発表年:1963年
ez的ジャンル:ボサノヴァ功労者
気分は... :海と太陽とボサノヴァと・・・
今日はインスト系のボサノヴァが聴きたい気分!
しかもカラッとした雰囲気のやつ!
そこでセレクトしたのがRoberto Menescal『A Bossa Nova De Roberto Menescal E Seu Conjunto』(1963年)です。
Roberto Menescalは1937年ブラジル、エスピリート州ヴィトーリア生まれのギタリスト/コンポーザー/アレンジャー/プロデューサー。
幼少期からギターなどの楽器に親しみ、作曲・編曲のレッスンも受けていました。高校でCarlos Lyraと出会い、二人でギター教室を開始します。生徒にはNara LeaoやRonaldo Boscoliもいました。
1950年代後半のボサノヴァ創生と共にボサノヴァ・スタイルの音楽を創りはじめ、作詞家Ronaldo Boscoliとのコンビで「O Barquinho(邦題:小舟)」、「Nos e O Mar(邦題:二人と海)」、「Rio」等の名曲を世に送り出しています。さらに60年代のボサノヴァ・ブーム時にも勢力的に活動したボサノヴァ創生・発展に貢献したミュージシャンの一人です。
70年代に入ると、ポリグラム・レコードのプロデューサーとして裏方の活動に専念していましたが、80年代半ばに表舞台に戻ってきました。今年5月にはMarcos Valleと共に来日公演を行い、健在ぶりを見せてくれました。
ブラジル音楽/ボサノヴァ作品を聴き始めると、知らず知らずのうちにMenescal作品を聴いていたといった感じですかね。
僕の場合、Roberto Menescalと聞いて、まず思い浮かぶのはダイビングスーツ姿でギターを手にするRoberto Menescalが写る本作のジャケですね。このジャケの影響で"海"や"太陽"のイメージが強い人です。
その本作『A Bossa Nova De Roberto Menescal E Seu Conjunto』はボサノヴァ・ブームで盛り上がっていた1963年にElencoからリリースした作品です。Ronaldo Boscoli/Roberto Menescal作品のみならず、Antonio Carlos Jobim、Carlos Lyra、Durval Ferreira等の作品も取り上げたボサノヴァ・アルバムです。
レコーディングはRoberto Menescal(g)、Ugo Marotta(vibe)、Henri Ackselrud(fl)、Eumir Deodato(p)、Sergio Barrozo(b)、Joao Palma(ds)、Juquinha(ds)、Aloysio De Oliveira(vo)というメンバーで行われました。特にDeodatoのピアノ、Ugo Marottaのヴァイヴ、Henri Ackselrudのフルートがサウンドの表情を豊かにしてくれます。
わかりづらいですが、ジャケの5匹の魚の中には主要メンバーであるUgo Marotta、Eumir Deodato、Sergio Barrozo、Joao Palma、Henri Ackselrudの名が記載されています。
1曲を除きインストですが、全体的には小気味良さと気の利いたアレンジ・センスが魅力ですね。
ボサノヴァの名曲の数々を小粋なサウンドで堪能しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Desafinado」
Newton Mendonca/Antonio Carlos Jobim作品。当ブログではNara Leaoのヴァージョンを紹介済みです。タイトルは「音痴」を意味するものですが、ここでは歌ナシなので音痴の心配はご無用(笑)。小粋な中にも遊び心を感じる演奏にニンマリしてしまいます。
「Batida Diferente」
Mauricio Einhorn/Durval Ferreira作品。当ブログではCannonball Adderleyのヴァージョンを紹介済みです。本ヴァージョンは軽やかで爽快な演奏にグッときます。Menescalのギター、Deodatoのピアノ、Ugo Marottaのヴァイヴがいい感じです。
「Balancamba」
Ronaldo Boscoli/Roberto Menescal作品。この曲のみAloysio De Oliveiraのヴォーカル入りです。小気味良くキャッチーな仕上がりです。
「O Amor Que Acabou」
L. F. Freire/Chico Feitosa作品。当ブログではSambalanco Trioのヴァージョンを紹介済みです。本ヴァージョンはエレガントなアレンジにグッとくるボッサ・チューンに仕上がっています。Henri Ackselrudのフルートが涼しげです。
「Voce E Eu」
Vinicius De Moraes/Carlos Lyra作品。当ブログではNara Leaoのヴァージョンを紹介済みです。 本ヴァージョンは実に洗練された演奏でグッときます。Menescalのギターも冴えている僕の一番のお気に入り曲です。
「Samba Torto」
Aloysio De Oliveira/Antonio Carlos Jobim作品。当ブログではQuarteto Em Cyのヴァージョンを紹介済みです。おてんば娘のようにチャーミングでテンポの良い演奏がいいですね!
「Garota De Ipanema」
Vinicius De Moraes/Antonio Carlos Jobim作の名曲「イパネマの娘」のカヴァー。当ブログではTamba Trio、Agustin Pereyra Lucena、Diane Denoir/Eduardo Mateoのカヴァーを紹介済みです。ここではエレガントな雰囲気を残しつつ、テンポの良い演奏が印象的です。
「Rio」
Ronaldo Boscoli/Roberto Menescal作品。前述のようにMenescalを代表する名曲の1つです。当ブログではTamba Trioのヴァージョンを紹介済みです。やはり自身のヴァージョンにはグッときますね。クールに高揚している感じがたまりません。
「Baiaozinho」
Eumir Deodato作品。どことなくプリティな雰囲気が漂ってきます。
「Dan-Cha-Cha」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作品。ラテン・フレイヴァーの演奏が印象的です。かなりパーカッシヴな仕上がりが僕好みです。
「Nos E O Mar」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作品。邦題「二人と海(英題:We And The Sea)」。この曲もMenescalを代表する名曲ですね。当ブログでも紹介したTamba 4のヴァージョンもお馴染みですね。「Rio」に続く名曲のセルフ・ヴァージョンを聴くことができ、感動的です。この曲には雄大な雰囲気が似合いますね。
「So Danco Samba」
「Jazz 'N' Samba」のタイトルでもお馴染みのVinicius De Moraes/Antonio Carlos Jobim作品。当ブログではWanda Sa(Wanda De Sah)、Sergio Mendes & Brasil '66、Tamba Trioのヴァージョンを紹介済みです。本ヴァージョンは洗練された演奏でバッチリとキメてくれます!格好良さではアルバム随一かも?
ジャケにグッときた方はぜひ一聴を!