発表年:1964年
ez的ジャンル:ボサノヴァの妖精
気分は... :ギアはニュートラルに・・・
"ボサノヴァの妖精"Wanda Saのデビュー作『Vagamente』(1964年)です。
Wanda Sa(Wanda De Sah)の紹介は2nd『Softly!』(1965年)に続き2回目です。
『Softly!』を先に紹介してしまいましたが、Wanda Saの代表作と言えば、本作『Vagamente』ですよね。
Sergio Mendesのグループをバックに、USマーケットを意識し、多くの曲が英語で歌われた『Softly!』は、ブラジル音楽ファンにとっては少しビミョーなアルバムかもしれませんね。その意味ではより自然なかたちで彼女の魅力を堪能できる本作『Vagamente』の方がスンナリ聴くことができるかもしれません。
師匠である偉大なギタリスト/コンポーザーRoberto Menescalのプロデュースの下、5つの異なる編成のグループがが妖精Wandaバックを務めています。各グループを率いるのはMenescal、Tenorio Jr.、Eumir Deodatoの4名。ブラジル音楽ファンは、この4名の名前で相当グッときますよね。特に20歳であったDeodatoの仕事ぶりに関心することしきりです。
ジャケのギター片手に少女が海辺を歩く姿は、まさに"ボサノヴァの妖精"といった趣ですね。。
さて、肝心のWandaのヴォーカルですが、サウダージ・ムードたっぷりの憂いのある歌声を聴かせてくれます。キュートの中にも落ち着きのある歌声にグッときますね!
いつ聴いても飽きることのない、ボサノヴァ永遠のマスターピースだと思います。
全曲紹介しときやす。
「Adriana」
Luiz Fernando Freire/Roberto Menescal作。変拍子のリズムがアクセントになっているクール・ボッサ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=GYsm-8DEwVg
「E Vem O Sol」
Paulo Sergio Valle/Marcos Valle作。Marcosのオリジナルはデビュー・アルバム『Samba "Demais"』に収録されています。Os Bossa TresのリーダーLuis Carlos Vinhasの美しいピアノにグッとくるロマンチック・ボッサ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=twex3NUByKg
「Encontro」
Nelson Motta/Wanda Sa作。Eumir Deodatoのオルガンで始まるジャケのイメージそのままの爽快ボッサ・チューンに仕上がっています。
「So Me Fez Bem」
Edu Lobo/Vinicius de Moraes作。当ブログでは以前にEdu Lobo & Maria Bethania『Edu E Bethania』収録のヴァージョンを紹介しています。個人的には「Mar Azul」、「Tambem Quem Mandou」と並んでアルバムで一番好きな演奏です。ここでもLuis Carlos Vinhasの小粋なピアノにグッときます。後に彼女はEdu Loboと結婚することになります。
「Mar Azul」
Joao Vitorio/Francis Hime作。この曲も大好き!まさにサウダージ気分の憂いがたまりません。キュートなジャケからは想像できないセクシー・ボッサ・チューン。
「Tambem Quem Mandou」
Carlos Lyra/Vinicius de Moraes作。揺れる夏の恋心といった趣がいいですね。誰もいない海でぼんやりしながら聴きたい1曲です。
「Tristeza De Nos Dois」
Duruval Ferreira/Mauricio Einhorn/Bebeto作。当ブログではTamba Trio、Tamba 4のヴァージョンを紹介済みです。ここではDeodatoが指揮する美しいオーケストレーションが印象的です。
「Vivo Sonhando」
Vinicius de Moraes/Antonio Carlos Jobim作。『Softly!』でも「The Dreamer」のタイトルで取り上げられていました。それ以外にも当ブログではDiane Denoir/Eduardo Mateoのヴァージョンを紹介済みです。ここではTenorio Jr.を中心としたグループが軽快かつエレガントな演奏でWandaの歌を盛り上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=aLJ_hMA5WKA
「Sem Mais Adeus」
Francis Hime/Vinicius de Moraes作。ここでもDeodatoが素晴らしいオーケストレーションを指揮します。憂いのあるWandaのヴォーカルにマッチしたアレンジだと思います。
「Inutil Paisagem」
Antonio Carlos Jobim/Aloysio De Oliveira作の名曲「無意味な風景」。数日前にもNu Brazのカヴァーを紹介したばかりです。それ以外にも当ブログではTenorio Jr.、Quarteto Em Cy、Tita、Vinicius Cantuariaのカヴァーを紹介済みです。ここではRoberto MenescalのギターとSergio Barrosoのベースのみのシンプルなバックで、Wandaのヴォーカルを際立たせています。
「Tristeza De Amar」
Luiz Roberto/Geraldo Vandre作。哀愁感たっぷりのGeraldo自身のオリジナルと比較すると、同じ哀愁モードでもオーケストレーションをバックにムーディーな仕上がりになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=WpSsAoH74UE
「Vagamente」
タイトル曲はRoberto Menescal/Ronaldo Boscoli作。当ブログでは先月にVinicius Cantuariaのカヴァーを紹介したばかりですね。Tenorio Jr.を中心としたグループの小粋な演奏が名曲をさらに素晴らしいものにしています。
そのうちWanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio『Brasil'65』(1965年)も紹介しますね!
『Softly!』
Wanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio『Brasil'65』