2010年05月10日

Kate Bush『The Dreaming』

お嬢様シンガーのイメージを払拭した狂気の夢世界☆Kate Bush『The Dreaming』
The Dreaming
発表年:1982年
ez的ジャンル:個性派UK女性シンガー
気分は... :日本代表の23名は...

あと1時間ほどでサッカー日本代表の23名の発表です。

僕の願望による23名は以下のとおりです。
GK:楢崎、川嶋、西川
DF:内田、中澤、闘莉王、長友、岩政、駒野、徳永、槇野
MF:中村俊、遠藤、長谷部、松井、本田、今野、稲本
FW:岡崎、玉田、森本、石川、前田

本当は中田浩を選んで欲しいのですが、それは殆ど可能性がないので上記のようなメンバーにしてみました。

スポーツ新聞やTVのスポーツ・ニュースでは攻撃的な選手の選出ばかりを話題にしていますが、守備的な選手を重視した選考にして欲しいですね。アジア予選と異なり、本選では守備重視の布陣で臨むべきだと思っています。

ちなみに僕が希望する先発イレブンは以下の11名
GK:楢崎
DF:中澤、闘莉王、長友、徳永
MF:中村俊、遠藤、長谷部、本田、稲本
FW:森本
フォーメーションとしては4-3-2-1ですかね。

今回はサプライズ選考はあるのでしょうか?
あとは発表を持つのみ!

今回は個性派女性シンガーKate Bushによる狂気の4rhアルバム『The Dreaming』(1982年)です。

Kate Bushは1958年ロンドン生まれ。Pink FloydのDavid Gilmourに見出され、1978年にシングル「Wuthering Heights(邦題:嵐が丘)」でデビュー。いきなりUKシングル・チャート第1位を獲得します。1978年にリリースしたデビュー・アルバム『The Kick Inside』も大ヒットし、アイドル的な"妖精"女性シンガーとして一躍注目の存在となります。同年には早くも2ndアルバム『Lionheart』をリリースしています。

「Wuthering Heights」
http://www.youtube.com/watch?v=BW3gKKiTvjs

その後は『Never For Ever』(1980年)、『The Dreaming』(1982年)、『Hounds of Love』(1985年)、『The Sensual World』(1989年)、『The Red Shoes 』(1993年)といったアルバムをリリースし、個性派アーティストとしての地位を固めていきます。

『The Red Shoes 』リリース後は長い沈黙に入りますが、2005年にカムバック作『Aerial』をリリースしています。

魔女的な雰囲気と演劇的なパフォーマンスの女性シンガーという印象が強いですね。
僕自身はKate Bushファンという訳ではありませんが、本作『The Dreaming』はKate Bushというアーティストの執念と示した作品として大きなインパクトを与えてくれました。

初のセルフ・プロデュースのもと、72トラックを駆使したヴォーカル録音を敢行し、1年の年数と1億円の費用を要して制作された執念の1枚が『The Dreaming』です。その偏執ぶりはBrian Wilsonに迫る勢いですね。

本作でKateは発狂したとの噂が流れるほどのヴォーカルを披露してくれます。これは単にそれまでアイドル的なお嬢様シンガーとのレッテルを勝手に貼っていた人々が、そのギャップに戸惑っただけの話だと思いますが・・・

ヴォーカル・トラックへのこだわり以外に、リズム重視のサウンド作りやケルト音楽からの影響なども本作の聴き所です。

リズム重視のサウンド作りに関しては、原始的なリズムを当時の最新テクノロジーで処理したビートを随所で聴くことができます。このあたりは当ブログでも紹介したPeter Gabriel『Peter Gabriel III』(1980年)への参加や、当時のUK音楽シーンで吹き荒れたポスト・パンクの流れから影響されたものだと思います。

ケルト音楽からの影響については、アーティストとしての自我に目覚めたことが、自然とアイルランド系の血を引く自身のアイデンティテの追求へと向かわせたのかもしれませんね。

今聴くと、時代を感じるサウンドであることは確かですが、この毒々しい美しさは本作でしか味わえない独特のものだと思います。

お嬢様シンガーのイメージを払拭した狂気の夢世界を堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Sat in Your Lap」
アルバムから先行シングルにもなったオープニング(UKシングル・チャート第11位)。PVも含めてインパクトがありますよね。この1曲でアーティストKate Bushの進化を感じ取ることができるはず!彼女の持つ独特の世界観と前述の原始的リズムが上手く融合しています。
http://www.youtube.com/watch?v=xEVMfG8z490

「There Goes a Tenner」
アルバムからの3rdシングル。演劇的要素を上手く音楽に取り込んだKate Bushらしい仕上がりです。淡々とした中の毒々しさがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=5RlTV-YzNmc

「Pull out the Pin」
アルバムの中で一番のお気に入り。殺気さえ感じる美しさが大好きです。これを聴くと、確かに発狂してしまったと勘違いする人もいるかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=IBcDjeR_y7Q

「Suspended in Gaffa」
ケルティック・サウンドとKateの多彩なヴォーカルの組み合わせがいい感じです。毒のある高音ヴォーカルがクセになります。
http://www.youtube.com/watch?v=5w4y1ekS_LE

「Leave It Open」
本作におけるKateのヴォーカル・トラックに対する執念を実感できる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=7OKxRa6GOp4&feature=related

「The Dreaming」
2ndシングルにもなったタイトル曲。本作の特徴の一つであるリズムへのこだわりを感じるアヴァンギャルドな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=0wkkuaTvIso&feature=related

「Night of the Swallow」
嵐の前の静けさといった雰囲気の美しさを持つ前半と、ケルティック・モードでハイテンションとなる後半のコントラストが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=P-K98zomUZ0&feature=related

「All the Love」
Kateの多彩なヴォーカルを堪能できます。多重人格者のように様々なヴォーカルを使い分ける様はお見事ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=rlmSYZkv1pA&feature=related

「Houdini」
タイトルは奇術師フーディーニのこと。ジャケのイメージも本曲の歌詞がモチーフになっています。美しさと狂気が交錯する本曲はアルバムの中でも完成度の高い1曲かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=23EPGzr8pmQ

「Get out of My House」
ラストも発狂モードの毒々しいヴォーカルで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=8NXp7yVYAKc&feature=related

興味がある方は他のKate Bush作品もどうぞ!

『The Kick Inside』(1978年)
天使と小悪魔

『Lionheart』(1978年)
Lionheart

『Never For Ever』(1980年)
Never for Ever

『Hounds of Love』(1985年)
The Hounds of Love (+6 Bonus Track)

『The Sensual World』(1989年)
The Sensual World

『The Red Shoes 』(1993年)
The Red Shoes
posted by ez at 12:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月09日

Stacey Kent『Raconte Moi』

全曲フランス語の小粋な女性ジャズ・ヴォーカル作品☆Stacey Kent『Raconte Moi』
パリの詩
発表年:2010年
ez的ジャンル:アメリカン・フレンチ・ジャズ・ヴォーカル
気分は... :アルバムが俺を呼んでいる !

今日はアメリカ出身ながら、イギリスを拠点に活躍する女性ジャズ・ヴォーカリストStacey Kentの新作『Raconte Moi』です。本作は彼女にとって初の全曲フランス語アルバムです。

Stacey Kentは1968年ニュージャージー州サウスオレンジ生まれ。90年代初めのイギリスへ渡り、そこで公私のパートナーとなるサックス奏者Jim Tomlinsonと出会い、結婚します。それ以降イギリスを拠点に音楽活動を続け、1997年にデビュー・アルバム『Close Your Eyes』をリリースします。

その後はコンスタントにアルバムをリリースし、前作『Breakfast On The Morning Tram』(2007年)ではグラミー賞にもノミネートされています。

一昨日、Anita O'Dayを取り上げたように、最近50年代〜60年代の女性ジャズ・ヴォーカルがマイ・ブームになっています。昨日もCDショップのジャズ・ヴォーカル・コーナーでBeverly KenneyBlossom DearieAnnie Ross等の作品を物色し、Annie Rossのアルバムをゲットしてきました。

そんな50年代〜60年代女性ジャズ・ヴォーカル・モードの僕の気分とリンクした新作ジャズ・ヴォーカル作品が本作『Raconte Moi』です。

CDショップで本作のオープニングを飾る「Les Eaux De Mars」を聴いて、"このアルバムは絶対買い!"と確信しました。「Les Eaux De Mars」Antonio Carlos Jobimの名曲「Aguas de Marco(邦題:三月の水)」のフランス語カヴァーです。

アルバム全体としては、オーソドックスな中にもセンスの良さを感じる女性ジャズ・ヴォーカル・アルバムに仕上がっています。購入後に気付いたのですが、前述のBlossom Dearieのレパートリーも2曲含まれており、アルバムが僕を呼んでいたかのような気分になります。かなりこじ付けですが・・・(笑)

プロデュース&アレンジは旦那様のJim Tomlinsonが担当しており、レコーディングにはGraham Harvey(p、el-p)、John Parricelli(g)、Jeremy Brown(b)、Matt Skelton(ds、per)、Jim Tomlinson(sax、cla)といったメンバーが参加しています。

前作『Breakfast On The Morning Tram』でも3曲ほどフランス語ヴォーカルに披露していたStaceyでしたが、『Breakfast On The Morning Tram』の成功が初の全曲フランス語アルバムへの挑戦へ向かわせたのかもしれませんね。

Stacey Kentの他のアルバムをしっかり聴いているわけではありませんが、全曲フランス語アルバムの試みは大成功しているように感じます。彼女の声質がフランス語の語感と実にマッチしているし、それを引き立てるJim Tomlinsonのアレンジも冴え渡っています。

小粋な女性ジャズ・ヴォーカル作品をお探しの方にオススメです!

全曲紹介しときやす。

「Les Eaux De Mars」
前述のように僕に本作購入を決意させたオープニング。僕の中ではElis ReginaAntonio Carlos Jobimの共演盤『Elis & Tom』のヴァージョンやJoao Gilbertoのヴァージョン(アルバム『Joao Gilberto(邦題:三月の水)』収録)の印象が強いのですが、ここではフランス語カヴァーらしく、少し気取った小粋でキュートな「三月の水」を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=VrvjsjNEocU

「Jardin D'hiver」
Keren Ann & Benjamin Biolay作の名曲のカヴァー。Keren Annのオリジナルは彼女のデビュー・アルバム『La Biographie de Luka Philipsen』(2000年)に収録されています。ボサノヴァの誕生に貢献した偉大なフランス人ミュージシャンHenri Salvador が見事に復活を遂げたアルバム『Chambre avec Vue』のオープニングを飾った楽曲としても有名ですね。

2005年にリリースされたJim Tomlinson Feat. Stacey Kent名義でリリースしたアルバム『The Lyric』で本曲をカヴァーしており、今回は再演となります。全体的な雰囲気は前回のカヴァーと同じですが、アレンジが今回の方が小粋に仕上がっていると思います。またStaceyはライブで作者のKeren Annと本曲をデュエットしたこともあり、彼女にとっても特別な曲なのでしょうね。

Jim Tomlinson Feat. Stacey Kent「Jardin D'hiver」(From 『The Lyric』)
 http://www.youtube.com/watch?v=9K9vT6wvfSc

Keren AnnのオリジナルやHenry Salvadorのヴァージョンも素晴らしいのでぜひ聴いて下さい。

Henri Salvador「Jardin D'hiver」
 http://www.youtube.com/watch?v=lNtT6iVUy7E
Keren Ann「Jardin D'hiver」
 http://www.youtube.com/watch?v=im9fspvvkf4

「Raconte-moi」
タイトル曲はBernie Beaupere/Emilie Satt/Jean-Karl Lucas作の新曲。哀愁モードながらも透明感あふれる素敵なアコースティック・チューンに仕上がっています。

「L'etang」
Paul Misraki作品。Blossom Dearieもカヴァーしていた楽曲です。50年代〜60年代の女性ジャズ・ヴォーカルの雰囲気を2010年ならではの感性で聴かせてくれます。Jim Tomlinsonのサックス・ソロも素敵ですよ!

「La Venus Du Melo」
Bernie Beaupere/Emilie Satt/Jean-Karl Lucas作の新曲。ジャジーなSSW作品といった味わいの仕上がり。John Parricelliの気の利いたアコギにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=cECqQWw6Xmw

「Au Coin Du Monde」
「Jardin D'hiver」に続くKeren Annのカヴァー(Keren Ann & Benjamin Bioley作)。オリジナルはKeren Annの2nd『La Disparition』(2002年)に収録されています。アコギ主体のフォーキーなオリジナルに対して、Staceyヴァージョンはピアノを中心とした美しいジャジー・チューンに仕上がっています。Keren Annのオリジナルとセットでおさえておきたいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=L8sreOgDWNo

Keren Ann「Au Coin Du Monde」
 http://www.youtube.com/watch?v=HPOXUJ8bHUA

「C'est Le Printemps」
英題「It Might As Well Be Spring」(Oscar Hammerstein II作詞、Richard Rodgers作曲)。映画『State Fair』のために1945年に書かれ、アカデミー賞のBest Original Songを受賞した名曲です。Nina SimoneやBlossom Dearieもカヴァーしています。John Parricelliのギターをバックに優しくピュアに聴かせる前半と、ボッサ・アレンジで軽快に歌う後半のコントラストがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=KlP70cu1qqg

「Sait-on Jamais ?」
Camille D’Avril/Jim Tomlinson作の新曲。さり気なくロマンチックなアレンジに胸トキメキます!

「Les Vacances Au Bord De La Mer」
Michel Jonasz作の名曲カヴァー。オールド・ファンはハイファイセット「海辺の避暑地」の原曲としてご存知の方もいるのでは?Staceyがハイファイセットを知っているとは思えませんが、70年代ニューミュージック好きの人はグッとくる仕上がりなのでは?

「Mi Amor」
Claire Denamur作。ラテン・モードの仕上がりでアルバムにアクセントをつけています。
http://www.youtube.com/watch?v=FiSdUbeXdLc

「Le Mal De Vivre」
Barbara作。Graham Harveyのみをバックに、哀愁ヴォーカルで切々と歌い上げます。

「Desuets」
Pierre Dominique Burgaud/Andre Manoukian作。ラストはシンプルながらも小粋なアレンジが光ります。
http://www.youtube.com/watch?v=nDXMF9OJ-cA

間もなくStacey Kent & Jim Tomlinson名義でCandid時代の音源集『Fine Romance』も発売されるようです。

Stacey Kent & Jim Tomlinson『Fine Romance』(2010年)
Fine Romance

他のStacey Kent作品もチェックしたいですね。

『Close Your Eyes』(1997年)
Close Your Eyes

『Love Is...The Tender Trap』(1998年)
Love Is...The Tender Trap

『Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire』(2000年)
Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire

『Dreamsville』(2000年)
Dreamsville

『In Love Again: The Music of Richard Rodgers 』(2002年)
In Love Again

『The Boy Next Door』(2003年)
The Boy Next Door

Jim Tomlinson Feat. Stacey Kent『The Lyric』(2005年)
The Lyric featuring Stacey Kent

『Breakfast On The Morning Tram』(2007年)
Breakfast on the Morning Tram

また、本作購入の副産物として、フランス人女性シンガーソングライターKeren Annの存在を知ることができたのもラッキーでした。Staceyと共にさらに掘り下げたい女性アーティストです。

Keren Ann『La Biographie de Luka Philipsen』(2000年)
La Biographie de Luka Philipsen

Keren Ann『La Disparition』(2002年)
La Disparition

さらに、Henri Salvador の復活アルバム『Chambre Avec Vue』もぜひ聴いてみたい作品です。

Henri Salvador『Chambre Avec Vue』(2000年)
Chambre Avec Vue
posted by ez at 03:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月08日

Bill Withers『+'Justments』

今年に入り嬉しい初CD化が実現!☆Bill Withers『+'Justments』
Justments
発表年:1974年
ez的ジャンル:実直系ニュー・ソウル
気分は... :アジャストしないとね !

日本でも根強い人気を誇るソウル・シンガーBill Withersの3回目の登場です。

『Menagerie』(1977年)、『Still Bill』(1972年)に続いて紹介するのは、1974年リリースの『+'Justments』です。

ちょうど70年代前半のニュー・ソウル路線から70年代後半のアーバン・メロウ路線へ移行する過渡期の作品ですが、今年に入り嬉しい初CD化が実現した1枚です。

「Lean on Me」「Use Me」収録の『Still Bill』「Lovely Day」収録の『Menagerie』あたりと比較すると地味な扱いのアルバムですが、Bill Withersらしさが詰まった好盤だと思います。

タイトルがいいですよね。"+'Justments"とは"Adjustment"のことであり、ジャケでBillが人生における調整の重要性を鏡に綴っています。このあたりの実直さがBill Withersという人の魅力ですね。ちなみにジャケを撮ったのはお馴染みNorman Seeffです。

『Still Bill』同様、Benorce Blackmon(g)、Ray Jackson(key)、Melvin Dunlap(b)、James Gadson(ds)という元The Watts 103rd Street Rhythm Bandのメンバーがバックを務めます。特にMelvin DunlapJames Gadsonの二人はBill本人と一緒に共同プロデュースも務めています。

それ以外にJose Feliciano(g)、Dorothy Ashby(harp)、John Barnes(key)、John Myles(key)、Chip Steen(per)が参加しています。

今まで見過ごされがちだった作品ですが、今回の初CD化を機に再評価されるアルバムなのでは?

全曲紹介しときやす。

「You」
オープニングは「Use Me」と同路線のグルーヴィー・チューン。アルバムからの2ndシングル。全米R&Bシングル・チャート第15位となりました。Benorce Blackmon、Ray Jackson、Melvin Dunlap、James Gadsonというバック陣の演奏がバッチリ決まっています。
http://www.youtube.com/watch?v=pMKBINhQZO0

「The Same Love That Made Me Laugh」
アルバムからの1stシングル。全米R&Bシングル・チャート第10位のヒットとなりました。味わい深いミディアム・スロウです。ニューソウル好きにはグッとくるはず!
http://www.youtube.com/watch?v=ykocdsHFKxM

「Stories」
感動的なバラード。John BarnesのピアノとDorothy Ashbyのハープがビューティフルな音空間を演出してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=M5RSogOduEA

「Green Grass」
アルバムの中では目立たない曲かもしれませんが、なかなか小粋な仕上がりにグッときます。

「Ruby Lee」
Melvin Dunlapの弾く格好良いベースラインに先導されるグルーヴィー・チューン。「Can We Pretend」と並び人気の高い曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=Zo5kjSHmO7M

「Heartbreak Road」
アルバムからの3rdシングル。全米R&Bシングル・チャート第13位となりました。ファンキーかつタイトなリズムとBill独特の節回しが実にマッチしています。個人的には「Can We Pretend」、「Ruby Lee」に次ぐお気に入り。
http://www.youtube.com/watch?v=DjQ6BhnDGGY

「Can We Pretend」
今日的には本作のハイライトですね。僕もアルバムで一番好きです。Jose Felicianoのギターをフィーチャーしたメロウなアコースティック・ソウル。後のアーバン・メロウ路線を予感させます。Felicianoのギターはさすがです!
http://www.youtube.com/watch?v=OWOa4sv6BIE

「Liza」
John Mylesの弾くエレピのみをバックに、Billの味わい深いヴォーカルを堪能できるバラード。厳かな雰囲気にグッときます。

「Make A Smile For Me」
オーケストレーションをバックに従えたサウンドが印象的です。夢の中で癒されているような雰囲気の仕上がりですね。
http://www.youtube.com/watch?v=JhkG2POLszE

「Railroad Man」
ラストはCurtis Mayfield「Superfly」しています(笑)。今日のサンプリングを使ったトラック作りに近いノリですね。Bill Withersらしくはありませんが、パーカッシヴな展開は僕好みです。Jose Felicianoもパーカッションで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=HyfuoamCLDE

Bill Withersの過去記事もご参照下さい。

『Still Bill』(1972年)
スティル・ビル

『Menagerie』(1977年)
Menagerie
posted by ez at 15:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月07日

Anita O'Day『Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May』

Billy May楽団をバックにしたCole Porter集☆Anita O'Day『Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May』
Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May
録音年:1959年
ez的ジャンル:奔放系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :イラっとするけど...

昨日は小さなイラっとすることが重なった結果、大きなイライラとなり爆発しそうです!
悪循環に陥らないように少し頭をクールダウンしないと・・・

そんな状態でCD棚を物色していて何気なく手にしたのが今日の1枚、Anita O'Day『Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May』(1959年)です。

偉大な女性ジャズ・シンガーAnita O'Dayの紹介は、『This Is Anita』(1956年)に続き2回目となります。

タイトルの通り、Billy May楽団をバックに従えたCole Porter作品のカヴァー集です。

Anita O'Dayのアルバムと言えば、『This Is Anita』『Anita Sings the Most』(1957年)の2枚が有名ですが、聴き易さという点では本作あたりから入るのもいいかもしれませんね。僕のような永遠のジャズ初心者向けにもフィットする作品です。

お馴染みのスタンダードがズラリと並ぶ分、Anita O'Dayの個性が浮き彫りになり、彼女のヴォーカルを存分に堪能できると思います。

Anita O'Dayの奔放なヴォーカルが魅力的なのは勿論のこと、それを支えるBilly May楽団の演奏もなかなかエキサイティングです。アップテンポのスウィンギーな演奏も多く、スタンダード集にありがちな一本調子で中だるみすることがないのがいいですね。正統派ジャズ・ファン以外にクラブジャズ好きの人が聴いてもそれなりに楽しめると思います。

Cole Porterの名曲の数々とAnita O'Dayのヴォーカルの相性はバッチリですよ!
Cole Porter作品を整理する機会にもなります!

全曲紹介しときやす。

「Just One of Those Things」
オープニングは1935年のミュージカル『Jubilee』挿入歌。Billy May楽団のスウィンギーな演奏をバックにAnita姉さんもノッっている感じが伝わってきます。かなりグッドなつかみなのでは?

「Love for Sale」
1930年のミュージカル『The New Yorkers』挿入歌。多くのジャズ・ミュージシャンがカヴァーしている人気曲ですね。当ブログでもJorge DaltoGene HarrisDexter Gordonのカヴァーを紹介済みです。でも当時は歌詞の内容が過激で放送禁止だったようですね。そんな刺激的な歌がAnitaのキャラにバッチリはまっている気がします。

「You'd Be So Nice to Come Home To」
1943年のミュージカル映画『Something To Shout About』のために書かれたものです。この曲と言えば、Clifford Brownの演奏をバックに歌うHelen Merrillのカヴァーがあまりにも有名ですね。でもAnita姉さんのヴァージョンもいい雰囲気でグッときますよ。Helen Merrillヴァージョンと聴き比べるのも楽しいですね。

「Easy to Love」
1936年のミュージカル映画『Born To Dance』挿入歌。ウォーキングベースとAnitaの絡みがグッド!聴いていると、何故か昭和の銀座の夜の映像が思い浮かんできます。

「I Get A Kick Out Of You」
1934年のミュージカル『Anything Goes』挿入の有名曲。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。スピード感溢れるスウィンギーな演奏&ヴォーカルはクラブジャズ・ファンが聴いてもグッとくるのでは?

「All of You」
1936年のミュージカル『Silk Stockings』挿入の有名曲。個人的には当ブログで紹介したMiles DavisBill Evans Trioのカヴァーを愛聴しています。Anitaヴァージョンは軽快な仕上がりが実に小粋です。

「Get Out of Town」
1938年のミュージカル『Get Out of Town』挿入歌。Ella Fitzgeraldヴァージョンが有名なようですが、Anitaヴァージョンもドラマチックでいいですよ!

「I've Got You Under My Skin」
1936年のミュージカル映画『Born To Dance』挿入歌。Frank SinatraやThe Four Seasonsなど数多くのアーティストがカヴァーしているスタンダード。当ブログでも先日紹介したばかりのJoe HendersonSonny RollinsDinah Washingtonのカヴァーを紹介済みです。Anitaヴァージョンは軽くラテン・テイストが入っているのがいいですね。

「Night and Day」
数あるCole Porter作品の中でも一番有名な曲かもしれませんね。元々は1932年のミュージカル『Gay Divorce』のために書かれたものです。当ブログではJoe HendersonTracey ThornLennie Dale & Sambalanco TrioSergio Mendes & Brasil '66のカヴァーを紹介済みです。Anitaヴァージョンはスピーディー&スウィンギーで実にスリリングです。

「It's De-Lovely」
1936年のミュージカル『Red Hot and Blue』挿入歌。今回聴き直してみて結構グッときたのがこの曲。50年代女性ジャズ・ヴォーカルの魅力がギュッと詰まっています。

「I Love You」
1944年のミュージカル『Mexican Hayride』挿入歌。Anita O'DayとBilly May楽団の共演らしい出来栄えです。

「What Is This Thing Called Love?」
1929年のレヴュー『Wake Up And Dream』挿入歌。当ブログではBill Evans Trioのカヴァー(アルバム『Portrait In Jazz』)を紹介済みです。Anitaヴァージョンはスリリングかつエレガントな仕上がりで、「I Get A Kick Out Of You」と並ぶ僕のお気に入りです。

CDにはオリジナル12曲に加えて、「You're the Top」(1955年録音)、「My Heart Belongs to Daddy」(1959年録音)、「Why Shouldn't I?」(1960年録音)、「From This Moment On」(1955年録音)、「Love for Sale」(1952年録音)、「Just One of Those Things」(1954年録音)というボーナス・トラック6曲が追加収録されています。

本作を気に入った方はAnitaとBilly Mayの共演第2弾『Anita O'Day And Billy May Swing Rodgers And Hart』 (1960年)もセットでどうぞ!タイトルの通りRichard Rodgers/Lorenz Hartコンビの楽曲をカヴァーした作品です。

『Anita O'Day And Billy May Swing Rodgers And Hart』 (1960年)
アニタ・オデイ・アンド・ビリー・メイ・スウィング・ロジャース・アンド・ハート(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 04:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月06日

Clara Moreno『Morena Bossa Nova』

「Slow Motion Bossa Nova」のクラブ・テイスト・カヴァーにグッときます!☆Clara Moreno『Morena Bossa Nova』
Morena Bossa Nova
発表年:2004年
ez的ジャンル:クラブ系ブラジル音楽/ボサノヴァ
気分は... :絶妙のサジ加減!

晴天が続くと、ブラジル音楽やラテン音楽が聴きたくなりますね。特に昨日の暑さは夏モードの作品が聴きたい気分でしたね。

その気分を反映してセレクトした作品は、ブラジル人女性シンガーClara Morenoの3rdアルバム『Morena Bossa Nova』(2004年)です。

人気ブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyceの娘であるClara Morenoの紹介は、最新作『Miss Balanco』(2009年)に続き2回目となります。

本作『Morena Bossa Nova』は、2nd『Mutante』(1998年)から約6年ぶりにリリースされた3rdアルバムであり、ブラジル音楽/ボサノヴァを打ち込みサウンドも取り入れた新感覚クラブ・サウンドで聴かせてくれます。打ち込みサウンドと言ってもやり過ぎず、生楽器と上手く馴染んでいるのが本作の魅力だと思います。

プロデューサーも務めるRudolfo Stroeter(b)や母親Joyce(vo、g)をはじめ、Tutty Moreno(ds)、Celso Fonseca(g)、Marcos Suzano(per)、Webster Santos(g)、Robertinho Silva(per)、Teco Cardoso(fl、sax)、Nailor "Proveta"(as)ら名だたるブラジル人ミュージシャンがバックを務めます。さらにノルウェー人キーボード奏者Bugge Wesseltoftも参加しています。

Ronaldo Bastos/Celso Fonsecaの名曲「Slow Motion Bossa Nova」、母Joyceの名曲「Aldeia de Ogum」というお楽しみカヴァー2曲がハイライトだと思いますが、それ以外にもクラブ・テイストのスタイリッシュなブラジル音楽を満喫できます。

打ち込みサウンドはあくまでClaraのヴォーカルや素晴らしい生演奏を引き立てるツールであり、ブラジル音楽ファンも十分楽しめる内容だと思います。一方で矛盾するようですが、クラブ・テイストなのでブラジル音楽ファン以外の方も楽しめますよ。

まぁ、聴いてみればわかります!

全曲紹介しときやす。

「Eletromble (Lao) 」
オープニングはWebster Santosのギター、Marcos Suzanoのパーカッションと打ち込みサウンドが交錯するクラブ仕様のダンサブルなエレクトロ・サンバ。本作における新感覚MPBサウンドを象徴する仕上がり。Rudolfo Stroeter作。

「Morena Bossa Nova」
タイトル曲は母Joyceの作品。Joyceもバック・ヴォーカルで参加しています。エレクトロ・サウンドを取り入れた新感覚ボッサ・チューンに仕上がっています。個人的にはThe Bird And The Beeあたりと一緒に聴きたくなります。

「Samba E Tudo」
Ronaldo Bastos/Celso Fonseca作。オリジナルは彼らの人気コラボ作『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)に収録されています。ここでは軽快かつ華やかなバカンス・モードのサンバ・チューンに仕上がっています。さり気ない打ち込みサウンドが新感覚気分を盛り上げてくれます。

「Ela (Rap Da Clara) 」
Gilberto Gil/Rodolfo Stroeter作。アフロ・ブラジリアンな土着的リズムとエレクトロ・サウンドが上手く融合しています。

「Mercado Da Mae Preta」
Rudolfo Stroeter作。清々しい爽快感に満ちた仕上がり。打ち込みナシの演奏は正統派ブラジル音楽ファンも楽しめるはず!Teco Cardosoのフルートが実に涼しげです。

「Outras Praias」
Celso Fonseca作。Webster Santos(g)、Rudolfo Stroeter(b)、Tutty Moreno(ds)、Teco Cardoso(bs)、Nailor "Proveta"(as)らバック陣の好サポートが光ります。

「Slow Motion Bossa Nova」
本作のハイライトであると同時に僕の一番のお気に入り。日本でも人気の高いRonaldo Bastos/Celso Fonseca作品のカヴァー。オリジナルは前述の「Samba E Tudo」と同じく『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)に収録されています。当ブログではCelso Fonseca『Natural』(2003年)収録のヴァージョンを紹介済みです。作者のCelso Fonseca本人も登場する本ヴァージョンではクラブ・テイストのスタイリッシュな「Slow Motion Bossa Nova」を聴くことができます。オリジナルとは異なる魅力を楽しむことができますよ!

Celso Fonsecaは次作『Meu Samba Torto』(2006年)ではプロデューサーを務めることになります。

「Feiticeira」
Rudolfo Stroeter作。Teco Cardosoのアルト・サックスに先導されて、Claraがセクシーなヴォーカルを聴かせてくれます。

「Kabrum」
Rudolfo Stroeter作。クールな仕上がりが魅力です。作者Rudolfo Stroeterのベース・プレイにもグッときます。

「Solidao」
Alcides Ferreira/Antonio Carlos Jobim作。新世代MPBらしいアレンジにグッときます。

「Aldeia de Ogum」
「Slow Motion Bossa Nova」と並ぶ本作のハイライト。母Joyceの人気アコースティック・グルーヴのカヴァーです。Joyceのオリジナルは当ブログでも紹介した『Feminina』(1980年)に収録されています。打ち込みサウンドも取り入れたフロア仕様の仕上がりですが、母親同様に魅惑のスキャットを聴かせてくれます。母娘の聴き比べも楽しいですよ。

「Dans Mon Ile」
ボサノヴァの誕生に貢献したHenri Salvador の名曲をカヴァー。母も参加したJoyce(g)Webster Santos(g)、Rudolfo Stroeter(b)、Tutty Moreno(ds)、Teco Cardoso(fl)というバック陣の演奏が素晴らしいです。

「Heavy Telecoteco」
ラストはJoyce作品。母娘のヴォーカルの掛け合いがサイコーです。バック陣の好サポートも加わった軽快かつ小粋な仕上がりにグッとくるはず!

これを機会に他のClara Moreno作品もチェックしてみて下さい。

『Clara Moreno』(1996年)
クララ・モレーノ

『Mutante』(1998年)
MUTANTE

『Meu Samba Torto』(2006年)
Meu Samba Torto

『Miss Balanco』(2009年)
ミス・バランソ
posted by ez at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする