発表年:2006年
ez的ジャンル:不遇の男性ソウル・シンガー
気分は... :頑張れ!Frank McComb!
今日はジェントルなR&B/ソウルが聴きたい気分です。
そんな気分にマッチする1枚がFrank McComb『Straight From The Vault(Special Edition)』(2006年)です。
Frank McCombの紹介は『The Truth』(2003年)に続き2回目となります。
"21世紀のDonny Hathaway"と称したくなる才能を持ちながら、チャンスに恵まれない悲運のソウル・シンガーというイメージが強い人ですね。
彼の素晴らしい才能を日本のR&B/Soulファンに知らしめたアルバムが2nd『The Truth』(2003年)でしたが、結局本国アメリカではリリースされませんでした。さらに過去のお蔵入り音源がブートレグで出回ったりといった状況でした。
そんな状況に業を煮やしたFrank McCombは、未発表曲を集めて1枚のアルバムにまとめ、自身のWebサイトのみで発売していたものが『Straight From The Vault』(2004年)です。
『Straight From The Vault』(オリジナル)
今回紹介する『Straight From The Vault(Special Edition)』は、オリジナル収録のインスト3曲を新録ヴォーカル3曲に差し替えた2006年発売の日本向けのスペシャル・エディション盤です。
プロデュース、楽曲、アレンジはFrank McComb本人が担当し、「The Things That You Do」のベース以外は全ての楽器をFrank本人が担当しています。
どの曲もオーソドックでさり気ない感じですが、歌心と歌力に溢れた素晴らしい出来栄えです。また、アーバン・テイストのサウンドが実に心地好い作品でもあります。優れたキーボード奏者でもある彼の演奏にも注目しましょう。
『Straight From The Vault』に続き、Frankは未発表曲集『The 1995 Bootleg』(2005年)をリリースします。しかし、その直後にFrank本人の承諾なしにお蔵入り音源にミックスを施した作品が『The Truth Vol. 2』(2006年)として発売され、Frankを失望させることになります。皮肉にも『The Truth Vol. 2』の出来栄えが良かったりします。ファンとしては非常に複雑な心境ですよね。
頑張れ!Frank McComb!
全曲紹介しときやす。
「White Line In The Sky」
清々しい気持ちになれるオープニング。カラフルなキーボード・プレイとジェントルなヴォーカルに癒されます。2分にも満たない曲ですが、もっと長尺で聴きたい気分ですね。
「I'd Be A Fool」
エレピの音色と伸びやかなヴォーカルが実に心地好いメロウ・グルーヴ。思わず体を揺らしてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=dfTU_q5w77o
「The Thing I Failed To Do」
感動的なラブ・バラード。不意に涙腺がウルウルしてきてしまいます。こういう曲を歌わせたら天下一品ですな。
「Each Day」
アーバン・テイストのスムーズ・チューン。ジャズ/フュージョン分野で活躍するFrankのセンスが窺える1曲ですね。
「Groovin'」
日本向け新録1曲目。タイトルの通りのグルーヴィー・ソウルに仕上がっています。スクラッチ音が聴こえてくるのはご愛嬌ということで(笑)。
「Just A Few More Days」
日本向け新録2曲目。コーラス・パートが素晴らしいミディアム・スロウ。
「Waiting On The Day」
日本向け新録3曲目。美しいピアノとFrankらしいジェントルなヴォーカルを堪能できます。新録3曲の中では一番好きです。
「The Things That You Do」
アーバン・モードの爽快メロウ・チューン。軽やかさの中にも落ち着きがある感じが好きです。
「Left Alone」
しみじみと歌い上げるバラード。Frank McCombファンは期待通りの出来栄えだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=G6Vn2aFayXY ※ライブ音源
「Still Has A Hold On Me」
Frank McComb本人もお気に入りの1曲のようです。Stevie Wonder風のヴォーカル&メロディにグッときますね。
http://www.youtube.com/watch?v=34BsCsMEluI ※ライブ音源
「It Was You」
"21世紀のDonny Hathaway"の本領発揮といった感動バラード。これだけの歌力を持つ男性R&B/ソウル・シンガーはなかなか居ないでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=pHKIFhOQLks
「A Good Past ... A Better Future」
ラストはアルバムの余韻を味わう小曲です。
『Love Stories』(2000年)
『The Truth』(2003年)
『The 1995 Bootleg』(2005年)
『The Truth Vol. 2』(2006年)
『Live in Atlanta Vol. 1』(2007年)
『A Tribute to the Masters』(2007年) ※インスト・アルバム
『Live in Atlanta Vol. 2』(2008年)