
発表年:2010年
ez的ジャンル:ハイブリッド系ラテン・ファンク
気分は... :クセのある味だけど、また食べたくなる!
今回は実力派ラテンファンク・バンドGrupo Fantasmaの新作『El Existential』です。
Grupo Fantasmaはテキサス州オースティン出身を拠点に活動するラテン・ファンク・バンド。結成から10年ほどのキャリアを持つようです。
これまで『Grupo Fantasma』(2002年)、『Movimiento Popular』(2004年)、『Comes Alive』(2006年)、『Sonidos Gold』(2008年)といったアルバムをリリースしています。『Sonidos Gold』はラテン・グラミー賞にもノミネートされました。また、Prince殿下に気に入られ、殿下のライブで前座やバック・バンドを務めたことでも話題となりました。
また、サイド・プロジェクトのBrownout名義でも『Homenaje』(2007年)、『Aguilas and Cobras』(2009年)といったアルバムをリリースしています。
本作にクレジットされているグループのメンバーは、Greg Gonzalez(b)、Adrian Quesada(g)、Matthew "Sweet Lou" Holmes(conga)、Rodolfo "Kino" Esparza(vo、per)、Jose Galeano(per、vo)、Josh Levy(bs、fl)、Beto Martinez(g)、Mark "Speedy" Gonzales(tb)、Gilbert Elorreaga(tp)、Johnny Lopez(ds)の10名です。
1970年代のN.Y.サルサ全盛期を支えた人気ピアニストLarry Harlowが前作『Sonidos Gold』に続いてゲスト参加しているほか、1980年代より活動するオルタナ・ロック・グループThe Meat PuppetsのCurt Kirkwoodも参加しています。
ラテン、サルサ、ファンク、ジャズ、レゲエ、ロック等を取り入れたハイブリッドなラテン・ファンクという謳い文句ですが、実際に聴くと想像以上にラテン色が強いです。特に本作ではクンビアを取り入れた楽曲が目立ちますね。クンビアはコロンビア発祥のラテン音楽であり、レゲエに似たリズムが特徴です。
サルサ、クンビアなどのラテンがベースですが、いきなりラテン・ロック調のギター・ソロが入るあたりにハイブリッド感を堪能できます。
ハイブリッドなファンク・バンドと言えば、ニューオリンズを拠点に活躍するGalacticあたりも刺激的ですが、このGrupo Fantasmaもかなりの曲者集団という気がします。でなければ、殿下のバックは務まりませんよね(笑)
万人受けする訳ではありませんが、リアルな音を堪能できる1枚です。
クセのある味だけど、また食べたくなるエスニック料理みたいですよ(笑)
全曲紹介しときやす。
「Realizando」
オススメその1。オープニングはパワフルなラテン・ファンク。イントロのドラム・ブレイクの格好良さだけでもKOされてしまいます。サルサとラテン・ロックとファンクの美味しいとこ取りといった感じです。
「La Conozco」
オススメその2。ノスタルジックながらもモダンなクンビア・チューン。このリアルなクンビアの演奏を聴けば、Grupo Fantasmaが本物であることをわかるはず!
「Sacatelo Bailando」
オススメその3。70年代N.Y.サルサがお好きな人ならば、相当グッとくる疾走するサルサ・チューン。中間でハードなギター・ソロが入っているあたりがGrupo Fantasmaらしいですが。
「El Consejo」
オススメその4。僕の一番のお気に入り曲。N.Y.サルサ+チカーノ・ロック+Tower Of Powerといった仕上がりの哀愁ラテン・ファンク。特にホーン隊の格好良さがたまりません。クラブ系リスナーの方もグッとくるであろう洗練された仕上がりです。
「Hijo」
「La Conozco」に続くクンビア・チューン。前半はのんびりムードですが、中盤以降は激しさを増してギター・ソロは思い切りロックしています。
「Juan Tenorio」
Larry Harlow参加曲。Buena Vista Social Clubあたりをイメージするボレロ・チューン。Larry Harlowがエレピ・ソロを聴かせてくれます。
「Montanozo」
オススメその5。これぞGrupo Fantasmaらしいハイブリッド・ラテン・チューン。様々なエッセンスが入りすぎて、僕レベルの知識では上手く説明できません(笑)。
「Calor」
哀愁モードのラテン・チューン。メキシコあたりの寂れた町の安酒場をイメージしてしまいます。
「25」
サイケで幻想的な短いインスト。インタールードの位置づけですね。
「Reconciliar」
クンビアとサルサの合わせ技。クンビアののんびりムードが苦手な人でも、サルサのテイストが効いているのですんなり聴くことができると思います。
「Telarana」
オススメその6。The Meat PuppetsのCurt Kirkwoodが参加。アルバムの中でもハイブリッド感を堪能できる1曲です。Curt Kirkwoodのギターも含めてロック・ファンも楽しめる仕上がりです。
「Cumbianchera」
クンビア+チャチャのラテン・チューン。ラテン・ロックなギター・ソロが印象的です。
「Arana Cuna」
オススメその7。70年代ソウル/ファンクの香りも漂うファンキーなラテン・ファンク。ダークな雰囲気がいいですね。
興味がある方はGrupo Fantasmaやサイド・プロジェクトBrownoutの作品もどうぞ!Brownoutから先に聴いた方が入りやすいかも?
『Movimiento Popular』(2004年)

『Comes Alive』(2006年)

『Sonidos Gold』(2008年)

「Gimme Some」
http://www.youtube.com/watch?v=JwT5bUZm2a4
Brownout『Homenaje』(2007年)

Brownout「African Battle」
http://www.youtube.com/watch?v=lt6XLo6Y1kU
Brownout『Aguilas and Cobras』(2009年)

Brownout「Ayer y Hoy」
http://www.youtube.com/watch?v=hLVTxGb4lvA
Brownout「Olvidalo」
http://www.youtube.com/watch?v=MLSaUbxy1mM
Brownout「Family Show」
http://www.youtube.com/watch?v=s5qrCippa_E