2010年10月26日

The Carnival『The Carnival』

セルメン・フォロワー系ソフトロック作品☆The Carnival『The Carnival』
Carnival
発表年:1969年
ez的ジャンル:セルメン・フォロワー系ソフトロック
気分は... :セルメン好きの方はぜひ!

今日はサバービア/ソフトロック好きに人気の1枚、The Carnival唯一のアルバム『The Carnival』(1969年)です。

The Carnivalのメンバーは、Tommy Neal(b、vo)、Terry Fischer(vo)、Janis Hansen(vo)、Jose Soares (per、vo)の男女4人組。

Janis HansenJose Soares の2人はSergio Mendes & Brasil '66のメンバーとしてもお馴染みですね。また、Terry Fischerは「Popsicles and Icicles」(David Gates作)のヒットで知られるThe Murmaidsの元メンバーです。

彼らの唯一のアルバム『The Carnival』(1969年)は、The AssociationやThe 5th Dimensionを手掛け、ソフトロック・ファンにはお馴染みのBones Howeがプロデュースしています。また、アレンジャーにはBill HolmanBob AlcivarというBones Howe作品でお馴染みの顔ぶれが担当しています。さらにJohn Andrews Tartagliaが2曲でアレンジを担当しています。

また、Hal Blaine(ds)、John Guerin(ds)、Joe Osborne(b)、Mike Deasy(g)、Pete Jolly(el-p)、Larry Knechtel(el-p)等の敏腕ミュージシャンがレコーディングに参加しています。

全体としては、ソフトロックの達人たちが制作したセルメン・フォロワー系ソフトロック作品という印象ですね。ブラジリアン・フレイヴァーが魅力の実に完成度の高いソフトロックだと思います。

「Laia Ladaia」「Walk On By」「Reach Out For Me」「Love So Fine」といったお馴染みの名曲もいいですが、「Hope」「Son Of A Preacher Man」あたりもかなりグッときます。

セルメン好き、ソフトロック好きには間違いのない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Canto De Carnival」
オープニングはアルバム唯一のThe Carnivalのオリジナル。パーカッションの軽快なリズムが響き渡るバトゥカーダ調のインストです。

「Laia Ladaia」
オススメその1。Edu Loboの名曲「Rez」のカヴァー(Edu Lobo/Ruy Guerra作)。当ブログではLennie Dale & Sambalanco TrioTamba 4のヴァージョンも紹介済みです。「Laia Ladaia」タイトルのヴァージョンではSergio Mendes & Brasil '66等がお馴染みですね。ここでもセルメン・フォロワーらしいブラジリアン・フレイヴァーのソフトロックを堪能できます。爽快にハジけている感じがたまりません。

「Sweets For My Sweet」
The Drifters、1961年のヒット曲をカヴァー(Doc Pomus/Mort Shuman作)。The Searchers、The Sweet Inspirations等もカヴァーしています。適度にR&Bテイストが効いているのがいいですね。

「Take Me For A Little While」
Dusty Springfieldのカヴァー(Trade Martin作)。ちょっぴり切ない哀愁チューンに仕上がっています。

「Turn, Turn, Turn (To Everything There Is A Season)」
The Byrdsの大ヒットでお馴染みのPete Seeger作品。フォーク・ロックの名曲が爽快ソフトロックに早変わりしています。

「Hope」
オススメその2。Monique & Louis Aldebert作。作者であるMonique & Louis Aldebert夫妻は、フレンチ・ジャズ・コーラスのユニットLes Double Sixのメンバーとしても知られています。フレンチ・テイストの小粋なアレンジにグッときます。

「Walk On By」
オススメその3。Hal David/Burt Bacharach作の名曲(オリジナルはDionne Warwick)。当ブログではCal TjaderAverage White BandGloria GaynorThe Four King Cousinsのカヴァーを紹介済みです。本ヴァージョンもBacharach作品の魅力を存分に引き出すポップな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=0zZnwStx430

「A Famous Myth」
映画『Midnight Cowboy(邦題:真夜中のカウボーイ)』でThe Groopが歌っていたJeffrey M. Camanor作品。The Groopヴァージョンの魅力受け継いだドリーミーなソフトロックに仕上がっています。

「Son Of A Preacher Man」
オススメその4。John Hurley/Ronnie Wilkins作品。オリジナルはDusty Springfield です。Aretha Franklinもカヴァーしています。ガールズ・ポップ好きの人であればグッとくるであろうキュートな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=sl3wGu2rb5c

「Reach Out For Me」
オススメその5。Hal David/Burt Bacharach作の名曲カヴァー。Dionne Warwickのヒットでお馴染みの曲ですね。当ブログではMichael Hendersonのカヴァーも紹介済みです。オリジナルにはないラブリーな魅力にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=VoorcwyF1KA

「Love So Fine」
オススメその6。Roger Nichols & The Small Circle Of Friendsヴァージョンでお馴染み、ソフトロックの大人気曲をカヴァー(Roger Nichols/Tony Asher作)。彼らがカヴァーするとハマりすぎ!という感じですね。オリジナルと以前に紹介したThe Four King Cousins、それに本ヴァージョンの3曲をセットで聴くと楽しいと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=EkdjgVjIb5A

Roger Nichols & The Small Circle Of Friends「Love So Fine」
 http://www.youtube.com/watch?v=o-BLUPQvPdQ
The Four King Cousins「Love So Fine」
 http://www.youtube.com/watch?v=PkaSQIHn24A

「The Word」
ラストはThe Beatles作品をカヴァー(Lennon/McCartney作)。名盤『Rubber Soul』 の中でも地味な存在の曲ですが、見事なソフトロックとして聴かせてくれます。

NFLでは我がドルフィンズは強豪スティーラーズに1点差負け・・・惜しかったなぁ。

これでAFC東地区の首位争いでジェッツ、ペイトリオッツから遅れをとってしまいました。それにしてもジェッツ、ペイトリオッツは、この2チームでAFCカンファレンス・チャンピオンシップを争ってもおかしくないほど強いですよね。その2チームにドルフィンズがついていけるか・・・早くも今シーズンの正念場かもしれません。
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2010年10月24日

Bruno Mars『Doo-Wops & Hooligans』

大注目のBruno Mars!遂にフル・アルバムをリリース!☆Bruno Mars『Doo-Wops & Hooligans』
Doo Wops & Hooligans
発表年:2010年
ez的ジャンル:王道ポップ系新世代SSW
気分は... :流行ってますな・・・

今回は大ヒット中のBruno Marsのデビュー・アルバム『Doo-Wops & Hooligans』です。

Bruno Mars(本名:Peter Hernandez)は1985年ハワイ州ホノルル出身のシンガー・ソングライター。

父はラテン・パーカッション奏者、母はシンガーというミュージシャン一家に生まれたPeter少年は、幼少期から音楽に親しみ、ステージにも立っていた模様です。

高校卒業後にL.A.へ渡ったBrunoは、Philip LawrenceとAri LevineとプロデュースチームThe Smeezingtonsを結成し、ソングライター/プロデューサーとして頭角を現すようになります。

当ブログでも紹介したB.o.Bの大ヒット・シングル「Nothin' On You」をはじめ、Brandy「Long Distance」、Flo Rida「Right Round」、Sugababes「Get Sexy」、Travie McCoy「Billionaire」等を手掛けています。

B.o.B feat. Bruno Mars「Nothin' On You」
 http://www.youtube.com/watch?v=8PTDv_szmL0&ob=av3e
Travie McCoy feat. Bruno Mars「Billionaire」
 http://www.youtube.com/watch?v=8aRor905cCw&ob=av2e

やはり、B.o.B「Nothin' On You」ですよね。今年の全米No.1ヒットの中でも特に印象に残る本曲は、Hip-Hop界の新星B.o.Bと同様に新進気鋭のシンガー・ソングライターBruno Marsの名を、世界中の音楽ファンに知らしめることとなりました。

最近の全米Top40をネガティブな視点でしか眺めることしかできない僕でさえ、ラブリーな名曲「Nothin' On You」に魅了されてしまいました。PVを観て主役のB.o.B以上にBruno Marsに惹かれた人も多かったのでは?僕もそんな一人でした。

そして、EP『It's Better If You Don't Understand』を経て、遂にリリースされた待望のデビュー・アルバムが『Doo-Wops & Hooligans』です。

最新Hip-Hop/R&Bを手掛けてきた印象が強いBruno Marsですが、実際にはロック、フォーク、Hip-Hop、R&B、レゲエ等のエッセンスをハワイ育ちならではのフィルターを介して取り入れたシンガー・ソングライターといった感じでしょうか。

Elvis Presley、Michael Jackson、Princeといった王道ポップ・スターに影響を受けつつ、Jack Johnsonあたりにも通じるハワイ育ちらしいレイドバック感も兼ね備えた、キャッチーかつ和むヴォーカル&メロディが彼の魅力ですね。

全米No.1の大ヒットとなった先行シングル「Just the Way You Are」を含む全10曲は、現在の全米ヒット・チャートが失ってしまった何かを思い出させてくれます。

全10曲とコンパクトにまとめた構成にも好感が持てます。

全曲紹介しときやす。

「Grenade」
Michael Jacksonを彷彿させるオープニング。MJからの影響、憧れをストレートに出している感じが逆に清々しいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=3kfkTJCv4j8

「Just the Way You Are」
全米No.1の大ヒットとなった先行シングル。王道ポップ感と和み感が同居したBrunoらしい1曲です。みんなのBrunoへの期待に対する一発回答!って感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=LjhCEhWiKXk&ob=av2e

「Our First Time」
レゲエのリズムを取り入れた哀愁R&Bチューン。レゲエとR&Bを実に自然なかたちで融合させていますね。かなりのお気に入り曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=GiwT1PVp2jM

「Runaway Baby」
気持ちよくハジけた痛快ロック・チューン。あくまでもキャッチーさを最優先したロック・サウンドがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=IVlfJudmWNE

「The Lazy Song」
リラックス・モードのレゲエ・チューン。ハワイらしい雰囲気の仕上がりはJack Johnsonとセットで聴くとピッタリ!
http://www.youtube.com/watch?v=0_3PLQ5GQTU

「Marry You」
60年代ポップのエッセンスを上手く現代風に仕立てた1曲。懐かしくも新しい1曲です。Brunoは良いメロディのツボをよく心得ていますな。
http://www.youtube.com/watch?v=4oipuB4zHrA

「Talking to the Moon」
EP『It's Better If You Don't Understand』にも収録されていた胸キュンのバラード。ロマンチック・モードのハワイの夜が思い浮かびます。
http://www.youtube.com/watch?v=fcmfbAPu-AE

「Liquor Store Blues」
Bob Marleyの息子Damian Marleyをフィーチャー。本曲も含めてレゲエ調の楽曲が3曲収録されているのは少し意外でしたが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=A_qLuTEryJs

「Count on Me」
この曲もEP『It's Better If You Don't Understand』収録曲。ハワイ出身のシンガー・ソングライターらしいさり気ないシンプルさがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qGlxZn7Uf6s

「The Other Side」
ラストはCee-LoB.o.Bをフィーチャー。EP『It's Better If You Don't Understand』にも収録されています。ノリの良いアッパー・チューンは実にキャッチーです。
http://www.youtube.com/watch?v=m8Ed8in9Qng

Cee-Loと言えば、彼の新曲「F**k You」のソングライティング&プロデュースをBrunoを含むThe Smeezingtonsが手掛けています。同曲を含むCee-Loの新アルバム『The Lady Killer』もThe Smeezingtonsプロデュースが全面プロデュースしているようなので、コチラも楽しみです。

Cee Lo Green「F**k You」
 http://www.youtube.com/watch?v=pc0mxOXbWIU

Cee Lo Green『The Lady Killer』
Lady Killer
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2010年10月23日

The Janet Lawson Quintet『The Janet Lawson Quintet』

クラブジャズ・クラシック「So High」収録!☆The Janet Lawson Quintet『The Janet Lawson Quintet』
The Janet Lawson Quintet
発表年:1981年
ez的ジャンル:ヴォーカリーズ系変幻自在ジャズ・ヴォーカル
気分は... :素晴らしいテクニック!

今回はThe Janet Lawson Quintetの1stアルバム『The Janet Lawson Quintet』(1981年)です。

Judy Roberts Band『The Judy Roberts Band』(1979年)あたりと並んで、クラブジャズ/サバービア・ファンから支持の高い女性ジャズ・ヴォーカル作品ですね。

グループの中心であるヴォーカルのJanet Lawsonは1940年ボルチモア生まれ。

ミュージシャン一家に生まれたJanetは幼少期から音楽に慣れ親しんでいたようです。その後、ジャズ・ヴォーカリストを目指したJanetは1960年にN.Y.へ向かいます。

そしてArt Farmerのグループでデビューし、その後はセッション・シンガーとして活躍しました。1970年にはソロ名義でシングル「Two Little Rooms」をリリースしています。「Two Little Rooms」よりもB面に収録された「Dindi」Antonio Carlos Jobimのカヴァー)の方が今日人気ですね。

Janet Lawson「Dindi」
 http://www.youtube.com/watch?v=thKXVjk8Mkw

1976年には自身のトリオを結成し、これが母体となりThe Janet Lawson Quintetとなります。The Janet Lawson Quintet名義では『The Janet Lawson Quintet』(1981年)、『Dreams Can Be』(1983年)という2枚のアルバムをリリースしています。

今日紹介する『The Janet Lawson Quintet』(1981年)は、前述のようにクラブジャズ/サバービア・ファンから支持の高い作品です。特にGilles Peterson監修の『Jazz Juice』シリーズで取り上げられた「So High」、サバービアでプッシュの「Sunday Afternoon」の2曲が人気ですね。

本作におけるメンバーは、Janet Lawson(vo)、Bill O'Connell(p)、Ratzo B. Harris(b)、Jimmy Madison(ds)、Roger Rosenberg(bs、ss、fl)の5名。

まず、ヴォーカリーズを含むJanetの変幻自在なヴォーカルに圧倒されます。

テクニック面からジャズ・ヴォーカルの持つ可能性を実感できる作品とも言えます。その素晴らしいテクニックは、本作がグラミーの最優秀女性ジャズ・ヴォーカル・パフォーマンスにノミネートされたことでも証明されています。

そんな存在感のあるヴォーカルを支えるバックの演奏も実に気が利いています。

ヴォーカリーズを聴き慣れない人は、最初に戸惑うかもしれませんが、聴き込むほどにその表現力に魅了されるはずです。

全曲紹介しときやす。

「You Promised」
オープニングは10分超の大作。エキゾチック・サウンドによる幻想的な音空間を、Janetの変幻自在なスキャットが駆け巡ります。ジャケのイメージとは異なる大胆なJanetのヴォーカルに驚かれます。また、Ratzo B. Harrisのベース・プレイが聴きものです。曲はSam Brown作のインスト曲「Dance of the Wind Chimes」にCarman Mooreが歌詞をつけたもの。

「Jitterbug Waltz」
Thomas "Fats" Wallerが1942年に作った曲。時にレイジー、時に絶叫するJanetのスキャットは迫力十分です。

「Sunday Afternoon」
オススメその1。Blossom Dearieでお馴染みの名曲をカヴァー(Blossom Dearie/Len Saltzberg)。「So High」と並ぶ本作のハイライト。Blossom Dearieのキュートなオリジナルに対して、本カヴァーはJanetのヴィヴィドなヴォーカルが心地好い軽快なサニー・ボッサ・チューンに仕上がっています。Bill O'ConnellのエレガントなピアノやRosenbergのサックス・ソロも盛り上げてくれます。Blossom Dearieのアルバムも近々紹介する予定ですのでお楽しみに!

「'Round Midnight」
説明不要!Thelonious Monkの名曲カヴァー。お馴染みのスタンダードを、ここではジャズ・ヴォーカリストらしい情感たっぷりの表現で聴かせてくれます。さり気なさの中に気品が漂うバックの演奏がグッド!

「So High」
オススメその2。前述のようにクラブジャズ・クラシックとして人気の高い曲です(Diane Snow作)。Gilles Petersonが気に入るのも頷ける、躍動感が格好良いジャズ・サンバ・チューンです。Janetのヴォーカルも素晴らしいですが、バックの演奏が最高にイカしています!
http://www.youtube.com/watch?v=zH6KTorcWtE

「Nothin’Like You」
オススメその3。Bob Doroughのカヴァー(Bob Dorough/Fran Landesman作)。Bob Dorough自身がヴォーカルをとったMiles Davis『Sorcerer』のヴァージョンで有名な曲ですね。スウィンギーな疾走感が実に小粋です。Janetのジャズ・ヴォーカリストとしての技量の高さを随所で堪能できます。

ここまでがオリジナルLPの6曲です。CDには以下のボーナス・トラック2曲が追加収録されています。共にジャズ・ピアニストDavid Lahmのアルバム『Real Jazz For The Folks That Feel Jazz』(1982年)収録曲です。David LahmとJanetは1970年代後半から付き合いのある演奏仲間のようです。

「Shazam(Captain Marvel)」
オススメその4。作者はDavid LahmとChick Coreaですが、、演奏はJanet Lawson Quintetのメンバーによるものです。ラテン・フレイヴァーの効いた軽快なフュージョン・チューンです。

「Harold’s House of Jazz」
「Shazam(Captain Marvel)」同様、『Real Jazz For The Folks That Feel Jazz』収録曲です。ただし、こちらはJanetのみがヴォーカルで参加しています。そのせいか、他の曲とは異なる印象を受けます。David LahmとJanetの昔からのレパートリーのようで、Janetのヴォーカルはノリノリです。

Janet Lawson Quintet名義のアルバムとして、『Dreams Can Be』(1983年)もあります。コチラは未聴なので、機会があればぜひ聴いてみたいと思います。

『Dreams Can Be』(1983年)
janet lawson quintet
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2010年10月22日

Tommie Young『Do You Still Feel The Same Way』

ディープ&キュートなレディ・ソウル!☆Tommie Young『Do You Still Feel The Same Way』
Do You Still Feel the Same Way?
発表年:1973年
ez的ジャンル:ディープ&キュート系レディ・ソウル
気分は... :深く笑い、深く泣ける!

昨晩、WOWOWで宅間孝行が主宰する人気劇団、東京セレソンデラックスの最新作『くちづけ』を放送していました。"日本で一番泣かせる劇団"の名に相応しい、深く笑い、深く泣ける素晴らしいお芝居にウルっとしてしまいました。我々が忘れかけている人間としての大切なものを教えられた気がします。

たまにはこういうお芝居でピュアな感性を取り戻さないといけませんよね。

東京セレソンDXの余韻に浸っている中で聴きたくなったのがTommie Young『Do You Still Feel The Same Way』(1973年)です。

Tommie Youngはテキサス州ダラス出身のソウル/ゴスペル・シンガー。

60年代後半からゴスペル・グループで歌い始め、1972年にダラスのナイトクラブで歌っていたところ、Soul Power Recordsの共同オーナーであり、プロデューサーのBobby Pattersonの目に留まり、レコーディングの機会を得ます。

こうしてリリースされたのが彼女の唯一のアルバム『Do You Still Feel The Same Way』(1973年)です。プロデューサーはBobby Patterson、オリジナル・アルバム収録全11曲のうち10曲がBobby Patterson & Jerry Stricklandのペンによるものです。バック・コーラス隊の中にはDorothy Mooreの名もクレジットされています。

今日ではフリーソウル人気曲「Hit And Run Lover」がハイライトとなるのでしょうが、アルバム全体としてはサザン・ソウルらしいディープな楽曲とキャッチー&ポップな楽曲が混在しているのが面白いですね。

Tommie Youngのヴォーカルはゴスペル仕込みのディープさと、ハイトーンな声質に起因するキュートさを併せ持っており、そのあたりが彼女ならでの魅力につながっていると思います。その意味ではディープな楽曲とポップな楽曲がバランスした構成は絶妙だと思います。

ディープなTommieとポップ&キュートなTommie共に堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Do You Still Feel The Same Way?」
オススメその1。タイトル曲はシングルカットされ、全米R&Bチャート第28位となりました。キュートなAretha Franklinって雰囲気のTommieのヴォーカルにグッとくるバラード。程好くイナタい感じもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=boP0SfIzTXE

「Do We Have A Future?」
パンチの効いたアップ・チューン。当時のブラックパワーともリンクする張り詰めた緊張感が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=tscnKxpjUJI

「You Came Just In Time」
オススメその2。イナタいラブリー感にグッとくるスウィートなミディアム・スロウ。
http://www.youtube.com/watch?v=zV8pI5Xg0Kw

「She Don't Have To See You (To See Through You) 」
サザン・ソウルらしいアーシーなバラード。

「You Can Only Do Wrong So Long」
「You Came Just In Time」同様のポップさが魅力のミディアム・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=jMT0qdUDrrM

「You Can't Have Your Cake (And Eat It Too) 」
レイドバック感たっぷりのR&Bチューン。ゴスペル仕込みのTommieのヴォーカルを堪能できます。

「You Brought It All On Yourself」
ゴスペル調バラード。『くちづけ』を観た後の気分にピタっとハマります。
http://www.youtube.com/watch?v=OS87qa_0pEk

「That's All A Part Of Loving Him」
オススメその3。妖しげなフルートに先導されるパーカッシヴな疾走感にグッときます。こういうさり気なく格好良い曲大好きです!
http://www.youtube.com/watch?v=unAv1ec_tls

「That's How Strong My Love Is」
オススメその4。O. V. Wrightのデビュー・シングルであり、Otis Redding、Rolling Stones等もカヴァーしたソウル名曲のカヴァー(Roosevelt Jamison作)。本カヴァーでもディープに迫ります。

「Hit And Run Lover」
オススメその5。前述のように本作のハイライトとなるフリーソウル人気曲。ハッピー&ラブリーなグルーヴ感にグッとくるレディ・ソウルです。
http://www.youtube.com/watch?v=vWV73e0la9M

「Everybody's Got A Little Devil In Their Soul」
オススメその6。ディープなのにキュートというTommie Youngを魅力を象徴するような本曲でアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=cKPdncJBcVI

オリジナルは上記の11曲ですが、CDには「I'm Not Going To Cry Anymore」「One Sided Love Affair」「Take Time To Know Him」「Get Out Of My Life」「Midsummer Dream」というボーナス・トラック5曲が追加収録されています。これを軽視している人もいますが、なかなか楽しめる5曲です。

Tommieのデビュー・シングル「Take Time To Know Him」(Percy Sledgeのカヴァー、Steve Davis作)とシンセ入りの「Midsummer Dream」のギャップがなかなか面白いですね。「I'm Not Going To Cry Anymore」はポップな魅力に溢れています。そして、シングルにもなった「Get Out Of My Life」は本編では聴けないTommieの魅力を堪能できる秀逸ソウル・チューンです。
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2010年10月21日

Malena『Fried Samba』

サウンド・センス抜群のラテン・ハウス・プロジェクト☆Malena『Fried Samba』
Fried Samba
発表年:2008年
ez的ジャンル:ディーヴァ系スタイリッシュ・ラテン・ハウス
気分は... :ラテン・ヴァイヴが心地好い!

今日はUKのラテン・ハウス・プロジェクトMalenaの1stアルバム『Fried Samba』(2008年)です。

Malenaは、Dan BroadRoger "Chip" Wickhamというサウンド・プロダクション・チームと、女性ヴォーカリストSusana Monteroの3人によるラテン・ハウス・プロジェクト。イギリスとスペインを拠点に活動している模様です。

グループの結成時期は不明ですが、1999年にスペインでリリースされたハウス・コンピにMalenaの曲が収録されているので、その時点で既に活動していたことになります。

彼らの人気の高さは「Para Ti (For You)」「Vida Mia」等のシングル曲が実に多くのハウス・コンピで取り上げられていることからも確認できます。

「Vida Mia」
 http://www.youtube.com/watch?v=n_phTd_CmnI
Dalminjo feat. Malena「Despacito (Te Doy Mi Corazon) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=GNNvMcmywsg
「Olvidarte (Te amo)」
 http://www.youtube.com/watch?v=CubHlznQjRs

Dan BroadRoger "Chip" Wickhamが創り出す生音を重視したクロスオーヴァー感覚のハウス・サウンドと、Susana Monteroの艶やかなスパニッシュ・ヴォーカルが織り成すスタイリッシュな音世界が、多くのハウス・ファンを魅了しています。特にMasters At Work(MAW)あたりが好きだった人はハマる要素が多いラテン・ハウスなのでは?

そんなMalena初のアルバム『Fried Samba』(2008年)ですが、ハウス・アルバムにありがちな単調さはなく、ボッサ/ジャズ・サンバや素敵なメロウ・チューン等も散りばめたメリハリのある構成で、実に気の利いたアルバムに仕上がっています。

きっとハウス・ファン以外にクラブジャズ好き、ラテン/ブラジル好きの人が聴いてもグッとくる内容だと思います。そう考えると、僕が本作に惹かれるのは当然かもしれませんね。

「No Llores Mas」「More Afro」といったシングル曲に加え、「Suavemente」「No Me Digas Nada」といった各種コンピで引っ張りだこの人気曲も収録された捨て曲ナシの1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Supanova」
オープニングはスタイリッシュなボッサ・グルーヴ。センス抜群のボッサ・サウンドとSusanaのキュートなスパニッシュ・ヴォーカルにグッときます。

「No Llores Mas」
アルバムに先駆けて12"シングルとしてリリースされ、フロア・ヒットとなった人気曲。アッパーなラテン・ハウスです。華やかなSusanaのヴォーカル、生音ピアノの美しい響き、ティンバレスが生み出すラテン・ビート、涼しげなRogerのフルート・・・MAWがお好きな人は絶対に気に入る1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=B1Ixro0yrZM

「Fried Samba」
タイトル曲はバトゥカーダ調のハウス・チューン。大音量で聴きたくなるパーカッシヴな仕上がり!Susanaのヴォーカルがお休みの代わりに、ホーン隊が盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Xc5Yac9Ye0Y

「Suavemente」
UKのハウス・コンピ『Beach House 04.05』などの各種コンピにも収録されているスパニッシュ・フレイヴァーの哀愁ハウス。誰もいない浜辺で聴きたい、まさに"ビーチ・ハウス"といった雰囲気の仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=vS0zjsZi97s

「Querria Mentir」
哀愁モードのラテン・チューン。ストリングスも入った美しくも切ない仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=6Eis9h-yRjY

「Liega El Verano」
クラブジャズやブラジリアン・グルーヴ好きの人もグッとくるスタイリッシュなジャズ・サンバ。Rogerのフルートが最高にハマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=RybPCwMBybY

「Que Dificil Es」
フェンダー・ローズとギターが奏でる美しくも切ないサウンドをバックに歌うSusanaのヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZhUI4GWgTBs

「Flute Juice」
タイトルの通り、Rogerのフルートを存分に堪能できるジャズ・サンバ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=yPeWk0Jzj6Q

「More Afro」
アルバムから12"シングルとしてカットされた曲。タイトルの通り、アフロ・ブラジリアン・テイストのファンキーなアッパー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=LJE8ZmPVn5Q

「No Me Digas Nada」
『Latin Vibes - Lounge Selection』、『Tokyo Lounge Vol. 02』等のコンピ・アルバムにも収録されている人気曲。ラテン・ヴァイヴが心地好いラウンジ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=zy6N-8-RKtI

国内盤にはボーナストラックとして「Desert Sun」が収録されています。

輸入盤はジャケや曲順が異なるのでご注意を!

『Fried Samba』(輸入盤)
Fried Samba
posted by ez at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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