

「Indie In Me」
前作『A Womans Touch』にも参加していたニュージャージー出身の男性R&BシンガーEric Robersonとの共作曲。ロック・テイストのギターの音色が印象的な小気味良いミッド・グルーヴです。

「On The Radio」
オススメその3。BlazeJosh Milanプロデュース曲。エレクトロ・サウンドながらもソウルフルな味わいも忘れないあたりがJosh Milanらしいですね。トライバルなリズムが僕好み。

「All In Me」
オススメその4。Darienとのデュエット曲。個人的には本作のハイライト曲。感動的なソウル・チューンに大満足しています。ただただ素晴らしいの一言。
http://www.youtube.com/watch?v=EC6iqJ1wzdQ

「Get Myself Together」
オススメその5。聴いているだけでウキウキするグルーヴィー・ソウル。オルガンとホーン隊によるファンキーな味わいが印象的です。

「For You」
美しいストリングスをバックに素晴らしいヴォーカルを披露してくれるバラード。情熱的かつ温かみのあるヴォーカルにグッときます。

「It's Personal」
オススメその6。タイトル曲はクラブ・テイストのアップ・チューン。駆け巡る疾走感が実に気持ちいいですね。

「Days」
オススメその7。ラストは爽快なアコースティック・チューン。明るい陽の光を浴びながら聴きたい1曲です。

他のAngela Johnson作品もぜひチェックしてみて下さい。

Angela Johnson『They Don't Know』(2002年)
They Don't Know

Angela Johnson『Got To Let It Go』(2005年)
Got to Let It Go
国内盤と輸入盤で収録曲および録音が異なるのでご注意を!

Angela Johnson『A Womans Touch:Vol.1』(2008年) 
A Womans Touch
Rahsaan PattersonFrank McComb、Claude McKnight(Take 6) 、Maysa LeakGordon Chambers、Monet等をフィーチャーした、プロデューサーAngela Johnsonの手腕を発揮した1枚!

Cooly's Hot-Box『Don't Be Afraid-Get On』(2004年)
Don't Be Afraid: Get On
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2010年05月29日

Lighthouse Family『Postcards From Heaven』

3曲のトップ10ヒットを含む大ヒット2nd☆Lighthouse Family『Postcards From Heaven』
Postcards from Heaven
発表年:1997年
ez的ジャンル:"90年代版AOR"系UKデュオ
気分は... :楽園からの葉書が届く・・・

今回はUK音楽好きにはお馴染みLighthouse Familyの大ヒット2ndアルバム『Postcards from Heaven』(1997年)です。

Lighthouse Familyは1993年にイギリス、ニューカッスルで結成されたユニット。
メンバーはヴォーカル担当のナイジェリア人Tunde Baiyenuとキーボード&ソングライティング担当のPaul Tuckerの二人です。

『Ocean Drive』(1995年)、『Postcards from Heaven』(1997年)、『Whatever Gets You Through the Day』(2001年)という3枚のアルバムをリリースし、いずれもUKアルバム・チャートTop10入りしています。特に『Ocean Drive』『Postcards from Heaven』の2枚はTop3に入るヒットとなりました。また、これら3枚から5曲のUKチャートTop10入りシングルが生まれています。

日本での知名度はイマイチですが、本国イギリスでは相当な人気を誇ったユニットです。サウンド的には、クラブ・ミュージックとアーバン・サウンドが融合した"90年代版AOR"とでも呼びたくなる内容です。

僕の場合、80年代後半にAORが手詰まり状態になってから、それに代わるアーバンでスタイリッシュな大人の音楽としてUKクラブ・ミュージックやアシッド・ジャズを聴いてた側面があります。Lighthouse Familyもそんな流れで聴くとピッタリなアーティストかもしれませんね。

今日紹介する2nd『Postcards from Heaven』(1997年)は、彼らのアルバムの中でも最も成功した1枚であり、「Raincloud」(UKチャート最高第6位)、「High」(UKチャート最高第4位)、「Lost in Space」(UKチャート最高第6位)といったヒット・シングルが収録されています。

アルバムのプロデュースは、1st『Ocean Drive』に続きMike Pedenが起用されています。

Mike Peden(Michael Peden)の名を聞いてピンと来る方は、UK音楽通の方かもしれませんね。Mike Pedenは、パワフルな黒人女性ヴォーカリストPauline Henryも在籍していたユニットThe Chimesのメンバーであった人物であり、プロデューサーとして数多くの著名アルバムの制作に関与しています。

例えば、Yo Yo Honey『Voodoo Soul』(1992年)、Shara Nelson『What Silence Knows』(1993年)、『Friendly Fire』(1995年)、Des'ree『Supernatural』(1998年)は彼のプロデュース作品です。当ブログで紹介した作品で言えば、Paul Haig『Coincidence vs. Fate』にも関与しています。また、UKアーティストのみならずDaryl Hall『Soul Alone』(1993年)等も手掛けています。

スタイリッシュな側面を強く打ち出したデビュー・アルバム『Ocean Drive』と比較すると、より丁寧に音楽的な深みを追求している作品のように思います。

時代に付かず離れずといったサウンド作りが、2010年の今聴いても十分楽しめます。

全曲を紹介しときやす。

「Raincloud」
めくるめくオーケストレーションと共にアルバムはスタートします。アルバムからの1stシングルとして、前述のようにUKチャート最高第6位のヒットとなりました。Baiyenuのハートフルなヴォーカルとエレガントなアーバン・サウンドが実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=hU_g-vI6C2s

「Once in a Blue Moon」
ライナーノーツでも解説の中田利樹氏も指摘していますが、曲調がLenny Kravitz「It Ain't Over Till It's Over」にソックリです。まぁ、ご愛嬌と言うことで・・・
http://www.youtube.com/watch?v=9KN9OuDm83E

Lenny Kravitz「It Aint Over Til Its Over」
 http://www.youtube.com/watch?v=vAhKf_Ro4ZU

「Question of Faith」
彼らの曲作りの上手さを感じる1曲。アコースティックなグルーヴ感もいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=C_YSmSVcv7c

「Let It All Change」
個人的にはアルバムで一番のお気に入り。80年代後半から90年代初めのUK音楽シーンを席巻したグラウンドビート好きの人であれば、相当グッとくるアーバン・グルーヴです。このあたりのサウンド・メイクはいかにもMike Pedenらしいのですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Pv_qEjttRLw

「Sun in the Night」
尺八風のサウンドと共に始まるバラード。UKならではの叙情的なメロディが独特の味わいを醸し出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=c4fj90oDZ-U

「High」
UKチャート最高第4位のヒットとなった2ndシングル。曲の盛り上げ方が憎らしいほど上手ですね。このあたりもMike Pedenの手腕なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=Qj62HiLk-Ag

「Lost in Space」
UKチャート最高第6位のヒットとなった3rdシングル。ヒット・シングルの中ではコレが一番好きです。アルバムで最も美しいメロディを持つ楽曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=7N4JaIvGsc4

「When I Was Younger」
彼らが表層的なスタイリッシュ・サウンドばかりを追い求めるグループではないことを実感できる感動的な1曲。

「Restless」
個人的には「Let It All Change」と並ぶお気に入り。まさにクラブ・ミュージックとアーバン・サウンドが融合した仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=adslkOeA9YU

「Postcard from Heaven」
物静かで落ち着いたタイトル曲でアルバムは幕を閉じています。この曲なんか顕著ですが、彼らの書く楽曲のテイストってSimply RedのMick Hucknallに通ずるものがある気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=GeNG7ns-LIo

デビュー・アルバム『Ocean Drive』(1995年)も本作と同様に素晴らしい作品です。スタイリッシュなサウンドを重視する方ならば、『Ocean Drive』の方が好みかも?

『Ocean Drive』(1995年)
Ocean Drive
「Lifted」
 http://www.youtube.com/watch?v=osAoJ7mhF5Q
「Ocean Drive」
 http://www.youtube.com/watch?v=8tG-W0Rh9cA
「The Way You Are」
 http://www.youtube.com/watch?v=6HDTlnbStBQ

本作を聴いていたら、当時大好きだったデンマークのポップ・ユニットGangwayが無性に聴きたくなり、彼らの作品群をCD棚から引っ張り出し、iTunesに取り込んでいる最中です。今では忘れ去られたグループですが、Gangwayは相当良いですよ。個人的には将来必ず再評価されるグループと信じています。
posted by ez at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月28日

Ivan Lins『Modo Livre』

初期の代表作の呼び声が高い4thアルバム☆Ivan Lins『Modo Livre』
Modo Livre
発表年:1974年
ez的ジャンル:稀代のメロディ・メイカー系MPB
気分は... :一人さすらいたくなる・・・

今日は70年代ブラジルの気分だったのCD棚からふと手に取ったのが、21世紀に入り人気急上昇となったアルバムArthur Verocai『Arthur Verocai』(1972年)でした。

しかしながら、『Arthur Verocai』はジャケのイメージが今の季節に似合わないので、Ivan Lins『Modo Livre』(1974年)へ変更しました。『Modo Livre』にはArthur Verocaiもアレンジャー&ギタリストとして参加しています。まぁ、『Modo Livre』も今の季節にジャスト・フィットとは言えませんが(汗)

MPBを代表する男性シンガー・ソングライターIvan Linsの紹介は、『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)に続き2回目となります。

本作『Modo Livre』は、『Agora』(1971年)、『Deixa O Trem Seguir』(1971年)、『Quem Sou Eu ?』(1972年)に続く4thアルバムとなります。初期の代表作の呼び声が高いアルバムですね。

また、タイトル"Modo Livre"はそのまま彼のバック・バンド名にもなりました。本作におけるModo Livreの中心メンバーは前述のArthur Verocai(g)、Wagner Tiso(org)、Luis Carlos Alves(b)、Robertinho Silva(ds)、Chiquinho (Chico) Batera(per)等です(次作以降は大幅なメンバー・チェンジが行われますが)。Wagner Tiso、Luis Carlos Alves、Robertinho SilvaはMilton Nascimentoのバックを務めたグループSom Imaginarioのメンバーとしても知られています。

男の哀愁が漂うジャケのイメージそのままに、聴いていると一人さすらいたくなるアルバムです。

稀代のメロディ・メイカーとして素晴らしい曲を書いているのは勿論のこと、ヴォーカル、コーラス、アレンジどれを取っても100%Ivan Lins印の演奏も最高です。その意味ではアレンジを担当したArthur Verocaiの貢献も大きいと思います。

『Somos Todos Iguais Nesta Noite』と並び、最初にチェックすべきIvan Lins作品なのでは?

全曲を紹介しときやす。

「Rei Do Carnaval...」
Paulo Cesar Pinheiro/Ivan Lins作。軽やかなピアノに誘われて、Ivan Lins独特のメロディを堪能できます。このフワフワした躍動感はIvan Linsならではですね。

「Deixa Eu Dizer」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。悲嘆する心の叫びが熱いヴォーカルとなって切実に伝わってきます。力強いタッチのピアノも印象的ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=nBd5xzUOaSk

本曲と言えば、クラブ系リスナーに人気のClaudiaによるカヴァーも要チェック!
Claudia「Deixa Eu Dizer」
 http://www.youtube.com/watch?v=sUFOF7GCfSg

「Avarandado」
Caetano Velosoのカヴァー。Gal Costa & Caetano Velosoの名盤『Domingo』(1967年)でGal Costaがキュートに歌っていましたね。Ivan Linsヴァージョンはエレガント&ロマンチックな仕上がりです。

「Tens (Calmaria) 」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。しみじみと心に染み入る作品。ジワジワ盛り上がってくる感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=u8NmgSQcl2U

Hip-HopファンはNujabes Feat. Shing02「Luv (Sic) Pt. 3」の元ネタとして聴いているのでは?Nujabesと言えば、彼の突然の死(2月26日に交通事故で死去)はショックでしたね。
Nujabes Feat. Shing02「Luv (Sic) Pt. 3」
 http://www.youtube.com/watch?v=UyoYf7rZVGI

「Nao Tem Perdao」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作品。Ivan Linsらしい哀愁感が漂います。

「Abre Alas」
Vitor Martins/Ivan Lins作。名コンビとして知られる二人の記念すべき共作第1作です。名曲の貫禄が漂う感動的な仕上がりです。曲も素晴らしいですが、アレンジも最高ですね。聴いていると、心を無にして一人さすらいたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=OFEtPXLSNV4

「Chega」
Ivan Lins作。男の哀愁が漂う感じがたまりません。サックス・ソロも哀愁モードを盛り上げてくれます。

「Espero」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。何処か遠い世界で飛んでいけそうな気分になりますね。コンポーザーとしてのIvanの才能を実感できる1曲です。

「Essa Mare」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。クラブ系リスナーにとってのハイライト。軽快なサンバのリズムが心地よいブラジリアン・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=BrH9fIWezho

「Desejo」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。Ivanのヴォーカルに寄り添うマリンバの音色が印象的です。2分半にも満たない曲ですが、恋愛ドラマを観終わったような気分にさせてくれます。

「General da Banda/A Fonte Secou/Recordar」
ラストは「General da Banda」(Satyro de Melo/Tancredo Silva/Jose Alcides作)、「A Fonte Secou」(Monsueto Menezes/Tuffy Lauar/Marcleo作)、「Recordar」(Alcir Louro/Aluisio Marins/Adolfo Macedo)という3曲のメドレー。『Somos Todos Iguais Nesta Noite』のオープニングを飾った「Quadras De Rodas」もそうですが、彼の演奏するメドレーって曲のつなぎが実に見事ですね。

Ivan Linsについては未聴の作品も多いので、70年代作品を中心にコレクションを充実させたいですね。

『Agora』(1971年)
Agora

『Deixa O Trem Seguir』(1971年)
Deixa O Trem Seguir

『Quem Sou Eu?』(1972年)
Quem Sou Eu?

『Chama Acesa』(1975年)
Chama Acesa

『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
今宵楽しく

『Nos Dias de Hoje』(1978年)
ノス・ヂアス・ヂ・オージェ

『A Noite』(1979年)
ある夜

『Novo Tempo』(1980年)
ノーヴォ・テンポ

Arthur Verocai『Arthur Verocai』は、このジャケが似合う季節になったら紹介しますね(笑)

Arthur Verocai『Arthur Verocai』(1972年)
ARTHUR VEROCAI
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2010年05月27日

Jaguar Wright『Denials, Delusions And Decisions』

フィラデルフィアの勢いが凝縮されたデビュー作☆Jaguar Wright『Denials, Delusions And Decisions』
ディナイアルズ、ディルージョンズ・アンド・ディシジョンズ
発表年:2002年
ez的ジャンル:ネオ・フィリー系女性R&B
気分は... :この面構えは只者ではない!

今回は女性R&BシンガーJaguar Wrightのデビュー・アルバム『Denials, Delusions And Decisions』(2002年)です。

Jaguar Wrightは1977年フィラデルフィア出身。

以前に紹介した女性R&BデュオJazzyfatnasteesと同じくThe RootsのレーベルMotiveに所属していた女性R&Bシンガーです。

1999年、映画『The Best Man』のサントラのオープニングを飾った「What You Want」The Roots Feat. Jaguarとして参加し、その存在が知られるようになります。

さらに同年リリースされたThe Rootsのライブアルバム『The Roots Come Alive』収録の「The Lesson - Part III (It's Over Now)」やJay-Z『Unplugged』の「Heart of the City (Ain't No Love)」でもJaguarがフィーチャーされています。

The Roots Feat. Jaguar「What You Want」
http://www.youtube.com/watch?v=tHr1-GZZ0BQ

そして、2002年にデビュー・アルバム『Denials, Delusions And Decisions』をリリースし、Jill Scottに続く"フィラデルフィアの歌姫"として大きな期待を集めます。その後2005年に2ndアルバム『Divorcing Neo 2 Marry Soul』をリリースしています。

Floetry『Floetic』の記事でも書きましたが、つい最近まで『Divorcing Neo 2 Marry Soul』に関して、発売された2005年に記事エントリー済みだと勘違いしており、結果として彼女の紹介がかなり遅れてしまいました。

結局、商業的にはブレイクしなかったJaguar Wrightですが、当時R&Bファンに大きなインパクトを与えてくれました。今聴いても彼女の2枚のアルバムは実に素晴らしいと思います。最近、殆ど名前を聞かないのが残念ですね。

今日紹介する『Denials, Delusions And Decisions』(2002年)は、ジャケも含めてインパクト十分のデビュー・アルバムです。

Richard NicholsScott StorchJames PoyserPino PalladinoさらにはThe Roots?uestloveLeonard "Hub" HubbardKamal Gray等の豪華プロデューサー陣がJaguarを支えています。

また、The RootsBlack Thoughtやネオ・フィリーを代表する男性R&BシンガーBilalがゲスト参加しています。70年代のフィリー・サウンドを支えた重要人物Larry Goldもストリングス・アレンジ&チェロ演奏で参加しています。

これらの参加メンバーから察しがつくように、当時のネオ・フィリー、Soulquarians、The Rootsの勢いが反映されたサウンドになっています。しかも、アルバム全体が単調にならない多様サウンドで構成されています。

そんなサウンドに負けないJaguar Wright自身のヴォーカルも魅力的です。曲タイプごとにバラエティに富んだスタイルを披露し、勢いだけではないヴォーカリストとしての確かな実力を感じさせます。

2000年代のフィラデルフィアの盛り上がりが凝縮された1枚だと思います。

全曲を紹介しときやす。

「The What If's」
オススメその1。Scott Storch/?uestlove/Richard Nicholsプロデュース。?uestloveとHubが演奏するファンキー・グルーヴをバックに、Jaguarの堂々とした歌いっぷりがグッとくるオープニング。"フィラデルフィアの歌姫"といった雰囲気がビンビン伝わってきます。シングル曲にもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=TCPPZSEOi08

「Country Song」
James Poyserプロデュース。彼の弾くフェンダー・ローズが浮遊するオーガニック・ソウル。ここでのJaguarはプリティな雰囲気で迫ります。Larry Goldによるストリングスが華やかな雰囲気を盛り上げてくれます。

「Stay」
オススメその2。Kamal Gray/Richard Nicholsプロデュース。個人的にはアルバムで一番のお気に入りの美メロ・ソウル。懐かしくて新しいキュートなメロウ・チューンに仕上がっています。ジャケのJaguarのイメージからは想像できません(笑)。YouTubeに音源ないのが残念です。

「Love Need And Want You」
オススメその3。?uestlove/Richard Nicholsプロデュース。Patti LaBelle、1984年のヒット・シングルのカヴァー(Kenny Gamble/Bunny Sigler作)。感動バラードであったオリジナルの魅力を受け継いだ、胸キュンのオーガニック・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=WiMqrDQpN-g

Patti LaBelle「Love, Need And Want You」
 http://www.youtube.com/watch?v=92scnfbZoMk

「Same Sh*t Different Day Pt. 1」
オススメその4。?uestlove/Ed King/James Poyser/Junius Bervineプロデュース。オールド・ソウルとネオ・ソウルが融合した素敵な仕上がり。George Duke「Capricorn」ネタのオルガン・フレーズが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=aFBkzG7u-9s

「Ain't Nobody Playin'」
Scott Storch/Kaosプロデュース。Black Thoughtのラップをフィーチャーした哀愁モードのR&Bチューン。オーガニック・ソウルと言うよりもR&Bファン向けの仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=iLBj6Aimsww

「I Can't Wait」
オススメその5。?uestlove/Richard Nichols/James Poyserプロデュース。シングルにもなりました。Bilalをフィーチャー。浮遊するスカスカな電子サウンドは、『Sign o' the Times』の頃のPrince殿下っぽいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=-3ILXV93jxE

当ブログでもお馴染みのNicolayによるリミックスも楽しいですよ。The S.O.S. Bandファンは思わずニンマリ・・・
「I Can't Wait (Nicolay Remix) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=bgwjcrEZtSY

「I Don't Know」
オススメその6。Vikter Duplaixプロデュース。Black Thoughtのラップをフィーチャー。オーガニック感はありませんが、篭ったサウンドによる不思議な音空間に惹かれます。

「2 Too Many」
オススメその7。Scott Storchプロデュース。ビッチな雰囲気のスロウ・ファンク。Jaguarのイメージとピッタリ符合します。このタイプの曲がもっと有ってもいい気がします。

「Lineage」
?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。Jaguarがパンチのあるヴォーカルを聴かせてくれます。

「Self Love」
Darryl Parham/Leonard "Hub" Hubbard/Omar Edwardsプロデュース。9分を超える大作。激しく捲くし立てるラップと歌の中間のような節回し面白いですね。ラッパーとしても活動していた彼女らしい1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=Jf9GAFyRQ0Q

「Same Sh*t Different Day Pt. 2」
James Poyser/Vikter Duplaixプロデュース。「Same Sh*t Different Day」のPart 2です。ここでも「Self Love」同様、ラップと歌の中間の節回しを聴かせてくれます。

2ndstrong>『Divorcing Neo 2 Marry Soul』(2005年)も充実しています。

『Divorcing Neo 2 Marry Soul』(2005年)
Divorcing Neo 2 Marry Soul

Jazzyfatnastees『The Once and Future』(1999年)、Jill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』(2000年)、Floetry『Floetic』(2002年)あたりをセットで聴くと、さらに楽しめると思います。

Jazzyfatnastees『The Once and Future』(1999年)
ジ・ワンス・アンド・フューチャー

Jill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』(2000年)
フー・イズ・ジル・スコット?

Floetry『Floetic』(2002年)
フロエティック

Jill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』が未紹介のままですね。本当は真っ先に紹介すべき作品なので、近々エントリーしたいと思います。
posted by ez at 02:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする