2010年07月21日

Luciana Souza『The New Bossa Nova』

SSW/ポップス系の作品をジャジーなボサノヴァ・サウンドで聴かせてくれます!☆Luciana Souza『The New Bossa Nova』
New Bossa Nova
発表年:2007年
ez的ジャンル:ブラジリアン女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :今日はしっとりと・・・

今日はしっとりとしたジャズ/ボサノヴァ・ヴォーカル作品Luciana Souza『The New Bossa Nova』(2007年)です。

シンガー/ギタリスト/コンポーザーWalter Santosを父親に、詩人Tereza Souzaを母親に持つブラジル、サンパウロ生まれの女性ジャズ・シンガー/コンポーザーLuciana Souzaの紹介は『Tide』(2009年)に続き2回目となります。

本作『The New Bossa Nova』はVerve移籍第一弾アルバムであり、夫のLarry Kleinが全面プロデュースしています。

本作では、Joni MitchellJames Taylor、Leonard Cohen、Sting、Elliot Smith、Steely Dan、Randy Newman、Michael McDonaldThe Beach Boysといったお馴染みのアーティストのカヴァーが中心です。Joni MitchellWalter BeckerSteely Dan)はLarry Kleinと関連が深いアーティストですね。

こうしたシンガー・ソングライター/ポップス系の作品をジャジーなボサノヴァ・サウンドで聴かせることで、ジャズ/ボサノヴァの裾野を広げることを狙った作品といった印象を受けます。

Luciana Souza(vo)以下、Chris Potter(tn)、Romero Lubanbo(g、cavaquinho)、Edward Simon(p)、Antonio Sanchez(ds、perc)、Matt Moran(vib)といったメンバーがレコーディングに参加しています。また、James Taylorがゲスト・ヴォーカルで参加しています。

ブラジル音楽好き、ジャズ・ファンよりも、シンガー・ソングライター好きの人が聴いた方が楽しめるアルバムだと思います。特にカヴァーのオリジナルをご存知の方は、かなり楽しめると思います。

全体としては、しっとりと落ち着いた大人のジャジー・ボッサ作品に仕上がっています。

全曲紹介しときやす。

「Down To You」
オープニングはJoni Mitchellのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Court And Spark』(1974年)に収録されています。オリジナルも好きなので、本カヴァーにはかなりグッときました。ここではしっとりと落ち着いた雰囲気で聴かせてくれます。JoniとLucianaの声質が似ているせいか、Joniがジャズ・シンガーとなって歌っているような気がしてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=wglf711CJvo

Joni Mitchell「Down To You」
 http://www.youtube.com/watch?v=xwMIkG0oY6s

「Never Die Young」
James Taylorのカヴァー。オリジナルは『Never Die Young』(1988年)のタイトル曲です。JT本人が参加したデュエットとなっているのが嬉しいですね。ある意味、本作のハイライトかもしれません。ハート・ウォーミングな雰囲気が伝わってくる好カヴァーです。小粋なアレンジのバックもグッド!
 http://www.youtube.com/watch?v=jT00-NkYCJE

James Taylor「Never Die Young」
 http://www.youtube.com/watch?v=ITxBcs6lI4Q

「Here It Is」
Leonard Cohenのカヴァー。オリジナルはSharon Robinsonがプロデュースした『Ten New Songs』(2001年)に収録されています。ミステリアスな雰囲気を持ったオリジナルですが、ここではクールなボッサ・チューンに仕上がっています。ボサノヴァという点では本カヴァーが一番雰囲気があるかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=Mu5mzoSGCFQ

Leonard Cohen「Here It Is」
 http://www.youtube.com/watch?v=1hiEXwyto4k

「When We Dance」
Stingの1994年のシングルをカヴァー。個人的にはオリジナルは大して良いと思っていなかったので、エレガントな憂いのある本カヴァーにかなりグッときます。

Sting「When We Dance」
 http://www.youtube.com/watch?v=CYEkZLgAE3s

「Setellite」
若くして亡くなった天才シンガー・ソングライターElliot Smithのカヴァー。オリジナルは『Elliot Smith』(1995年)に収録されています。オリジナルとの比較という意味では、本カヴァーが一番面白いかもしれません。

Elliot Smith「Setellite」
 http://www.youtube.com/watch?v=EBsLeM5opm4

「Where You Blind That Day」
Steely Dan作品のカヴァー。オリジナルは『Gaucho』収録の「Third World Man」です(当初の曲名が「Where You Blind That Day」でした)。正直、本曲がこんなに素晴らしいボッサ・ジャズに生まれ変わるとは思いませんでした。その意味ではかなりグッときましたね。

Steely Dan「Third World Man」
 http://www.youtube.com/watch?v=a0eBurafADk

「Love Is For Strangers」
Walter Becker/Larry Klein作のオリジナル。
Larry KleinはWalter Beckerのアルバム『Circus Money』(2008年)のプロデューサーを務めており、Lucianaも同作にゲスト・ヴォーカルとして参加しています。カヴァー曲が目立つ本作ですが、しっとりとした大人のジャジー・チューンに仕上がっている本曲も魅力的です。

「You And The Girl」
Luciana Souza/Larry Klein作のオリジナル。何故かSSW作品のカヴァーに聴こえてしまいます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=8wdDHQeshnY

「Living Without You」
Randy Newman作品のカヴァー。オリジナルは『Randy Newman』(1968年)に収録されています。Harry Nilssonヴァージョン等でもお馴染みですね。この曲Lucianaには「Down To You」同様にJoni Mitchellの雰囲気がありますね。

「I Can Let Go Now」
Michael McDonaldのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『If That's What It Takes』に収録されています。この曲はMichaelのスモーキー・ヴォイスで聴き慣れていたので、しっとりとした女性ヴォーカルで聴くと新鮮ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=MwblLcBuM1M

「God Only Knows」
The Beach Boys『Pet Sounds』(1966年)収録の大名曲のカヴァー。アルバムの流れを考えると、このセレクトは少し意外な気もします。でも案外ボッサ・アレンジが似合っているところが面白いですね。

The Beach Boys「God Only Knows」
 http://www.youtube.com/watch?v=NDfH_J4MAUQ

「Waters Of March」
Antonio Carlos Jobimの名曲「三月の水」をカヴァー(原題「Aguas de Marre」)。当ブログでは以前にArt Garfunkelのカヴァーも紹介しています。ラストに王道ボッサを配するあたりに本作の狙いが見えてくるのでは?

未聴の方は、本作に続くVerve移籍第二弾アルバム『Tide』(2009年)もチェックしてみて下さい。

『Tide』(2009年)
Tide
posted by ez at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする