2010年08月18日

Celso Fonseca & Ronaldo Bastos『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』

カラフル&ビューティフルなボッサ・アルバム!☆Celso Fonseca & Ronaldo Bastos『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』
Juventude / Slow Motion Bossa Nova
発表年:2001年
ez的ジャンル:ビューティフル・ボッサ
気分は... :出逢いは...スローモーション!

猛暑が続く中、涼しさを届けてくれるアルバムをセレクト!
Celso Fonseca & Ronaldo Bastos『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)です。

現在のブラジル音楽シーンを代表するギタリスト/シンガー/コンポーザー/プロデューサーCelso Fonsecaに関して、当ブログではこれまで以下の3枚のアルバムを紹介済みです。

 『Paradiso』(1997年) ※Celso Fonseca & Ronaldo Bastos名義
 『Natural』(2003年)
 『Pagina Central』(2009年) ※Marcos Valle & Celso Fonseca名義

当ブログでCelso Fonsecaの名前が初めて登場したのは、昨年8月の『Paradiso』の記事でした。CD棚を整理していたら発見し、数年ぶりに聴いて彼のギター&ヴォーカルに改めて魅了されてしまいました。

それをきっかけに当ブログにおけるCelso Fonsecaの露出度が急激に多くなりました。過去記事を検索すると、この1年間で15本の記事にCelso Fonsecaの名前が登場しています。

今日は『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)、『Rive Gauche Rio』(2005年)、Celso FonsecaプロデュースのClara Moreno『Meu Samba Torto』(2007年)の3枚のいずれにするか迷いましたが、最も有名なCelso Fonseca作品『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』をセレクトしました。

『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』は、『Sorte』(1994年)、『Paradiso』(1997年)に続く、偉大な作詞家Ronaldo Bastosとの共同名義アルバムの第3弾です。

前作『Paradiso』や他のCelso Fonseca作品と比較すると、サウンドのカラフル感が印象的な作品ですね。その装飾部分が評価の分かれる点だと思いますが・・・

多分、ブラジル音楽ファンの方は本作よりも、よりシンプル&ナチュラルな『Paradiso』『Natural』『Rive Gauche Rio』あたりを好むと思いますが、Celso Fonseca未体験の方はCelso Fonseca入門編としてキャッチーな本作から入るのも良いのでは?

レコーディングにはLuis Alves(b)、Jorjao Barreto(key)、Joao Donato(key)、Daniel Jobim(p)、Marcos Suzano(per)、Robertinho Silva(per)、Armando Marcal(per)、Jaques Morelenbaum(cello)、Vittor Santos(tb)、Marcio Montarroyos(tp)、Nivaldo Ornelas(ts)、Jussara Silveira(vo)、Eduardo Souto Neto(strings arr)等が参加しています。

どうしても人気曲「Slow Motion Bossa Nova」に注目が集まるアルバムですが、他の楽曲にこそ本作の魅力が詰まっている気がします。特に本作ならでは凝ったサウンドメイクや美しいアンサンブルを堪能したい作品ですね。

勿論、Celso Fonsecaの優しい歌声と美しいギターの響きは健在です。

2曲のカヴァー曲以外はRonaldo Bastos/Celso Fonseca作品です。

全曲紹介しときやす。

「Samba E Tudo」
Celso Fonsecaらしい優しいメロディとギターを堪能できるオープニング。リズム・マシーンにLuis AlvesのベースやMarcos Suzanoのパーカッションが絡むリズムを意外に凝った作りです。Clara Moreno『Morena Bossa Nova』でカヴァーされています。

「Satelite Bar」
軽快な中にも内省的な雰囲気を醸し出しています。Eduardo Souto Netoによる雄大なストリングス・アレンジが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=qQGGAXtPNkI

「O Que Restou Do Nosso Amor」
Leo Chauliac/Charles Trenet作のシャンソン作品をRonaldo Bastosがポルトガル語に訳したもの。ようやくボサノヴァ作品らしい演奏を聴くことができます。FonsecaのギターとJaques MorelenbaumのチェロとDaniel Jobim(Antonio Carlos Jobimの孫)のピアノがエレガントに絡みます。Jorjao Barretoによるムーグも印象的です。

「Slow Motion Bossa Nova」
僕のオススメその1。本作のハイライト。多くの人が本曲狙いで本作を購入しているであろう人気曲。タイトル反して、16ビートのグルーヴはボサノヴァっぽくないですね(笑)。それでもボッサな清涼感は存分に堪能できます。ここでもEduardo Souto Netoによるエレガントなストリングスが目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=ZZ2ughaDdms

よりボサノヴァらしいヴァージョンを聴きたい方は以前に紹介した『Natural』収録のヴァージョンをどうぞ!個人的にはシンプル&ナチュラルな『Natural』ヴァージョンの方が好きなのですが、本ヴァージョンも十分楽しめると思います。また、以前に紹介したCelso Fonseca本人も参加したClara Morenoのクラブ・テイスト・カヴァー(アルバム『Morena Bossa Nova』収録)も絶品です。

「Valeu」
僕のオススメその2。アルバムで一番美しいアレンジの演奏だと思います。フリューゲル・ホーンとフルートのアンサンブルにフェンダー・ローズのメロウ・サウンドが絡むビューティフル・サウンドに魅了されます。Robertinho SilvaとArmando Marcalのパーカッション隊の好サポートもあります。

「Ledusha Com Diamantes」
4ビート・ジャズ風の小粋な仕上がり。Vittor Santosがシブいトロンボーン・ソロで盛り上げてくれます。

「A Voz Do Coracao」
Robert Carlos(サッカー選手ではなくブラジル歌謡の帝王のロベカルです)へ捧げられた1曲。かなり複雑なサウンドを聴くことができます。優雅な佇まいが帝王Robert Carlosに相応しい雰囲気なのでは?

「Dylan Em Madri」
僕のオススメその3。エレガントかつミステリアスな音空間が実に魅力的です。歌詞にローマ、バルセロナ、マドリード、セビリアといったサッカー好きにはグッとくる地名が出てくるのも嬉しいですね。

「Feito Pra Voce」
僕のオススメその4。個人的には(本作ヴァージョンの)「Slow Motion Bossa Nova」以上のお気に入り曲です。Joao Donatoがフェンダー・ローズで参加し、Jussara Silveiraが艶やかな女声ヴォーカルを聴かせてくれます。曲良し、アレンジ良し、歌良しと三拍子揃っています。
http://www.youtube.com/watch?v=zepYdlk2UkQ

「Miles Ahead of Time」
タイトルの通り、ジャズの帝王Miles Davisをお題にBastosが"整えた"1曲です。歌詞にはMilesの作品名が数多く登場します。曲自体はあまりMilesっぽくありませんが、Marcio Montarroyosがそれらしいミュート・トランペットを聴かせてくれます。

「O Sorriso De Angkor」
僕のオススメその5。Eduardo Souto NetoのストリングスとFonsecaのギター&ヴォーカルがロマンティックな音空間を見事に創り上げています。Nivaldo Ornelasのテナー・サックス・ソロも盛り上がります。

「Meu Carnaval」
軽やかなサンバ・チューン。FonsecaのギターとRobertinho Silvaのパーカッションとフルートによるシンプルな演奏が印象的です。当ブログでも紹介した新世代女性サンバ・シンガーAna Costaのデビュー・アルバムのタイトル曲にもなっています。

「La Piu Bella Del Mondo」
僕のオススメその6。Mariano Marini作品。この曲はイタリア語で歌われています。途中Ronaldo Bastosの歌声も聴くことができる珍しい演奏です。ロマンティックな雰囲気の中にも21世紀ボッサらしい洗練を感じるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=vCkMmI9aGCg

「Juventude」
僕のオススメその7。ラストはゆったりとサウダージ感覚に包まれてアルバムの幕は閉じます。過ぎ行く夏を懐かしむには最適の1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=gdWaiaCXL9g

国内盤には「Slow Motion Bossa Nova」の別ヴァージョンがボーナス・トラックとして収録されています。こちらの方がボサノヴァしています。

他のCelso Fonseca関連作品もぜひチェックを!

『Sorte』(1994年)
Sorte

『Paradiso』(1997年)
Paradiso

『Natural』(2003年)
Natural

『Rive Gauche Rio』(2005年)
Rive Gauche Rio

Clara Moreno『Meu Samba Torto』(2007年)
Meu Samba Torto

『Feriado』(2007年)
Feriado

『Pagina Central』(2009年) 
パジナ・セントラウ [ボーナス・トラック付]
posted by ez at 01:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする