発表年:2002年
ez的ジャンル:ネオ・フィリー系女性R&B
気分は... :この面構えは只者ではない!
今回は女性R&BシンガーJaguar Wrightのデビュー・アルバム『Denials, Delusions And Decisions』(2002年)です。
Jaguar Wrightは1977年フィラデルフィア出身。
以前に紹介した女性R&BデュオJazzyfatnasteesと同じくThe RootsのレーベルMotiveに所属していた女性R&Bシンガーです。
1999年、映画『The Best Man』のサントラのオープニングを飾った「What You Want」にThe Roots Feat. Jaguarとして参加し、その存在が知られるようになります。
さらに同年リリースされたThe Rootsのライブアルバム『The Roots Come Alive』収録の「The Lesson - Part III (It's Over Now)」やJay-Z『Unplugged』の「Heart of the City (Ain't No Love)」でもJaguarがフィーチャーされています。
The Roots Feat. Jaguar「What You Want」
http://www.youtube.com/watch?v=tHr1-GZZ0BQ
そして、2002年にデビュー・アルバム『Denials, Delusions And Decisions』をリリースし、Jill Scottに続く"フィラデルフィアの歌姫"として大きな期待を集めます。その後2005年に2ndアルバム『Divorcing Neo 2 Marry Soul』をリリースしています。
Floetry『Floetic』の記事でも書きましたが、つい最近まで『Divorcing Neo 2 Marry Soul』に関して、発売された2005年に記事エントリー済みだと勘違いしており、結果として彼女の紹介がかなり遅れてしまいました。
結局、商業的にはブレイクしなかったJaguar Wrightですが、当時R&Bファンに大きなインパクトを与えてくれました。今聴いても彼女の2枚のアルバムは実に素晴らしいと思います。最近、殆ど名前を聞かないのが残念ですね。
今日紹介する『Denials, Delusions And Decisions』(2002年)は、ジャケも含めてインパクト十分のデビュー・アルバムです。
Richard Nichols、Scott Storch、James Poyser、Pino PalladinoさらにはThe Rootsの?uestlove、Leonard "Hub" Hubbard、Kamal Gray等の豪華プロデューサー陣がJaguarを支えています。
また、The RootsのBlack Thoughtやネオ・フィリーを代表する男性R&BシンガーBilalがゲスト参加しています。70年代のフィリー・サウンドを支えた重要人物Larry Goldもストリングス・アレンジ&チェロ演奏で参加しています。
これらの参加メンバーから察しがつくように、当時のネオ・フィリー、Soulquarians、The Rootsの勢いが反映されたサウンドになっています。しかも、アルバム全体が単調にならない多様サウンドで構成されています。
そんなサウンドに負けないJaguar Wright自身のヴォーカルも魅力的です。曲タイプごとにバラエティに富んだスタイルを披露し、勢いだけではないヴォーカリストとしての確かな実力を感じさせます。
2000年代のフィラデルフィアの盛り上がりが凝縮された1枚だと思います。
全曲を紹介しときやす。
「The What If's」
オススメその1。Scott Storch/?uestlove/Richard Nicholsプロデュース。?uestloveとHubが演奏するファンキー・グルーヴをバックに、Jaguarの堂々とした歌いっぷりがグッとくるオープニング。"フィラデルフィアの歌姫"といった雰囲気がビンビン伝わってきます。シングル曲にもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=TCPPZSEOi08
「Country Song」
James Poyserプロデュース。彼の弾くフェンダー・ローズが浮遊するオーガニック・ソウル。ここでのJaguarはプリティな雰囲気で迫ります。Larry Goldによるストリングスが華やかな雰囲気を盛り上げてくれます。
「Stay」
オススメその2。Kamal Gray/Richard Nicholsプロデュース。個人的にはアルバムで一番のお気に入りの美メロ・ソウル。懐かしくて新しいキュートなメロウ・チューンに仕上がっています。ジャケのJaguarのイメージからは想像できません(笑)。YouTubeに音源ないのが残念です。
「Love Need And Want You」
オススメその3。?uestlove/Richard Nicholsプロデュース。Patti LaBelle、1984年のヒット・シングルのカヴァー(Kenny Gamble/Bunny Sigler作)。感動バラードであったオリジナルの魅力を受け継いだ、胸キュンのオーガニック・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=WiMqrDQpN-g
Patti LaBelle「Love, Need And Want You」
http://www.youtube.com/watch?v=92scnfbZoMk
「Same Sh*t Different Day Pt. 1」
オススメその4。?uestlove/Ed King/James Poyser/Junius Bervineプロデュース。オールド・ソウルとネオ・ソウルが融合した素敵な仕上がり。George Duke「Capricorn」ネタのオルガン・フレーズが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=aFBkzG7u-9s
「Ain't Nobody Playin'」
Scott Storch/Kaosプロデュース。Black Thoughtのラップをフィーチャーした哀愁モードのR&Bチューン。オーガニック・ソウルと言うよりもR&Bファン向けの仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=iLBj6Aimsww
「I Can't Wait」
オススメその5。?uestlove/Richard Nichols/James Poyserプロデュース。シングルにもなりました。Bilalをフィーチャー。浮遊するスカスカな電子サウンドは、『Sign o' the Times』の頃のPrince殿下っぽいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=-3ILXV93jxE
当ブログでもお馴染みのNicolayによるリミックスも楽しいですよ。The S.O.S. Bandファンは思わずニンマリ・・・
「I Can't Wait (Nicolay Remix) 」
http://www.youtube.com/watch?v=bgwjcrEZtSY
「I Don't Know」
オススメその6。Vikter Duplaixプロデュース。Black Thoughtのラップをフィーチャー。オーガニック感はありませんが、篭ったサウンドによる不思議な音空間に惹かれます。
「2 Too Many」
オススメその7。Scott Storchプロデュース。ビッチな雰囲気のスロウ・ファンク。Jaguarのイメージとピッタリ符合します。このタイプの曲がもっと有ってもいい気がします。
「Lineage」
?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。Jaguarがパンチのあるヴォーカルを聴かせてくれます。
「Self Love」
Darryl Parham/Leonard "Hub" Hubbard/Omar Edwardsプロデュース。9分を超える大作。激しく捲くし立てるラップと歌の中間のような節回し面白いですね。ラッパーとしても活動していた彼女らしい1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=Jf9GAFyRQ0Q
「Same Sh*t Different Day Pt. 2」
James Poyser/Vikter Duplaixプロデュース。「Same Sh*t Different Day」のPart 2です。ここでも「Self Love」同様、ラップと歌の中間の節回しを聴かせてくれます。
2ndstrong>『Divorcing Neo 2 Marry Soul』(2005年)も充実しています。
『Divorcing Neo 2 Marry Soul』(2005年)
Jazzyfatnastees『The Once and Future』(1999年)、Jill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』(2000年)、Floetry『Floetic』(2002年)あたりをセットで聴くと、さらに楽しめると思います。
Jazzyfatnastees『The Once and Future』(1999年)
Jill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』(2000年)
Floetry『Floetic』(2002年)
Jill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』が未紹介のままですね。本当は真っ先に紹介すべき作品なので、近々エントリーしたいと思います。