2010年05月20日

Talc『Sit Down Think』

クラブサウンドを通過したSteely Dan?☆Talc『Sit Down Think』
SIT DOWN THINK (紙ジャケット仕様)
発表年:2006年
ez的ジャンル:クラブ世代Steely Danフォロワー
気分は... :確信犯!

今日はロンドンのクラブサウンド好きにはお馴染み、ロンドン出身のユニットTalcのデビュー・アルバム『Sit Down Think』(2006年)です。

今まで何度も紹介しようと思いながら機会を逸していた1枚でしたが、ようやく取り上げることができました。

TalcDr.FunことJames KnightsThe GiftことNichol Thomsonの二人組です。グループ名は"Talking and Laughing Company"の略だそうです。

マルチ・ミュージシャンである二人は、これまで裏方としてジャズ・ファンク系を中心にこれまで様々なセッションに参加してきましたが、自らの音楽を追求するためにTalcを結成したようです。これまで今日紹介するデビュー・アルバム『Sit Down Think』(2006年)と2nd『Licensed Premises Lifestyle』(2008年)という2枚のアルバムをリリースしています。

当ブログで紹介した他アーティスト作品で言えば、The Baker Brothers『Avid Sounds』にTalcの二人がゲスト参加しています。また、Nichol ThomsonはUKファンク・オールズターズThe Sound Stylisticsの一員でもあり、『Greasin' The Wheels』にトロンボーンで参加しています。

本作『Sit Down Think』ですが、"クラブサウンドを通過した懐かしく、新しいAOR"という説明が多いですよね。個人的にはクラブサウンドを通過したSteely Danフォロワーという説明の方がしっくりきます。Steely Danを聴いた人であれば、本作を聴いて95%以上の人がSteely Danを思い浮かべると思います。

その意味では、以前に紹介したSmooth Reunionに通じるものがあります。ただし、Smooth ReunionほどピュアなSteely Danフォロワーではなく、より確信犯的なものを感じます。さらにSteely Dan的な曲展開やコーラスにヴォコーダーを織り交ぜるセンスも曲者という気がします。

全てのソングライティング、アレンジ、歌・演奏を二人のみで完結させています。個人的にはどこか懐かしいメロディと巧みなヴォーカル・パートに魅力を感じます。ただし、最終的には懐古趣味に終わらない今日的サウンドになっていると思います。

曲者二人が生み出す確信犯サウンドを聴いていると、思わずニヤリとしますよ。

全曲紹介しときやす。

「The 1970's」
レトロな仕上がりを期待させるタイトルですね。曲調とヴォコーダー使いは確かにレトロ・モードですが、そこにTalcらしいスパイスが効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=2AbYy1oqvbo

「Father Tomato」
Steely Danな曲展開やコーラスにグッときます。

「Bobby Fame」
70年代ロック系AOR風のイントロとサビの♪Bobby Fame〜♪Bobby Fame〜♪のキャッチーさが印象的です。

「Modern Sleep Over」
デビュー・シングル。本作のハイライトですね。Herbie Hancock風のヴォコーダー使いが印象的なアーバン・メロウ。
http://www.youtube.com/watch?v=KfvoR6aqcws

「All At Sea」
僕の一番のお気に入り。どこか懐かしさを覚えるメロディが心憎いメロウ・チューン。夕暮れの海辺で聴くとピッタリな雰囲気ですね。

「Please Please Please Me」
曲自体は地味ですが、素晴らしいアレンジとコーラスが光ります。
http://www.youtube.com/watch?v=NTlze2y6k80

「Niteklub」
シニカル・ムードが漂うポップ・チューン。

「Garden Of Dance」
シングルにもなったディスコ・モードのダンス・チューン。モロにディスコ・サウンドではなく、スッキリとした仕上がりがTalcらしいのでは?

「Cheese Dreams」
アルバム全体を通じて巧みなヴォーカル・パートを堪能できますが、本作はその典型ですね。

「Kings Of The Road」
70年代ロック・テイストの仕上がり。ギター・サウンドが強調されています。

「Memory」
「All At Sea」と並ぶお気に入り。黄昏モードのメロウ・チューンです。

「Dad's Tired」
ラストはアーバン・モードのセンチメンタルなバラードです。さらに本編終了後に隠しトラックが収録されているので聴き逃しなく!

2nd『Licensed Premises Lifestyle』(2008年)もセットでどうぞ!

『Licensed Premises Lifestyle』(2008年)
Licensed Premises Lifestyle
「Robot's Return」
 http://www.youtube.com/watch?v=g3-OZERGvlY

未聴の方はSmooth Reunion『Cleaning Up the Business』(2008年)も、ぜひチェックしてみて下さい。

Smooth Reunion『Cleaning Up the Business』(2008年)
クリーニング・アップ・ザ・ビジネス
posted by ez at 02:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月19日

Betty Davis『Betty Davis』

インパクト十分の女性ファンク・ロッカー☆Betty Davis『Betty Davis』
BETTY DAVIS + 3
発表年:1973年
ez的ジャンル:ぶっ飛び派女性ファンク
気分は... :インパクトは大事!

今日は女性ファンクの代表格Betty Davisの初ソロ・アルバム『Betty Davis』(1973年)です。

ジャズ界の帝王Miles Davisの2番目の奥さんとしても有名な人ですね。

"Betty Davis"と聞いて、往年の名女優Betty Davis(1908-1989年)を思い浮かべるか、今日紹介するファンキー・ウーマンBetty Davisを思い浮かべるかで、その人のタイプが想像できそうですな(笑)

Betty Davisは1945年ノースカロライナ州生まれ。

60年代前半にBetty Mabry名義で数枚のシングルをリリースしますが、その後ファッション・モデルへ転身してしまいます。モデルの仕事は長くは続きませんでしたが・・・

1967年、彼女に大きな転機が訪れます。Miles Davisとの出会いです。

以前に紹介したMilesの『Filles De Kilimanjaro』(1968年)のレコーディング中に二人は結婚します。『Filles De Kilimanjaro』のジャケには、幻想的なBettyの表情が写っていますね。また、同アルバムには彼女に因んだ「Mademoiselle Marby (Miss Marby)」が収録されていました。また、『The Man With The Horn』(1981年)収録の「Back Seat Betty」も彼女に因んだ楽曲だと思います。

結局、Milesとの結婚生活は1年ほどしか続きませんでしたが、BettyがMilesに与えた影響は音楽面、ファッション面などで少なくありません。特に音楽面ではJimi Hendrixや、Sly & the Familyに刺激を受け、ジャズとファンク、ロックの融合を試みた1960年代後半からのエレクトリック・マイルス路線はBettyからの影響が大きかったと思われます。当時、彼女はJimi HendrixのガールフレンドDevon Wilsonと親友であり、その交友関係でMilesとJimiは接点を持ったようです。

離婚後のBettyはブレイク前のThe Commodoresへ楽曲提供したり、ロンドンでモデルの仕事をしていましたが、Santanaのパーカッション奏者Michael Carabelloと恋仲になりベイ・エリアへやってきます。そこでJust Sunshine Recordsとの契約に成功し、今日紹介する初のソロ・アルバム『Betty Davis』(1973年)をレコーディングします。その後も『They Say I'm Different』(1974年)、『Nasty Gal』(1975年、Island Records)といったアルバムをリリースし、ファンキー・ウーマンとして存在感を示してくれました。

今日紹介する『Betty Davis』(1973年)は、とてもインパクトのある女性ファンク作品です。

かのMIlesをして、"ブッ飛んでいる女性"と言わしめたBetty Davisの個性が十二分に伝わってきます。ジャケに写るBettyの姿もブッ飛んでいますよね。

中身もハイテンションのかっ飛びファンク・チューン満載です。

プロデュースはMichael Carabelloの仕事仲間であった元Sly & the FamilyのドラマーGreg Erricoが務めています。

レコーディングには、Larry Graham(b)をはじめ、Willie Sparks(vo)、Hershall Kennedy(key)、Patryce Banks(vo)といったGraham Central Stationのメンバー、Greg AdamsMic Gilletteという Tower of Powerのホーン陣、元SantanaでJourney結成前後のNeal Schon(g)、Doug Rodrigues(g)、Merl Saunders(el-p)、Pete Sears(p)等の豪華メンバーが参加しています。バック・コーラス陣も前述のメンバー以外にPointer SistersKathi McDonaldSylvesterと充実しています。

この豪華メンバーが集まれば自ずとファンキーなアルバムとなりますよね。
でもファンキー・サウンド以上にBetty Davisの自由奔放で個性的なヴォーカルの存在感が際立っています。そのスタイルは、今日KelisやMacy Gray などに受け継がれているのでは?

全曲Betty Davisがソングライティング&アレンジを担当しています。

全曲紹介しときやす。

「If I'm In Luck I Might Get Picked Up」
シングルにもなったロック調のファンク・チューン。シングルにもなりました。このオープニングでBetty Davisのアーティストとしての存在感の大きさを実感できるはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=Br265djp2rU

「Walkin Up The Road」
かつてThe Commodoresのために書いた楽曲のセルフ・ヴァージョン。Neal Schonのギターをフィーチャーしたファンキー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=aW2besRoCvQ

「Anti Love Song」
今日では本作のハイライト曲かもしれませんね。僕も一番のお気に入りです。Larry Grahamのベースが腹にズシリと響くクールなファンク・チューン。ナスティな雰囲気がたまりませんな。Da Beatminerz「Anti-Love Song」、Godfather Don「Piece Of The Action」、Nextmen「Revitalize」のサンプリング・ネタにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=fxKBnR_8LIM

Godfather Don「Piece Of The Action」
 http://www.youtube.com/watch?v=7ttq4Bbtj94

「Your Man My Man」
快調なファンク・グルーヴ。バック陣のテンション高い演奏を堪能できます。Patryce Banksのバック・ヴォーカルも素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=FWMR5kseYrg

「Ooh Yeah」
シングルになったスピーディなファンク・グルーヴ。思わずa href="http://eastzono.seesaa.net/article/37121188.html">Sly & the Familyが聴きたくなる1曲ですね。Willie Sparksの低音コーラスがいい味出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=Azj-Tzbgcgg

「Steppin In Her I. Miller Shoes」
「Anti Love Song」に次ぐ僕のお気に入り。軽快なリズムとパンチの効いたBettyのヴォーカルがいいですね。アルバムの中でも最もキャッチーな仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=JJ9TOYLFjPQ

「Game Is My Middle Name」
元々はThe Commodoresのために書いた楽曲。ロック調のファンク・チューン。実にパワフルな仕上がりです。Betty姉さんの絶叫ぶりも最高潮です。Patryce Banks、Pointer Sisters、Kathi McDonald、Sylvester等の豪華なバック・コーラス陣も盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=bgmc6-L81bE

「In The Meantime」
ラストはソウルフルなバラードで締め括ってくれます。南部テイストの仕上がりが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=g1XMa5wuqdQ

CDには「Come Take Me」「You Won't See Me In The Morning」「I Will Take That Ride」という3曲のボーナス・トラックが追加収録されています。特にThe Commodoresのようなサウンドを聴ける「Come Take Me」が印象的です。

『They Say I'm Different』(1974年)、『Nasty Gal』(1975年)もセットでどうぞ!

『They Say I'm Different』(1974年)
THEY SAY I'M DIFFERENT + 4

『Nasty Gal』(1975年)
Nasty Gal
posted by ez at 05:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月18日

Ann Burton『Ballads & Burton』

どこまでも深い感情表現にグッときます!☆Ann Burton『Ballads & Burton』
バラード・アンド・バートン(期間限定盤)
録音年:1969年
ez的ジャンル:欧州女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :これぞバラード・アルバム!

今日は女性ジャズ・シンガーAnn Burtonの人気作『Ballads & Burton』(1969年)です。

ジャズ・ファンからサバービア好きまで幅広いファンを虜にする女性ジャズ・ヴォーカル作品ですね。

Ann Burtonは1933年オランダ。アムステルダム生まれ。50年代半ばからプロのシンガーとしての活動を開始しますが、その道は険しく経済的にも苦境に立たされたようです。

1967年、34歳にして初アルバム『Blue Burton』(1967年)のレコーディング機会に恵まれます。『Blue Burton』はオランダで評判となり、よくやく大きな一歩を踏み出すことに成功しました。続く2ndとなる本作『Ballads & Burton』(1969年)は日本でも評判となり、女性ジャズ・シンガーとしての地位を確立していきます。

その後はコンスタントにアルバムをリリースし、日本にも数回来日しましたが、1989年にガンのため故郷アムステルダムで56年の生涯に幕を閉じました。

僕が持っているのは『Blue Burton』『Ballads & Burton』の2枚のみですが、とりあえずこの2枚がAnn Burtonの定番だと思います。2枚とも甲乙つけ難い素晴らしいバラード・アルバムです。

今回は特に人気が高い『Ballads & Burton』の方を取り上げました。

とにかく歌の上手さや歌詞内容を超越した感情表現の素晴らしさに感動することしきりです。Burtonのどこまでも深い感情表現は、苦境を乗り越えてきた人だからこそ表現できるものという気がしますね。

『Blue Burton』に続き、Louis Van Dyke(p)、Jacques Schols(b)、John Engels(ds)、Rudy Brink(ts)がバックを務めます。彼らの素晴らしいバッキングが『Blue Burton』や本作の魅力をさらに高めていると思います。特にLouis Van Dykeのピアノにはうっとりしてしまいますね。Rudy Brinkのサックスもグッときます。

スタンダードからOtis Redding、Cher等のカヴァーまで、全てがAnn Burtonらしく甘すぎないビタースウィートな仕上がりでグッときます。色で言えば、セピアカラーがよく似合うと思います。

"こんなバラード・アルバムが聴きたかったんだよね"
聴き終ると、そんな思いにさせてくれるアルバムです。

ジャズ初心者の方でもスンナリ入ることができる聴き易いアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「A Lovely Way to Spend an Evening」
邦題「宵のひととき」。Frank Sinatraのヒットで知られるHarold Adamson/Jimmy McHugh作品のカヴァー。このオープニングの最初の一声を聴いた瞬間に"これは絶対に名盤!"と確信しました。歌詞内容がわからなくても、その素晴らしい感情表現に感動するはずです。僕の場合、聴いていると自然に目が潤んできてしまいます。Louis Van Dykeを中心としたリリカルな演奏も言うこと無し!完璧なオープニングです。
http://www.youtube.com/watch?v=ImToJBZ6uRE

「Try a Little Tenderness」
Otis Reddingのヒットで知られる名曲のカヴァー(James Campbell/Reginald Connelly/Harry M. Woods作)。しっとりと落ち着いた雰囲気のバラードで聴かせてくれます。このセンチメンタリズムは欧州ジャズならではのセンスという気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=pfnUWMgxI6c

「Bang Bang」
Cherの大ヒット・シングルのカヴァー(Sonny Bono作)。正直、Cherのオリジナルはあまり好きになれませんが、切々としたバラードの本カヴァーはいいですね。芝居を観ているような気分になる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=8O5dx8yd8U4

Cher「Bang Bang」
 http://www.youtube.com/watch?v=QQ-G8VMs6pA&feature=related

「Someone to Watch over Me」
Ira Gershwin作詞、George Gershwin作曲のスタンダード。オリジナルはミュージカル『Oh, Kay!』(1926年)のために書かれたものです。Ella Fitzgerald、Frank Sinatra、Perry Como等多くのアーティストがカヴァーしています。当ブログではChet Bakerのカヴァーを紹介済みです。曲自体が大好きですが、Burtonヴァージョンは彼女らしい奥深さを堪能できます。Rudy Brinkのサックス・ソロも実に素敵です。

「The Shadow of Your Smile」
アカデミー賞歌曲賞も受賞した映画「いそしぎ」の主題歌(Paul Francis Webster/Johnny Mandel作品)。お馴染みの名曲ですね。当ブログでも既にJohn PattonLou DonaldsonJohnny LytleThe Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimitedのカヴァーを紹介済みです。Burtonヴァージョンは決して甘すぎないビタースウィートな仕上がりが印象的です。

「It Never Entered My Mind」
1940年のミュージカル『Higher and Higher』のために書かれた Lorenz Hart/Richard Rodgers作によるスタンダード。以前にThe Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimitedのカヴァーを紹介済みです。Burtonの表情豊かな歌声とLouis Van Dykeのリリカルなピアノに聴き惚れてしまいます。

「That Old Devil Called Love」
Burtonが敬愛するBillie Holidayの録音で知られる楽曲(Allan Roberts/Doris Fisher作)。80年代のAlison Moyet(元Yazoo)のカヴァー・ヒットでご存知の方もいるかもしれませんね。ここではミドル・テンポでの小粋なカヴァーに仕上げています。

「Here's That Rainy Day」
ミュージカル『Carnival in Flanders』のために書かれたスタンダード(作詞Johnny Burke、作曲Jimmy Van Heusen)。当ブログではこれまでBill EvansThe Oscar Peterson Trio + The Singers UnlimitedAstrud Gilberto/Walter Wanderley Trioのカヴァーを紹介済みですが、Burtonヴァージョンは、それらとはまた異なる仕上がりです。淡々とした語り口がいい感じです。

『Blue Burton』(1967年)もセットでどうぞ!

『Blue Burton』(1967年)
ブルー・バートン(3ヶ月期間限定盤)
posted by ez at 02:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月17日

Eric Clapton『Another Ticket』

レイドバックな雰囲気が心地好い!☆Eric Clapton『Another Ticket』
Another Ticket
発表年:1981年
ez的ジャンル:レイドバック系UKロック
気分は... :バルサ!リーガ2連覇!

サッカーのスペイン・リーガエスパニューラはバルサが最終節で勝利を収め、追いすがるレアル・マドリーを振り切りリーガ2連覇を達成しました。試合開始直後のGKバルデスのキックミスには冷や汗もんでしたが、オンゴールで1点先制した後は安心して観ることができました。

それにしてもバルサとマドリーの2強が突出したシーズンでしたね。
大金出して新銀河系軍団を形成したマドリーを、カンテナ育ちの有望選手が着実に成長したバルサが打ち負かしたことは痛快ですね。今シーズンは特にペドロの成長が大きかったと思います。

CLでは無念の敗退を喫したバルサでしたが、これでスッキリ・モードになりました!

さて、久々のEric Claptonです。
Claptonのソロ作の紹介は3回目になります。

『461 Ocean Boulevard』(1974年)、『There's One In Every Crowd』(1975年)に続いて紹介するのは『Another Ticket』(1981年)です。

一般には評価の低いアルバムですが、初めてリアルタイムで購入したClapton作品であり、個人的に愛着のあるアルバムです。結局、僕がリアルタイムで購入したClapton作品は本作と『Money and Cigarettes』(1983年)の2枚のみでしたが。

『Behind the Sun』(1985年)以降の作品に関しては、Claptonの方向性に失望したのと僕自身のロック離れが進行したせいで全く購入する気が起きませんでした。例外的に「Tears in Heaven」欲しさで『Unplugged』(1992年)は購入しました(笑)

現在、我が家のCD棚に並ぶClaptonソロ作は70年代作品が殆どで80年代作品は本作『Another Ticket』のみです。『Money and Cigarettes』はCDでわざわざ買い直したいとは思いませんでした。

このように僕にとってのEric Claptonのソロ作は『Another Ticket』までが一区切りになっています。

その『Another Ticket』ですが、Tom Dowdがプロデューサーに復帰し、バックはAlbert Lee(vo、g)、Chris Stainton(key)、Gary Brooker(key、vo)、Dave Markee(b)、Henry Spinetti(ds、per)というイギリス人ミュージシャンで固めています。元Procol HarumGary Brookerの参加が目立ちますね。

全体としては70年代Clapton作品同様にブルースを基本にしたアメリカ南部志向のレイド・バック・サウンドを聴かせてくれます。

リアルタイムで聴いた中学生当時は地味なアルバムという印象で、少し物足りなさを感じた記憶があります。その時点で僕が持っていたClapton関連作品は、Derek & The Dominos『Layla & Other Assorted Love Songs』Cream『Live Cream II』『461 Ocean Boulevard』の3枚でしたが、確かにそれらと比較すると分が悪いですよね。

でも、今の僕には昔物足りないと思ったレイドバックな雰囲気が実に心地好いです。きっと時代に左右されないサウンドが今聴いてもフィットするのでしょうね。

現在の嗜好では今更Claptonに熱狂することはありませんが、たまに聴くならば本作のような渋めの作品がいいですね。

全9曲中6曲がClaptonのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Something Special」
リラックス感とシブさにグッとくるオープニング。熟成したワインのように年を経て聴くほどいい味わいに感じます。落ち着きますな。

「Black Rose」
Troy Seals/Eddie Setser作品。レイドバックしたカントリー調の仕上がりです。Troy Seals/Eddie Setserのコンビは次作『Money and Cigarettes』でも1stシングルとなった「I've Got A Rock 'N' Roll Heart」を楽曲提供しています(Steve Diamondも含めた3名での共作)。

「Blow Wind Blow」
Muddy Watersのカヴァー。ここではウッドベースがプレイされ、ブイブイ唸っています。Claptonらしいブルース・カヴァー。

「Another Ticket」
タイトル曲はメロウ・バラード。アルバムかたの2ndシングルにもなりました。個人的にはシンセの音色が邪魔に感じてしまうのですが・・・

「I Can't Stand It」
アルバムからの1stシングル。全米シングル・チャート第10位のヒットとなりました。シングル向けのキャッチーな仕上がりながらも、Claptonらしいビターな味わいを堪能できます。

「Hold Me Lord」
当時聴いていた頃は全く引っ掛かってこない曲だったのですが、今聴くとホンキートンクな雰囲気が小粋でいいですね。

「Floating Bridge」
カントリー・ブルース・シンガー/ギタリストSleepy John Estesのカヴァーです。Claptonのギターにもグッときますが、演奏全体の激シブなアレンジが秀逸です。
http://www.youtube.com/watch?v=yzXRK59e9fk

「Catch Me If You Can」
僕の一番のお気に入り。Gary BrookerとClaptonの共作。ブルージーな躍動感にグッときます。アルバムで最もバンドの一体感を堪能できる演奏なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=WVPuJwrip70

「Rita Mae」
エンディングは、アルバムで最もアグレッシヴな演奏で締め括ってくれます。最初から最後までハイテンションで飛ばしまくってくれます。当時の僕はこのタイプの楽曲のオンパレードを期待していました(笑)。まだまだ青かったですね。

Claptonソロ作の過去記事もご参照下さい。
振り返ると、全てTom Dowdプロデュース作ですね。

『461 Ocean Boulevard』(1974年)
461 Ocean Boulevard

『There's One In Every Crowd』(1975年)
There's One in Every Crowd
posted by ez at 04:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月16日

Grupo Fantasma『El Existential』

Prince殿下もお気に入り!噂のラテン・ファンク・バンド☆Grupo Fantasma『El Existential』
エル・エクシステンシャル
発表年:2010年
ez的ジャンル:ハイブリッド系ラテン・ファンク
気分は... :クセのある味だけど、また食べたくなる!

今回は実力派ラテンファンク・バンドGrupo Fantasmaの新作『El Existential』です。

Grupo Fantasmaはテキサス州オースティン出身を拠点に活動するラテン・ファンク・バンド。結成から10年ほどのキャリアを持つようです。

これまで『Grupo Fantasma』(2002年)、『Movimiento Popular』(2004年)、『Comes Alive』(2006年)、『Sonidos Gold』(2008年)といったアルバムをリリースしています。『Sonidos Gold』はラテン・グラミー賞にもノミネートされました。また、Prince殿下に気に入られ、殿下のライブで前座やバック・バンドを務めたことでも話題となりました。

また、サイド・プロジェクトのBrownout名義でも『Homenaje』(2007年)、『Aguilas and Cobras』(2009年)といったアルバムをリリースしています。

本作にクレジットされているグループのメンバーは、Greg Gonzalez(b)、Adrian Quesada(g)、Matthew "Sweet Lou" Holmes(conga)、Rodolfo "Kino" Esparza(vo、per)、Jose Galeano(per、vo)、Josh Levy(bs、fl)、Beto Martinez(g)、Mark "Speedy" Gonzales(tb)、Gilbert Elorreaga(tp)、Johnny Lopez(ds)の10名です。

1970年代のN.Y.サルサ全盛期を支えた人気ピアニストLarry Harlowが前作『Sonidos Gold』に続いてゲスト参加しているほか、1980年代より活動するオルタナ・ロック・グループThe Meat PuppetsのCurt Kirkwoodも参加しています。

ラテン、サルサ、ファンク、ジャズ、レゲエ、ロック等を取り入れたハイブリッドなラテン・ファンクという謳い文句ですが、実際に聴くと想像以上にラテン色が強いです。特に本作ではクンビアを取り入れた楽曲が目立ちますね。クンビアはコロンビア発祥のラテン音楽であり、レゲエに似たリズムが特徴です。

