2010年08月31日

Arto Lindsay『O Corpo Sutil/The Subtle Body』

ブラジル色を前面に押し出した、静かなるアヴァンギャルド☆Arto Lindsay『O Corpo Sutil/The Subtle Body』
O Corpo Sutil
発表年:1995年
ez的ジャンル:N.Y.アヴァンギャルド×ブラジル
気分は... :ザッケローニでいいのかなぁ?

いよいよ8月もラストですね。
もっともこの暑さ続きでは、全く夏の終わりという気がしませんが・・・

サッカー日本代表の監督がザッケローニに決まりましたね。
かつての名将であることは認めますが、日本サッカーが目指すべき方向とフィットする監督なんですかね?
何かピンと来ないなぁ・・・

さて、今回はArto Lindsayの3回目の登場です。

『Prize』(1999年)、『Noon Chill』(1997年)に続いて紹介するのは『O Corpo Sutil/The Subtle Body』です。『曖昧な存在』という邦題が付けられていましたね。

『Envy』(1984年)をAmbitious Lovers作品として捉えれば、本作『O Corpo Sutil/The Subtle Body』はArto Lindsay初のソロ・アルバムとなります。

Arto Lindsay本人がプロデュースし、アシスタント・プロデューサーとして当ブログで最新作『Samba Carioca』を紹介した名ギタリストVinicius Cantuariaの名がクレジットされています。

レコーディングには、Vinicius Cantuaria、Marc Ribot、Nana Vasconcelos、Bill Frisell等のArto Lindsayでお馴染みのメンバーや、Towa Tei(テイ・トウワ)、坂本龍一、本田ゆか(チボ・マット)といった日本人ミュージシャン、さらにはBrian Eno参も加しています。

Ambitious Lovers時代からアヴァンギャルド感覚の中にブラジル音楽のエッセンスを織り交ぜていたArto Lindsayですが、ソロ作ではさらにブラジル色を強めています。全体的には「動」よりも「静」なアルバムですが、その中にArtoらしいアヴァンギャルド感覚が見え隠れするところが本作の魅力だと思います。

夏の終わりに聴くとフィットする1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Four Skies」
Arto Lindsay/Amadeo Pace作。Brian Enoが参加しています。DNAからのArto LindsayファンはEnoとの共演に惹かれますよね。静かなるアヴァンギャルドといった仕上がりです。淡々とした演奏の中でか細く響くArtoの弱々しい歌声が印象的です。

「Child Prodigy」
Artoとは親交の深いCaetano Velosoとの共作。夏の終わりの寂しさにピッタリな雰囲気のボッサ・チューン。メロウネスの中に漂うミステリアスな雰囲気が大好き!ピアノ&シンセで坂本龍一が参加しています。

「Anima Animale」
Arto Lindsay/Towa Tei/Vinicius Cantuaria作。見た目が草食系男子っぽいArtoが肉食系の側面を見せてくれます(笑)。Towa Tei、本田ゆかも参加し、ヒネリの効いたアヴァンギャルドなブラジリアン・チューンに仕上がっています。

「Este Seu Olhar」
Antonio Carlos Jobimのカヴァー。実にロマンティックな仕上がりですね。坂本龍一のピアノ、Vinicius Cantuariaのギター、Nana Vasconcelosのパーカッションが絶妙のバッキングが名曲を盛り上げてくれます。

「My Mind Is Going」
Arto Lindsay/Joey Baron/Bill Frisell作。本作らしい静かなるパワーを感じる1曲です。N.Y.感覚のブラジル音楽といった雰囲気にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=IpD9xh2eONE

「Enxugar」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。Brian Eno参加の2曲目。美しさと虚しさが同居する内省的な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=zDZOVP7D6L4

「No Meu Sotaque」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。ダウンタウンがGeisha Girls(ゲイシャガールズ)で「ノメソタケ - Minha Geisha」としたカヴァーした曲です。このように書くと誤解されそうですが、オリジナルは実にロマンティックなボッサ・チューン。僕の一番のお気に入り曲です。「Este Seu Olhar」同様、坂本龍、Vinicius Cantuaria、Nana Vasconcelosのバッキングが実に素敵です。
http://www.youtube.com/watch?v=j-Q-ohZuc6Y

「Unbearable」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。オーソドックスなボッサ・チューンのように聴こえますが終盤に軽くヒネリが効いています。

「Nobody in Bed」
Arto Lindsay/Bill Frisell作。Romero LubamboとMelvin Gibbsのギターの絡みが美しいです。

「Astronauts」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。「No Meu Sotaque」と並ぶ僕のお気に入り。アヴァンギャルドなサンバ・チューンに仕上がっています。やはり、アヴァンギャルドなArtoワールドも聴きたいですよね。

「Sovereign」
Arto Lindsay/Ryuichi Sakamoto作。ラストは美しい教授のピアノをバックに、Artoならではのサウダージ・モードでアルバムは幕を閉じます。

Arto LindsayやAmbitious Loversの過去記事もご参照下さい。

『Noon Chill』(1997年)
Noon Chill

『Prize』(1999年)
プライズ

Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
Greed

Ambitious Lovers『Lust』(1991年)
Lust
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2010年08月29日

Natalie Oliveri『Eclectic Soul』

シカゴより期待の女性SSWが登場!☆Natalie Oliveri『Eclectic Soul』
エクレクティック・ソウル
発表年:2010年
ez的ジャンル:ハイブリッド系女性SSW
気分は... :発売元の売り方には???

今回はシカゴ出身の女性シンガー・ソングライターNatalie Oliveriの日本独自デビュー・アルバム『Eclectic Soul』です。

Natalie Oliveriはシカゴ出身。2007年のカレッジ卒業後から音楽活動を本格化させた模様です。2009年に8曲入りのデビューEP『Eclectic Soul』をリリースしています。最近ではジャジーHip-Hopファンにはお馴染みWisdom OneとJust Jから成るシカゴのユニット1773の最新作『Sound Soulstice』でNatalie Oliveriがフィーチャーされています。

今日紹介する『Eclectic Soul』はデビューEPに5曲の新録+リミックスを追加した日本独自のデビュー・アルバムです(ジャケはデビューEPと同じもの)。新録の中には木村カエラ「バタフライ」の英語カヴァーも含まれています。

そのカヴァー1曲を除き、楽曲は全て彼女のオリジナルです。ソウル/R&B、ジャジーHip-Hop、クラブ・ミュージック、ジャズ、ラテン、ポップス、フォークと多様な音楽スタイルを取り入れた内容は実にバラエティに富んでいます。英語のみならず、スペイン語で歌われる曲もあります。正直、アルバム全体のまとまりはありませんが、個々の楽曲の素晴らしさや彼女の豊かな才能を存分に堪能できます。

本作で残念なのは、日本の発売元の売り出し方ですね。
発売元が強調するのは、"木村カエラ「バタフライ」の英語カヴァー収録"と"Common「Go」と同ネタ使いの新曲"の2点。これでは彼女の魅力・才能が全く伝わってきません。木村カエラのカヴァーはあくまでオマケでしょ!解説も入っていない手抜きも含めて、発売元のお粗末な仕事ぶりには失望するばかりです。

そんな状況ですが、Natalie Oliveriが才能ある女性シンガー・ソングライターであることは間違いありません。デビューEPの8曲を聴いてもらえれば、彼女の才能とキュートな歌声に魅了されるはずです。

デビューEPの8曲は彼女のサイトで試聴できます。
http://www.natalieoliveri.com/

また、YouTubeにあったデビューEPのEPK(Electronic Press Kit)も紹介しておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=PDU_DaDAWNI

全曲紹介しときやす。

「Boyfriend」
ダンサブルなビートと切ないメロディとキュートな歌声にグッとくるキャッチーなオープニング。エレクトロとフォーキーを自然に融合させているハイブリット感覚がいいですね。

「Closer」
60年代ポップスやモータウンを彷彿させる軽快なレトロ・ソウルに仕上がっています。Verzatile & Charles Hammondをフィーチャー。

「Never Too Late」
ラテン・テイストのジャジーなメロウ・チューン(おそらく)ヒスパニック系のルーツを持つ彼女らしい1曲なのでは?Anthony Braccoをフィーチャー。
http://www.youtube.com/watch?v=-4oUB8PSKDA

「He's Not You」
この曲は日本向けに追加された曲です。哀愁モードの仕上がりです。

「Walk Away」
SSWらしさという点では、この曲が一番雰囲気があるかもしれません。エレピとセミアコによるシンプルなジャジー・サウンドをバックに彼女のキュートな歌声を堪能できます。

「Too Good To Be True」
Verzatile & Rico SisneyをフィーチャーしたメロウなジャジーHip-Hopチューン。前述のEPK映像でも観ることができますが、吐息まじりのスキャットも交えてラップに絡むNatalieの姿は実にスムーズですよね。

「Puertas Del Corazon」
スペイン語で歌われるスパニッシュ・モードのダンス・チューン。クラブ・ミュージック好きの人は気に入る1曲だと思います。

「Lust」
Rico SisneyをフィーチャーしたメロウなジャジーHip-Hopチューン2曲目。彼女のメロウ・サウンドとキュートなヴォーカルはジャジーHip-Hopとの相性抜群ですね。

「Muchacha」
♪ム・チャ・チャ〜♪哀愁のラテン・チューン。Natalie自身が自身に流れるラテンDNAをかなり意識していることが窺える1曲です。Soulatinaをフィーチャー。

ここまでのうち、「He's Not You」を除く8曲がデビューEPからの8曲です。この8曲にアーティストNatalie Oliveriの本質的な魅力が詰まっています。これ以降の曲は本編とは別のオマケとして楽しみましょう。

「Super Star」
エレクトロ・ダンス・チューン。この路線が彼女にマッチしているかは別として、アルバムのアクセントにはなっています。

「I Feel So」
発売元が"Common「Go」と同ネタ使いの新曲"と騒いでいる曲。Linda Lewis「Old Smokey」のエレピ・フレーズが引用されています。曲・演奏自体は悪くないし、Natalie本人には何も問題ないのですが、発売元のせいで素直に楽しむことができません。

「Butterfly(English Version)」
木村カエラ「バタフライ」の英語カヴァー。何でこのカヴァーが必要なのか理解に苦しみます。YouTubeに映像もありますが、正直、彼女のアーティスト・イメージを崩すだけなので紹介したくありません。

「Boyfriend(Thaory Pan demic Remix)」
「Boyfriend」のリミックス。個人的には断然オリジナルの方が魅力的だと思います。

個人的には日本独自追加の5曲には不満だらけです。それでもオリジナルEP8曲が素晴らしいことには変わりありません。

早く正式なデビュー・アルバムをリリースして欲しい、期待の女性アーティストです。
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2010年08月28日

The Isley Brothers『Harvest For The World』

「3+3」体制後のIsleysの魅力を上手くパッケージ化した1枚☆The Isley Brothers『Harvest For The World』
ハーヴェスト・フォー・ザ・ワールド
発表年:1976年
ez的ジャンル:ロック×ポップス×ソウル系ファンク
気分は... :収穫の多い作品なのでは?

久々にThe Isley Brothersの登場です。

これまで当ブログで紹介したIsleys作品は以下の8枚(発表年順)。

 『Givin' It Back』(1971年)
 『The Isleys Live』(1973年)
 『3+3』(1973年)
 『The Heat Is On』(1975年)
 『Go For Your Guns』(1977年)
 『Winner Takes All』(1979年)
 『Between The Sheets』(1983年)
 『Baby Makin' Music』(2006年)

9枚目に紹介するのは1976年リリースの『Harvest For The World』です。

本作はO'Kelly Isley、Rudolph Isley、Roland Isleyのヴォーカル隊とErnie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperの演奏隊が合体した「3+3」体制になって4枚目のアルバムです。『Live It Up』(1974年)、『The Heat Is On』(1975年)に続き、全米アルバム・チャート第1位となっています。

際立った特徴を感じるアルバムではありませんが、ロック、ポップス、ソウルを消化したファンク・サウンドという「3+3」体制後のIsleysの魅力を上手くパッケージ化した作品という印象を受けます。個々の楽曲というよりも、アルバム全体の総合力が素晴らしいですね。

プロデュースはメンバー自身。さらにStevie Wonder三部作でお馴染みのMalcolm Cecilがアソシエイト・プロダクション、エンジニアリング、プログラミングで参加しています。『3+3』以降のIsleysサウンドに大きく貢献してきたMalcolm Cecilですが、本作がグループに関与した最後の作品となりました。

今日では「Harvest for the World」「(At Your Best) You Are Love」あたりが注目されがちですが、他の楽曲もかなり楽しめる1枚だと思います。

『3+3』『The Heat Is On』あたりを聴いてから、本作に入るパターンが一番楽しめるのでは?

Isleys好きならば間違いナシの1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Harvest for the World (Prelude)」
「Harvest for the World」へのイントロ。

「Harvest for the World」
タイトル曲はアルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャートの第9位となりました。歌詞内容は社会派メッセージ・ソングですが、音はアコースティック・ギターが印象的なポップ&メロウな仕上がりです。The Power Station、The Christians、Ronnie Laws、Jewell等がカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=yz_OsEISBGo

Jewell「Harvest for the World」
 http://www.youtube.com/watch?v=juP7Xa7WjUI

「People of Today」
一番のお気に入り曲。前作『The Heat Is On』からの大ヒット曲「Fight the Power!」の流れを汲むIsleysらしいファンク・チューン。トーキング・モジュレーターも駆使したエレクトリックなウニャウニャ・サウンドがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=1oFdjSs1zuA

「Who Loves You Better」
アルバムからの1stシングル。全米R&Bチャートの第3位となりました。この時期のIsleysらしくロック/ポップ/ファンクを上手く融合したノリの良い1曲に仕上がっています。Ernieファンの方はアルバムで一番彼のギターが目立っている曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=HHqGTH1K_fA

「(At Your Best) You Are Love」
名バラードとして名高い1曲。大ヒットしたAaliyahのカヴァーで本曲に出会った方は大作バラードのイメージが強いかもしれませんが、オリジナルは意外にサラッとした作りです。Aaliyahヴァージョンは本人以上にプロデューサーR.Kellyの嗜好が前面に出た感じでしたが・・・。最近、AaliyahヴァージョンはDrake feat. Young Jeezy「Unforgettable」でサンプリングされていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=BVJzPiJufkY

Aaliyah「(At Your Best) You Are Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=UAXKmlqeO7A
Drake feat. Young Jeezy「Unforgettable」
 http://www.youtube.com/watch?v=Q7FtkSfqrb4

「Let Me Down Easy」
人気曲「(At Your Best) You Are Love」の陰で割を食っている感がありますが、本曲も名バラードだと思います。アープ・シンセが醸し出す哀愁感とRolandのやや抑えたヴォーカルにグッときますね。
http://www.youtube.com/watch?v=KDwnEk0vilM

「So You Wanna Stay Down」
軽やかな爽快グルーヴ。アルバムで一番忘れられがちな曲かもしれませんが大好き!アルバムのいいアクセントになっていると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=1g7S0cqC_GM

「You Still Feel the Need」
ラストはゴツゴツとしたグルーヴにグッとくるファンキー・チューン。アルバムで一番ブラックネスの効いた曲でアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=9XFFnmlmeNg

Isleysの過去記事もご参照下さい。

『Givin' It Back』(1971年)
Givin' It Back

『The Isleys Live』(1973年)
The Isleys Live

『3+3』(1973年)
3+3

『The Heat Is On』(1975年)
The Heat Is On

『Go For Your Guns』(1977年)
Go for Your Guns

『Winner Takes All』(1979年)
Winner Takes All

『Between The Sheets』(1983年)
Between the Sheets

『Baby Makin' Music』(2006年)
Baby Makin' Music
posted by ez at 11:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月27日

Dave Pike『Manhattan Latin』

今聴いても色褪せないスタイリッシュなラテン・ジャズ☆Dave Pike『Manhattan Latin』
Manhattan Latin (Dig)
録音年:1964年
ez的ジャンル:ラテン・ジャズ系ヴァイヴ
気分は... :マンハッタンの夜に誘われて・・・

ジャズ・ヴァイヴ奏者Dave Pikeの2回目の登場です。

The Dave Pike Set『Noisy Silence-Gentle Noise』(1969年)に続いて紹介するのは、『Manhattan Latin』(1964年)です。

僕の場合、クラブでも大人気であったシタール名曲「Mathar」からDave Pikeに入ったため、どうしてもサイケなイメージが先行してしまう人です。アルバムで言えば、The Dave Pike Set『Noisy Silence-Gentle Noise』(1969年)、『The Doors of Perception』(1970年)の2枚を聴く頻度が高いですね。

しかも、The Dave Pike Setはドイツのグループであるため、長い間Dave Pikeはドイツ人だと思い込んでいました(汗)

そのため、どうもThe Dave Pike Set以前のDave PikeとThe Dave Pike Set以降のサイケなDave Pikeが結びつかないところがあります。

話が逸れますが、The Dave Pike SetのメンバーであったVolker Kriegelのソロ・アルバム『Spectrum』(1971年)も大好きな作品です。『Spectrum』については、既に当ブログで紹介したと思い込んでいたのですが、調べたら未紹介であることに今日初めて気付きました。

さて、今回紹介する『Manhattan Latin』(1964年)ですが、タイトルの通りラテン・ジャズ作品です。60年代前半の作品で言えば、Joao Donato曲集である『Bossa Nova Carnival』(1962年)、『Limbo Carnival』(1962年)、Bill Evansとの共演作『Pike's Peak』(1962年) といった作品も人気が高いかもしれませんが、本作も外せない1枚だと思います。

レコーディング・メンバーは、Dave Pike(vibe)、Dave Burns(tp)、Ray Copeland(flh)、Joseph Grimaldi(fl)、Chick Corea(p)、Israel "Cachao" Lopez(b)、Carlos "Patato" Valdez(congas)、Willie Bobo(ds)、Robert Thomas(per)、Hubert Laws(picc、s)、Attila Zoller(g)、Don Friedman(p)、Jack Six(b)です。実際には3つのセッションから構成されています。Chick Coreaの参加が目を惹きますね。

ジャズ好きの人のみならずラテン好きの人もかなり楽しめる内容になっています。あとはクラブジャズ好きの人が聴くと、相当グッとくると思います。今聴いても全く古さを感じないスリリングなラテン・グルーヴには驚くばかりです。変に熱すぎないクールな高揚感が魅力ですね。

マンハッタンの夜の誘惑といった趣のジャケにも魅了されますよね。
ジャケ買いしたくなった方は、内容も間違いナシです!

全曲紹介しときやす。

「Baby」
陽気で軽快なオープニング。Dave Pikeのヴァイヴの艶やかな音色が夜のマンハッタンへと誘います。Dave Pike作。

「Que Mal Es Querer」
本格的にラテンしているマンボ・チューン。このあたりはジャズ好きよりもラテン好きの人が聴くとグッとくると思います。Arsenio Rodriguez作。

「Not A Tear」
Rudy Stevenson作のボレロ1曲目。エキゾチック/ラウンジ好きの人は気に入るであろう美しくムーディーな仕上がりです。エレガントなChick Coreaのピアノもグッド!

「Mambo Dinero」
軽快なコンガのリズムとヴァイヴの絡みが心地好い1曲。Attila Zollerのギターもいい感じです。Dave Pike作。

「Montuno Orita」
個人的にはココからがアルバムのお楽しみ!本曲からラストまで全てオススメです。オススメその1。スリリングなラテン・グルーヴ。決して熱くなりすぎないクールなスピード感がたまりません。Dave Pike作。

「Aphrodite」
オススメその2。クラブジャズ好きの人が聴くと、あまりにクールな格好良さに一発でKOされる演奏なのでは?これが1964年の演奏だとは信じられません。Carlos "Patato" Valdezのコンガのパカポコ感にグッときます。パーフェクトな1曲だと思います。Bobby Thomas作。
http://www.youtube.com/watch?v=pjtalxLQo64

「La Playa」
オススメその3。「Aphrodite」同様、クラブジャズ好きの人を虜にするであろう1曲(Chick Corea作)。こちらもクール&スリリングな演奏でキメてくれます。こちらもミラクル!

「Latin Blues」
オススメその4。男の色気が漂うダンディな演奏が印象的です。Dave Pike作。

「South Seas」
オススメその5。Rudy Stevenson作のボレロ2曲目。美しさの中にどこか寂しさが漂う演奏にグッときます。

「Sandunga」
オススメその6。ラテンな格好良さで言えば、アルバム随一かもしれません。洗練された雰囲気がいかにもN.Y.ラテンといった感じで大好きです。Dave Pike作。

「Dream Garden」
オススメその7。エレガントな演奏はまさにマンハッタンで夢心地気分といったところでしょうか。Dave Pike作。
http://www.youtube.com/watch?v=ELvLmUvZVtw

「Vikki」
オススメその8。ラストはしっとりと締めくくってくれます。

本作を気に入った方は他のDave Pike作品もチェックしてみて下さい!

『It's Time for Dave Pike』(1961年)
It's Time for Dave Pike

『Bossa Nova Carnival』(1962年) ※Joao Donato曲集
ボサ・ノヴァ・カーニヴァル

『Limbo Carnival』(1962年)
リンボ・カーニヴァル

『Pike's Peak』(1962年) ※Bill Evansとの共演作
パイクス・ピーク

『Jazz for the Jet Set』(1966年)
Jazz for the Jet Set

The Dave Pike Set『Got The Feelin'』(1969年)
Got the Feelin

The Dave Pike Set『Noisy Silence-Gentle Noise』(1969年)
ノイジー・サイレンス-ジェントル・ノイズ(紙ジャケット仕様)

『The Doors of Perception』(1970年)
Doors of Perception

前述のように、紹介済みだとすっかり勘違いしていたVolker Kriegel『Spectrum』(1971年)も近々紹介したいと思います。

Volker Kriegel『Spectrum』(1971年)
Spectrum
posted by ez at 02:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月26日

『今の気分は...2010年8月26日編』

久々に過去記事から10曲セレクトするシリーズです。

今回は今まで紹介したThe Beatlesのカヴァーの中から、YouTubeに音源があるものを中心にセレクトしてみました。

個人的には昨年のリマスター騒ぎにウンザリして、1年半以上ブログでBeatles作品の紹介を意識的に避けてきました。その間、家のCD棚からBeatles作品を手にしたこともありません。

実は今夏ブラジル・ロック界の女王Rita LeeによるBeatlesカヴァー・アルバム『Bossa'n Beatles』(2001年)を密かに愛聴していました。さらに数日前に紹介したGal Costaによる「Here,There And Everywhere」のカヴァーを聴いていたら、今回のテーマを思いついた次第です。

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

Gal Costa「Viver e Reviver (Here,There And Everywhere)」
From 『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)
Lua De Mel Como O Diabo Gosta
http://www.youtube.com/watch?v=odpvxX-XSRY

Blackstreet「(Money Can't) Buy Me Love」 
※「Can't Buy Me Love」のリメイク
From Blackstreet『Another Level』(1996年)
Another Level
http://www.youtube.com/watch?v=FK2dt1rsmQY

Kenny Lattimore「And I Love Her」
From 『Timeless』(2008年)
Timeless
http://www.youtube.com/watch?v=HOyXKKvarhw

Roger Nichols & The Small Circle Of Friends「I'll Be Back」
From 『Roger Nichols & The Small Circle Of Friends』)(1968年)
Roger Nichols & the Small Circle of Friends
http://www.youtube.com/watch?v=51CZfa4u1HU

Ocean Colour Scene「Day Tripper」
From Ocean Colour Scene『Marchin' Already』(1997年) 
※国内盤ボーナス・トラック
マーチング・オールレディ
http://www.youtube.com/watch?v=fhtRwEbN1ok

Lord Sitar「I Am the Walrus」
From 『Lord Sitar』(1968年)
Lord Sitar
http://www.youtube.com/watch?v=4mM6CdBeqZY

Sergio Mendes & Brasil'66「With a Little Help from My Friends」
From 『Look Around』(1968年)
ルック・アラウンド~恋のおもかげ
http://www.youtube.com/watch?v=bURqyvpTrdk

Wes Montgomery「A Day In The Life」
From 『A Day In The Life』(1967年)
ア・デイ・イン・ザ・ライフ
http://www.youtube.com/watch?v=_ooeMXnPuIg

Musiq「Something」
From 『Juslisen』(2002年)
Juslisen
http://www.youtube.com/watch?v=0VeLFunSQ20

The Brothers Johnson「Come Together」
From 『Look Out For #1』(1976年)
Look out for #1
http://www.youtube.com/watch?v=nRCdnASv9cE

Rita Lee『Bossa'n Beatles』(2001年)も近々紹介しますね。本当はRita Leeのソロ作を紹介する以前にOs Mutantesの作品を紹介したいのですが・・・

Rita Lee『Bossa'n Beatles』(2001年)
Bossa N Beatles
「She Loves You」(From 『Bossa'n Beatles』)
 http://www.youtube.com/watch?v=vnJIz87nAyk
「All My Loving」(From 『Bossa'n Beatles』)
 http://www.youtube.com/watch?v=BVlwJ8LDaas
「A Hard Day's Night」(From 『Bossa'n Beatles』)
 http://www.youtube.com/watch?v=BRzEGV_Z8aY
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