2010年06月14日

Tania Maria『Via Brasil vol.1』

フランスBarclayに残した3部作の第1弾☆Tania Maria『Via Brasil vol.1』
ヴィア・ブラジル
発表年:1975年
ez的ジャンル:ブラジル系女性ジャズ・ヴォーカル/ピアノ
気分は... :番狂わせの予感・・・

サッカーW杯はガーナが強豪セルビアを破り、アフリカ勢として今大会初勝利を飾りましたね。

ここまで観た限り、強豪国と前評判の高かった国で圧倒的な力を見せている国が皆無なのが印象的ですね。強豪国はピークを決勝トーナメントに持ってくるように調整しているので、グループリーグは試運転状態なのかもしれませんが、番狂わせが多発するような予感がします。

今回はブラジルを代表する女性ジャズ・シンガー/ピアニストTania Mariaの代表作『Via Brasil vol.1』(1975年)です。

Tania Mariaは1948年ブラジル、マラニョン州サン・ルイス生まれ。幼少期からピアノを習い、音楽家の道を目指しますが、17歳で結婚し、出産するなど音楽に専念できる状況では無かったようです。22歳の時に本格的なプロ活動を開始し、その後単身でフランスへ渡ります。そして、アルバム・リリースやライブを通じてヨーロッパで高い評価を受けるようになります。

80年代に入り、アメリカ録音の機会を得た頃からアメリカ、日本での評価も高まり、ブラジルを代表する女性ジャズ・シンガー/ピアニストの地位を確立しました。

僕の場合、Tania Mariaの名は80年代には知っていましたが、作品に興味を持ったのはサバービア経由ですね。

個人的には『Olha Quem Chega』(1971年)、『Via Brasil vol.1』(1975年)、『Via Brasil vol.2』(1975年)、『Come With Me 』(1982年)、『Love Explosion』(1984年)、『Forbidden Colors』(1988年)あたりに惹かれます。実は、一番頻繁に聴いていのるがグラミーにもノミネートされた『Forbidden Colors』だったりします。

ジャズ/フュージョンとブラジル音楽が(意図的ではなく)自然なかたちで融合しているのがTania Mariaの魅力ですね。

今日紹介する『Via Brasil vol.1』(1975年)はクラブジャズ・ファン、サバービア・ファンに人気の1枚です。

『Via Brasil vol.2』(1975年)、『Brazil With My Soul』(1978年)と並ぶ、フランスBarclayに残した3部作の1枚です(パリ録音)。

レコーディング・メンバーはTania Maria(vo、p、el-p、per)、Helio(b)、Boto(ds、per)というトリオ編成です。

3名のみの演奏とは思えないほど、素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれます。特にTania Mariaのピアノ・タッチに魅了されます。何となくヴォーカリストのイメージが強いTania Mariaですが、ピアニストとしての実力も確認できます。

楽曲はChico Buarque、Jorge BenJoao DonatoIvan LinsAntonio Carlos Jobim等の有名ブラジル作品のカヴァーが中心です。

「Abre Alas」「Samba De Orly」という2大キラー・チューンを中心に、Tania Mariaらしいヴォーカル&演奏を堪能できる1枚です。

ブラジル音楽というよりも、ジャズ作品として聴いた方が楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときヤス。

「Samba De Orly」
Vinicius De Moraes/Chico Buarque作。Cafe Apres-midiのコンピに収録されている人気サンバ・ジャズ。「Fio Maravilha」と並ぶ本作のキラー・チューンです。カフェで聴くのにピッタリなスタイリッシュな演奏がサイコーですね!
http://www.youtube.com/watch?v=lAks4twn51Q

「Pot-Pourri De Jorge Ben」
Jorge Benメドレー。とてもトリオ編成のみとは思えない、小粋で小気味良い演奏がいいですね。聴き覚えのあるフレーズも飛び出し楽しげです。

「Ate Quem Sabe」
Lysias Enio/Joao Donato作。Donatoのオリジナルは当ブログで紹介した『Quem e Quem』に収録されています。オリジナルとは一味異なるジャジーな雰囲気が印象的です。

「Abre Alas」
Vitor Martins/Ivan Lins作の名曲カヴァー。Ivan Linsのオリジナルは先日当ブログで紹介した『Modo Livre』に収録されています。感動的な仕上がりのオリジナルに対して、本ヴァージョンは落ち着いた大人のジャズ・チューンに仕上がっています。。

「Fio Maravilha」
Jorge Ben作。クラブジャズ・ファンに大人気の本作のハイライト曲。躍動するTania Mariaのピアノおよびヴォーカル&スキャットが格好良すぎます!Jorge Benのオリジナルはアルバム『Ben』(1972年)に収録されています。
http://www.youtube.com/watch?v=l959Iv5BGkk

「A Cruz」
Carlos Da Fe/Tania Maria作。雄大なスケール感のあるヴォーカル&演奏です。エレピの音色が気持ち良いですね。

「Aguas De Marco」
Antonio Carlos Jobimの名曲「三月の水」のカヴァー。当ブログでは先日Stacey Kentのフランス語カヴァーを紹介しましね。本ヴァージョンはエレピ主体の渋めの演奏です。

「Bedeu」
「Samba De Orly」、「Fio Maravilha」という2大キラー・チューンを除けば、一番のお気に入りです。軽快ながらもエレガントなジャズ・サンバ・チューンです。Raimondo Fagner作。

「Nao Tem Perdao」
Ronaldo Monteiro/Ivan Lins作。Ivan Linsのオリジナルは「Abre Alas」同様『Modo Livre』に収録されています。哀愁モードのオリジナルに対して、本ヴァージョンはエレガントに迫ります。

「Pot-Pourri Via Brasil」
ラストはブラジル・メドレーといった趣です。Rusen Soares/David Nasser/Ary Barroso/Dorival Caymmi/Lamartine Babo作。

興味のある方は他の作品もチェックしてみて下さい。

『Olha Quem Chega』(1971年)
Olha Quem Chega

『Via Brasil vol.2』(1975年)
Via Brasil, Vol. 2

『Brazil With My Soul』(1978年)
Brazil with My Soul

『Come With Me 』(1982年)、
Come with Me
posted by ez at 01:21| Comment(8) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする