録音年:1959年
ez的ジャンル:奔放系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :イラっとするけど...
昨日は小さなイラっとすることが重なった結果、大きなイライラとなり爆発しそうです!
悪循環に陥らないように少し頭をクールダウンしないと・・・
そんな状態でCD棚を物色していて何気なく手にしたのが今日の1枚、Anita O'Day『Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May』(1959年)です。
偉大な女性ジャズ・シンガーAnita O'Dayの紹介は、『This Is Anita』(1956年)に続き2回目となります。
タイトルの通り、Billy May楽団をバックに従えたCole Porter作品のカヴァー集です。
Anita O'Dayのアルバムと言えば、『This Is Anita』と『Anita Sings the Most』(1957年)の2枚が有名ですが、聴き易さという点では本作あたりから入るのもいいかもしれませんね。僕のような永遠のジャズ初心者向けにもフィットする作品です。
お馴染みのスタンダードがズラリと並ぶ分、Anita O'Dayの個性が浮き彫りになり、彼女のヴォーカルを存分に堪能できると思います。
Anita O'Dayの奔放なヴォーカルが魅力的なのは勿論のこと、それを支えるBilly May楽団の演奏もなかなかエキサイティングです。アップテンポのスウィンギーな演奏も多く、スタンダード集にありがちな一本調子で中だるみすることがないのがいいですね。正統派ジャズ・ファン以外にクラブジャズ好きの人が聴いてもそれなりに楽しめると思います。
Cole Porterの名曲の数々とAnita O'Dayのヴォーカルの相性はバッチリですよ!
Cole Porter作品を整理する機会にもなります!
全曲紹介しときやす。
「Just One of Those Things」
オープニングは1935年のミュージカル『Jubilee』挿入歌。Billy May楽団のスウィンギーな演奏をバックにAnita姉さんもノッっている感じが伝わってきます。かなりグッドなつかみなのでは?
「Love for Sale」
1930年のミュージカル『The New Yorkers』挿入歌。多くのジャズ・ミュージシャンがカヴァーしている人気曲ですね。当ブログでもJorge Dalto、Gene Harris、Dexter Gordonのカヴァーを紹介済みです。でも当時は歌詞の内容が過激で放送禁止だったようですね。そんな刺激的な歌がAnitaのキャラにバッチリはまっている気がします。
「You'd Be So Nice to Come Home To」
1943年のミュージカル映画『Something To Shout About』のために書かれたものです。この曲と言えば、Clifford Brownの演奏をバックに歌うHelen Merrillのカヴァーがあまりにも有名ですね。でもAnita姉さんのヴァージョンもいい雰囲気でグッときますよ。Helen Merrillヴァージョンと聴き比べるのも楽しいですね。
「Easy to Love」
1936年のミュージカル映画『Born To Dance』挿入歌。ウォーキングベースとAnitaの絡みがグッド!聴いていると、何故か昭和の銀座の夜の映像が思い浮かんできます。
「I Get A Kick Out Of You」
1934年のミュージカル『Anything Goes』挿入の有名曲。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。スピード感溢れるスウィンギーな演奏&ヴォーカルはクラブジャズ・ファンが聴いてもグッとくるのでは?
「All of You」
1936年のミュージカル『Silk Stockings』挿入の有名曲。個人的には当ブログで紹介したMiles DavisやBill Evans Trioのカヴァーを愛聴しています。Anitaヴァージョンは軽快な仕上がりが実に小粋です。
「Get Out of Town」
1938年のミュージカル『Get Out of Town』挿入歌。Ella Fitzgeraldヴァージョンが有名なようですが、Anitaヴァージョンもドラマチックでいいですよ!
「I've Got You Under My Skin」
1936年のミュージカル映画『Born To Dance』挿入歌。Frank SinatraやThe Four Seasonsなど数多くのアーティストがカヴァーしているスタンダード。当ブログでも先日紹介したばかりのJoe HendersonやSonny Rollins、Dinah Washingtonのカヴァーを紹介済みです。Anitaヴァージョンは軽くラテン・テイストが入っているのがいいですね。
「Night and Day」
数あるCole Porter作品の中でも一番有名な曲かもしれませんね。元々は1932年のミュージカル『Gay Divorce』のために書かれたものです。当ブログではJoe Henderson、Tracey Thorn、Lennie Dale & Sambalanco Trio、Sergio Mendes & Brasil '66のカヴァーを紹介済みです。Anitaヴァージョンはスピーディー&スウィンギーで実にスリリングです。
「It's De-Lovely」
1936年のミュージカル『Red Hot and Blue』挿入歌。今回聴き直してみて結構グッときたのがこの曲。50年代女性ジャズ・ヴォーカルの魅力がギュッと詰まっています。
「I Love You」
1944年のミュージカル『Mexican Hayride』挿入歌。Anita O'DayとBilly May楽団の共演らしい出来栄えです。
「What Is This Thing Called Love?」
1929年のレヴュー『Wake Up And Dream』挿入歌。当ブログではBill Evans Trioのカヴァー(アルバム『Portrait In Jazz』)を紹介済みです。Anitaヴァージョンはスリリングかつエレガントな仕上がりで、「I Get A Kick Out Of You」と並ぶ僕のお気に入りです。
CDにはオリジナル12曲に加えて、「You're the Top」(1955年録音)、「My Heart Belongs to Daddy」(1959年録音)、「Why Shouldn't I?」(1960年録音)、「From This Moment On」(1955年録音)、「Love for Sale」(1952年録音)、「Just One of Those Things」(1954年録音)というボーナス・トラック6曲が追加収録されています。
本作を気に入った方はAnitaとBilly Mayの共演第2弾『Anita O'Day And Billy May Swing Rodgers And Hart』 (1960年)もセットでどうぞ!タイトルの通りRichard Rodgers/Lorenz Hartコンビの楽曲をカヴァーした作品です。
『Anita O'Day And Billy May Swing Rodgers And Hart』 (1960年)