サルサ、クンビアなどのラテンがベースですが、いきなりラテン・ロック調のギター・ソロが入るあたりにハイブリッド感を堪能できます。

ハイブリッドなファンク・バンドと言えば、ニューオリンズを拠点に活躍するGalacticあたりも刺激的ですが、このGrupo Fantasmaもかなりの曲者集団という気がします。でなければ、殿下のバックは務まりませんよね(笑)

万人受けする訳ではありませんが、リアルな音を堪能できる1枚です。
クセのある味だけど、また食べたくなるエスニック料理みたいですよ(笑)

全曲紹介しときやす。

「Realizando」
オススメその1。オープニングはパワフルなラテン・ファンク。イントロのドラム・ブレイクの格好良さだけでもKOされてしまいます。サルサとラテン・ロックとファンクの美味しいとこ取りといった感じです。

「La Conozco」
オススメその2。ノスタルジックながらもモダンなクンビア・チューン。このリアルなクンビアの演奏を聴けば、Grupo Fantasmaが本物であることをわかるはず!

「Sacatelo Bailando」
オススメその3。70年代N.Y.サルサがお好きな人ならば、相当グッとくる疾走するサルサ・チューン。中間でハードなギター・ソロが入っているあたりがGrupo Fantasmaらしいですが。

「El Consejo」
オススメその4。僕の一番のお気に入り曲。N.Y.サルサ+チカーノ・ロック+Tower Of Powerといった仕上がりの哀愁ラテン・ファンク。特にホーン隊の格好良さがたまりません。クラブ系リスナーの方もグッとくるであろう洗練された仕上がりです。

「Hijo」
「La Conozco」に続くクンビア・チューン。前半はのんびりムードですが、中盤以降は激しさを増してギター・ソロは思い切りロックしています。

「Juan Tenorio」
Larry Harlow参加曲。Buena Vista Social Clubあたりをイメージするボレロ・チューン。Larry Harlowがエレピ・ソロを聴かせてくれます。

「Montanozo」
オススメその5。これぞGrupo Fantasmaらしいハイブリッド・ラテン・チューン。様々なエッセンスが入りすぎて、僕レベルの知識では上手く説明できません(笑)。

「Calor」
哀愁モードのラテン・チューン。メキシコあたりの寂れた町の安酒場をイメージしてしまいます。

「25」
サイケで幻想的な短いインスト。インタールードの位置づけですね。

「Reconciliar」
クンビアとサルサの合わせ技。クンビアののんびりムードが苦手な人でも、サルサのテイストが効いているのですんなり聴くことができると思います。

「Telarana」
オススメその6。The Meat PuppetsのCurt Kirkwoodが参加。アルバムの中でもハイブリッド感を堪能できる1曲です。Curt Kirkwoodのギターも含めてロック・ファンも楽しめる仕上がりです。

「Cumbianchera」
クンビア+チャチャのラテン・チューン。ラテン・ロックなギター・ソロが印象的です。

「Arana Cuna」
オススメその7。70年代ソウル/ファンクの香りも漂うファンキーなラテン・ファンク。ダークな雰囲気がいいですね。

興味がある方はGrupo Fantasmaやサイド・プロジェクトBrownoutの作品もどうぞ!Brownoutから先に聴いた方が入りやすいかも?

『Movimiento Popular』(2004年)
Movimiento Popular

『Comes Alive』(2006年)
Comes Alive

『Sonidos Gold』(2008年)
Sonidos Gold
「Gimme Some」
http://www.youtube.com/watch?v=JwT5bUZm2a4

Brownout『Homenaje』(2007年)
Homenaje
Brownout「African Battle」
 http://www.youtube.com/watch?v=lt6XLo6Y1kU

Brownout『Aguilas and Cobras』(2009年)
Aguilas and Cobras
Brownout「Ayer y Hoy」
 http://www.youtube.com/watch?v=hLVTxGb4lvA
Brownout「Olvidalo」
 http://www.youtube.com/watch?v=MLSaUbxy1mM
Brownout「Family Show」
 http://www.youtube.com/watch?v=s5qrCippa_E
posted by ez at 03:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする