発表年:1987年
ez的ジャンル:大人のMPB
気分は... :バスタイムのタバコはいけません(笑)
今回はGal Costa『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)です。
MPBを代表する大物女性シンガーGal Costaですが、当ブログではこれまでCaetano Veloso、Gilberto Gil、Tom Ze、Nara Leao、Os Mutantesらと共演した『Tropicalia: ou Panis Et Circencis』(1968年)は紹介しましたが、Gal単独作品は未紹介でした。
Gal Costaは1945年ブラジル、バイーア州サルヴァドール生まれ。
1963年にCaetano Velosoと出会い、さらにGilberto Gil、Tom Ze、Maria Bethaniaとも交流を持つようになります。そして、1967年にはCaetano Velosoと共に名作『Domingo』をリリースし、さらに1968年には前述の『Tropicalia: ou Panis Et Circencis』をリリースし、トロピカリア(トロピカリズモ)の中心的な女性シンガーとして注目を集めるようになります。
1969年には初のソロ・アルバム『Gal Costa』をリリース。トロピカリアの動きが落ち着いた後もMPBを代表する女性シンガーとしてコンスタントにアルバムをリリースしています。
女王Elis Reginaと同じように、その存在感だけで聴き手を魅了する女性シンガーですよね。
Gal Costa作品の紹介としては、60〜70年代前半のアルバムを先に紹介するべきかもしれませんが、最近よく聴いている『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)をセレクトしました。
タバコ片手に入浴する女性の後姿(Gal本人)のジャケが印象的ですよね。
Gal作品の中にはセクシーすぎて検閲に引っ掛かった『India』(1973年)の例もありますが、本作もお色気ムンムンな感じで大好きです(笑)
内容としては、コンテンポラリーなサウンドをバックに、ロマンティックかつ表情豊かなGal Costaワールドを堪能できれるアルバムに仕上がっています。Galのシンガーとしてのスケールの大きさを実感できる点も大好きです。
プロデューサーにはGuto Graca Melloが起用されています。また、本作でLulu Santosの作品をかなりプッシュしており、全10曲中3曲が彼の作品です。
ブラジル音楽=ボサノヴァ、サンバのような印象が強い方はGal Costaを聴くと、ブラジル音楽の別の魅力に触れることができると思います。
成熟したGal Costaの歌世界を堪能しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Arara」
Galが強力にプッシュしているLulu Santos作品でアルバムはスタートします。迫力と表情豊かなGalのヴォーカルの存在感に圧倒されるオープニングです。
「O Vento」
Ronaldo Bastos/Djavan作品。Djavan本人もレコーディングに参加し、アレンジも担当しています。アコースティックなバックに合わせて、ここでのGalは透明感のあるヴォーカルを聴かせてくれます。
「Tenda」
Caetano Velosoの作品。コンテンポラリーなサウンドによる大人のMPBといった趣の仕上がりです。
「Viver e Reviver (Here,There And Everywhere)」
Beatlesの名曲「Here, There and Everywhere」のポルトガル語カヴァー。「In My Life」と並ぶBeatlesマイ・フェイバリット・ソングを素敵なカヴァーで聴かせてくれます。Galの素晴らしいヴォーカルとポルトガル語の響きが、名曲にロマンティックな魅力を加えています。
http://www.youtube.com/watch?v=odpvxX-XSRY
「Me Faz Bem」
Fernando Brant/Milton Nascimento作品。スケール感の大きい壮大な楽曲に相応しく、Galも堂々としたヴォーカルを披露してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=KpMcCcV_ukA
「Morro de Saudade」
Gonzaguinha作品。メロウ・サウンドとチャーミングなGalのヴォーカルがよくマッチしていてグッときます。
「Lua de Mel」
Lulu Santos作品の2曲目。アルバムで一番のお気に入り。バスタイム・モードのジャケの雰囲気をそのまま音にしたようなセクシー&リラックスな仕上がりにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=Six7Kcen8kg
「Creio」
Lulu Santos作品の3曲目。Galの歌唱力の素晴らしさを堪能できる感動的な1曲。アレンジも担当しているTorcuato Marianoの素晴らしいギターにも注目です。
http://www.youtube.com/watch?v=2r8i3p8yPg0
「Sou Mais Eu」
Michael Sullivan/Paulo Massadas作品。ファンク/ソウルの名手がLincoln Olivettiがアレンジを担当し、ファンキーな味わいのコンテンポラリー・チューンに仕上げています。ライブのような効果音も入り、臨場感があるのもいいですね。Galのヴォーカルも伸び伸びとしています。
「Todos os Instrumentos」
ラストはJoyce作品。ラストはジャジーな雰囲気で締め括ってくれます。実に表情豊かなGalのヴォーカルにウットリです。
Gal Costaの作品はジャケを眺めるだけで魅了されますね。
とりあえず60年後半から80年代前半の主要作品のジャケを集めてみました。
『Gal Costa』(1969年)
『Gal』(1969年)
『Legal』(1970年)
『India』(1973年)
『Cantar』(1974年)
『Gal Canta Caymmi』(1976年)
『Caras E Bocas』(1977年)
『Agua Viva』(1978年)
『Gal Tropical』(1979年)
『Aquarela do Brasil』(1980年)
『Fantasia』(1981年)
『Minha Voz』(1982年)
『Baby Gal』(1983年)