2010年09月17日

Gabor Szabo『Jazz Raga』

シタールを前面にフィーチャーしたサイケ/ラーガ・ジャズ☆Gabor Szabo『Jazz Raga』
JAZZ RAGA
録音年:1966年
ez的ジャンル:異才ギタリスト系サイケ/ラーガ・ジャズ
気分は... :不思議な音世界へ・・・

今回はハンガリー出身のジャズ・ギタリストGabor Szaboによるシタールを前面にフィーチャーしたサイケ/ラーガ・ジャズ作品『Jazz Raga』(1966年)です。最近、世界初のCD化が実現し、音楽ファンを歓喜させた1枚ですね。

Gabor Szaboは1936年ハンガリー、ブダペストの生まれ。14歳よりギターを弾き始め、1956年のハンガリー動乱を機にアメリカに移住します。バークリー音楽院で学んだ後、Chico Hamiltonの楽団で活動します。

その後、Impulse!との契約にし、1966年に初リーダー作『Gypsy '66』をリリースしています。60年代後半にはGary McFarlandと共にSkyeレコードを立ち上げています。その後もコンスタントに作品をリリースしますが、1981年にはハンガリーに戻ります。しかし、肝臓と腎臓の障害のため、1982年に故郷のブダペストで亡くなりました。

一般的には知名度の高い人ではないと思いますが、異才ギタリストとして高い評価を得ているミュージシャンですね。

意外な有名曲がGabor Szabo絡みだったりしますね。

例えば、Santanaの大ヒット・アルバム『Abraxas』に「Black Magic Woman」とのメドレーとして収録された「Gypsy Queen」はGabor Szabo作品です(オリジナルはアルバム『Spellbinder』収録)。

また、George Bensonでのお馴染みの「Breezin'」(Bobby Womack作)のオリジナルはGabor Szaboのヴァージョンです(オリジナルはアルバム『High Contrast』収録)。

さて、今回紹介する『Jazz Raga』(1966年)は前述のように、シタールを前面にフィーチャーしたアルバムです。当時流行っていたラーガ・ロックの影響を受けた作品でしょうね。

ただし、サイケ/ラーガ作品と言っても、モロにインド音楽していると言うよりは、Gabor Szabo独特の音楽ワールドにインド音楽のエッセンスを巧みに取り入れているのが魅力ですね。

レコーディング・メンバーは、Gabor Szabo(g、sitar)、Jack Gregg(b)、Bernard Purdie(ds)、Bob Bushnell(g)、Ed Shaughnessy(tabla)です。Purdieの参加が興味深いですね。

エキゾチックかつヒップな感覚の不思議な音世界を堪能できるアルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Walking On Nails」
オープニングは哀愁モードのラーガ・ジャズ。つぶやくようなヴォーカル入りです。ヨーロピアンなテイストも混ざっているのがこの人らしいのでは?

「Mizrab」
タブラのリズムとシタールが絡む最もラーガ色の強い仕上がり。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。

「Search For Nirvana」
寂しげな雰囲気が印象的です。ラーガ調なのにヨーロピアンな印象を受けるのが不思議です。
http://www.youtube.com/watch?v=B6fFM0jo1Ig

「Krishna」
ラーガ・ロック調の仕上がり。Purdieの豪快なドラムが全体を牽引します。
http://www.youtube.com/watch?v=6eMYIP0MOGs

「Raga Doll」
盟友Gary McFarlandの作品を取り上げています。本曲はラーガ/サイケというよりもGabor Szaboのジャズ・ギターを堪能できる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=VYQT-UbM3EM

「Comin' Back」
軽快なテンポが心地好いですね。こういう曲って、一歩間違えると野暮ったくなってしまう危険もありますが、小粋に聴かせるあたりがGaborのセンスかもしれません。

「Paint It Black」
The Rolling Stonesの名曲カヴァー。如何にも!って選曲ですが、異才ギタリストがこの曲をどのように調理するのか!という聴き方をすると楽しいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=2Y2Olq6SXQA

「Sophisticated Wheels」
Gabor Szaboのプレイを楽しむという点ではグッとくる演奏なのでは?

「Ravi」
「Mizrab」と並ぶ僕のお気に入り。ラウンジ感覚の演奏が僕好みです。スタイリッシュのジャケとリンクする仕上がりだと思います。

「Caravan」
本作のハイライトかもしれませんね。Duke Ellington楽団でお馴染みのアフロ・キューバン・ジャズ名曲をラーガ/サイケ調カヴァーしています。本曲は以前にNicola Conteのカヴァーも紹介しています。原曲を知っている人でもラーガ/サイケ調の演奏に「Caravan」だと気付かない人もいるのでは?Purdieのブレイクにグッときます。

「Summertime」
ラストは有名なGershwin作品(ミュージカル『Porgy and Bess』挿入歌)のカヴァーで締め括ります。かなり妖しげなサマータイムといったところでしょうか。

他のGabor Szabo作品もチェックしたいですね。

『Gypsy '66』(1966年)
ジプシー’66

『Spellbinder』(1966年)
Spellbinder

『The Sorcerer』(1967年)
ソーサラー

『More Sorcery』(1967年)
モア・ソーサリー

『Bacchanal』(1968年)
BACCHANAL

『Dreams 』(1969年)
ドリームス

『High Contrast』(1970年)
High Contrast

『Mizrab』(1973年)
ミズラブ

『Macho』(1975年)
Macho
posted by ez at 01:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする