発表年:1971年
ez的ジャンル:元祖ラテン・ロック
気分は... :今聴きたいSantana作品!
Carlos Santana率いるSantanaの4回目の登場です。
これまで紹介したSantana作品は以下の3枚。
『Santana』(1969年)
『Borboletta』(1974年)
『Festival』(1976年)
今回紹介するのは3rdアルバム『Santana III』(1971年)です。
僕の中でお気に入りのSantana作品は数年サイクルで変化しています。数年前は『Welcome』(1973年)、『Borboletta』(1974年)といったフュージョン期のアルバムが好きだったのですが、最近の嗜好にフィットしているのが『Santana III』です。
本作の原題は『Santana』ですが、1st『Santana』と区別するため、『Santana III』と表記されることが多くなりました。本エントリーでも便宜上『Santana III』と表記しておきます。
大ヒットした2nd『Abraxas』(1970年)に続いてリリースしたアルバムであり、前作同様に全米アルバム・チャートNo.1に輝きました。
躍動感に満ちた"ラテン・ロック・グループ"としてのSantanaが頂点に達したアルバムであり、バンドにとって大きな区切りとなった作品という印象です。次作『Caravanserai』(1972年)からはラテン・ロック色が後退し、その後は精神性を重視したフュージョン路線にシフトしていくことになります。
本作におけるバンド・メンバーはCarlos Santana(g、vo)、Neal Schon(g)、Gregg Rolie(key、vo)、David Brown(b)、Michael Shrieve(ds、per、vibe)、Jose Chepito Areas(per、ds、vo、flh)、Michael Carabello(per)の7名。やはり新加入のNeal Schonに注目ですね。後にJourneyで大成功を収めるNeal Schonですが、当時の彼は弱冠17歳の新人ギタリストでした。また、プロデュースのクレジットはSantana Musiciansとなっています。
ゲストとして、Coke Escovedo(per、vo)、Rico Reyes(vo)、Tower Of Power Horn Section、Luis Gasca(tp)、Linda Tillery(vo)、Mario Ochoa(p)、Greg Errico(tamb)がレコーディングに参加しています。
衝撃的なデビュー作『Santana』、ラテン・ロックを多くの音楽ファンに知らしめた大ヒット作『Abraxas』に比べると、インパクトが弱い作品かもしれません。しかし、完成度は高く、ファンの中でも本作を彼らの最高傑作に推す人は多いのでは?
一般にはNeal Schonの加入によるツイン・ギターや完成されたバンド・サウンドに注目が集まる作品ですね。
個人的にはNeal Schonの加入以上に、サポートで参加しているCoke Escovedoに注目している作品です。特にCokeのクレジットには"assistance on all tunes"と記載されており、彼の貢献でラテン・グルーヴが強化された作品という印象を受けます。
このように様々な楽しみ方ができるSantana作品だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Batuka」
オープニングはラテン・ロックなインストです。Neal Schonのギター・ソロを大きくフィーチャーした新メンバーお披露目といった印象のオープニングです。Santana作。
http://www.youtube.com/watch?v=bGO7tuCauw0
「No One To Depend On」
邦題「孤独のリズム」。Coke Escovedo/Mike Carabello/Gregg Rolie 作。アルバムからの2ndシングルにもなりました。Willie Bobo「Spanish Grease」のメロディを引用したラテン・グルーヴ。中盤以降のハイ・テンションな演奏が圧巻です。
http://www.youtube.com/watch?v=M76o1bFw-0Q
「Spanish Grease」はEl Chicanoもカヴァーしていますね。
El Chicano「Spanish Grease」
http://www.youtube.com/watch?v=2d7hB0B92i4
「Taboo」
Gregg Rolie/Jose Chepito Areas作。Gregg Rolieがヴォーカルをとる哀愁メロウ・チューン。Santanaらしい泣きのギターも堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=uyznBKSMPjE
「Toussaint L'Overture」
邦題「祭典」。Santana作。ハイチの革命家Toussaint L'Overtureをイメージして書かれた曲。これぞSantana!と呼べるスリリングな演奏だと思います。ギターがバトルし、ハモンドが唸り、パーカッションのリズムが乱舞する展開にロック・ファンもラテン・ファンも鼻血ブーなのでは(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=Jli1gW37fqk
「Everybody's Everything」
邦題「新しい世界」。Milton Brown/Tyrone Moss/Carlos Santana作。Tower Of Power Horn Sectionが参加したラテン・ファンク・チューン。アルバムからの1stシングルとして全米チャート第12位のヒットとなりました。ラテン版Sly & The Family Stoneといった雰囲気のゴキゲンなファンキー・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=kT7B10NZyv8
「Guajira」
David Brown/Jose Chepito Areas/Rico Reyes作。Rico ReyesのヴォーカルとMario Ochoaのピアノをフィーチャーしたラテン/サルサ色が強い仕上がりです。本作がリリースされた1971年はN.Y.サルサが盛り上がりを見せていた時期であり、そんな流れとの連動も感じますね。
http://www.youtube.com/watch?v=uVMVxLibzK8
「Jungle Strut」
ジャズ・サックス奏者Gene Ammonsのカヴァー。スリリングな中にブルージーな味わいも漂うラテン・ロック・サウンドを堪能できます。Carlos Santana、Neal Schonのツイン・リードを堪能するならば本曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=piOEO_0Ffp0
「Everything's Coming Our Way」
邦題「愛がすべてを」。Carlos Santana作。爽快なアコギの音色も聴こえるポップな仕上がり。アルバムの流れを考えると、軽い曲に聴こえてしまいますが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=AqCyfpNfYwU
「Para Los Rumberos」
ラストはTito Puenteの人気曲をカヴァー。前作の「Oye Como Va(僕のリズムを聞いとくれ)」に続くTito Puenteカヴァーとなります。ラテン・パーカッションの洪水が押し寄せるハイ・テンションな仕上がりにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=vir6kY38j8A
2006年には未発表曲3曲、「No One to Depend On」のシングル・ヴァージョン、71年7月4日のFillmore Westでのライブ11曲が追加されたLegacy Editionも発売されています。
『Santana III』(Legacy Edition)
Santanaの過去記事もご参照下さい。
『Santana』(1969年)
『Borboletta』(1974年)
『Festival』(1976年)