2010年09月10日

XTC『Skylarking』

Andy対Toddのバトルが生んだ傑作☆XTC『Skylarking』
スカイラーキング
発表年:1986年
ez的ジャンル:屈折系英国ポップ
気分は... :Andy対Todd!バトルの結果は・・・

英国を代表するシニカルなポップ/ロック・グループXTCの5回目の登場です。

これまで当ブログで紹介したXTC作品は以下の4枚。

 『White Music』(1978年)
 『English Settlement』(1982年)
 『Mummer』(1983年)
 『Oranges & Lemons』(1989年)

5枚目に紹介するのはTodd Rundgrenがプロデュースした話題作『Skylarking』(1986年)です。

数あるXTC作品の中でも今日最も人気の高い1枚なのでは?
僕も『Oranges & Lemons』(1989年)に次いでお気に入りのXTC作品です。

Andy PartridgeTodd Rundgrenという夢の組み合わに、ポップ/ロック・ファンの期待は膨らんだものですね。実際、その期待を裏切らないポップ・ワールドを届けてくれました。

レコーディングはToddのユートピア・サウンド・スタジオを行われましたが、その制作過程においてAndyとToddの間でかなりの衝突があったことは周知の通りですね。まぁ、両者が仲良く手を携えてコラボレーションというのもらしくありませんからね(笑)

そんな二人のバトルの末、生み出されたポップ・ワールドは実に幻想的でカラフルです。この整理されたカラフル・サウンドは、やはりTodd Rundgrenならではのセンスですね。また、60年代ロックへのオマージュから生まれたXTCの変名ユニットThe Dukes Of Stratosphearで得た成果が、本作にも生かされてる気がします。

個々の楽曲が素晴らしいのは勿論ですが、アルバム全体の流れに魅了されるアルバムです。特にオリジナルLPのA面7曲の流れがサイコーですね。

本作で1つ注意せねばならないのは、オリジナルUK盤とUS盤の収録曲の違いです。

オリジナルUK盤は名曲「Dear God」が未収録です。その代わりに「Mermaid Smiled」が収録されています。逆に、US盤には「Dear God」が収録され、「Mermaid Smiled」が未収録です。僕が持っているのはUS盤です。

2001年リリースのリマスターCDには2曲共に収録されているので問題ありませんが、それ以前の中古CDには上記のような違いがあるのでご留意下さい。

本来は夏に聴くのが良いアルバムですが、猛暑が続く今年は今頃聴くとフィットするのでは?

全曲紹介しときやす。※2001年リリースのリマスターCDの曲順です。

「Summer's Cauldron」
虫の鳴き声や鳥の囀りと共にアルバムはスタートします。眠れる森といった趣の幻想的サウンドから、スネアのビートが加わり曲の表情がガラッと一変する瞬間のゾクゾク感がたまりません。この1曲のみで本作の完成度の高さが実感できますね。
http://www.youtube.com/watch?v=DHvvDyBoyMQ

「Grass」
Colin Moulding作品。アルバムからの1stシングル(B面は「Dear God」)。「Summer's Cauldron」からシームレスに本曲に突入する流れが大好きです。Thunderclap Newman「Something In the Air」(1969年)にインスパイアされた曲らしいです。確かに「Something In the Air」を牧歌調のドリーミー・ポップに仕立てたといった雰囲気です。そこはかとなくオリエンタルな香りも漂いますね。
http://www.youtube.com/watch?v=Ozu8KGFH-CU

Thunderclap Newman「Something In the Air」
 http://www.youtube.com/watch?v=k8zmkzshUvE

「The Meeting Place」
アルバムからの2ndシングル。この曲もColin Moulding作です。Colin作品の方がAndy作品よりも癖がなくシングル向きなのかもしれませんね(笑)。印象的なパーカッションのリズムをバックに歌われるColinの素朴なヴォーカルにホッとします。
http://www.youtube.com/watch?v=fBxCxUFOBv0

「That's Really Super, Supergirl」
このシニカルな仰々しさはAndyらしいですね。Andyに似つかわしくない♪スーパー・スーパーガール♪と歌詞を聴くたびに、ニヤリとしてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=41ws8trjL0I

「Ballet for a Rainy Day」
僕の一番のお気に入り曲。次作『Oranges & Lemons』のタイトルにもつながるフルーティーな歌詞(?)が印象的です。サウンドもまさに玉手箱ポップと呼びたくなるカラフル感がサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=a11mwm0rXX4

「1000 Umbrellas」
「Ballet for a Rainy Day」からのシームレスな流れにグッときます。Dave Gregoryのストリングス・アレンジが冴え渡り、ストレンジな音空間へと誘ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=hNlHVGry9Wg

「Season Cycle」
Beach Boys風のコーラスにグッとくる1曲。この路線は次作『Oranges & Lemons』「Miniature Sun」 で頂点に達します。
http://www.youtube.com/watch?v=qH4oPCUoILQ

ここまでオリジナルLPのA面です。

「Earn Enough for Us」
個人的にはアルバムで最もキャッチーな仕上がりのギター・ポップ。このBeatles的ポップ・センスはAndy、Toddに共通するものだと思います。多分、Toddプロデュースと聞いて、本曲のような楽曲を期待していたファンは多かったのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=_8wnKMI6Jkc

「Big Day」
Colin Moulding作品。英国ポップらしさがプンプン漂うColinらしい楽曲です。トラッド感とサイケ感が織り成す独特のポップ・ワールドに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=DSffLm0fjq8

「Another Satellite」
Andyならではのひねくれポップ炸裂の1曲。わかりやすいキャッチーな曲ばかりではなく、少しは難解な曲もないとXTCらしくないですよね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=Nnh-HIzqT2s

「Mermaid Smiled」
前述のようにオリジナルUK盤に収録されていましたがUS盤には未収録であった楽曲。そのため聴き逃している人もいるかもしれませんが、パーカッシヴ感が格好良いアコースティック・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=o5haDMqQnYw

「The Man Who Sailed Around His Soul」
60年代のスパイ映画サントラを思い起こさせる小粋なジャズ感覚を取り入れた1曲。個人的にはアルバムの隠れ名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=pfRQGZUKS2Y

「Dying」
Colin Moulding作品。陰のあるフォーキー・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=d_59dMLhVAE

「Sacrificial Bonfire」
Colin Moulding作品。美しくも切ない雰囲気にグッときます。壮大なドラマのエンディングのような趣もありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=hjaV60FHudo

「Dear God」
オリジナルUK盤では未収録であった名曲。宗教的な歌詞でも話題になったフォーキー・チューン。本作の中でも名曲の誉れが高い1曲ですが、僕はちょっと苦手です。
http://www.youtube.com/watch?v=hk41Gbjljfo

XTC作品の過去記事もご参照下さい。

『White Music』(1978年) 
White Music

『English Settlement』(1982年)
English Settlement

『Mummer』(1983年)
Mummer

『Oranges & Lemons』(1989年)
Oranges & Lemons
posted by ez at 00:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする