2010年07月31日

Stevie Woods『Take Me To Your Heaven』

AORファン待望のCD化☆Stevie Woods『Take Me To Your Heaven』
スティール・ザ・ナイト(生産限定紙ジャケット仕様)
発表年:1981年
ez的ジャンル:黒人系AOR
気分は... :ジャケは今イチですが・・・

今回はAORの人気作Stevie Woods『Take Me To Your Heaven』(1981年)です。

Stevie Woodsは1951年バージニア州生まれの黒人男性シンガー。1980年代にリリースした『Take Me To Your Heaven』(1981年)、『The Woman In My Life』(1982年)、『Attitude』(1983年)という3枚のアルバムがAORファンに人気です。

今回、この3枚が紙ジャケ仕様で国内CD化され、AORファンを喜ばせていますね。

AORファンが大騒ぎするほどStevie Woodsに興味があるわけではありませんが、それでも本作『Take Me To Your Heaven』は素晴らしい作品だと思います。

プロデュースはドイツ人のJack White。Laura Braniganのプロデュースでも知られていますね。

レコーディングにはPaul Jackson, Jr.(g)、Ray Parker, Jr.(g)、Steve Lukather(g)、David Shields(b)、Nathan East(b)、Clarence McDonald(key)、Michael Boddicker(key)、Ed Greene(ds)、James Gadson(ds)、Bill Reichenbach(tb)、Jerry Hey(tp)、Ernie Watts(s)、Bill Champlin(back vo)等の豪華メンバーがバックを務めます。このあたりの凄腕ミュージシャン達による確かなサウンド・プロダクションも本作の魅力かもしれませんね。

黒人シンガーWoodsがドイツ人プロデューサーJack Whiteと組んで制作したAORアルバムというのが面白いですよね。1、2曲ソウル、ファンク系の楽曲もありますが、基本的にはAORど真ん中な仕上がりです。

「Fly Away」「Take Me To Your Heaven」のようなAORファンお馴染みの楽曲のカヴァーもあるので、オリジナルと聴き比べてみるのも楽しいと思います。

AORの名作がめでたくCD化されたことを素直に喜びましょう。

全曲紹介しときやす。

「Fly Away」
オープニングはCarol Bayer Sager/David Foster/Peter Allen作品。このソングライター陣の顔ぶれだけでAORファンはグッときますね。作者Peter Allen、竹内まりやのヴァージョンもお馴染みですね。個人的にはメロウ&スウィートなWoodsヴァージョンが一番お気に入りです。アルバムからの2ndシングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=JJ-YR2v63Do

Peter Allen「Fly Away」 ※『Bi-Coastal』(1980年) 収録
 http://www.youtube.com/watch?v=B4ubNYHOdO8
竹内まりや「Fly Away」  ※『Love Songs』(1980年)収録
 http://www.youtube.com/watch?v=lWtcPPh80-g

「Just Can't Win 'Em All」
Bill Bowersock/Greg Mathieson/Matt Vernon/Trevor Veitch作品。アルバムからの3rdシングルとして全米チャート第38位となりました。いかにもシティ・ミュージックな作りがAORなファンにはグッとくるのでは(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=DD2tJBwWLCA

「Take Me To Your Heaven」
AORファンにはお馴染みWilson Brothersのカヴァー(Kelley Wilson/Steve Wilson作)。オリジナルは『Another Night』(1979年)に収録されています。個人的にはオリジナルが大好きなので、それと比較すると少し仰々しい感じもしますが、それでも素晴らしい出来栄えだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=8e0PtiOYmqU

Wilson Brothers「Take Me To Your Heaven」
 http://www.youtube.com/watch?v=SbnW4Oage6k

「Steal The Night」
Bill Bowersock/Matt Vernon/Trevor Veitch作品。アルバムからの1stシングルとして全米チャート第25位となりました。夏場にピッタリの爽快メロウ・チューンです。ハーモニカの響きが夏の思い出といった趣でいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=FPP04jnjT_A

「Through The Years」
Marty Panzer/Stephen H. Dorf作品。カントリーの大御所Kenny Rogersの大ヒットでお馴染みの曲ですね。僕にはそれが逆にマイナス・イメージになっていますが(笑)。でも本ヴァージョンを聴くと、良い曲なんだなぁと思います。

「Wanna Be Close To You」
Rene & Angela(Rene Moore & Angela Winbush)作品。Rene & Angelaヴァージョンは『Wall To Wall』(1981年)に収録されています。それまでから一変し、少しエロい雰囲気のブラコンに仕上がっています。でも、こういうの大好きです(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=9mNYE-gUlPg

Rene & Angela「Wanna Be Close To You」
 http://www.youtube.com/watch?v=H_q_auR9P2Q

「Read Between The Lines」
Bill Bowersock/Greg Mathieson/Matt Vernon/Trevor Veitch作品。アルバムの中では地味な扱いですが、かなり良いメロウなAORチューンだと思います。

「Throw A Little Bit Of Love My Way」
David Foster/Harry Garfield/Jay Graydon作品のカヴァー。元Three Dog Night、Cory Wellsのソロ『Touch Me』(1978年)やソウル・グループBloodstoneの『Don't Stop !』(1978年)、The Waters『Watercolors』(1980年)もカヴァーしている名曲です。スケールの大きなアーバン・モードの哀愁バラードに仕上がっています。

Bloodstone「Throw A Little Bit Of Love My Way」
http://www.youtube.com/watch?v=m_S23Wg1i-w

「Gotcha」
David N. Shields/Fritz Baskett/Michael Thompson作品。ラストはベースがブイブイうなるファンキー・グルーヴ。悪くはないけど、アルバムの流れを考えると唐突な気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=zAOSSjvw-w4

お好きな方は『The Woman In My Life』(1982年)、『Attitude』(1983年)もセットでどうぞ!

『The Woman In My Life』(1982年)
ウーマン・イン・マイ・ライフ(生産限定紙ジャケット仕様)

『Attitude』(1983年)
アティチュード(生産限定紙ジャケット仕様)
posted by ez at 12:15| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月30日

Gonzalez『Gonzalez』

UKのスタジオ・ミュージシャン集団によるファンキー・ソウル☆Gonzalez『Gonzalez』
ファンキー・デラックス
発表年:1974年
ez的ジャンル:ラテン・フレイヴァー系UKファンク/ソウル
気分は... :ゴンザレスと言えば・・・

今日はMaloの名曲「Suavecito」のコンポーザー/リード・ヴォーカルRichard Beanが結成したラテン・ロック・グループSapo、唯一のアルバム『Sapo』(1974年)を紹介しようと思ったのですが、Amazonにジャケ画像がなく断念しました。

気分ラテン・フレイヴァーになっていたので、その流れでセレクトしたのがUKのファンク・グループGonzalezの1st『Gonzalez』(1974年)です。

Gonzalezは、UKのスタジオ・ミュージシャン達が結成したファンク/ソウル・グループ。パーマネントなグループと言うよりも、さまざまなジャンル、人種のスタジオ・ミュージシャンが出入りする混成ユニットといった色合いが強かったようです。

これまで『Gonzalez』(1974年)、『Our Only Weapon Is Our Music』(1975年)、『Shipwrecked』(1978年)、『Move It to the Music』(1979年)、『Watch Your Step』(1980年)といったアルバムをリリースしています。

今日紹介する『Gonzalez』(1974年)にクレジットされているメンバーは、Michael Eve(ts)、Chris Mercer(ts、as)、Steve Gregory(fl、ss、ts)、Ron Carthy(tp)、Bud Beadle(fl、ss、bs)、Lisle Harper(b)、Roy Davies(key)、Gordon Hunte(g)、Glenn Lefleur(ds)、Alan Sharpe(conga、per)、Richard Bailey(ds、timbales)、Bobby John(conga、per)、George Chandler(vo)、Carl Douglas(vo)です。

個人的には一番馴染み深いメンバーはRichard Baileyですかね。『Blow by Blow』、『Wired』といったJeff Beck作品や、当ブログで紹介したLinda Lewis『Fathoms Deep』Incognito『Positivity』といった作品でBaileyの名を確認できます。

それ以外にもリーダー格のMichael EveはGeorgie Fame & The Blue Flames、Steve GregoryはGinger Baker's Air Force、Chris MercerはJuicy Lucyといったグループで活動していた経歴を持ちます。

さてデビュー・アルバム『Gonzalez』ですが、『ファンキー・デラックス』という邦題の通り、スタジオ・ミュージシャン集団らしい熟練のファンキー・グルーヴを堪能できます。今日僕がセレクトしたように、随所でラテン・フレイヴァーを聴けるのもサイコーですね。

George Chandlerのソウルフルなハスキー・ヴォーカルも魅力ですが、ホーン隊を堪能できるインスト・チューンもなかなか魅力的です。ギター・カッティングにグッとくる曲も多いですね。

UKらしい混成部隊によるファンキー・サウンドを堪能しましょう。

ゴンザレスと言えば、レアル・マドリーのラウールはシャルケへの移籍が決まったみたいですね。バルサ・ファンの僕としては、ラウールの移籍は大歓迎です。少し寂しい気もしますが・・・

全曲紹介しときやす。

「Pack It Up」
巧みなグルーヴを生むリズム隊がサイコー!のファンキー・チューンでアルバムは幕を開けます。ジワジワと汗ばんでくる感じがいいですな。
http://www.youtube.com/watch?v=j8bzHZPAr3Y

「Clapham South」
僕の一番のお気に入り。ラテン/ブラジル・フレイヴァーのインスト。リズムの洪水を楽しみましょう。個人的にはこのタイプの曲をもっと聴きたいですね。フルートにもグッときます。

「No Way」
「Clapham South」と並ぶお気に入りのシャープなファンキー・グルーヴ。Gordon Hunteグルーヴィーなギター・カッティングとGeorge Chandlerのシワ枯れ声ヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=qf9-Nq8qGQE

「Adelanto Nightride」
爽快なメロウ・グルーヴに仕上がったインスト・チューン。ラテン・フレイヴァーの隠し味がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=AvDkd_f--_s

「Underground Railroad」
ミステリアスなイントロでスタートするファンキー・ソウル。ここでもGordon Hunteのギターとリズム隊が素晴らしいグルーヴで唸らせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=tillt9Phus8 ※YouTubeではイントロがカットされています。

「Gonzalez」
グループ名を冠したインスト。開放的なファンキー・チューンに仕上がっています。ホーン隊を堪能するにはこういうインストがいいかもしれません。中盤以降のラテン・フレイヴァーがいいですね。

「Together Forever」
Free Soulのコンピ『Free Soul Life』にも収録されていた人気曲。ファンキーなのに爽快なソウル・チューンに仕上がっています。エレピの音色が心地好いですね。本曲のみリード・ヴォーカルはGeorge ChandlerではなくCarl Douglasです。
http://www.youtube.com/watch?v=w1-kqfPvvIY

「Saoco」
この曲も僕のお気に入り。ラテン・フレイヴァーのインスト。曲進むにつれてどんどんテンション上がってくる感じがサイコー!僕の求めるGonzalezはこの路線です。
http://www.youtube.com/watch?v=05cF3Csk_i8

「Funky Frith Street」
ラストはタメの効いたグルーヴにグッとくるファンキー・チューン。

最近のCDにはボーナス・トラックが追加収録されています。

2nd『Our Only Weapon Is Our Music』『Gonzalez』とセットで楽しみたい1枚です。鰻が食べたくなるジャケですが(笑)

『Our Only Weapon Is Our Music』 (1975年)
アワ・オンリー・ウェポン・イズ・アワ・ミュージック
「Rissoled」
http://www.youtube.com/watch?v=_bPLrSEhYXo
posted by ez at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月29日

Victor Davies『Hear The Sound』

ブラジリアン・フレイヴァーの効いたアコースティック・ソウル作品☆Victor Davies『Hear The Sound』
HEAR THE SOUND
発表年:2006年
ez的ジャンル:ブラジリアン・フレイヴァー系アコースティック・ソウル
気分は... :果報は寝て待て!

今日はUKの黒人シンガー・ソングライターVictor Daviesの3rdアルバム『Hear The Sound』(2006年)です。

リアルタイムで購入し、その当時から気に入っていた作品でしたが、その年に当ブログで取り上げるタイミングを逸してしまい、そのまま放置状態になっていました。

Victor Daviesは1964年ロンドン生まれ。小さい頃からロック、ソウルを聴いて育ってきたVictorですが、なかなかデビューする機会には恵まれませんでした。

そこで、2000年に自らのレーベルAfro Gigolo Recordsを設立し、デビュー・アルバム『Victor Davies』(2001年)をリリースします。これがアナログ12"シングルも含めてロンドン、東京、N.Y.のクラブDJの間で話題となり、リミックスも数多くリリースされました。Victor Daviesの名がクラブ・ミュージック好きを中心に広まっていくことになります。

その後、Afro Gigolo Recordsより2nd『Hoxton Popstars』(2003年)、3rd『Hear The Sound』(2006年)をリリースしています。

日本ではKyoto Jazz Massiveや福富幸宏とのコラボレーションも行っており、その方面からの人気もありますよね。

3rdとなる本作『Hear The Sound』もブラジリアン・フレイヴァーのアコースティック・ソウル作品に仕上がっています。また、これまでのアルバムは全てオリジナルで占められていましたが、本作ではJon LucienThin Lizzyをカヴァーしています。らしいセレクトとらしくないセレクトが両極端で面白いですよね。また、Bebel Gilberto のゲスト参加も僕にとって嬉しいですね。

クラブ・テイストの隠し味の効いたブラジリアン・フレイヴァーのアコースティック・ソウルは、これからの季節に聴くと実に清々しいですよ。

全曲紹介しときやす。

「Hear the Sound」
タイトルはアコースティック・ソウル。ブラジリアン&クラブ・フレイヴァーが効いているあたりがVictor Daviesらしいところですな。
http://www.youtube.com/watch?v=zg9sltN7hkk

「Comigo (With Me) 」
Bebel Gilberto とのデュエット曲。爽快アコースティック・チューンは僕の一番のお気に入り曲です。VictorもBebelも実に自然体な感じでくつろげます。
http://www.youtube.com/watch?v=bkbNXp21waw

「Would You Believe In Me」
Jon Lucienの人気曲カヴァー。本曲目当てで本作をゲットされた方もいるのでは?Victorが本曲カヴァーするとハマりすぎのイメージがありましたが、予想通りの素晴らしい仕上がりです。Jon Lucienオリジナルも大好きなので、収録アルバム『Rashida』を近々紹介しましね。
http://www.youtube.com/watch?v=VnR4v7-lfTQ

Jon Lucien「Would You Believe In Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=Jh9WK_pPtY4

「Gold & Diamonds」
ブラジリアン・フレイヴァーのフォーキー・チューン。ジワジワと染み渡ってくる感じが実に心地好いですね。

「Victor Davies (Interlude)」
「If I Ruled the World」
インタールドに続いて、ボッサなアコースティック・チューンが展開されます。ユラユラ揺らめく雰囲気にグッときます。聴けば聴くほど好きになる1曲。フルートの音色が涼しげでいいですな。

「Til You Come Home」
マッタリ・モードの1曲。歌詞は彼女を待ち続ける男心を歌ったものですが、曲調としては昼寝でもしながらボーッと聴きたい感じです。

「Mini Cab (Interlude)」
「One More Time」
インタールードに続き、サマーモードのピッタリの1曲。爽快メロウなアコースティック・サウンドが開放的な気分にさせてくれます。それでも弾けすぎず、抑えた感じが大人のラブ・ソングといった雰囲気で大好きです。

「Girl」
弾き語りによるフォーキー・チューン。こういうシンプルな演奏スタイルがVictor Davies本来の姿かもしれませんね。

「So Good for Me」
ボッサ・テイストのアコースティック・チューン。気分はバカンス・モードになります。

「End of Time」
SSWらしい味わい深いフォーキー・チューン。

「Missing World」
ミステリアス・ムードに包まれたフォーキー・ソウル。なかなか深い意味を持つ歌詞です。

「Don't Believe a Word」
Thin Lizzyのカヴァー。Victor DaviesとThin Lizzyというのはかなりギャップがありますね。実際サウンドもオリジナルとはかなり異なる味わいです。フォーキー・ソウルな仕上がりがグッとくる絶品カヴァーです。ハードロック/へヴィメタル苦手の僕ですが、中学の頃はThin Lizzy結構好きでした(笑)。Phil Lynott格好良かったですね!

Thin Lizzy「Don't Believe a Word」
 http://www.youtube.com/watch?v=v54n4-gzHck

国内盤にはボーナス・トラックとして「Dance」が追加収録されています。

翌年、本作のリミックス盤『Hear The Sound: Remixed』(2007年)もリリースされました。

『Hear The Sound: Remixed』(2007年)
Hear the Sound: Remixed

興味のある方は1st、2ndもチェックしてみて下さい。

『Victor Davies』(2001年)
Victor Davies

『Hoxton Popstars』(2003年)
Hoxton Popstars
posted by ez at 00:04| Comment(6) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月28日

Balanco『More』

Nicola Conteプロデュースによる女声スキャット・ボッサ☆Balanco『More』
More
発表年:1999年
ez的ジャンル:Schema系女声スキャット・ボッサ・ジャズ
気分は... :女声スキャットに弱いんですっ!

今回はNicola ConteプロデュースによるBalancoの2ndアルバム『More』(1999年)です。

Balancoは、イタリアのボッサ・ユニット。メンバーはDavide PentaMariella CarbonaraPippo Lombardoの3名。

人気レーベルSchemaからNicola Conteプロデュースで
『Bossa & Balanco』(1997年)、『More』(1999年)という2枚のアルバムをリリースしています。

クラブジャズ好きの方は、"Schema"、"Nicola Conte"でグッときますよね。

1st『Bossa & Balanco』でイタリアン・ボッサの魅力を存分に伝えてくれたBalancoですが、2ndとなる本作『More』ではさらにそのサウンドが洗練されています。

紅一点Mariella Carbonaraの女声スキャットを前面に押し出したラウンジ感覚のボッサ・ジャズ・サウンドは、僕にとってど真ん中なサウンドですね。

特に「More(Theme from "Mondo Cane") 」「Cuori Solitari」「A Man and a Woman(Theme from "Un Homme Et Une Femme")」「A Day in the Life of Fool(Theme from "Black Orpheus")」といった有名曲のカヴァーにグッときますね。あまりにもハマりすぎという気もしますが(笑)

レコーディングにはHigh FiveFabrizio Bosso(tp、flh)等も参加しています。

クラブジャズ好き以上に、女声スキャット好き、ラウンジ好き、ボッサ好きの人にグッとくる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。
※ここでは輸入盤オリジナルの曲構成で紹介します。国内盤は曲構成・曲順が異なるのでご注意を!

「More(Theme from "Mondo Cane") 」
タイトル曲は1962年のイタリア映画『Mondo Cane(邦題:世界残酷物語)』の主題歌カヴァー(Riz Ortolani/Nino Oliviero作)。ラウンジ感覚の女声スキャット・ボッサはミラクルの一言です。小粋なオルガン・サウンドもセンス抜群!パーフェクトな出来栄えの1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=74xLx_dI3Ro

「Bossa Memorandum」
ノスタルジック・モードのボッサ・ジャズ。少し気だるいムードのMariellaのセクシー・スキャットに悩殺されてしまいます。

「Cocktail con Laura」
キュートなラウンジ・ボッサ。60年代テイストのオルガン・サウンドにグッときます。

「Cuori Solitari」
1970年のイタリア映画『Cuori Solitari』の主題歌カヴァー(Luis Bacalov作)。オリジナル自体が魅惑の女声スキャット・ボッサなので、これをBalancoがカヴァーするとハマりすぎですね。オリジナルの魅力を引き継いだ素晴らしい出来栄えです。

「The Bachelor Waltz」
イタリアやフランス映画のサントラに収録されていそうなワルツ調のボッサ・チューン。

「A Man and a Woman(Theme from "Un Homme Et Une Femme")」
当ブログでも紹介した1966年のフランス映画『Un Homme Et Une Femme(邦題:男と女)』の主題歌(Pierre Barouh/Francis Lai作)。これもハマりすぎの鉄板カヴァーです。きっとClementine好きの人は相当グッとくるはずですよ。

「Un Posto Per Me」
スキャットだけではないMariellaの歌声を堪能できます。少しウエットなボッサ・チューン。クールダウンに最適な仕上がり。Fabrizio Bossoのクールなミュート・トランペットにもグッときます。

「Intrigo a Francoforte」
気だるく疾走するボッサ・チューン。このサウンドもサントラにぴったりですね。ストリングスがムードを盛り上げてくれます。

「Mrs. Beat」
この1曲に本作のセンスの良さが凝縮されていると思います。女声スキャット好きにはたまらないキュートなラウンジ・チューン。オリジナルの中では抜群の出来栄えです。
http://www.youtube.com/watch?v=-1iSwnmJkDY

「The Girl from Montenegro」
タイトルがいかにもですよね(笑)。Schema/Nicola Conteらしいキマりすぎの小粋なボッサ・チューンに仕上がっています。オリジナル曲では「Mrs. Beat」に次ぐお気に入り。

「A Day in the Life of Fool(Theme from "Black Orpheus")」
フランス映画『Orfeu Negro(黒いオルフェ)』の主題歌「Manha de Carnaval(邦題:カーニバルの朝)」のカヴァー。Luiz Bonfa作の名曲ですね。当ブログではDexter Gordonのカヴァーも紹介済みです(アルバム『Gettin' Around』収録)。フロア仕様のダンス・チューンは、本作のカヴァー曲の中では最もサプライズな仕上がりですね。

「Dream Flight」
クールなボッサ・チューン。国内盤では本曲がオープニングを飾っています。

「Nessun Dorma」
ムーディーな大人のボッサ・チューン。Mariellaの妖艶なヴォーカルを堪能しましょう。

「Metti Una Sera a Cena(Fez Remix)」
「Metti Una Sera a Cena(Jazzanova Remix)」
ラストは1st『Bossa & Balanco』に収録されていたEnnio Morricone作品のカヴァー「Metti Una Sera a Cena(邦題:ある夕食のテーブル)」のリミックス2曲です。特にドイツの人気ユニットJazzanovaのリミックスは要チェックですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XiKcQJ52nbE

興味がある方は1st『Bossa & Balanco』(1997年)もチェックしてみて下さい。

『Bossa & Balanco』(1997年)
Bossa & Balanço
posted by ez at 00:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月27日

Lou Donaldson『Hot Dog』

定番サンプリング曲のオンパレード!☆Lou Donaldson『Hot Dog』
ホット・ドッグ
録音年:1969年
ez的ジャンル:ファンキー&グルーヴィー・ジャズ
気分は... :鰻もいいけどホット・ドッグもね!

昨晩は鰻を食べて少しスタミナつけました。
それでも最近はバテ気味です。

音楽もスタミナつく作品を聴かないといけませんな。

ソウル・ジャズ好きから高い支持を得ているジャズ・アルトサックス奏者Lou Donaldsonの4回目の登場です。

これまで当ブログで紹介したLou Donaldson作品は以下の3枚。

『Alligator Bogaloo』(1967年)
『Mr. Shing-A-Ling』(1967年)
『Midnight Creeper』(1968年)

4枚目に紹介するのは1969年録音の『Hot Dog』です。
Lou Donaldsonらしいファンキー&グルーヴィーな1枚に仕上がっています。

レコーディング・メンバーは、Lou Donaldson(as)以下、Ed Williams(tp)、Charles Earland(org)、Melvin Sparks(g)、Leo Morris(Idris Muhammad)(ds)という布陣です。お馴染みLeo Morris(Idris Muhammad)が素晴らしいリズムを叩き出すのは勿論ですが、本作ではDonaldsonが新たに発掘した才能Melvin Sparksのギターに注目です。

「Who's Making Love」「It's Your Thing」といった定番サンプリング曲が収録されており、ジャズ・ファン以上にHip-Hopファンからの支持が高い1枚かもしれませんね。

A Tribe Called QuestDe La Soul好きの僕としては、彼らのサンプリング・ソースが多数収録されているのが嬉しいですね。

DJ世代を興奮させるファンキー・グルーヴのオンパレードです。
マスタードとケチャップをたっぷりかけて堪能しましょう(笑)

全曲紹介しときやす。

「Who's Making Love」
Johnnie Taylor、1968年の大ヒット(全米チャート第5位、同R&Bチャート第1位)をカヴァー(Homer Banks/Bettye Crutcher/Don Davies/Raymond Jackson作)。Melvin SparksのギターとCharles Earlandのオルガンがリードするファンキー・グルーヴ。特にMelvinのギター・プレイが光ります。
http://www.youtube.com/watch?v=oOkOW-syyB0

本曲と言えば、定番サンプリング・ネタとしてお馴染みですね。A Tribe Called Quest「Hot Sex」Yvette Michele「Let's Stay Together」De La Soul「Wonce Again Long Island」、Marley Marl feat. Craig G「Droppin' Science」、Nice & Smooth「Pump It Up」、MC Lyte「Why U Wanna Get Fly」、The Notorious B.I.G.「One More Chance(Remix)」、Run DMC「Wreck Shop」等でサンプリングされています。A Tribe Called Quest「Hot Sex」はさらにMary J. Blige feat. Method Man「Love @ 1st Sight」でサンプリングされていますね。

A Tribe Called Quest「Hot Sex」
 http://www.youtube.com/watch?v=OZtUojtR6Sg
Marley Marl feat. Craig G「Droppin' Science」
 http://www.youtube.com/watch?v=Xg46qfjY568
MC Lyte「Why U Wanna Get Fly」
 http://www.youtube.com/watch?v=Gq3BTC151rY
Mary J. Blige feat. Method Man「Love @ 1st Sight」
 http://www.youtube.com/watch?v=5VXjfkoGihM

「Turtle Walk」
Lou Donaldson作。ソウルフルなファンキー・チューン。Leo Morris(Idris Muhammad)がサイコーのリズムを叩き出します。Donaldsonもソロでばっちりキメてくれます。格好良さで言えば、アルバム随一なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=ePX4e6iw23U

Pete Rock & C.L.Smooth「All Souled Out」、The Cenobites「You're Late」、Yo-Yo「You Better Ask Somebody」等でサンプリングされています。

Pete Rock & C.L.Smooth「All Souled Out」
 http://www.youtube.com/watch?v=qJpCuw7m29A
The Cenobites「You're Late」
 http://www.youtube.com/watch?v=zBv80ufPeIk
Yo-Yo「You Better Ask Somebody」
 http://www.youtube.com/watch?v=SxL1pzDaZtA

「Bonnie」
Tommy Turrentine作。ロマンティックなバラード。ファンキー・サウンドの合間のスウィート・タイムを堪能しましょう。

「Hot Dog」
Lou Donaldson作。タイトル曲もファンキーに迫ります。マスタードたっぷりのホット・ドッグのようにパンチが効いています。この手の曲をDonaldsonがプレイすれば間違いないでしょう!
http://www.youtube.com/watch?v=S0zoEf03GHE

De La Soul「3 Days Later」でサンプリングされています。
De La Soul「3 Days Later」
 http://www.youtube.com/watch?v=cB-yPHe11TE

「It's Your Thing」
The Isley Brothers、1969年の人気シングルをカヴァー(Ronald Isley/O'Kelly Isley, Jr./Rudolph Isley作)。オリジナルのファンキーさを引継ぎつつ、少しレイジーな雰囲気も漂う演奏にグッときます。Charles Earlandのオルガン・プレイが目立ちます。
http://www.youtube.com/watch?v=acF8NtEKTWI

「Who's Making Love」同様、定番サンプリング・ネタですね。De La Soul「Bitties in the BK Lounge」、Brand Nubian「Punks Jump Up To Get Beat Down」、Funkmaster Flex & 9 Double M「Six Million Ways To Die」、The Roots「It's Comin'」、Casual feat. A-Plus「That's How It Is(Part 2)」、Madonn「I'd Rather Be Your Lover」、Mary J. Blige「Everyday It Rains」、Intelligent Hoodlum「Funk Mode」、Lord Finesse「Stop Sweating The Next Man」、Super Cat「Ghetto Red Hot」等でサンプリングされています。

De La Soul「Bitties in the BK Lounge」
 http://www.youtube.com/watch?v=1B1-naHt1aA
Brand Nubian「Punks Jump Up To Get Beat Down」
 http://www.youtube.com/watch?v=dxBvUqLs_eU
Funkmaster Flex & 9 Double M「Six Million Ways To Die」
 http://www.youtube.com/watch?v=XI_taa2DOnQ
Casual feat. A-Plus「That's How It Is(Part 2)」
 http://www.youtube.com/watch?v=j5HxHVulRsM
Madonna「I'd Rather Be Your Lover」
 http://www.youtube.com/watch?v=zvh8_IdfXyg
Mary J. Blige「Everyday It Rains」
 http://www.youtube.com/watch?v=zpPZ3kmcfZY
Intelligent Hoodlum「Funk Mode」
 http://www.youtube.com/watch?v=IElzoeTAwkg
Lord Finesse「Stop Sweating The Next Man」
 http://www.youtube.com/watch?v=RJURURNC2TQ
Super Cat「Ghetto Red Hot」
 http://www.youtube.com/watch?v=2TsbMOxxVJQ

Lou Donaldsonの過去記事もご参照下さい。

『Alligator Bogaloo』(1967年)
Alligator Bogaloo

『Mr. Shing-A-Ling』(1967年)
Mr Shing-A-Ling

『Midnight Creeper』(1968年)
The Midnight Creeper

本作で大活躍のMelvin Sparksのソロ作も近々紹介しますね。

『Sparks!』(1970年)
Sparks [12 inch Analog]

『Akilah!』(1972年)
Akilah [12 inch Analog]
posted by ez at 00:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする