発表年:2010年
ez的ジャンル:ミラノ伊達男系ブラジリアン・クラブジャズ
気分は... :今夏、僕のイチオシ新譜!
今回は、今夏、僕のイチオシ新譜!Nu Brazの2nd『Baticumbum』です。
Nu Brazは、イタリア人シンガー/DJ Emanuele Cucchiによるブラジリアン・プロジェクト。
ジャズ・トロンボーン奏者のFranco CucchiとシンガーであるAnna D’Amicoを両親に持ち、幼少時代から歌手、俳優として活動し、現在はミラノやサン・パウロなどでミュージシャン/DJとして活躍する、イタリアとブラジルを股にかけたマルチ・アーティストです。
本作『Baticumbum』は、『Sonho Bossa』(2006年)に続くNu Brazの2ndアルバムとなります。全体としては、イタリア人によるブラジリアン・クラブジャズということになりますが、"ブラジリアン"部分が表層的なものではなく、かなり本格的です!
個人的にはイタリアのクラブ・ジャズとブラジル音楽が絶妙のバランスで融合した傑作だと思っています。
レコーディングはミラノ、サン・パオロ、リオ・デ・ジャネイロ、パリの4箇所で行われました。Soulstance、Toco & S-Tone Inc.、Marco Brioschi(Milano Jazz Dance Combo)等といったクラブジャズ好きにはお馴染みのメンバーや、Ricardo Janotto、Jose Mascolo、Jair Oliveira、Alexandre Kassin、Donatinho(Joao Donatoの息子)、Jesse Sadoc等といったブラジル音楽ファンにはグッとくるメンバーがレコーディングに参加しています。
本作に関して、Mario Biondiが引き合い出されることが多いですが、ヴォーカルもサウンド面でもかなり違うと思います。それでも、イタリアの伊達男が創り上げたセンス抜群のクラブジャズという点で何か共通する匂いは感じますね。
今夏、僕のイチオシ新譜です。ぜひ聴いてみて下さい!
全曲紹介しときやす。
「Segunda-Feira」
オープニングはノスタルジック・モードのボッサ・チューン。プログラミングによる隠し味を効かしているあたりに、ミラノの伊達男らしいセンスを感じます。Milano Jazz Dance ComboのメンバーMarco Brioschiがトランペット・ソロで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=9YNSwnEuDTU
「Trem Das Onze」
オススメその1。クールで小粋なボッサ・ジャズ。このセンスはGianni Lo Greco & Enzo Lo GrecoというSoulstanceの二人の貢献が大きいかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=_ehw3Dakof0
「Baticumbum」
オススメその2。タイトル曲はRicardo Janottoをフィーチャー。本作の発売元でもあるIrma Recordsのコンピ『Sister Bossa Vol.9: Cool Jazzy Cuts With A Brazillian Flavour』にも収録されていました。Ricardo Janottoの個性を上手く活かしたひと癖ある仕上がりがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=JgNyCCi4Rdk
「Come Prima」
亡き母Anna D’Amicoのヒット曲のカヴァー。時代を超えた母と息子のデュエットです。Emanuele CucchiがNu Brazとして活動する思いが伝わってくる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=5esC_WgCeI0
「Aquarela Show」
本作が単なるムード重視のブラジリアン・フレイヴァー作品ではないことを実感させてくれる力強い1曲。
「Zuera」
オススメその3。僕の一番のお気に入り。Soulstanceをフィーチャーしたブラジリアン・ダンス・チューン。7月に僕がiPodで最も多く聴いた曲が本曲です。ミラノらしいセンスに溢れたスタイリッシュなクラブジャズにグッときます。さすははSoulstance!
http://www.youtube.com/watch?v=QagqQtS-_HE
「Como Dizia o Poeta」
オススメその4。Toquinho & Vinicius de Moraesのカヴァー。オリジナルはVinicius, Marilia Medalha & Toquinho『Como Dizia o Poeta...』に収録されています。本ヴァージョンではToquinhoのバックも務めてたベテラン・ピアニストJose Mascoloをフィーチャー。コンテンポラリーなアレンジの21世紀ジャズ・サンバに仕上がっています。
Vinicius, Marilia Medalha & Toquinho「Como Dizia o Poeta」
http://www.youtube.com/watch?v=qsPt_r4HZAI
「Tiro Onda (Lucio K Mix)」
Jair Oliveira作品のカヴァー。Jair OliveiraはJair Rodriguesの息子、Luciana Meloの兄です。Oliveira自身がヴォーカルで参加しています。現在進行形のブラジル作品がお好きな方は気に入るのでは?
「Sonho Do Sertao」
Toco & S-Tone Inc.をフィーチャー。Schema初の男性SSWTocoとプロデューサーS-Tone Inc.のコンビはSchemaファンにはお馴染みですね。ここではSchemaらしからぬ(?)味わい深いヴォーカル&サウンドを聴かせてくれます。素晴らしいストリングスも印象的です。
「Conselho De Bamba」
オススメその5。Kassin(Alexandre Kassin)をフィーチャー。Joao Donatoの息子Donatinhoもエレピで参加しています。そのDonatinhoのエレピが心地好い小粋なメロウ・チューンに仕上がっています。
「Figlio Unico」
オススメその6。男の色気を感じる哀愁ボッサ・チューン。ジャケのようなセピア色が似合うシブめの仕上がりですがセンス抜群です。
「Mucuripe」
オススメその7。Elis Reginaが歌ったことで知られるFagner/Belchior作品をカヴァー。本ヴァージョンではJesse Sadocのトランペットをフィーチャー。Elisヴァージョンの哀愁バラードというイメージが強い曲ですが、ここではクラブジャズ・テイストのボッサ・グルーヴに仕上がっています。
「Inutil Paisagem」
ラストはAntonio Carlos Jobimの名曲「無意味な風景」のカヴァー。これまでTenorio Jr.、Quarteto Em Cy、Tita、Vinicius Cantuariaのカヴァーを紹介している、当ブログでもお馴染みの1曲ですね。本ヴァージョンはロマンティックな仕上がりでアルバムを締め括ってくれます。Marco Brioschiのトランペット・ソロにグッときます。
本作を気に入った方は1st『Sonho Bossa』(2006年)もどうぞ!
『Sonho Bossa』(2006年)