2010年09月15日

Jill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』

2000年代R&Bを語る上で欠かせない1枚☆Jill Scott『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』
フー・イズ・ジル・スコット?
発表年:2000年
ez的ジャンル:ATOJ系ネオ・ソウル
気分は... :遂にJill Scottですっ!

ネオソウルを代表する女性シンガーJill Scottのデビュー・アルバム『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』(2000年)です。

Jill Scottは1972年フィラデルフィア生まれの女性R&Bシンガー/ソングライター/詩人。

The Roots?uestloveに才能を見出され、1999年に当ブログでも紹介したThe Roots『Things Fall Apart』からの1stシングル「You Got Me」のソングライティングに参加します。

Erykah Baduも参加した「You Got Me」は、グラミーのBest Rap Performanceを受賞する名曲となりましたが、当初のレコーディングではJillのヴォーカルが収められていました。Jillの共演ヴァージョンも各種コンピ・アルバム等で聴くことができます。

こうして幸先良くキャリアをスタートさせたJillは、Common「Funky For You」、「8 Minutes To Sunrise」、Will Smith「The Rain」等でフィーチャーされ、さらに存在が注目されるようになります。

そして、2000年にデビュー・アルバム『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』をリリースし、期待のネオ・ソウル・シンガーとして一気にブレイクします。

その後も『Beautifully Human: Words and Sounds Vol. 2』(2004年)、『The Real Thing: Words and Sounds Vol. 3』(2007年)といったスタジオ作をリリースし、ネオ・ソウルを代表する女性シンガーとしての地位を確立しています。

それ以外にもライブ盤『Experience: Jill Scott 826+』(2001年)、コラボ作品集『Collaborations』(2007年)といったアルバムもリリースしています。

ようやくJill Scottを紹介できました!

Erykah BaduAngie Stoneと並ぶ2000年代ネオソウルを代表する女性シンガーですが、何故か当ブログでは紹介する機会を逸していました。

1700本近く記事投稿している当ブログですが、僕の音楽嗜好で言えば最初の500本以内に紹介すべきアーティストだったという気がします。いつでも紹介できるアーティストなので次回でいいや・・・そんな思いでズルズル来てしまいました(泣)

やはりJill Scottと言えば、デビュー作『Who Is Jill Scott? Words and Sounds Vol. 1』ですね。ジャジー・ソウル・アルバムと聞いて、本作を真っ先に思い浮かべる方も多いのでは?

Jazzy Jeff率いるA Touch of Jazz(ATOJ)の面々(Jeff Townes(Jazzy Jeff)Andre HarrisVidal DavisDre & Vidalコンビ、Darren HensonKeith PelzerCarvin Haggins)をプロデューサーに迎え、極上のジャジー・ソウルを聴かせてくれます。

ATOJ以外にJames PoyserThe Grand Wizzards(The Roots)Ted Thomas, Jr.もプロデュースで参加しています。

正直言えば、リアルタイムで最初に聴いた頃は、それほど凄い作品だとは思っていませんでした。同時期に聴いたErykah Badu『Mama's Gun』Angie Stone『Black Diamond』あたりと比較してインパクトが弱い印象があったからかもしれません。あとは結構アルバムが長いので(隠しトラック、国内ボーナス・トラック含めると20曲)、それがマイナスに作用していたのかも?

そんな訳で、リリースからしばらく経ってから本作の素晴らしさにジワジワと気付いた次第です。

改めて聴き直すと、歌手であると同時に、詩人、女優(ミュージカル、テレビ映画の出演経験もある)でもある彼女の表現力の豊かさや、引き出しの多さに魅了されます。あとはATOJの面々の仕事ぶりにも関心してしまいます。

Jill Scottの代表作だけではなく、2000年代R&Bを振り返る上でも絶対欠かせない1枚だと思います。特に女性の方は気に入る1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Jilltro」
輝かしいキャリアのスタートとなるイントロ。Darren Hensonプロデュース。

「Do You Remember」
Andre Harris/Keith Pelzerプロデュース。ATOJらしいジャジー・ソウル・サウンドにのって、♪どうしてつれないの?♪とJillが語りかけます。何気ない雰囲気が素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Z97o_rCDuPc

「Exclusively」
ポエトリー・リーディング的な1曲。朝のマーケットでの短いやりとりを1つのストーリーに仕上げています。Jeff Townesプロデュースによる浮遊感に満ちたジャジーな音空間がいい感じ。
http://www.youtube.com/watch?v=6DJTxXugl5s

「Gettin' In the Way」
アルバムからの1stシングル。サウンドはメロウなジャジー・ソウルに仕上がっていますが、歌詞は彼氏をめぐる女同士のバトルを歌ったものです。PVにも出てきますが、ピアスを外して戦闘モードに突入です。Vidal Davisプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=OiR6sU1igKM

「A Long Walk」
アルバムからの2ndシングル。全米R&Bチャート第9位のヒットとなりました。リラックス・モードのジャジー・グルーヴが心地好いラブ・ソングです。♪The Rootsを聴くのもいいわよ♪といった歌詞も飛び出すあたりも大好きです。Dre & Vidalプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=TSYMKUtNuw8

「I Think It's Better」
次の「He Loves Me (Lyzel in E Flat)」への前フリとなる1曲。現在の恋人に新しい恋人に出会ったことを告げます。Andre Harrisプロデュース。

「He Loves Me (Lyzel in E Flat)」
「I Think It's Better」からの流れで、自分を愛してくれる新しい恋人について歌っています。当時のJillの恋人で本作のアートワークを手掛けたLyzel Williamsのことを歌ったものです(二人は結婚しますが、結局離婚してしまいました)。Keith Pelzerプロデュースによるエレガント&ミステリアスなサウンドも印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=pY-CACRCdt8

「It's Love」
個人的にはアルバムで一番のお気に入り。ジャジーなグルーヴ感という点ではアルバムで一番楽しめると思います。クール&メロウな音空間がたまりません!Keith Pelzer/Darren Hensonプロデュース。♪ラブ・ラブ・ラブ・ラブ・ラブ・ラブ〜♪
http://www.youtube.com/watch?v=uW76q2OcCR4

「The Way」
この曲もシングルカットされました。表現力豊かなJillのヴォーカルを堪能できる素敵なミディアム・スロウです。聴き重ねるほど胸に響いてきます。Dre & Vidalプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=SCerHrqWQkQ

「Honey Molasses」
不思議な音空間の中でJillが語りかけます。歌っているというよりも演じているといった感じですね。Carvin Haggins/Vidal Davisプロデュース。

「Love Rain」
ポエトリー・リーディング風の仕上がり。彼女にとっては歌もポエトリー・リーディングも並列な表現手段なのでしょうね。Vidal Davisプロデュース。このオリジナルと後述するMos Defをフィーチャーしたリミックスと聴き比べるの楽しいと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=uzZOdcnW5Qo

「The Roots (Interlude)」
The Grand Wizzards(The Roots)プロデュース。『The Roots Come Alive』での「You Got Me」を使ったインタールード。

「Slowly Surely」
「It's Love」、「Brotha」と並ぶお気に入り。密かに人気の高い1曲なのでは?エレガント&クールなジャジー・グルーヴ感は秋に似合う気がします。Moe Koffman「Days Gone By」をサンプリングしています。Darren Hensonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=7GmFaQ5FSno

「One Is the Magic #」
スパニッシュ・テイストの仕上がりでアルバムにアクセントをつけています。Vidal Davisプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=mymiKkgC2vc

「Watching Me」
Ted Thomas, Jr.プロデュース。Roy Ayers「No Stranger to Love」ネタのトラックが心地好いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=u5OegUCe704

「Brotha」
この曲も僕のお気に入り。Joe Williams「Get Out Of My Life Woman」をサンプリングした小粋なトラックをバックに、黒人男性へ熱いメッセージを送る社会派ソングです。彼女の表現力の素晴らしさを実感できます。Keith Pelzerプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=OFA7-wfmhFY

「Show Me」
ラストはしっとりとしたミディアム・スロウ。♪行動で見せなさいよ!♪とJillに迫られます!Vidal Davisプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=UUNINklSItI

本編はここまでです。

「Try/Love Rain(Head Nod Remix featuring Mos Def) 」
隠しトラック扱いの2曲。「Try」はJames Poyserプロデュース。ATOJによる本編とは異なるサウンドで楽しませてくれます。「Love Rain(Head Nod Remix featuring Mos Def)」はMos Defをフィーチャーしたリミックスです(Vidal Davisプロデュース)。Hip-Hop好きの方は要チェックを”
「Love Rain(Head Nod Remix featuring Mos Def) 」
http://www.youtube.com/watch?v=nZiBF4kRRvI

国内盤にはEric Robersonとのデュエット「One Time」も収録されています。

Jill Scott feat. Eric Roberson「One Time」
http://www.youtube.com/watch?v=i3LeMb7BKBU

曲数多いので記事書くの大変でした(笑)

未聴の方は他のJill Scott作品もどうぞ!

『Experience:Jill Scott 826+』(2001年)
Experience:Jill Scott 826+

『Beautifully Human: Words and Sounds Vol. 2』(2004年)
ビューティフリー・ヒューマン

『Collaborations』(2007年)
Jill Scott Collaborations

『The Real Thing: Words and Sounds Vol. 3』(2007年)
Real Thing: Words & Sounds 3
posted by ez at 11:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする