発表年:2010年
ez的ジャンル:UKクラブジャズ系ラテン・ジャズ
気分は... :GW気分を盛り上げるラテン・ジャズ!
今回は新作アルバムより、Sunlightsquare Latin Combo『Havana Central』です。
GW気分を盛り上げてくれる陽気かつハイテンションのラテン・ジャズ・アルバムですよ!
Sunlightsquare Latin ComboはUKのジャズ・プロジェクトSunlightsquareの中心人物であるClaudio Passavantiによるラテン・ジャズ・プロジェクト。Claudio Passavantiはイタリア人キーボード奏者ですが、活動拠点はロンドンに置いているようです。
Sunlightsquare名義では、これまで『Urban Sessions』(2006年)、『Urban Latin Soul』(2009年)という2枚のアルバムをリリースしています。
『Urban Sessions』にはSteve Gadd、Will Leeという名うてのジャズ・ミュージシャンも全面参加しています。スムーズ・ジャズとハウス/クラブ・ミュージックが融合したようなサウンドはUKらしいクラブジャズですね。『Urban Latin Soul』では、さらにラテン、ソウルのテイストも加わったクロスオーヴァー・サウンドが展開されます。
そして、ラテン/キューバ音楽に魅了されたSunlightsquareの中心人物Claudio Passavantiが、Sunlightsquareのメンバーと共に本場キューバに乗り込み、キューバ人プロデューサーAntonio Rodriguezが集めたキューバ人ミュージシャンとコラボしたのが本作『Havana Central』です。
本作が注目を集めるのは、アルバムに先行してリリースされたシングル「I Believe In Miracles」 の評判からです。当ブログでも紹介したJackson Sistersでお馴染みのダンス・クラシックのラテン・ジャズ・カヴァーです。これがラテン好きのみならず、クラブジャズ好き、ダンス・ミュージック好きの方をも虜にする秀逸カヴァーに仕上がっており、Sunlightsquare Latin Comboへの注目度を一気に高めました。
「I Believe In Miracles」と言えば、このダンス・クラシックの作者の一人であるMark Capanni本人によるヴァージョンがJackson Sistersの数年前にリリースされたオリジナルとして、最近レア・グルーヴ・ファンの間で話題になっていますね。
Jackson Sisters「I Believe In Miracles」
http://www.youtube.com/watch?v=hBBzrHXu1Fg&a=XXaCI7XLMyo
Mark Capanni「I Believe In Miracles」
http://www.youtube.com/watch?v=ERWLbQqWBu4
そのように「I Believe In Miracles」が盛り上がる中で、Sunlightsquare Latin Comboによるカヴァーはグッド・タイミングでのリリースとなりました。
目玉である「I Believe In Miracles」以外にもクラブジャズと本場キューバのラテン音楽が見事に融合した、スタイリッシュかつ本格的なラテン・ジャズを堪能できます。
カヴァー2曲以外は全てClaudio Passavantiのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「La Banda」
オープニングからハイテンションのラテン・グルーヴを聴かせてくれます。華麗なPassavantiのピアノにフルート、ピッコロ、テナー・サックス、トランペット、トロンボーンが絡む演奏は実に洗練されています。クラブジャズ好きもグッとくるスリリングな仕上がり!
「Havana Central」
タイトル曲はラテン/サルサ好きはグッとくる仕上がり。トレースのソロが入るあたりがキューバらしくていいですね。そんな本格ラテン・サウンドの中でPassavantiのオルガンがいい味出しています。
「Para Cuarachar」
「Havana Central」に続き、この曲もラテン/サルサ好きを大喜びさせてくれる出来栄えです。パーカッションの乱舞と畳み掛けるホーン・サウンドで音空間を埋め尽くす感じがたまりません!
「I Believe In Miracles」
前述のように本作のハイライトです。ホーンが豪快に鳴り響き、パーカッションのリズムが軽快に叩かれるラテン・カヴァーです。Jackson Sistersヴァージョンの躍動を受け継ぐヴィヴィド感がたまりません。まさにミラクルな仕上がりですな。
http://www.youtube.com/watch?v=GwTLCr3tVQA
「Bebidas Para Ti, Y Ron Para Mi」
Passavantiのピアノとフルート、ピッコロ、トロンボーンが絶妙に絡む小粋なラテン・ジャズ。センスの良さを感じる演奏です。
「Asi Toda La Vida」
正統派ジャズ・ファンの方が気に入る仕上がりなのでは?しっかりジャズしています。Passavantiのピアニストとしての実力を確認できる1曲。
「Teardrop」
なんとMassive Attackのカヴァーです(オリジナルはアルバム『Mezzanine』収録)。なかなかサプライズな選曲ですね。憂い帯びた哀愁ソングが、テナー・サックスとトンボーンのソロをフィーチャーした端正なラテン・ジャズに生まれ変わっています。
Massive Attack「Teardrop」
http://www.youtube.com/watch?v=yftOy8kz7aE
「El Pollo De Carlitos」
Santana、Maloaあたりのラテン・ロック好きの人も気に入るであろう仕上がりです。素敵なトレースのソロにグッときます。ギターの代わりにトレースが入るだけでグッとキューバンな雰囲気になりますね。
「Chan Chan Boogaloo」
モダンなブーガルー・チューン。本来ブーガルーはキューバ/ラテン音楽とUSポピュラー音楽の融合したものですが、ここではキューバ音楽とUKクラブジャズが見事に融合し、本格的かつ洗練された演奏を聴かせてくれます。
「Toca Otra Vez」
ラストは哀愁モードで締め括ってくれます。憂いを帯びた美しいトレースに魅了されます。
興味がある方はSunlightsquareの作品もチェックしてみて下さい。
『Urban Sessions』(2006年)
『Urban Latin Soul』(2009年)