発表年:1973年
ez的ジャンル:ぶっ飛び派女性ファンク
気分は... :インパクトは大事!
今日は女性ファンクの代表格Betty Davisの初ソロ・アルバム『Betty Davis』(1973年)です。
ジャズ界の帝王Miles Davisの2番目の奥さんとしても有名な人ですね。
"Betty Davis"と聞いて、往年の名女優Betty Davis(1908-1989年)を思い浮かべるか、今日紹介するファンキー・ウーマンBetty Davisを思い浮かべるかで、その人のタイプが想像できそうですな(笑)
Betty Davisは1945年ノースカロライナ州生まれ。
60年代前半にBetty Mabry名義で数枚のシングルをリリースしますが、その後ファッション・モデルへ転身してしまいます。モデルの仕事は長くは続きませんでしたが・・・
1967年、彼女に大きな転機が訪れます。Miles Davisとの出会いです。
以前に紹介したMilesの『Filles De Kilimanjaro』(1968年)のレコーディング中に二人は結婚します。『Filles De Kilimanjaro』のジャケには、幻想的なBettyの表情が写っていますね。また、同アルバムには彼女に因んだ「Mademoiselle Marby (Miss Marby)」が収録されていました。また、『The Man With The Horn』(1981年)収録の「Back Seat Betty」も彼女に因んだ楽曲だと思います。
結局、Milesとの結婚生活は1年ほどしか続きませんでしたが、BettyがMilesに与えた影響は音楽面、ファッション面などで少なくありません。特に音楽面ではJimi Hendrixや、Sly & the Familyに刺激を受け、ジャズとファンク、ロックの融合を試みた1960年代後半からのエレクトリック・マイルス路線はBettyからの影響が大きかったと思われます。当時、彼女はJimi HendrixのガールフレンドDevon Wilsonと親友であり、その交友関係でMilesとJimiは接点を持ったようです。
離婚後のBettyはブレイク前のThe Commodoresへ楽曲提供したり、ロンドンでモデルの仕事をしていましたが、Santanaのパーカッション奏者Michael Carabelloと恋仲になりベイ・エリアへやってきます。そこでJust Sunshine Recordsとの契約に成功し、今日紹介する初のソロ・アルバム『Betty Davis』(1973年)をレコーディングします。その後も『They Say I'm Different』(1974年)、『Nasty Gal』(1975年、Island Records)といったアルバムをリリースし、ファンキー・ウーマンとして存在感を示してくれました。
今日紹介する『Betty Davis』(1973年)は、とてもインパクトのある女性ファンク作品です。
かのMIlesをして、"ブッ飛んでいる女性"と言わしめたBetty Davisの個性が十二分に伝わってきます。ジャケに写るBettyの姿もブッ飛んでいますよね。
中身もハイテンションのかっ飛びファンク・チューン満載です。
プロデュースはMichael Carabelloの仕事仲間であった元Sly & the FamilyのドラマーGreg Erricoが務めています。
レコーディングには、Larry Graham(b)をはじめ、Willie Sparks(vo)、Hershall Kennedy(key)、Patryce Banks(vo)といったGraham Central Stationのメンバー、Greg Adams、Mic Gilletteという Tower of Powerのホーン陣、元SantanaでJourney結成前後のNeal Schon(g)、Doug Rodrigues(g)、Merl Saunders(el-p)、Pete Sears(p)等の豪華メンバーが参加しています。バック・コーラス陣も前述のメンバー以外にPointer Sisters、Kathi McDonald、Sylvesterと充実しています。
この豪華メンバーが集まれば自ずとファンキーなアルバムとなりますよね。
でもファンキー・サウンド以上にBetty Davisの自由奔放で個性的なヴォーカルの存在感が際立っています。そのスタイルは、今日KelisやMacy Gray などに受け継がれているのでは?
全曲Betty Davisがソングライティング&アレンジを担当しています。
全曲紹介しときやす。
「If I'm In Luck I Might Get Picked Up」
シングルにもなったロック調のファンク・チューン。シングルにもなりました。このオープニングでBetty Davisのアーティストとしての存在感の大きさを実感できるはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=Br265djp2rU
「Walkin Up The Road」
かつてThe Commodoresのために書いた楽曲のセルフ・ヴァージョン。Neal Schonのギターをフィーチャーしたファンキー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=aW2besRoCvQ
「Anti Love Song」
今日では本作のハイライト曲かもしれませんね。僕も一番のお気に入りです。Larry Grahamのベースが腹にズシリと響くクールなファンク・チューン。ナスティな雰囲気がたまりませんな。Da Beatminerz「Anti-Love Song」、Godfather Don「Piece Of The Action」、Nextmen「Revitalize」のサンプリング・ネタにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=fxKBnR_8LIM
Godfather Don「Piece Of The Action」
http://www.youtube.com/watch?v=7ttq4Bbtj94
「Your Man My Man」
快調なファンク・グルーヴ。バック陣のテンション高い演奏を堪能できます。Patryce Banksのバック・ヴォーカルも素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=FWMR5kseYrg
「Ooh Yeah」
シングルになったスピーディなファンク・グルーヴ。思わずa href="http://eastzono.seesaa.net/article/37121188.html">Sly & the Familyが聴きたくなる1曲ですね。Willie Sparksの低音コーラスがいい味出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=Azj-Tzbgcgg
「Steppin In Her I. Miller Shoes」
「Anti Love Song」に次ぐ僕のお気に入り。軽快なリズムとパンチの効いたBettyのヴォーカルがいいですね。アルバムの中でも最もキャッチーな仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=JJ9TOYLFjPQ
「Game Is My Middle Name」
元々はThe Commodoresのために書いた楽曲。ロック調のファンク・チューン。実にパワフルな仕上がりです。Betty姉さんの絶叫ぶりも最高潮です。Patryce Banks、Pointer Sisters、Kathi McDonald、Sylvester等の豪華なバック・コーラス陣も盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=bgmc6-L81bE
「In The Meantime」
ラストはソウルフルなバラードで締め括ってくれます。南部テイストの仕上がりが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=g1XMa5wuqdQ
CDには「Come Take Me」、「You Won't See Me In The Morning」、「I Will Take That Ride」という3曲のボーナス・トラックが追加収録されています。特にThe Commodoresのようなサウンドを聴ける「Come Take Me」が印象的です。
『They Say I'm Different』(1974年)、『Nasty Gal』(1975年)もセットでどうぞ!
『They Say I'm Different』(1974年)
『Nasty Gal』(1975年)