2010年08月20日

Roberto Menescal『A Bossa Nova De Roberto Menescal E Seu Conjunto』

ボサノヴァの名曲の数々を小粋なサウンドで堪能できます!☆Roberto Menescal『A Bossa Nova De Roberto Menescal E Seu Conjunto』
Bossa Nova De Roberto E Seu
発表年:1963年
ez的ジャンル:ボサノヴァ功労者
気分は... :海と太陽とボサノヴァと・・・

今日はインスト系のボサノヴァが聴きたい気分!
しかもカラッとした雰囲気のやつ!

そこでセレクトしたのがRoberto Menescal『A Bossa Nova De Roberto Menescal E Seu Conjunto』(1963年)です。

Roberto Menescalは1937年ブラジル、エスピリート州ヴィトーリア生まれのギタリスト/コンポーザー/アレンジャー/プロデューサー。

幼少期からギターなどの楽器に親しみ、作曲・編曲のレッスンも受けていました。高校でCarlos Lyraと出会い、二人でギター教室を開始します。生徒にはNara LeaoRonaldo Boscoliもいました。

1950年代後半のボサノヴァ創生と共にボサノヴァ・スタイルの音楽を創りはじめ、作詞家Ronaldo Boscoliとのコンビで「O Barquinho(邦題:小舟)」「Nos e O Mar(邦題:二人と海)」「Rio」等の名曲を世に送り出しています。さらに60年代のボサノヴァ・ブーム時にも勢力的に活動したボサノヴァ創生・発展に貢献したミュージシャンの一人です。

70年代に入ると、ポリグラム・レコードのプロデューサーとして裏方の活動に専念していましたが、80年代半ばに表舞台に戻ってきました。今年5月にはMarcos Valleと共に来日公演を行い、健在ぶりを見せてくれました。

ブラジル音楽/ボサノヴァ作品を聴き始めると、知らず知らずのうちにMenescal作品を聴いていたといった感じですかね。

僕の場合、Roberto Menescalと聞いて、まず思い浮かぶのはダイビングスーツ姿でギターを手にするRoberto Menescalが写る本作のジャケですね。このジャケの影響で"海"や"太陽"のイメージが強い人です。

その本作『A Bossa Nova De Roberto Menescal E Seu Conjunto』はボサノヴァ・ブームで盛り上がっていた1963年にElencoからリリースした作品です。Ronaldo Boscoli/Roberto Menescal作品のみならず、Antonio Carlos Jobim、Carlos Lyra、Durval Ferreira等の作品も取り上げたボサノヴァ・アルバムです。

レコーディングはRoberto Menescal(g)、Ugo Marotta(vibe)、Henri Ackselrud(fl)、Eumir Deodato(p)、Sergio Barrozo(b)、Joao Palma(ds)、Juquinha(ds)、Aloysio De Oliveira(vo)というメンバーで行われました。特にDeodatoのピアノ、Ugo Marottaのヴァイヴ、Henri Ackselrudのフルートがサウンドの表情を豊かにしてくれます。

わかりづらいですが、ジャケの5匹の魚の中には主要メンバーであるUgo MarottaEumir DeodatoSergio BarrozoJoao PalmaHenri Ackselrudの名が記載されています。

1曲を除きインストですが、全体的には小気味良さと気の利いたアレンジ・センスが魅力ですね。

ボサノヴァの名曲の数々を小粋なサウンドで堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Desafinado」
Newton Mendonca/Antonio Carlos Jobim作品。当ブログではNara Leaoのヴァージョンを紹介済みです。タイトルは「音痴」を意味するものですが、ここでは歌ナシなので音痴の心配はご無用(笑)。小粋な中にも遊び心を感じる演奏にニンマリしてしまいます。

「Batida Diferente」
Mauricio Einhorn/Durval Ferreira作品。当ブログではCannonball Adderleyのヴァージョンを紹介済みです。本ヴァージョンは軽やかで爽快な演奏にグッときます。Menescalのギター、Deodatoのピアノ、Ugo Marottaのヴァイヴがいい感じです。

「Balancamba」
Ronaldo Boscoli/Roberto Menescal作品。この曲のみAloysio De Oliveiraのヴォーカル入りです。小気味良くキャッチーな仕上がりです。

「O Amor Que Acabou」
L. F. Freire/Chico Feitosa作品。当ブログではSambalanco Trioのヴァージョンを紹介済みです。本ヴァージョンはエレガントなアレンジにグッとくるボッサ・チューンに仕上がっています。Henri Ackselrudのフルートが涼しげです。

「Voce E Eu」
Vinicius De Moraes/Carlos Lyra作品。当ブログではNara Leaoのヴァージョンを紹介済みです。 本ヴァージョンは実に洗練された演奏でグッときます。Menescalのギターも冴えている僕の一番のお気に入り曲です。

「Samba Torto」
Aloysio De Oliveira/Antonio Carlos Jobim作品。当ブログではQuarteto Em Cyのヴァージョンを紹介済みです。おてんば娘のようにチャーミングでテンポの良い演奏がいいですね!

「Garota De Ipanema」
Vinicius De Moraes/Antonio Carlos Jobim作の名曲「イパネマの娘」のカヴァー。当ブログではTamba TrioAgustin Pereyra LucenaDiane Denoir/Eduardo Mateoのカヴァーを紹介済みです。ここではエレガントな雰囲気を残しつつ、テンポの良い演奏が印象的です。

「Rio」
Ronaldo Boscoli/Roberto Menescal作品。前述のようにMenescalを代表する名曲の1つです。当ブログではTamba Trioのヴァージョンを紹介済みです。やはり自身のヴァージョンにはグッときますね。クールに高揚している感じがたまりません。

「Baiaozinho」
Eumir Deodato作品。どことなくプリティな雰囲気が漂ってきます。

「Dan-Cha-Cha」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作品。ラテン・フレイヴァーの演奏が印象的です。かなりパーカッシヴな仕上がりが僕好みです。

「Nos E O Mar」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作品。邦題「二人と海(英題:We And The Sea)」。この曲もMenescalを代表する名曲ですね。当ブログでも紹介したTamba 4のヴァージョンもお馴染みですね。「Rio」に続く名曲のセルフ・ヴァージョンを聴くことができ、感動的です。この曲には雄大な雰囲気が似合いますね。

「So Danco Samba」
「Jazz 'N' Samba」のタイトルでもお馴染みのVinicius De Moraes/Antonio Carlos Jobim作品。当ブログではWanda Sa(Wanda De Sah)Sergio Mendes & Brasil '66Tamba Trioのヴァージョンを紹介済みです。本ヴァージョンは洗練された演奏でバッチリとキメてくれます!格好良さではアルバム随一かも?

ジャケにグッときた方はぜひ一聴を!
posted by ez at 10:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月19日

Pages『Pages』

AOR/サバービア好きはグッとくる!Pagesの1stアルバム☆Pages『Pages』
ファースト・ペイジズ
発表年:1978年
ez的ジャンル:アーバンAOR
気分は... :お好みのPages作品は?

AORファンにはお馴染みPagesの2回目の登場です。

3rdアルバム『Pages』(1981年)に続いて紹介するのは、デビュー・アルバム『Pages』(1978年)です。

3rd同様にグループ名を冠したタイトルでややこしいため、『ファースト・ペイジズ』の愛称で呼ばれている作品です。

Richard PageSteve Georgeを中心としたPagesが残した、『Pages』(1978年)、『Future Street』(1979年)、『Pages』(1981年)という3枚のアルバムは、いずれもAORファンからの支持が高い作品です。

特に今日紹介する1st『Pages』は、サバービアでもセレクトされたアルバムとして人気が高い1枚ですね。

僕の場合、先に購入した2nd『Future Street』、3rd『Pages』を聴く頻度が多く、1st『Pages』には乗り遅れてしまった感があったのですが、冷静に3枚を聴き比べてみると今の僕の嗜好に最も近いのは1st『Pages』かもしれません。

Pagesの魅力であるRichard Pageのヴォーカルには、ロック寄りのサウンドよりもジャジー&ソウル・サウンドが似合うと思うので、その意味でサウンド面で最もマッチした作品が1st『Pages』という気がします。。

1st『Pages』におけるグループのメンバーは、Richard Page(vo)、Steve George(key、vo)、Jerry Manfredi(b)、Russ Battelene(ds)、Peter Leinheiser(g)の5名です。

それ以外にゲストとして、Phillip Bailey(vo)、Lani Groves(vo)、Victor Feldman(vibe)、Michael Brecker(ts)等が参加しています。また、ストリングスやホーン・セクションのアレンジャーとしてDave Grusin、Randy Breckerの名もクレジットされています。

ソングライティングはDave Grusin作のインタールードを除き、全てメンバーおよびJohn Langによるものです。プロデュースはPages作品ではお馴染みのBobby Colombyが務めています。

一般には「Let It Go」「Clearly Kim」が人気だと思いますが、個人的には「This Is For The Girls」「If I Saw You Again」「I Get It From You」がオススメです。

Richardの甘い歌声とアーバンなメロウ・サウンドを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Clearly Kim」
オススメその1。「Let It Go」と並ぶ人気曲。ムーグも入ったクールなファンク・サウンドがミステリアスな雰囲気を醸し出すオープニング。Pagesらしいヴォーカル&コーラスワークも冴えています。
http://www.youtube.com/watch?v=CthIHSQcpUk

「This Is For The Girls」
オススメその2。メロウ・サウンドと素晴らしいヴォーカル&コーラスを堪能できるビューティフル・チューン。バック・ヴォーカルにはPhillip Baileyも参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=fyM8jbduWvE

「Let It Go」
オススメその3。一般的にはアルバムのハイライトは本曲でしょうね。いかにもAORらしいアーバンな雰囲気に包まれたクリスタルなメロウ・グルーヴです。リード・ヴォーカルがRichard Pageではなく、Steve GeorgeなのでPagesっぽくないかもしれませんが、今日ではグループを代表する人気曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=2bxe17439IQ

「Let It Go」と言えば、キリンジ「雨は毛布のように」でメロディが引用されていますね。キリンジ好きの僕としては思わずニンマリです。

キリンジ「雨は毛布のように」
 http://www.youtube.com/watch?v=xK7XLnvIC6Y

「Listen For The Love」
RichardとSteveのツイン・リード・ヴォーカルによるロック寄りの仕上がり。個人的にはこのタイプの曲はあまり好きではありません。
http://www.youtube.com/watch?v=M2wFMFSpswM&

「Love Dance」
Jerry Manfredi作による短いフュージョン風のインスト・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=_vU-diVDhBg

「If I Saw You Again」
オススメその4。Richard Pageのヴォーカルの魅力を堪能できるメロウ・チューン。適度にロック、適度にジャジー、適度にソウルなサジ加減が絶妙ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=3Hptm67JY7c

「Interlude」
Dave Grusin作によるインタールード。

「It's Alright」
Richardがじっくりと歌い上げる感動バラード。Stevie Wonder三部作、Billy Joel『The Stranger』Steely Dan『Gaucho』等でお馴染みの女性ヴォーカリストLani Grovesも参加し、素晴らしい歌声を聴かせてくれます。テナー・サックス・ソロはMichael Breckerです。
http://www.youtube.com/watch?v=ZdPfz0xf5gM

「Room At The Top」
ロック、ファンク、ジャズ、ラテンの要素が散りばめられた演奏はなかなか楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=ngRWhAJXRFk

「I Get It From You」
オススメその5。個人的にはアルバムで一番好きな曲。アルバムの中でも最もすっきりしたサウンドのメロウ・チューンに仕上がっています。Victor Feldmanの小粋なヴァイヴにもグッときます。アルバムのエンディングとしても実にロマンティックなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=Frt9ydm-908

残る1枚、2nd『Future Street』(1979年)もそのうち紹介したいと思います。

『Future Street』(1979年)
フューチャー・ストリート(紙ジャケット仕様)

『Pages』(1981年)
ペイジズ
posted by ez at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月18日

Celso Fonseca & Ronaldo Bastos『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』

カラフル&ビューティフルなボッサ・アルバム!☆Celso Fonseca & Ronaldo Bastos『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』
Juventude / Slow Motion Bossa Nova
発表年:2001年
ez的ジャンル:ビューティフル・ボッサ
気分は... :出逢いは...スローモーション!

猛暑が続く中、涼しさを届けてくれるアルバムをセレクト!
Celso Fonseca & Ronaldo Bastos『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)です。

現在のブラジル音楽シーンを代表するギタリスト/シンガー/コンポーザー/プロデューサーCelso Fonsecaに関して、当ブログではこれまで以下の3枚のアルバムを紹介済みです。

 『Paradiso』(1997年) ※Celso Fonseca & Ronaldo Bastos名義
 『Natural』(2003年)
 『Pagina Central』(2009年) ※Marcos Valle & Celso Fonseca名義

当ブログでCelso Fonsecaの名前が初めて登場したのは、昨年8月の『Paradiso』の記事でした。CD棚を整理していたら発見し、数年ぶりに聴いて彼のギター&ヴォーカルに改めて魅了されてしまいました。

それをきっかけに当ブログにおけるCelso Fonsecaの露出度が急激に多くなりました。過去記事を検索すると、この1年間で15本の記事にCelso Fonsecaの名前が登場しています。

今日は『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)、『Rive Gauche Rio』(2005年)、Celso FonsecaプロデュースのClara Moreno『Meu Samba Torto』(2007年)の3枚のいずれにするか迷いましたが、最も有名なCelso Fonseca作品『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』をセレクトしました。

『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』は、『Sorte』(1994年)、『Paradiso』(1997年)に続く、偉大な作詞家Ronaldo Bastosとの共同名義アルバムの第3弾です。

前作『Paradiso』や他のCelso Fonseca作品と比較すると、サウンドのカラフル感が印象的な作品ですね。その装飾部分が評価の分かれる点だと思いますが・・・

多分、ブラジル音楽ファンの方は本作よりも、よりシンプル&ナチュラルな『Paradiso』『Natural』『Rive Gauche Rio』あたりを好むと思いますが、Celso Fonseca未体験の方はCelso Fonseca入門編としてキャッチーな本作から入るのも良いのでは?

レコーディングにはLuis Alves(b)、Jorjao Barreto(key)、Joao Donato(key)、Daniel Jobim(p)、Marcos Suzano(per)、Robertinho Silva(per)、Armando Marcal(per)、Jaques Morelenbaum(cello)、Vittor Santos(tb)、Marcio Montarroyos(tp)、Nivaldo Ornelas(ts)、Jussara Silveira(vo)、Eduardo Souto Neto(strings arr)等が参加しています。

どうしても人気曲「Slow Motion Bossa Nova」に注目が集まるアルバムですが、他の楽曲にこそ本作の魅力が詰まっている気がします。特に本作ならでは凝ったサウンドメイクや美しいアンサンブルを堪能したい作品ですね。

勿論、Celso Fonsecaの優しい歌声と美しいギターの響きは健在です。

2曲のカヴァー曲以外はRonaldo Bastos/Celso Fonseca作品です。

全曲紹介しときやす。

「Samba E Tudo」
Celso Fonsecaらしい優しいメロディとギターを堪能できるオープニング。リズム・マシーンにLuis AlvesのベースやMarcos Suzanoのパーカッションが絡むリズムを意外に凝った作りです。Clara Moreno『Morena Bossa Nova』でカヴァーされています。

「Satelite Bar」
軽快な中にも内省的な雰囲気を醸し出しています。Eduardo Souto Netoによる雄大なストリングス・アレンジが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=qQGGAXtPNkI

「O Que Restou Do Nosso Amor」
Leo Chauliac/Charles Trenet作のシャンソン作品をRonaldo Bastosがポルトガル語に訳したもの。ようやくボサノヴァ作品らしい演奏を聴くことができます。FonsecaのギターとJaques MorelenbaumのチェロとDaniel Jobim(Antonio Carlos Jobimの孫)のピアノがエレガントに絡みます。Jorjao Barretoによるムーグも印象的です。

「Slow Motion Bossa Nova」
僕のオススメその1。本作のハイライト。多くの人が本曲狙いで本作を購入しているであろう人気曲。タイトル反して、16ビートのグルーヴはボサノヴァっぽくないですね(笑)。それでもボッサな清涼感は存分に堪能できます。ここでもEduardo Souto Netoによるエレガントなストリングスが目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=ZZ2ughaDdms

よりボサノヴァらしいヴァージョンを聴きたい方は以前に紹介した『Natural』収録のヴァージョンをどうぞ!個人的にはシンプル&ナチュラルな『Natural』ヴァージョンの方が好きなのですが、本ヴァージョンも十分楽しめると思います。また、以前に紹介したCelso Fonseca本人も参加したClara Morenoのクラブ・テイスト・カヴァー(アルバム『Morena Bossa Nova』収録)も絶品です。

「Valeu」
僕のオススメその2。アルバムで一番美しいアレンジの演奏だと思います。フリューゲル・ホーンとフルートのアンサンブルにフェンダー・ローズのメロウ・サウンドが絡むビューティフル・サウンドに魅了されます。Robertinho SilvaとArmando Marcalのパーカッション隊の好サポートもあります。

「Ledusha Com Diamantes」
4ビート・ジャズ風の小粋な仕上がり。Vittor Santosがシブいトロンボーン・ソロで盛り上げてくれます。

「A Voz Do Coracao」
Robert Carlos(サッカー選手ではなくブラジル歌謡の帝王のロベカルです)へ捧げられた1曲。かなり複雑なサウンドを聴くことができます。優雅な佇まいが帝王Robert Carlosに相応しい雰囲気なのでは?

「Dylan Em Madri」
僕のオススメその3。エレガントかつミステリアスな音空間が実に魅力的です。歌詞にローマ、バルセロナ、マドリード、セビリアといったサッカー好きにはグッとくる地名が出てくるのも嬉しいですね。

「Feito Pra Voce」
僕のオススメその4。個人的には(本作ヴァージョンの)「Slow Motion Bossa Nova」以上のお気に入り曲です。Joao Donatoがフェンダー・ローズで参加し、Jussara Silveiraが艶やかな女声ヴォーカルを聴かせてくれます。曲良し、アレンジ良し、歌良しと三拍子揃っています。
http://www.youtube.com/watch?v=zepYdlk2UkQ

「Miles Ahead of Time」
タイトルの通り、ジャズの帝王Miles Davisをお題にBastosが"整えた"1曲です。歌詞にはMilesの作品名が数多く登場します。曲自体はあまりMilesっぽくありませんが、Marcio Montarroyosがそれらしいミュート・トランペットを聴かせてくれます。

「O Sorriso De Angkor」
僕のオススメその5。Eduardo Souto NetoのストリングスとFonsecaのギター&ヴォーカルがロマンティックな音空間を見事に創り上げています。Nivaldo Ornelasのテナー・サックス・ソロも盛り上がります。

「Meu Carnaval」
軽やかなサンバ・チューン。FonsecaのギターとRobertinho Silvaのパーカッションとフルートによるシンプルな演奏が印象的です。当ブログでも紹介した新世代女性サンバ・シンガーAna Costaのデビュー・アルバムのタイトル曲にもなっています。

「La Piu Bella Del Mondo」
僕のオススメその6。Mariano Marini作品。この曲はイタリア語で歌われています。途中Ronaldo Bastosの歌声も聴くことができる珍しい演奏です。ロマンティックな雰囲気の中にも21世紀ボッサらしい洗練を感じるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=vCkMmI9aGCg

「Juventude」
僕のオススメその7。ラストはゆったりとサウダージ感覚に包まれてアルバムの幕は閉じます。過ぎ行く夏を懐かしむには最適の1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=gdWaiaCXL9g

国内盤には「Slow Motion Bossa Nova」の別ヴァージョンがボーナス・トラックとして収録されています。こちらの方がボサノヴァしています。

他のCelso Fonseca関連作品もぜひチェックを!

『Sorte』(1994年)
Sorte

『Paradiso』(1997年)
Paradiso

『Natural』(2003年)
Natural

『Rive Gauche Rio』(2005年)
Rive Gauche Rio

Clara Moreno『Meu Samba Torto』(2007年)
Meu Samba Torto

『Feriado』(2007年)
Feriado

『Pagina Central』(2009年) 
パジナ・セントラウ [ボーナス・トラック付]
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2010年08月17日

Willie Colon『Top Secrets』

円熟味を増したN.Y.サルサ☆Willie Colon『Top Secrets』
Top Secrets
発表年:1989年
ez的ジャンル:円熟系N.Y.サルサ
気分は... :大人のN.Y.サルサはトップ・シークレット!

ふと今夏にサルサ作品を1枚も紹介していないことに気付きました。
夏はサルサも外せないですよね。

そこでセレクトしたのはWillie Colon『Top Secrets』(1989年)です。

これまで当ブログで紹介したWillie Colon作品は以下の4枚。

 『El Malo』(1967年)
 『Cosa Nuestra』(1969年) 
 『Lo Mato』(1973年)
 『Siembra』(1978年) ※Ruben Bladesとのコラボ

N.Y.サルサを代表するスーパースターWillie Colonですが、60〜70年代のアルバムと比べると80年代のアルバムは注目されることが少ないかもしれませんね。

僕の場合、最初に聴いたWillie Colon作品が『Especial No.5』(1987年)と『Top Secrets』(1989年)だったので、それなりに愛着があったのですが、一般には60〜70年代のアルバムへの評価が高く、知らぬ間に僕の興味もそちらへ向いていきました。

しかし、80年代のアルバムも聴き直してみると60〜70年代のアルバムにはない魅力に溢れています。特に今日紹介する『Top Secrets』に関して、リアルタイムで聴いていた頃は『Especial No.5』の方はインパクトがありましたが、改めて聴くと80年代らしい都会的な感覚のサルサ・サウンドを堪能できる好アルバムとの印象を受けます。

本作はバック・バンドLegal Alienを従えてレコーディングしています。サウンド面では前述のように都会的なサルサ・サウンドが印象的です。80年代のRuben Blades作品とも共通しますが、キーボード/シンセ・サウンドを自然なかたちでサルサ・サウンドに溶け込ませているのが特徴ですね。

『Top Secrets』は本職のトロンボーンに加え、"シンガー"Willie Colonの魅力を実感できるアルバムでもあります。彼のハイトーン・ヴォーカルがサルサらしい哀愁のメロディと実にマッチしています。

現時点では決して評価の高くはないアルバムですが、?年後には再評価が高まるであろうアルバムという予感がします。

成熟した大人のN.Y.サルサはトップ・シークレット!

全曲紹介しときやす。

「Asi Es La Vida」
Willie Colon作。軽快な演奏の中にもサルサらしい哀愁メロディが聴けてグッとくるオープニング。Legal Alienの洗練された演奏は90年代を目前にしたN.Y.サルサという感じがしますね。
http://www.youtube.com/watch?v=2ibcNvQvO10

「Primera Noche De Amor」
オススメその1。Pietro Carlos作。Colonのハイトーン・ヴォーカルと泣きのメロディがマッチしたアーバン・サルサ・グルーヴ。成熟した大人のサルサといった雰囲気がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=GJQwgYm4wE0

「El Gran Varon」
オススメその2。Omar Alfanno作。サルサの王道を行く哀愁メロディを堪能できる1曲。ヴォーカリストWillie Colonの魅力を堪能できます。また歌だけではなくトロンボーンも冴えています。
http://www.youtube.com/watch?v=AMbadRsyq0c

「Cuando Fuiste Mujer」
オススメその3。Hector Garrido/Vilma Planas作。僕の一番のお気に入り。Colonのダンディズムを感じる仕上がりです。メロディ良し!リズム良し!歌良し!三拍子揃ったN.Y.サルサの魅力を存分に堪能できる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=GSD7rgTRrDM

「Junto a Ti」
オススメその4。P. Jeantet/Eddy Marnay作。メロディの良さで言えばアルバム随一かもしれません。スウィートな疾走感にかなりグッときます。

「Nunca Se Acaba」
Willie Colon作。懐かしさと新しさが交錯するサルサ・サウンドを堪能できます。

「Asia」
Willie Colon作。タイトルの通り、オリエンタル・テイストを狙ったものかもしれませんが、レゲエっぽい雰囲気もします(笑)。少し狙いすぎですかね・・・

「Marta」
Willie Colon作。ラストは甘くムーディーなメロウ・サルサで締めてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=_1qfx_sdZ2U

Willie Colonの過去記事もご参照下さい。

『El Malo』(1967年)
El Malo

『Cosa Nuestra』(1969年)
Cosa Nuestra

『Lo Mato』(1973年)
Lo Mato

『Siembra』(1978年)
Siembra: Special Edition (W/Book) (Spec) (Dig)
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2010年08月16日

Delegation『The Promise Of Love』

何はともあれ「Oh Honey」!☆Delegation『The Promise Of Love』
Promise of Love +2
発表年:1977年
ez的ジャンル:込み上げ系UKソウル
気分は... :ガナーズの開幕戦は?

昨日の記事にも書いたように、サッカーのイングランド・プレミアリーグいきなりの大一番「リヴァプール対アーセナル」を観戦中。前半は0対0のスコアレスでしたが、前半終了間際にリヴァプールのJ.コールがレッドカードで一発退場になってしまいました。

少し大人しい前半でしたが、後半は動きがあるのでしょうか・・・

今回はUKのソウル・グループDelegationのデビュー・アルバム『The Promise Of Love』(1977年)です。

Delegationはイギリス、バーミンガムで1975年に結成されたソウル・グループ。結成時のメンバーはLen ColeyRicky Bailey、Roddy Harrisの3名。その後Roddy Harrisがジャマイカ出身のRay Patterson代わっています。

新体制になってデビュー・アルバム『The Promise Of Love』(1977年)を制作します。この中の収録曲「Oh Honey」が1979年になってから全米R&Bチャート第6位のヒットとなり、Delegationへの注目が集まりました。

その後グループはメンバー交代を経て、『Eau De Vie』(1979年)、『Delegation』(1981年)、『Deuces High』(1982年)といったアルバムをリリースしています。

Delegationと言えば、Real Thingと並びKen Goldが手掛けたグループとしてお馴染みですね。本作でもKen Goldがプロデュースを務め、ソングライティングでもMicky Denneとのコンビで殆どの楽曲を書いています。

そんなKen Goldが世に送り出した名曲が「Oh Honey」です。
フリーソウルの人気曲、Hip-Hopの定番サンプリング・ネタとしてもお馴染みの楽曲であり、世代を超えて幅広い人気を獲得しているメロウ・チューンですね。

その意味では「Delegation=Oh Honey」というイメージが強いですが、今日紹介するデビュー・アルバム『The Promise Of Love』は、決して「Oh Honey」1曲のみのアルバムではありません。Denne & Goldの楽曲を中心に良質の込み上げ系UKソウルを存分に楽しめる1枚になっています。

まずは「Oh Honey」を心ゆくまでまで堪能し、その後はアルバム全体も楽しんでみて下さい。

全曲紹介しときやす。

「The Promise Of Love」
タイトル曲はDenne & Gold作。フィリー・ソウル・テイストの軽快な仕上がりです。晴れやかな気持ちになるオープニングです。
http://www.youtube.com/watch?v=lhGbpYxlIg8

「You've Been Doing Me Wrong」
Denne & Gold作。シングルとしてUKチャート第49位となりました。ソウル・グループとしての彼らの魅力を堪能でき、爽快な込み上げ感にグッとくる佳作だと思います。

「Mr. Heartbreak」
Grenville Harding作。シンプルなバックの感動的なバラード。涙腺にくるまさにハートブレイクな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=Pxhob-9E1-s

「Let Me Take You To The Sun」
Len Coley/Ricky Bailey作。メンバーのペンによる楽曲ですが、軽快で親しみやすいメロディにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=85B8ChiqfTE

「Back Door Love」
哀愁モードのミッド・ダンサー。この曲もフィリー・テイストの仕上がりです。

「Where Is The Love We Used To Know」
Denne & Gold作。「Oh Honey」を除けば本作のハイライトなのでは?シングルとしてUKチャート第22位になっています。僕も「Oh Honey」以外で一番好きな曲です。軽快なリズムと華麗なストリングスがマッチしたメロウ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Xecrx6usp4A

「Soul Trippin'」
Denne & Gold作。流麗なストリングスで盛り上がる軽快なディスコ・チューン。

「Oh Honey」
説明不要のハイライト(Denne & Gold作)。前述のように1979年に全米R&Bチャート第6位となっています。いつ聴いても胸にグッとくる永遠のメロウ・チューンですね。
http://www.youtube.com/watch?v=BbMzoSVKp1Q

本曲と言えば、サンプリング定番ネタとしてお馴染みです。当ブログでもBrothers Like Outlaw「Good Vibrations」Total「Kissin' You/Oh Honey」を既に紹介済みです。

Brothers Like Outlaw「Good Vibrations」
 http://www.youtube.com/watch?v=36cfckG18Aw
Total「Kissin' You/Oh Honey」
 http://www.youtube.com/watch?v=fy2JPJBVBT4

それ以外にも下記の曲で極上メロウを聴くことができます。

Three Times Dope「Funky Dividends」
 http://www.youtube.com/watch?v=MUsaSCRdtYI
Ultramagnetic MC's「Blue Cheese」
 http://www.youtube.com/watch?v=Z_4jmsI6t_o
The Rhythm「I'll Do Anything For You」
 http://www.youtube.com/watch?v=f1d9BMUzEDo
Trellini「I Wanna Be Yours」
 http://www.youtube.com/watch?v=KFzeOYMGf_E
Geto Boys「Quickie」
 http://www.youtube.com/watch?v=GRpejEujz-4
Side 2 Syde「Sky Ballin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=ELCoGjbkxvQ
Robbie Danzie「Don't Let Go」
 http://www.youtube.com/watch?v=qqd1eqfHGY0
Kino Watson「Bring It On(Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=X9AzDouHI-I
Smoker's Paradise「Spanish F.L.Y.」
 http://www.youtube.com/watch?v=myCoWEaZWYE
Cali Life Style「Lost」
 http://www.youtube.com/watch?v=xhMmx3X5dQk
Lil Blacky「Oh honey」
 http://www.youtube.com/watch?v=bePtUmZLkQA
Ms. Krazie「Oh Honey (Dont Trip)」
 http://www.youtube.com/watch?v=W9mtl7mnm3A
Lalwess「Bed Drama」
 http://www.youtube.com/watch?v=BopMj_qPSwI
Chazz「Even In A World」
 http://www.youtube.com/watch?v=OEtrKm1g6t0

上記に加えて、Naughty By Nature「O.P.P. (Sunny Days Remix) 」、Ahmad「Back In The Day (Remix) 」、Coolio「Ugly Bitches」、Da King & I「Tears」等もありますね。

また、カヴァーとしてはSanchez、Royal T、Linda Williams、Peter Hunnigale等のヴァージョンがあります。

Royal T「Oh Honey」
 http://www.youtube.com/watch?v=93UESz3QGsM
Peter Hunnigale「Oh Honey」
 http://www.youtube.com/watch?v=DGc48QQvwSo

「Someone Oughta Write A Song (About You Baby) 」
Denne & Gold作。Denne & Goldらしい込み上げ系のメロディにグッとくる1曲。Real Thing好きの人は間違いなく気に入ると思います。

「Love Is Like A Fire」
Grenville Harding /Ricky Bailey作。ラストは躍動感のあるアップ・チューンでアルバムは幕を閉じます。

CDにはボーナス・トラックとして「Honey I'm Rich」「You And Your Love」 の2曲が追加収録されています。前者はRaydioのカヴァー(『Rock On』収録)です。後者はDenne & Gold作品です。

『Eau De Vie』(1979年)
オー・ド・ヴィー

『Deuces High』(1982年)
ジューセス・ハイ
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