発表年:1974年
ez的ジャンル:稀代のメロディ・メイカー系MPB
気分は... :一人さすらいたくなる・・・
今日は70年代ブラジルの気分だったのCD棚からふと手に取ったのが、21世紀に入り人気急上昇となったアルバムArthur Verocai『Arthur Verocai』(1972年)でした。
しかしながら、『Arthur Verocai』はジャケのイメージが今の季節に似合わないので、Ivan Lins『Modo Livre』(1974年)へ変更しました。『Modo Livre』にはArthur Verocaiもアレンジャー&ギタリストとして参加しています。まぁ、『Modo Livre』も今の季節にジャスト・フィットとは言えませんが(汗)
MPBを代表する男性シンガー・ソングライターIvan Linsの紹介は、『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)に続き2回目となります。
本作『Modo Livre』は、『Agora』(1971年)、『Deixa O Trem Seguir』(1971年)、『Quem Sou Eu ?』(1972年)に続く4thアルバムとなります。初期の代表作の呼び声が高いアルバムですね。
また、タイトル"Modo Livre"はそのまま彼のバック・バンド名にもなりました。本作におけるModo Livreの中心メンバーは前述のArthur Verocai(g)、Wagner Tiso(org)、Luis Carlos Alves(b)、Robertinho Silva(ds)、Chiquinho (Chico) Batera(per)等です(次作以降は大幅なメンバー・チェンジが行われますが)。Wagner Tiso、Luis Carlos Alves、Robertinho SilvaはMilton Nascimentoのバックを務めたグループSom Imaginarioのメンバーとしても知られています。
男の哀愁が漂うジャケのイメージそのままに、聴いていると一人さすらいたくなるアルバムです。
稀代のメロディ・メイカーとして素晴らしい曲を書いているのは勿論のこと、ヴォーカル、コーラス、アレンジどれを取っても100%Ivan Lins印の演奏も最高です。その意味ではアレンジを担当したArthur Verocaiの貢献も大きいと思います。
『Somos Todos Iguais Nesta Noite』と並び、最初にチェックすべきIvan Lins作品なのでは?
全曲を紹介しときやす。
「Rei Do Carnaval...」
Paulo Cesar Pinheiro/Ivan Lins作。軽やかなピアノに誘われて、Ivan Lins独特のメロディを堪能できます。このフワフワした躍動感はIvan Linsならではですね。
「Deixa Eu Dizer」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。悲嘆する心の叫びが熱いヴォーカルとなって切実に伝わってきます。力強いタッチのピアノも印象的ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=nBd5xzUOaSk
本曲と言えば、クラブ系リスナーに人気のClaudiaによるカヴァーも要チェック!
Claudia「Deixa Eu Dizer」
http://www.youtube.com/watch?v=sUFOF7GCfSg
「Avarandado」
Caetano Velosoのカヴァー。Gal Costa & Caetano Velosoの名盤『Domingo』(1967年)でGal Costaがキュートに歌っていましたね。Ivan Linsヴァージョンはエレガント&ロマンチックな仕上がりです。
「Tens (Calmaria) 」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。しみじみと心に染み入る作品。ジワジワ盛り上がってくる感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=u8NmgSQcl2U
Hip-HopファンはNujabes Feat. Shing02「Luv (Sic) Pt. 3」の元ネタとして聴いているのでは?Nujabesと言えば、彼の突然の死(2月26日に交通事故で死去)はショックでしたね。
Nujabes Feat. Shing02「Luv (Sic) Pt. 3」
http://www.youtube.com/watch?v=UyoYf7rZVGI
「Nao Tem Perdao」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作品。Ivan Linsらしい哀愁感が漂います。
「Abre Alas」
Vitor Martins/Ivan Lins作。名コンビとして知られる二人の記念すべき共作第1作です。名曲の貫禄が漂う感動的な仕上がりです。曲も素晴らしいですが、アレンジも最高ですね。聴いていると、心を無にして一人さすらいたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=OFEtPXLSNV4
「Chega」
Ivan Lins作。男の哀愁が漂う感じがたまりません。サックス・ソロも哀愁モードを盛り上げてくれます。
「Espero」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。何処か遠い世界で飛んでいけそうな気分になりますね。コンポーザーとしてのIvanの才能を実感できる1曲です。
「Essa Mare」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。クラブ系リスナーにとってのハイライト。軽快なサンバのリズムが心地よいブラジリアン・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=BrH9fIWezho
「Desejo」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。Ivanのヴォーカルに寄り添うマリンバの音色が印象的です。2分半にも満たない曲ですが、恋愛ドラマを観終わったような気分にさせてくれます。
「General da Banda/A Fonte Secou/Recordar」
ラストは「General da Banda」(Satyro de Melo/Tancredo Silva/Jose Alcides作)、「A Fonte Secou」(Monsueto Menezes/Tuffy Lauar/Marcleo作)、「Recordar」(Alcir Louro/Aluisio Marins/Adolfo Macedo)という3曲のメドレー。『Somos Todos Iguais Nesta Noite』のオープニングを飾った「Quadras De Rodas」もそうですが、彼の演奏するメドレーって曲のつなぎが実に見事ですね。
Ivan Linsについては未聴の作品も多いので、70年代作品を中心にコレクションを充実させたいですね。
『Agora』(1971年)
『Deixa O Trem Seguir』(1971年)
『Quem Sou Eu?』(1972年)
『Chama Acesa』(1975年)
『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
『Nos Dias de Hoje』(1978年)
『A Noite』(1979年)
『Novo Tempo』(1980年)
Arthur Verocai『Arthur Verocai』は、このジャケが似合う季節になったら紹介しますね(笑)
Arthur Verocai『Arthur Verocai』(1972年)