2010年06月29日

A Bossa Eletrica『Eletrificacao』

「Tombo In 7/4」「Skindo-Le-Le」の絶品カヴァー収録!北欧ブラジリアン・フュージョン☆A Bossa Eletrica『Eletrificacao』
エレトリフィカサォン
発表年:2004年
ez的ジャンル:北欧ブラジリアン・フュージョン
気分は... :ミラクルを期待して・・・

サッカーW杯はオランダ、ブラジルが順当に勝ち上がりました。

次は「オランダ対ブラジル」の対戦となり、「アルゼンチン対ドイツ」と並ぶ準々決勝屈指の好カードとなりました。この勝者がそれぞれ決勝に進む可能性がかなり高いのでは?今から楽しみです。

今回はスウェーデン出身のジャズ・ユニットA Bossa Eletricaのデビュー・アルバム『Eletrificacao』(2004年)です。

A Bossa EletricaMans Mernsten(key)、Mans Block(ds、per)、Mats Ingvarsson(b)を中心にMiriam Aida(vo)、Mats Andersson(g)、Fredrik Kronkvist(sax、fl)を加えた6人がスウェーデン南部で結成したグループです。

2002年にシングル「Tombo In 7/4」をリリースし、話題となります。そして、じっくりと時間をかけて制作されたデビュー・アルバムが本作『Eletrificacao』です。

簡単に言えば、北欧ブラジリアン・フュージョンですが、表層的なブラジリアン・フレイヴァーになっていない点とクラブ・テイストを上手く結び付けている点が魅力ですね。

収録曲を眺めると、「Beleza Nao Vai Embora」(Orlann Divoのカヴァー)、「Consolacao」(Baden Powellのカヴァー)、「Tombo In 7/4」Airto Moreiraのカヴァー)、「Skindo-Le-Le」Viva Brasilのカヴァー)といった4曲のカヴァーが目立ちます。

特に「Tombo In 7/4」「Skindo-Le-Le」の2曲がサイコーなのですが、これら2曲はあくまでもボーナス・トラックです。まずはオリジナル曲を中心とした本編を楽しみ!最後に最高のカヴァー2曲を楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Quem Vai Devolver Meu Dia」
アルバムは軽快なブラジリアン・グルーヴでスタート。クラブカルチャー経由の小粋なセンスを感じる仕上がりです。

「Tudo Esta Previsto」
アコースティックな味わいが涼しげなボッサ・チューン。メロウになりすぎない感じが逆にいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=e0B2wU1MyDc

「Veja O Sol」
オススメその1。オリジナル曲の中では一番キャッチーなブラジリアン・フュージョンに仕上がっていると思います。適度にミステリアスな雰囲気が漂うのもいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=TFzZ3L1OzK8

「Para Variar」
オススメその2。彼らのセンスの良さを最も実感できる1曲だと思います。ブラジル音楽好きの方もグッとくる心憎い仕上がりです?Miriam Aidaのヴォーカルも素晴らしいですね。

「Beleza Nao Vai Embora」
オススメその3。Orlann Divoのカヴァー(Orlann Divo/Durval Ferreia作)。オリジナルにはない疾走感にグッときます。クラブジャズ好きの人は絶対に気に入るはず!

Orlann Divo「Beleza Nao Vai Embora」
 http://www.youtube.com/watch?v=06jmc8MNRFQ

「Vem A Tarde」
オーケストレーションも配したムーディーな仕上がり。ブラジルの郷愁感とは異なる北欧ならではのサウダージ感(?)が漂います。

「Maculele」
アフロ・ブラジリアン・フレイヴァーのリズムが印象的です。エレクトリック・ベースの地を這うような低音が土着的リズムとよくマッチしています。

「Ilusao」
オススメその4。落ち着きのある大人のボッサ・チューン。カフェ・モード気分にはピッタリなのでは?

「Eletrificacao」
オススメその5。タイトル曲は実に洗練されたブラジリアン・メロウ。ブラジル音楽のツボをおさえた曲作りのセンスとブラジル音楽にクラブカルチャーのエッセンスを上手く加えたアレンジのセンスが融合した素晴らしい仕上がり!

「Brazuka」
軽快に駆け巡るブラジリアン・フュージョン。北欧クラブジャズらしい演奏も堪能できます。

「Consolacao」
オススメその6。Baden Powell作の名曲カヴァー。本曲については、当ブログではこれまでTamba 4Tenorio Jr.Lennie Dale & Sambalanco TrioCelso Fonsecaのカヴァーを紹介してきました。本ヴァージョンはクラブジャズ・テイストの仕上がりで本曲の新たな魅力を示してくれます。涼しげな疾走感がたまりません!

ここまでが本編です。そして前述のように極上のボーナス・トラック2曲が追加収録されています。

「Tombo In 7/4」
オススメその7。彼らのデビュー・シングル。Airto Moreiraの名曲カヴァーです。妖しげなフルートと女声スキャットが誘うクラブ・テイストの格好良いブラジリアン・フュージョンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=WDeE2AC3uaE

Airto Moreira「Tombo In 7/4」
 http://www.youtube.com/watch?v=tKxposkFaQY

「Skindo-Le-Le」
オススメその8。当ブログでも紹介したViva Brasilの人気ブラジリアン・フュージョンのカヴァー。Miriam Aidaの爽快ヴォーカルとスタイリッシュ・サウンドが織り成すナイス・カヴァーです。やはり♪スキンド・スキンド・スキンド・スキンド・ド・レ・レ〜♪の盛り上がりはサイコーですね。
http://www.youtube.com/watch?v=z6sowAMxnBs

Viva Brasil「Skindo-Le-Le」
 http://www.youtube.com/watch?v=z6sowAMxnBs

さぁ、今日は「日本対パラグアイ」戦!
かなりの難関ですが、今のチームの勢いを考えるとミラクルを期待してしまいますよね。
posted by ez at 09:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月28日

Dexter Wansel『Time Is Slipping Away』

人気フィリー・メロウ「The Sweetest Pain」収録☆Dexter Wansel『Time Is Slipping Away』
タイム・イズ・スリッピング・アウェイ(紙ジャケット仕様)
発表年:1979年
ez的ジャンル:後期フィリー・サウンド
気分は... :イングランド散る・・・

サッカーW杯は決勝トーナメント1回戦の目玉「イングランド対ドイツ」戦が行われ、1対4でドイツが快勝しました。前半のランパード"幻のゴール"は本当に気の毒でしたね。

ただし、イングランドは疑惑の判定云々よりもグループリーグを1位通過できなかったことが、ベスト16止まりに終わった最大の原因だと思います。また、若手の台頭が目立つドイツと比較して、4年前と大して顔ぶれが変わらないメンバー構成もどうだったのかな?という気がします。

逆にドイツはチームが一戦ごとに成長している印象を受けます。その意味ではグループリーグのセルビア戦の敗戦が良い薬となっているのでは?

できれば準々決勝は「ドイツ対アルゼンチン」を観たいですね。

今回は後期フィリー・サウンドを支えたキーマンの一人Dexter Wanselの4thソロ『Time Is Slipping Away』(1979年)です。

Dexter Wanselはペンシルベニア出身のキーボード奏者/プロデューサー/アレンジャー。

Gamble & HuffのPhiladelphia International Records(PIR)において、70年代後半よりプロデューサー/アレンジャー/ソングライティングとして重用され、The JacksonsMFSBBilly PaulJean CarnLou RawlsTeddy PendergrassPatti LabelleThe StylisticsThe Jones Girls等を手掛けました。まさに70年代後半から80年代前半のPIRを牽引した功労者の一人と言えるかもしれませんね。

また70年代に後半にはDexter Wansel自身ソロ作として、『Life on Mars』(1976年)、『What the World Is Coming To』(1977年)、『Voyager』(1978年)、『Time Is Slipping Away』(1979年)という4枚のアルバムをリリースしています。
※その後、2004年に久々のソロ『Digital Groove World』をリリースしています。

今回紹介する『Time Is Slipping Away』は、上記の4枚のソロ作の中で今日最も人気の高い1枚だと思います。シングルにもなった「I'll Never Forget (My Favourite Disco) 」をはじめとするダンス・チューンと、ハイライト曲「The Sweetest Pain」「New Beginning」といったメロウ・チューンがバランス良く配されている充実作です。

Dexter Wanselが全曲プロデュースし、殆どの曲のソングライティングも手掛けています。The Jones Girls「Nights over Egypt」、Patti Labelle「If Only You Knew」を共に書いたCynthia Biggsとの共作も3曲含まれています。

殆どがヴォーカル曲であり、Wansel自身がヴォーカルを務める曲もありますが、それ以上にThe Jones Girls、Terri Wells等のゲスト・ヴォーカル陣の華やかさが目立っています。

個人的には「The Sweetest Pain」に代表されるメロウ・サウンドにグッときます。

Wanselにそっくりのブルドッグと共に写るジャケはイマイチですが、コンテンポラリーなサウンド・センスは抜群だと思います。

後期フィリー・サウンドを支えたキーマンのサウンドをじっくり堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「I'll Never Forget (My Favourite Disco) 」
シングルにもなったオープニング。The Jones Girlsがヴォーカルを務めるダンス・チューン。めくるめくフィリー・サウンドの中にもコンテンポラリーなアレンジ・センスが光ります。
http://www.youtube.com/watch?v=FJF4SfhuZeY

「The Sweetest Pain」
本作のハイライト。Terri Wellsのヴォーカルをフィーチャーした人気のメロウ・チューン。アーバン感覚のクール&メロウ・サウンドにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=PctLKcvYLGk

当ブログで紹介済みのLoose EndsStefania Ravaのカヴァーも良いですよ!また、DJ Cam「Dieu Reconnaitra Les Siens」、J. Rawls feat. Venus Malone & Wordsworth「Inhale Exhale」、Cash Crew feat. 2 Neg「Turn It Out」等のサンプリング・ソースにもなっています。

Loose Ends「The Sweetest Pain」
 http://www.youtube.com/watch?v=EYjRqdwbwlw
DJ Cam「Dieu Reconnaitra Les Siens」
 http://www.youtube.com/watch?v=425rOjZ7ejo
J. Rawls feat. Venus Malone & Wordsworth「Inhale Exhale」
 http://www.youtube.com/watch?v=8b2vVb9TOV0
Cash Crew feat. 2 Neg「Turn It Out」
 http://www.youtube.com/watch?v=1QupyBnh09M

サンプリング・ソースという点では、『Life on Mars』収録の「Theme from the Planets」も定番ですね。
「Theme from the Planets」
http://www.youtube.com/watch?v=dNQ8PFD1AU8

「Funk Attack」
オリエンタル・ムードのイントロでスタートするファンク・チューン。シンセのブリブリ感とギターのセクシーな音色が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=Rtd7JJA4hBU

「Time Is Slipping Away」
タイトル曲はWansel自身がリード・ヴォーカルをとるアーバン・メロウ・チューン。悪くはありませんが、他の曲の出来が素晴らしいので少しインパクトが弱いかも?
http://www.youtube.com/watch?v=a5mtW1uv_G4

「It's Been Cool」
軽快なダンス・チューン。国内盤ライナーにも書かれているようにRod Temperton作品にありそうな雰囲気ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XBc-iFRSvLI

「Let Me Rock You」
The Jones Girlsのヴォーカルをフィーチャーしたキャッチーなディスコ・チューン。決して熱くなりすぎない感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=WVKKwExrpvQ

「New Beginning」
作者のHerb Smithがリード・ヴォーカルを務めるメロウ&スウィートなミディアム・スロウ。Herb Smithのバリトン・ヴォーカルがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=MICU99hl2ng

Space Cowboy「Crazy Talk (Nique & Pique)」、The LOX Feat. Lil Kim,DMX「Money, Power & Respect」の元ネタにもなっています。

Space Cowboy「Crazy Talk (Nique & Pique)」
 http://www.youtube.com/watch?v=Q5RL5lGXh3g

「One For The Road」
ラストはフュージョン風のインスト。Wanselのシンセ・ソロとWillie Williamsのサックスが目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=r6OW7VzIlcs

さぁ、これから「メキシコ対アルゼンチン」です。
アルゼンチンにとっては侮れない相手ですよね。
メッシと共にマラドーナ監督のパフォーマンスに注目です(笑)
posted by ez at 03:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月27日

Kero One『Kinetic World』

アジアン・アメリカン・ラッパーとしての立ち位置を意識させる新作☆Kero One『Kinetic World』
キネティック・ワールド
発表年:2010年
ez的ジャンル:ジャジーHip-Hop系アジアン・アメリカン・ラッパー
気分は... :アジアン・パワーを見せつけろ!

W杯はいよいよ決勝トーナメント1回戦に突入!

まずはアジアのライバル韓国がウルグアイと対戦中!
しかしながら、開始10分も経たないうちに韓国が先制点を許してしまいました。

昨日も書きましたが、韓国は強豪国不在の幸運なブロックに入ったので、ベスト4も狙える絶好のチャンスだと思います。ぜひ後半頑張って欲しいですね。
※追記
残念ながら、韓国は1対2敗れてしまいました。それでも一度は同点に追いついたあたりに韓国の底力を見た気がします。

今回は韓国の健闘を祈り、カリフォルニア生まれの韓国系アメリカ人Hip-HopアーティストKero Oneの新作『Kinetic World』を紹介します。ジャジーHip-Hopファン待望の1枚でもあります。

韓国系アメリカ人MC/プロデューサーKero Oneの紹介は、彼が主宰するPlug Labelのコンピ『Kero One Presents:Plug Label』(2007年)、2ndアルバム『Early Believers』(2009年)に続き3回目となります。

『Kero One Presents:Plug Label』『ezが選ぶ2007年の10枚』『Early Believers』『ezが選ぶ2009年の10枚』に選出したように、僕にとってのKero Oneは外れナシ!のジャジーHip-Hopアーティストといった位置付けですね。

前作『Early Believers』ではHip-Hopの枠を飛び越えたクロスオーヴァーなサウンドを披露してくれたKero Oneですが、Hip-Hopのフィールドにあえて踏み止まった作品となっています。特に本作では"アジアン・アメリカン"ラッパーとしての自身の立ち位置を強く意識している点が印象的です。

その意味では、サウンド以上にリリックにこだわった作品なのでは?
そんなリリックに連動して、サウンド面でもジャジー&メロウなテイストばかりではなく、ハード&シリアス・テイストさらにはエレクトロ路線のものもあり、従来のKero One作品とは少し異なる雰囲気がありますね。

"ジャジーHip-Hopから前作路線を強調したソウルフルHip-Hopへ"といった主旨の謳い文句が国内盤CDの帯に書かれていますが、僕には全くピンときません???

ジャジー&メロウなHip-Hop好き、従来のKero One作品がお好きな方は、最初少し戸惑うかもしれませんが、聴き重ねていくうちにジワジワとKero Oneらしさを楽しめると思います。

ゲストには韓国のHip-HopグループEpik HighのTablo、Othello、Dminor等が参加しています。

全曲紹介しときやす。

「Let Me Clarify」
オススメその1。アジアン・アメリカン・ラッパーKero Oneの強い決意が伺えるリリックと美しいピアノが響き渡るトラックが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=9jVACt9wYic

「Kinetic World」
タイトル曲はFashawnをフィーチャー。このトラックに限って言えば、ソウルフルなテイストを存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=wbFCXEt3qRo

「On Bended knee」
オススメその2。Sam Ockをフィーチャー。ジャジー&メロウなトラックと、小気味良さとソウルフル味わいが交錯するフロウがマッチしています。個人的には一番のお気に入りトラック。
http://www.youtube.com/watch?v=jngabM42dfw

「My Devotion」
オススメその3。エレクトロ路線のトラックにドキっとします。それでもBEPのような安易な売れ線狙いとは異なり、しっかりKero Oneワールドを展開しているのでご安心を!

「Missing You」
オススメその4。美しいピアノの音色が印象的なメロウ・ビーツ。やはり、Kero Oneファンはこういうトラックを聴きたいですよね。

「Time Moves Slowly」
The Tonesのヴォーカルをフィーチャーした哀愁モードのソウルフル・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=DkVQFsna-rI

「Let's Ride」
オススメその5。ジャジーなギター・ループが心地好いトラックと、オートチューンを使ったKero Oneの軽やかなヴォーカルが印象的です。

「Asian Kids」
Epik HighのTabloとMyk、Dumbfoundeadをフィーチャー。アジアン・アメリカンとしてのプライドを前面に打ち出したリリックが印象的です。そんなリリックを反映してトラックもシリアス&攻撃的な雰囲気です。個人的にはメロウ路線が好きなのですが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=5tsPyktaN6k

「The Fast Life」
オススメその6。女性シンガーEsna Yoonをフィーチャー。速く走りすぎる人生を立ち止まり、自分の志を再確認するKero Oneの姿があります。そんなKero Oneの真摯な姿勢をEsna Yoonのヴォーカルが優しく包んでくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=GPyrqtWZo3w

「We Stay Fly」
オススメその7。OthelloとDminorをフィーチャー。ポートランド出身のHip-HopグループLightheadedの活動でも知られているOthelloは当ブログでも『Classic』(2003年)、『Alive At The Assembly Line』(2006年)の2作品を紹介しているのでお馴染みですね。Dminorも前述の『Alive At The Assembly Line』をはじめ、The Residents『Open House』Various Artists『LTYS-Listen To Your Soul』といった当ブログ紹介済みの作品に参加しているのでご存知の方も多いのでは?

そんな二人を迎えた本トラックは本作の中でも一番キャッチーな仕上がり。メロウなエレピとソウルフルなホーン・セクションが盛り上げてくれます。

「Remember All That」
ラストはSa-Ra Creative Partnersあたりを彷彿させるエレクトロ路線。本作を貫くKero OneのHip-Hop愛が歌われています。

国内盤のボーナス・トラックとして、当ブログでもお馴染みの日本人トラック・メイカーDJ Deckstreamによるリミックス「Remember All That (DJ Deckstream Remix) 」が収録されています。個人的にはオリジナル「Remember All That」よりもコチラのリミックスの方が好きです。

他のKero One作品もチェックを!

『Windmills of the Soul』(2005年)
Wildmills of the Soul

Various Artists『Kero One Presents:Plug Label』(2007年)
プリゼンツ・プラグ・レーベル

『Early Believers』(2009年)
アーリー・ビリーヴァーズ
posted by ez at 00:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月26日

Toots Thielemans & Elis Regina『Aquarela Do Brasil』

女王ElisとハーモニカおじさんThielemansの共演作☆Toots Thielemans & Elis Regina『Aquarela Do Brasil』
ブラジルの水彩画
発表年:1969年
ez的ジャンル:MPBの女王
気分は... :16強を眺めると・・・

サッカーW杯はベスト16が出揃いましたね。

昨日、日本の16強入りに大興奮したのは勿論ですが、優勝候補に挙げていたスペインが何とか勝ち上がったことに安堵しています。特にグループ1位通過で良かったですね。2位通過だとトーナメント1回戦でブラジルと対戦する羽目になっていたので・・・

改めて16ヶ国の顔ぶれを眺めると、やはり日本の16強入りが一番のサプライズかもしれませんね。

決勝トーナメントで興味深いのは、韓国、ウルグアイ、ガーナ、米国が入っているブロック。この4ヶ国の中からベスト4が必ず出ることになり、波乱が続く今大会の象徴となるのでは?

MPBの女王Elis Reginaの5回目の紹介です。

これまで紹介してきたElis Regina作品は以下の4枚。

 『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
 『Elis Regina in London』(1969年)
 『Em Pleno Verao』(1970年)
 『Elis』(1974年)

今回紹介するのはジャズ・ハーモニカ奏者Toots Thielemans & Elis Reginaとの共演作『Aquarela Do Brasil』(1969年)です。

Toots Thielemansは1922年ベルギー、ブリュッセル生まれ。1950年代より活躍するジャズ・ハーモニカの第一人者です。ジャズ/フュージョンに限らず、ポップス、ロック、R&B、ブラジルなど幅広いフィールドのセッションにも参加しており、多くの音楽ファンにその名を知られている"ハーモニカおじさん"です。

1969年のElisと言えば、当ブログでも紹介した『Elis Regina in London』『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』といった現在でも人気の高い作品をリリースしていた時期であり、本作『Aquarela Do Brasil』にもそんなElisの勢いと充実ぶりを感じます。

収録された12曲のうち、Elisのヴォーカル入りは8曲。残りの4曲はThielemansのハーモニカ・口笛等をフィーチャーしたインストであり、Elisのヴォーカル入り8曲もThielemanが参加しているのは4曲です。その意味で実質的な共演は4曲のみであり、それらを中心にElisのヴォーカル曲とThielemansのインスト曲を収めた変則的な共演アルバムになっています。

また、Elisのヴォーカル入り8曲のうち7曲は、『Elis Regina in London』又は『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』と選曲が重なっています。

このように書くと中途半端なアルバムのように誤解されそうですが、なかなか侮れない魅力的な1枚に仕上がっています。特に選曲が重なった7曲は、アレンジでかなり異なる雰囲気の演奏も多くかなり楽しめます。

バックはRoberto Menescal(g)、Antonio Adolfo(p)、Jurandir Meirelles(b)、Wilson Das Neves(ds)、Hermes Contesini(per)というElisのヨーロッパ・ツアーのメンバーが務めています。

存在感のあるElisのヴォーカルと優しく包み込むThielemansのハーモニカ・口笛を1枚で楽しめる作品です。

ジャケは冬モードですが、中身は今の時期にマッチしていると思います。

全曲紹介しときやす。

「Wave」
ElisとThielemansとの共演1曲目。オープニングはAntonio Carlos Jobimの名曲カヴァー。『Elis Regina in London』でも歌われていました。リズミックな躍動感が印象的であった『Elis Regina in London』ヴァージョンと比較すると、メリハリのある落ち着いた仕上がりです。笑い声混じりのElisのヴォーカルからはセッションを楽しんでいる様子が伝わってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=V1M7nzKTstM

「Aquarela Do Brasil/Nega Do Cabelo Duro」
タイトル曲「Aquarela Do Brasil(邦題:ブラジルの水彩画)」(Ary Barroso作)と「Nega Do Cabelo Duro」(Rubens Soares/David Nasser作)のメドレー。『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』でもこのメドレーが歌われていました。オーケストレーションをバックにウエットなヴォーカルが印象的であった『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』ヴァージョンと比較すると、バック・バンドと息の合ったElisのヴォーカルを楽しむことができます。

「Visao」
Thielemansのインスト1曲目。Tiberio Gaspar/Antonio Adolfo作。郷愁感を誘うハーモニカの音色が実に味わい深いですね。

「Corrida De Jangada」
Capinan/Edu Lobo作。『Elis Regina in London』でも歌われていました。『Elis Regina in London』ヴァージョンに近い仕上がりですが、オーケストレーションが入っていない分、元気一杯のElisのヴォーカルをすっきり聴くことができます。

「Wilsamba」
Thielemansのインスト2曲目。Roberto Menescal作。Thielemansがハーモニカのみならず素晴らしい口笛を披露してくれます。

「Voce」
ElisとThielemansとの共演2曲目。『Elis Regina in London』でも歌われていたお馴染みの1曲(Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作)。華やかであった『Elis Regina in London』ヴァージョンと比較すると、シンプルな演奏が印象的な大人の仕上がりです。Roberto Menescalのギターと共にElisのヴォーカルを包み込むThielemansの口笛が実に印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=7EpnVN4ni-A

「O Barquinho」
ElisとThielemansとの共演3曲目。『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』及び『Elis Regina in London』でも歌われたRoberto Menescal/Ronaldo Boscoli作の名曲です(邦題「小舟」)。躍動感が印象的であったそれら2枚のヴァージョンとは対照的に、ここではしっとりとした「小舟」を聴かせてくれます。

「O Sonho」
『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』でも歌われたEgberto Gismonti作品。『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』ヴァージョン同様のスピード感のある仕上がりですが、メリハリのつけ方が異なるあたりが興味深いですね。

「Five For Elis」
Thielemansのインスト3曲目(Thielemansのオリジナル)。映画のサントラにでもありそうな格好良い仕上がりです。

「Canto De Ossanha」
Baden Powell/Vinicius De Moraes作。『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』でも歌われていました。それ以外にも当ブログではTamba 4Quarteto Em CyLill Lindforsのカヴァーを紹介済みです。

この曲の持つミステリアスな雰囲気と中盤の曲の表情が一変する瞬間が大好きです。本ヴァージョンでは『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』同様にクールながらもスケールの大きなヴォーカルを聴かせてくれます。

「Honeysuckle Rose」
Andy Razaf/Thomas Waller作。ElisのヴォーカルもThielemansのハーモニカ・口笛も入っておらず、男声スキャットの入ったインスト。もしかしてこのスキャットがThielemans?よくわかりません。

「A Volta」
ElisとThielemansとの共演4曲目。『Elis Regina in London』でも歌われていたRoberto Menescal/Ronaldo Boscoli作品。エレガントなオーケストレーションが印象的であった『Elis Regina in London』ヴァージョンと比較すると、ElisのヴォーカルにThielemansのハーモニカが寄り添う切ない雰囲気にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=LEYID7k51FA

Elis Regina作品の過去記事もご参照下さい。

『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
コモ・イ・ポルケ+4

『Elis Regina in London』(1969年)
イン・ロンドン

『Em Pleno Verao』(1970年)
エン・プレノ・ヴァラオン

『Elis』(1974年)
人生のバトゥカーダ
posted by ez at 14:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月25日

Tower Of Power『Urban Renewal』

人気曲「Only So Much Oil In The Ground」収録☆Tower Of Power『Urban Renewal』
オークランド・ストリート
発表年:1975年
ez的ジャンル:ベイエリア・ファンク
気分は... :資源を大切に・・・

サッカーW杯のグループFはイタリア敗退という大波乱が起きました。

グループFを勝ち上がった国は、日本が決勝トーナメントに進出した場合の対戦国となるので、そうした観点からも興味深い結果となりました。でも「イタリア対スロバキア」戦の終盤は大興奮でしたね。

さて、今回はベイエリア・ファンクを代表するグループTower Of Powerの2回目の登場です。

『Tower Of Power』(1973年)に続いて紹介するのは『Urban Renewal』(1975年)です。

前回の『Tower Of Power』のエントリーを読み返したらトリノ五輪の女子フィギュア・スケートの話題を書いていたので、約4年半ぶりの紹介となります。

やはりTower Of Power(以下TOP)のアルバムと言えば、2nd『Bump City』(1972年)、3rd『Tower Of Power』(1973年)、4th『Back To Oakland』(1974年)、5th『Urban Renewal』(1975年)という4枚の印象が強いですね。

当初は最高傑作の呼び声が高い『Back To Oakland』をセレクトしようと思ったのですが、フリーソウル・コンピ『Free Soul Voice』のオープニングも飾ったキラー・チューン「Only So Much Oil In The Ground」収録の『Urban Renewal』をセレクトしました。

TOP最盛期の1枚ではありますが、グループ内にも少しずつ変化が起こり、ベースのFrancis Rocco Prestiaと共にTOPのグルーヴを支えてきたドラムのDavid Garibaldiがグループを離れ(1曲のみ参加)、リード・ヴォーカルのLenny Williamsも本作を最後にグループを脱退し、ソロの道を歩みます。サウンド的にも次なる方向性を模索する様子も見られ、そのあたりのビミョーな感じを楽しむ聴き方もあるかもしれません。

本作時点のメンバーを整理すると、Lenny Williams(vo)、Chester Thompson(key、vo)、Bruce Conte(g、vo)、Francis Rocco Prestia(b)、David Bartlett(ds)、Lenny Pickett(sax、cla、fl)、Emilio Castillo(sax、vo)、Stephen Kupka(sax)、Mic Gillette(tp、tb、vo)、Greg Adams(tp、flh)という10名編成です。

ハイライト曲「Only So Much Oil In The Ground」の存在感が抜群ですが、それ以外の楽曲も含めてベイエリア・ファンクを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Only So Much Oil In The Ground」
邦題「限りある世界」。本作のハイライトとなるファンク・チューン。華やかなホーン隊とChester Thompsonの格好良いハモンド・オルガン、Roccoのうなるベースが至極のファンク・ワールドへと誘ってくれます。それにしてもLenny WilliamsのヴォーカルはまるでJamiroquaiのようですね(実際はその逆ですが)。石油資源の枯渇を歌った歌詞内容は今聴くと余計に考えさせられます。本曲に続けてIncognito「Talkin' Loud」を聴くと楽しめます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=56_eUJzWOTg

「Come Back, Baby」
アーバン・テイストのミッド・グルーヴ。ベイエリアらしい爽快さが印象的です。

「It's Not The Crime」
ファンキーの中にもどこか和んだ雰囲気が漂うリラックス・ムードの仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=eizrQqhb1qY

「I Won't Leave Unless You Want Me To」
ストリングス&ホーン隊がど派手に盛り上げるバラード。良く悪くも仰々しさが印象に残ります(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=VObqFxoKIf8

「Maybe It'll Rub Off」
ブラック・フィーリングに溢れたグルーヴにグッとくるファンク・チューン。Chester Thompsonのハモンド・ソロが目立っています。

「(To Say The Least) You're The Most」
切れ味鋭いファンク・チューン。オリジナルLPではB面1曲目ですが、CDで聴くと「Maybe It'll Rub Off」からの流れで同タイプの曲が並んでしまい損をしているかも?

「Willing To Learn」
バラード系では本曲がハイライトでしょうね。Lenny Williamsの素晴らしい熱唱をホーン隊が盛り上げます。David Garibaldiがドラムを叩いているのもファンには嬉しいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=9iyltxk-1EI

「Give Me The Proof」
Roccoのベースを中心に推進力のあるグルーヴがご機嫌なファンク・チューン。挑発的なホーン隊もいい感じ!

「It Can Never Be The Same」
個人的には「Only So Much Oil In The Ground」に次ぐお気に入り。哀愁モードのこみ上げ感にグッとくきます。TOPらしい雰囲気ではありませんが、ソウルフル&ブルージーな味わいがいいですね。作者の一人Bruce Conteのギターが目立っています。

「I Believe In Myself」
女声コーラスも入ったディスコ調のダンス・チューン。どうせやるならば、もっとど派手にした方は良かった気も?

「Walkin' Up Hip Street」
ラストはインストですが、メンバー紹介のMCを入れたくなるような各メンバーのソロにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=c3k1TUOUfg4

いよいよW杯「日本対デンマーク」です。
波乱が続く今大会の流れは、日本に幸運をもたらすのでは?
posted by ez at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。