2010年09月13日

Elis Regina『Essa Mulher』

Elis晩年の傑作!名曲「O Bebado e a Equilibrista」収録☆Elis Regina『Essa Mulher』
或る女(紙ジャケット仕様)
発表年:1979年
ez的ジャンル:MPBの女王
気分は... :今日はElisの歌声に浸りたい・・・

今日は少し立ち止まって、自分の人生についてあれこれ思いを巡らせたい気分です。
こんな時に聴きたいアーティストはElis Regina

と言うことで、MPBの女王Elis Reginaの6回目の紹介です。

これまで紹介してきたElis Regina作品は以下の5枚。

 『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
 『Aquarela Do Brasil』(1969年) ※Toots Thielemansとの共演
 『Elis Regina in London』(1969年)
 『Em Pleno Verao』(1970年)
 『Elis』(1974年)

今回紹介するのは1979年リリースの『Essa Mulher(邦題:或る女)』です。
Elis晩年の傑作として評価が高い作品ですね。

プロデュース&アレンジは夫のCesar Camargo Mariano。バックはCesar Camargo Mariano(key)以下、Helio Delmiro(g)、Luizao(b)、Paulinho Braga(ds)等が務めています。

60年代後半頃のハジけたElisも良いですが、円熟味を増した歌手Elis Reginaの集大成のようなものを感じます。1982年1月に36歳の若さでこの世を去る彼女の運命を考えると、余計に込み上げてくるものがあります。また、そんなElisの感動的な歌を引き立てる、夫Cesarのコンテンポラリーなアレンジも本作を魅力アップに大きく貢献していると思います。

ブラジル国民の思いを代弁した感動の名曲「O Bebado e a Equilibrista(酔っぱらいと綱渡り芸人)」Joyceブレイクのきっかけとなったタイトル曲「Essa Mulher(或る女)」をはじめ、Elisの魅力を存分に堪能できる全10曲です。

いつ聴いてもElisの歌からはエネルギッシュなパワーを貰えますね。

全曲紹介しときやす。

「Cai Dentro」
邦題「サンバに夢中」。Paulo Cesar Pinheiro / Baden Powell作のサンバ賛歌。エネルギッシュかつ奔放なElisの歌声を堪能できる、明るく陽気なサンバ・チューン。Elisに相応しいハッピー&サニー・モードのオープニングです。
http://www.youtube.com/watch?v=hd58ya3tXq8

「O Bebado e a Equilibrista」
邦題「酔っぱらいと綱渡り芸人」 。本作のハイライトと呼べるAldir Blanc/Joao Bosco作品。国から追放されたり、弾圧された人について偲んだ反政府的な社会派ソングを、Elisがブラジル国民の気持ちを代弁するように歌ったものです。ブラジルの国民的歌手Elis Reginaの集大成を感じさせる感動の1曲です。聴いているだけに胸に熱いものが込み上げてきます。この1曲を聴くだけでも本作をゲットする価値があると思います。イントロとエンディングのサーカス音楽風の演出にもグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=mcYCP1nEdUA

「Essa Mulher」
邦題「或る女」。タイトル曲はAna Terra/Joyce作。Joyce自身もレコーディングに参加しています。今では大人気の女性SSWであるJoyceをElisが紹介し、彼女のブレイクのきっかけを作った名バラードですね。Elisの豊かな表現力に魅了されるばかりです。
http://www.youtube.com/watch?v=Embe13mY4xE

Joyce自身のヴァージョンは当ブログで紹介した『Feminina』(1980年)に収録されています。また、Elisの娘Maria RitaのカヴァーがYouTubeにあるので、そちらもチェックしてみて下さい。

Joyce「Essa Mulher」
 http://www.youtube.com/watch?v=RGxBoE9cLLo
Maria Rita「Essa Mulher」
 http://www.youtube.com/watch?v=xf8uTy6VVD8

「Basta de Clamares Inocencia」
邦題「弁解はやめて」。偉大なるサンビスタCartola
の作品。この曲も名曲だと思います。Cartolaによる素晴らしい楽曲、情感豊かなElisの歌声、コンテンポラリーなCesarのアレンジ、全てが揃っています。夜聴くと、なかなかロマンティックですよ!
http://www.youtube.com/watch?v=Tnu9S4ZCHu8

「Beguine Dodoi」
邦題「傷心のビギン」。Claudio Tolomei/Aldir Blanc/Joao Bosco作。ボレロ調のノスタルジック・ムードに癒されます。
http://www.youtube.com/watch?v=TY4d8BtIWnA

「Eu Hein Rosa!」
邦題「俺だぜ、ホーザ!」。Paulo Cesar Pinheiro/Joao Nogueira作。ベテランのサンバ歌手Joao Nogueiraのカヴァー。明るく快活なサンバ・チューンに仕上がっています。

「Altos e Baixos」
邦題「よい時と悪い時」。Aldir Blanc/Sueli Costa作。ジワジワと胸に迫ってくるしっとりとしたバラード。
http://www.youtube.com/watch?v=VIDe-qvNQKQ

「Bolero de Sata」
邦題「悪魔のボレロ」。Paulo Cesar Pinheiro/Guinga作。ボレロ調の哀愁バラード。後半はCauby Peixotoとのデュエットになります。

「Pe Sem Cabeca」
邦題「できそこないの風景」。Ana Terra/Danilo Caymmi作。ボッサな伴奏とCesarのアレンジが実に素敵ですね。そんなバックに呼応するようにElisの歌声も実にエレガントです。
http://www.youtube.com/watch?v=iXOMUEzr6T4

「As Aparencias Enganam」
邦題「表と裏」。Sergio Natureza/Tunai作。ラストはCesarの美しいピアノをバックに、人生の表(愛)と裏(憎しみ)を感動的に歌い上げます。Elisが歌うと余計に歌詞が心に刺さります。

Elis Regina作品の過去記事もご参照下さい。

『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
コモ・イ・ポルケ+4

『Aquarela Do Brasil』(1969年)
ブラジルの水彩画

『Elis Regina in London』(1969年)
イン・ロンドン

『Em Pleno Verao』(1970年)
エン・プレノ・ヴァラオン

『Elis』(1974年)
人生のバトゥカーダ
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2010年09月12日

Giovanca『While I'm Awake』

キュート&スタイリッシュなオランダ人女性シンガー☆Giovanca『While I'm Awake』
ホワイル・アイム・アウェイク
発表年:2010年
ez的ジャンル:キュート&スタイリッシュ系オランダ人女性シンガー
気分は... :ジャジー&メロウ路線が似合うのでは?

今回は先月2回目の来日公演を終えたばかりのオランダ人女性シンガーGiovancaの2ndアルバム『While I'm Awake』です。

リリースされたのは約半年前の作品ですが、最近になって遅ればせながら本作の魅力に気付き、聴き込んでいる次第です。

Giovanca(本名:Giovanca Desire Ostiana)は1977年オランダ、アムステルダム生まれ。数多くのファッションショーに出演し、雑誌や企業広告のモデルにも起用されるなど、10代よりファッション・モデルとして活躍していたようです。

その傍らで音楽活動にも取り組み、数多くのアーティストのバック・ヴォーカルを務めていました。その中の一人であるオランダ人SSWのWouter Hamelのデビュー・アルバム『Hamel』(2007年)にはGiovancaをフィーチャーした「As Long As We Are In Love」が収録されています。『Hamel』を手掛けていたプロデューサーが、屈指のメロディーメイカーであるシンガー・ソングライターBenny Singsでした。

Wouter Hamel feat. Giovanca「As Long As We Are In Love」
http://www.youtube.com/watch?v=151UYhUzvQc

これを機にBenny SingsとGiovancaのコラボがスタートし、デビュー・アルバム『Subway Silence』(2008年)をリリースします。シングル「On My Way」と共に『Subway Silence』は日本でも評判となり、2008年に来日公演も行っています。

「On My Way」(From 『Subway Silence』
http://www.youtube.com/watch?v=WdK5-eyX5s4

そして、1作目同様、Benny Singsプロデュースでリリースされた待望の2ndアルバムが本作『While I'm Awake』です。

僕の場合、『Subway Silence』の時から気になっていたのですが、CDショップで試聴しても何故か購入まで至りませんでした。僕の中でGiovancaのことをオーガニックなソウル・シンガーと勝手にイメージしてしまい、そのイメージとアルバムの内容にギャップがあったからだと思います。想像よりもソウル色が薄く、ポップな作品というのが正直な印象でした。

そんな流れで本作『While I'm Awake』もCDショップでよく見かけるものの、食指が動くことはありませんでした。しかしながら、ある日にCDショップの試聴コーナーで誤って本作の選択ボタンを押してしまい、オープニングの「Everything」を聴くことに・・・するとこれがモロに僕好み!それがきっかけで本作を購入しました。

個人的には好きな曲とビミョーな曲(主にポップすぎる曲)とがハッキリと分かれるアルバムですが、それでも十分に楽しめます。僕のように"オーガニックな女性ソウル・シンガー"という先入観ナシで聴けば、さらに楽しめるはずです。

オリジナルの12曲については、1曲を除きGiovanca自身がソングライティングに関わっています(Benny Singsとの共作は10曲)。

全曲紹介しときやす。

「Everything」
オススメその1。僕が本作の購入を決めた爽快サニーサイド・グルーヴ。聴いているとポジティヴな気分になる躍動感がサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=MaUUL4kYHOg

「Drop It」
アルバムからのシングル。キャッチーなポップ・チューンに仕上がっています。悪い出来ではありませんが、僕の好みとはズレています。
http://www.youtube.com/watch?v=IoybxroaEM8

「Can Somebody Tell Me」
オススメその2。ジャジーなメロウ・ソウル。個人的にはこういったジャジー&メロウな楽曲をガンガンやるべきだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=poQafNlATRA

「Flirting with the Sun」
オススメその3。Dazzled Kidをフィーチャー。小粋なアコースティック・ソウル。僕がイメージするGiovancaに近いオーガニックな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=CiC-T8FxCxY

「Lovechild」
ポップ・ディスコ調の仕上がり。ただし、少し中途半端な印象も・・・ディスコ・チューンに徹底した方が成功したのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=bPXLCVrl7DM

「She Just Wants To Know」
ジャジー・テイストの哀愁メロウ・ソウル。Giovancaにはエレピの音色が似合うと思います。

「Go Now」
力強いピアノ・タッチが印象的です。イントロを聴いた時に、何故かElton John「Bennie and the Jets」を思い出してしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=Fk_eQlOh668

「Hungry」
「Drop It」と同タイプの曲。キャッチーですが僕にはポップすぎます。ポップな雰囲気を抑えて、もっとダンサブルな仕上がりにして欲しかった気も・・・
http://www.youtube.com/watch?v=ijRu6UUDWsg

「Simply Mad」
哀愁バラード。この曲は正直ピンと来ませんでした。

「Time Is Ticking」
ハッピー・モードの軽快なジャジー・チューン。とにかく楽しい雰囲気がいいですね。

「Where Love Lives」
オススメその4。当ブログでも今月『Rockin' You Eternally』(1981年)を紹介したばかりの"ミスター・メロウネス"Leon Wareとのデュエット。楽曲はLeon WareとEl DeBargeの共作です。Giovancaにメロウ・ソウルな楽曲を期待している僕には文句無しの仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=pkfRUOGOufI

「Little Flower」
ラストはポジティヴな雰囲気が伝わってくる1曲。Giovancaが単にお洒落でキュートなシンガーではないことを実感させてくれます。

ここまでがオリジナルの12曲です。

国内盤には「Wishfull Thinking」「September」「Just To See You Dance」(Anan Ryoko feat. Giovanca)「All Colourful」「Kiss of Life」(Nujabes feat. Giovanca & Benny Sings)の5曲がボーナス・トラックとして収録されています。

「All Colourful」
http://www.youtube.com/watch?v=_FjlcZXsMCk

Nujabes feat. Giovanca & Benny Sings「Kiss of Life」
http://www.youtube.com/watch?v=67t0ufZTRXU

「Just To See You Dance」は、Cradleの瀬戸智樹プロデュースで今年デビュー・アルバム『Another Beginning』をリリースした話題の女性ピアニストAnan Ryokoとの共演です。本曲は『Another Beginning』にも収録されています。

「Kiss of Life」は故Nujabesと共演したSadeの名曲カヴァーです(元々はコンピ・アルバム『Mellow Beats, Friends & Lovers』収録)。来日公演でもNujabesへの追悼として本曲を歌いました。

個人的にはボーナス・トラックが過度に話題になることは、本編をきちんと聴く妨げになるので好きはありません。しかし、Nujabes追悼の「Kiss of Life」はさすがにグッとくるものがありますね。

Nujabes、Cradle、Anan Ryokoの名前を聞いてグッと来る方は絶対に国内盤を購入した方が良いと思います。

『Subway Silence』(2008年)
サブウェイ・サイレンス
posted by ez at 01:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月11日

Herbie Hancock『Fat Albert Rotunda』

人気曲「Wiggle-Waggle」収録のジャズ・ファンク作品☆Herbie Hancock『Fat Albert Rotunda』
ファット・アルバート・ロトゥンダ<紙ジャケット仕様>
録音年:1969年
ez的ジャンル:電子化ジャズ・ファンク
気分は... :「Bambi」サイコー!

いよいよNFLが開幕しました。
昨シーズンのスーパーボウル・チャンピオンのセインツとファーヴが現役続行するバイキングスが対戦したオープニング・ゲームは、昨シーズンのNFCチャンピオンシップの再戦となりました。

結果は14対9でセインツの勝利!
得点差以上にセインツの完勝という印象が強かったですね。
ファーヴの合流が遅れたバイキングスはまだ本調子ではない様子でした。

スーパー・ピアニストHerbie Hancockの7回目の紹介です。

これまで紹介したHancock作品は以下の6枚(録音年順)。

 『Inventions And Dimensions』(1963年)
 『Maiden Voyage』(1965年)
 『Speak Like A Child』(1968年)
 『The Prisoner』(1969年)
 『Thrust』(1974年)
 『Sunlight』(1978年)

7枚目に紹介するのはBlue Note最後の作品となった『Fat Albert Rotunda』(1969年)です。

本作はコメディアンBill Cosbyが作った人気アニメーション・キャラクターFat Albertのスペシャル番組用に制作されたTVサントラ作品です。
サウンド的には70年代のジャズ・ファンク路線を予感させるファンキー&グルーヴィーな1枚です。

多分、熱心なジャズ・ファンよりもレア・グルーヴ/フリーソウル好きの人からの支持が高い1枚なのでは?

僕が所有するCDにクレジットされているメンバーはHerbie Hancock(p、el-p)、Joe Henderson(ts、afl)、Garnett Brown(tb)、Johnny Coles(tp、flh)、Buster Williams(b、el-b)、Albert "Tootie" Heath(ds)の6名。

実際にはそれ以外にJoe Farrell(ts)、Eric Gale(g)、Billy Hart(ds)等も参加しているようです(詳しく調べているわけではないので、間違っていたら御免なさい)。ファンキーなギター・サウンドが聴ける作品でギタリストのクレジットが無いのはおかしいですからね。

何と言っても、人気曲「Wiggle-Waggle」ですよね。
数あるHancock作品でも抜群の格好良さを持った1曲だと思います。

それ以外にもファンキーなジャズ・ファンク路線の楽曲が揃っています。ただし、その中に従来のHancockらしい美しいアンサンブルを重視した演奏が2曲ほど収められているのも、この時期の作品らしくて楽しめます。

エレクトリック化したHancockのファンキー・グルーヴを堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Wiggle-Waggle」
本作のハイライト。立花ハジメ「Bambi」のサンプリング・ネタとしてご存知の方も多いのでは?フリーソウル好きは『Free Soul Garden』のオープニングを飾っていた曲としてもお馴染みですね。ギター・リフの格好良さがサイコーのファンキー・グルーヴです。Hendersonをはじめとするホーン隊もファンキーにキメてくれます。Hancockの小粋なエレピもグッド!ファンキー・グルーヴを先導するリズム隊の貢献も忘れてはいけませんね!
http://www.youtube.com/watch?v=mWQJ_Ca1yag

個人的には立花ハジメ「Bambi」が大好きだったので、「Bambi」収録のアルバム『Bambi』をCD棚の奥から引っ張り出して約10年ぶりに聴き直してしまいました。立花ハジメ「Bambi」以外にKing Bee「Back By Dope Demand」等でもサンプリングされています。

立花ハジメ「Bambi」
 http://www.youtube.com/watch?v=AAwHuGtYnaA
King Bee「Back By Dope Demand」
 http://www.youtube.com/watch?v=6VYxQ8PfKVU

「Fat Mama」
フュージョン時代の到来を予感させる1曲。スリリングだった「Wiggle-Waggle」とは対照的にリラックスした雰囲気がいいですね。Mellow Man Ace「Babalu Bad Boy」、Chi Ali「Step Up」、2Pac「If My Homie Calls」、Mad Flava「Bump Ya Head」等のサンプリング・ネタとしてもお馴染みの曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=0CuNeG5Czq4

Mellow Man Ace「Babalu Bad Boy」
 http://www.youtube.com/watch?v=ZdWaskF0I1s
Chi Ali「Step Up」
 http://www.youtube.com/watch?v=yWY-FiRTE-4
2Pac「If My Homie Calls」
 http://www.youtube.com/watch?v=M2meZCM4Ols
Mad Flava「Bump Ya Head」
 http://www.youtube.com/watch?v=wHM0ve5rZy0

「Tell Me a Bedtime Story」
美しいアンサンブルにグッとくる1曲。このあたりは前作『The Prisoner』からの流れという気がします。本曲はQuincy Jonesが『Sounds...and Stuff Like That!!』(1978年)でカヴァーしたヴァージョンもお馴染みなのでセットでチェックを!
http://www.youtube.com/watch?v=4f8SbbdrEQg

Quincy Jones「Tell Me a Bedtime Story」
 http://www.youtube.com/watch?v=64mZJvoeXuQ

「Oh! Oh! Here He Comes」
クールなジャズ・ファンク。Monie Love「There's A Better Way」等でサンプリングされています。

Monie Love「There's A Better Way」
 http://www.youtube.com/watch?v=d7ZFcLwdJDM

「Jessica」
『Speak Like A Child』あたりがお好きな人にはグッとくる美しい演奏を堪能できます。ライブ・アルバム『VSOP:The Quintet』でも演奏されていました。

「Fat Albert Rotunda」
タイトル曲もファンキーに迫ります。決して派手な曲ではありませんが、グルーヴィーなギターに先導されて体を揺らしてしまいます。

「Lil' Brother」
ファンキー&グルーヴィーな格好良さで言えば、「Wiggle-Waggle」に迫る出来栄えだと思います。子供向け番組のサントラというよりも、ブラック・ムーヴィーのサントラといった雰囲気のスリリングな演奏がサイコー!

Herbie Hancock作品の過去記事もご参照下さい。

『Inventions And Dimensions』(1963年)
Inventions & Dimensions

『Maiden Voyage』(1965年)
処女航海

『Speak Like A Child』(1968年)
スピーク・ライク・ア・チャイルド

『The Prisoner』(1969年)
ザ・プリズナー

『Thrust』(1974年)
Thrust

『Sunlight』(1978年)
Sunlight
posted by ez at 12:06| Comment(7) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月10日

XTC『Skylarking』

Andy対Toddのバトルが生んだ傑作☆XTC『Skylarking』
スカイラーキング
発表年:1986年
ez的ジャンル:屈折系英国ポップ
気分は... :Andy対Todd!バトルの結果は・・・

英国を代表するシニカルなポップ/ロック・グループXTCの5回目の登場です。

これまで当ブログで紹介したXTC作品は以下の4枚。

 『White Music』(1978年)
 『English Settlement』(1982年)
 『Mummer』(1983年)
 『Oranges & Lemons』(1989年)

5枚目に紹介するのはTodd Rundgrenがプロデュースした話題作『Skylarking』(1986年)です。

数あるXTC作品の中でも今日最も人気の高い1枚なのでは?
僕も『Oranges & Lemons』(1989年)に次いでお気に入りのXTC作品です。

Andy PartridgeTodd Rundgrenという夢の組み合わに、ポップ/ロック・ファンの期待は膨らんだものですね。実際、その期待を裏切らないポップ・ワールドを届けてくれました。

レコーディングはToddのユートピア・サウンド・スタジオを行われましたが、その制作過程においてAndyとToddの間でかなりの衝突があったことは周知の通りですね。まぁ、両者が仲良く手を携えてコラボレーションというのもらしくありませんからね(笑)

そんな二人のバトルの末、生み出されたポップ・ワールドは実に幻想的でカラフルです。この整理されたカラフル・サウンドは、やはりTodd Rundgrenならではのセンスですね。また、60年代ロックへのオマージュから生まれたXTCの変名ユニットThe Dukes Of Stratosphearで得た成果が、本作にも生かされてる気がします。

個々の楽曲が素晴らしいのは勿論ですが、アルバム全体の流れに魅了されるアルバムです。特にオリジナルLPのA面7曲の流れがサイコーですね。

本作で1つ注意せねばならないのは、オリジナルUK盤とUS盤の収録曲の違いです。

オリジナルUK盤は名曲「Dear God」が未収録です。その代わりに「Mermaid Smiled」が収録されています。逆に、US盤には「Dear God」が収録され、「Mermaid Smiled」が未収録です。僕が持っているのはUS盤です。

2001年リリースのリマスターCDには2曲共に収録されているので問題ありませんが、それ以前の中古CDには上記のような違いがあるのでご留意下さい。

本来は夏に聴くのが良いアルバムですが、猛暑が続く今年は今頃聴くとフィットするのでは?

全曲紹介しときやす。※2001年リリースのリマスターCDの曲順です。

「Summer's Cauldron」
虫の鳴き声や鳥の囀りと共にアルバムはスタートします。眠れる森といった趣の幻想的サウンドから、スネアのビートが加わり曲の表情がガラッと一変する瞬間のゾクゾク感がたまりません。この1曲のみで本作の完成度の高さが実感できますね。
http://www.youtube.com/watch?v=DHvvDyBoyMQ

「Grass」
Colin Moulding作品。アルバムからの1stシングル(B面は「Dear God」)。「Summer's Cauldron」からシームレスに本曲に突入する流れが大好きです。Thunderclap Newman「Something In the Air」(1969年)にインスパイアされた曲らしいです。確かに「Something In the Air」を牧歌調のドリーミー・ポップに仕立てたといった雰囲気です。そこはかとなくオリエンタルな香りも漂いますね。
http://www.youtube.com/watch?v=Ozu8KGFH-CU

Thunderclap Newman「Something In the Air」
 http://www.youtube.com/watch?v=k8zmkzshUvE

「The Meeting Place」
アルバムからの2ndシングル。この曲もColin Moulding作です。Colin作品の方がAndy作品よりも癖がなくシングル向きなのかもしれませんね(笑)。印象的なパーカッションのリズムをバックに歌われるColinの素朴なヴォーカルにホッとします。
http://www.youtube.com/watch?v=fBxCxUFOBv0

「That's Really Super, Supergirl」
このシニカルな仰々しさはAndyらしいですね。Andyに似つかわしくない♪スーパー・スーパーガール♪と歌詞を聴くたびに、ニヤリとしてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=41ws8trjL0I

「Ballet for a Rainy Day」
僕の一番のお気に入り曲。次作『Oranges & Lemons』のタイトルにもつながるフルーティーな歌詞(?)が印象的です。サウンドもまさに玉手箱ポップと呼びたくなるカラフル感がサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=a11mwm0rXX4

「1000 Umbrellas」
「Ballet for a Rainy Day」からのシームレスな流れにグッときます。Dave Gregoryのストリングス・アレンジが冴え渡り、ストレンジな音空間へと誘ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=hNlHVGry9Wg

「Season Cycle」
Beach Boys風のコーラスにグッとくる1曲。この路線は次作『Oranges & Lemons』「Miniature Sun」 で頂点に達します。
http://www.youtube.com/watch?v=qH4oPCUoILQ

ここまでオリジナルLPのA面です。

「Earn Enough for Us」
個人的にはアルバムで最もキャッチーな仕上がりのギター・ポップ。このBeatles的ポップ・センスはAndy、Toddに共通するものだと思います。多分、Toddプロデュースと聞いて、本曲のような楽曲を期待していたファンは多かったのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=_8wnKMI6Jkc

「Big Day」
Colin Moulding作品。英国ポップらしさがプンプン漂うColinらしい楽曲です。トラッド感とサイケ感が織り成す独特のポップ・ワールドに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=DSffLm0fjq8

「Another Satellite」
Andyならではのひねくれポップ炸裂の1曲。わかりやすいキャッチーな曲ばかりではなく、少しは難解な曲もないとXTCらしくないですよね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=Nnh-HIzqT2s

「Mermaid Smiled」
前述のようにオリジナルUK盤に収録されていましたがUS盤には未収録であった楽曲。そのため聴き逃している人もいるかもしれませんが、パーカッシヴ感が格好良いアコースティック・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=o5haDMqQnYw

「The Man Who Sailed Around His Soul」
60年代のスパイ映画サントラを思い起こさせる小粋なジャズ感覚を取り入れた1曲。個人的にはアルバムの隠れ名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=pfRQGZUKS2Y

「Dying」
Colin Moulding作品。陰のあるフォーキー・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=d_59dMLhVAE

「Sacrificial Bonfire」
Colin Moulding作品。美しくも切ない雰囲気にグッときます。壮大なドラマのエンディングのような趣もありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=hjaV60FHudo

「Dear God」
オリジナルUK盤では未収録であった名曲。宗教的な歌詞でも話題になったフォーキー・チューン。本作の中でも名曲の誉れが高い1曲ですが、僕はちょっと苦手です。
http://www.youtube.com/watch?v=hk41Gbjljfo

XTC作品の過去記事もご参照下さい。

『White Music』(1978年) 
White Music

『English Settlement』(1982年)
English Settlement

『Mummer』(1983年)
Mummer

『Oranges & Lemons』(1989年)
Oranges & Lemons
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2010年09月09日

Kitty Winter Gipsy Nova『Feel It』

クラブジャズ・クラシック「New Morning」、「Mato Pato」収録☆Kitty Winter Gipsy Nova『Feel It』
Feel It
発表年:1978年
ez的ジャンル:ヨーロピアン・クラブジャズ/フュージョン
気分は... :6年目突入

気が付いたら、ブログ開設(2005.9.7)から5年が過ぎ、6年目に突入していました。

さすがに5年も経つと、自分の音楽嗜好にも変化がありましたし、記事の書き方もかなり変わりましたね。

音楽嗜好で言えば、開設時に比べてブラジル音楽やジャズを聴く機会がかなり増えました。逆にロックを聴く比重は年々低下しています。

それでも「年代、ジャンル問わずお気に入りCDを紹介する」という当ブログのコンセプトは、開設から今日まで一貫して実現できていると思います。また、このコンセプトの実現が当ブログの個性を決定付けている最大の要因だと勝手に思い込んでいます。特定の年代・ジャンルの音楽に縛られたくないという思いは、僕の音楽ライフの基本スタンスであり、これは今後も変わらないと思います。

記事の書き方で言えば、ある時点から「自分が音楽を楽しみ、読者の人にも音楽を楽しんでもらうブログ」を強く意識するようになりました。そんなの音楽ブログならば当たり前!と思う方もいるかもしれませんが、年代、ジャンル問わず作品を紹介していく上では案外難しいものなんですよ。

また、最近の傾向で反省すべきは、自分が好きな作品であってもamazonで中古品が1円からあるようなアルバムだと紹介をスルーしてしまうことがあることです(ヒット作に多いですね)。音楽マニアではなく、音楽好きであり続けたい僕としては猛省したいと思います。

さて、今日は女性ヴォーカルによるブラジリアン・ジャズが聴きたい気分です。
そこでセレクトしたのがKitty Winter Gipsy Nova『Feel It』(1978年)です。クラブジャズ好きにはお馴染みのヨーロピアン・ブラジリアン・ジャズ作品ですね。

Kitty Winter Gipsy Novaは、ジプシーの血を引く女性ジャズ・ヴォーカリストKitty Winterを中心としたドイツのグループ。メンバーはKitty Winter(vo)、Kuno Schmid(key)、Martin Spiegelberg(g、flh、per)、Willi Gartner(b)、Ringo Hirth(ds)の5名です。

1976年頃にグループは結成され、『Feel It』(1978年)、『Limelight Suite』(1979年)という2枚のアルバムをリリースしています。

90年代以降、クラブDJ達が「New Morning」「Mato Pato」といった曲をプレイするようになり、それら2曲を収録した本作『Feel It』の再評価が一気に高まりました。

そんなキラー・チューン2曲を収録した本作『Feel It』ですが、アルバム全体としてもジャズを基本にブラジル、ラテン、ソウル、フォーク等のエッセンスを取り入れたクロスオーヴァー・サウンドを聴かせてくれます。

ヨーロッパのブラジリアン・ジャズがお好きな方はぜひチェックしてみて下さい!

全曲紹介しときやす。

「Feel It」
コズミック・ファンク調のオープニング。 はつらつとしたKitty Winterのヴォーカルが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=3JOMXfpM97Y

「Mato Pato」
オススメその1。「New Morning」と並ぶハイライト曲。クラブジャズ・ファンにはお馴染みの高速ブラジリアン・スキャット。サンバ・ビートにのってKitty Winterのスキャットが駆け巡ります。異空間を誘うかのようなアープ・シンセのソロもいい感じ!
http://www.youtube.com/watch?v=rJWNSlGUios

「Puerto」
幻想的なムードながらもエレガントな輝きを放つ美しい仕上がり。

「I Think of You」
オススメその2。大人のメロウ・ボッサ。ロマンティックな中にも落ち着いた雰囲気があるのがいいですね。Martin Spiegelbergのギター、Kuno Schmid<のエレピによる好サポートが光ります。

「New Morning」
オススメその3。本作のハイライトとなるブラジリアン・グルーヴ。基本はブラジリアン・フュージョンですが、ハンドクラップやギターにジプシー・テイストの躍動感が加わっているのが魅力ですよね。まさにグループ名に相応しい名曲だと思います。思わず一緒にハンドクラップしたくなりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=YGR78OX0GRQ

Playa、Cool Drive Makers、Quantic & His Combo Barbaroによるカヴァーや、Tangoterjeによるリエディット、「New Morning」にSlick Rickのラップをのせたマッシュ・アップSnafu 76「Slick Winter」などもチェックすると、さらに楽しいかもしれません。

Cool Drive Makers「New Morning」
 http://www.youtube.com/watch?v=3_KHNPLT6as

「Digno Dschirglo」
オススメその4。ファンキー&メロウなフュージョン・グルーヴ。爽快に疾走するフュージョン・サウンドと艶やかなKittyのヴォーカルがいいですね。

「Primrose Samba」
オススメその5。小粋なブラジリアン・メロウ。Kittyのジャズ・ヴォーカリストとしての魅力を堪能できます。

「Song for Paul」
前半のフォーキーな展開で癒された後、後半はスウィンギーな演奏で盛り上がることができます。

「Stars and Clouds」
オススメその6。ロマンティックなボッサ・フュージョン。フェイク・ボッサな感じが逆にグッときます。

「The Ballad」
ラストは、美しく幻想的なフェンダーローズの音色に合わせたKittyの素敵なスキャットで締め括ってくれます。

これからも自分らしく、楽しみながらお気に入りの作品を紹介したいと思います。
posted by ez at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする