2010年10月20日

The Beatnuts『A Musical Massacre』

ビート馬鹿が生み出す魅惑のトラック!☆The Beatnuts『A Musical Massacre』
Musical Massacre
発表年:1999年
ez的ジャンル:職人ネタ師系Hip-Hop
気分は... :ビート馬鹿は健在なり!

今日はThe Beatnuts『A Musical Massacre』(1999年)です。

N.Y.クイーンズ出身のHip-HopグループThe Beatnutsの紹介は、『The Beatnuts:Street Level』(1994年)に続き2回目となります。

『A Musical Massacre』は、通常のアルバムとしては『Stone Crazy』(1997年)に続く3rdアルバムとなります。その間にインスト・アルバム『Hydra Beats, Vol. 5』(1997年)やリミックスEP『Remix EP: The Spot』(1998年)が発売されていましたが・・・

The Beatnutsといえば、デビューEP『Intoxicated Demon』(1993年)、1stアルバム『The Beatnuts:Street Level』(1994年)というJuJuPsycho LesFashion(Al Tariq)の3人体制だった頃の初期作品の印象が強烈でしたね。ネタ師集団が作るビート馬鹿らしいトラックの数々は、多くのHip-Hopファンを魅了しましたね。

正直、僕がThe Beatnutsをリアルタイムで聴いていたのはFashion(Al Tariq)が抜けて2人体制となった最初のアルバム『Stone Crazy』(1997年)まででした。The Beatnuts云々と言うよりも、僕自身が90年代後半のHip-Hopに90年代前半ほどのパワーを感じなくなり、徐々にHip-Hop作品を聴く頻度が少なくなっていったことが理由でした。

従って、『A Musical Massacre』(1999年)は後追いで購入したものです。Beatnutsの歴史を振り返ると、チャート・アクション(全米アルバム・チャート第35位、同R&Bアルバム・チャート第10位)としては最も成功したアルバムと言えますね。内容も前作『Stone Crazy』あたりと比較すると評価が高い作品です。

必ずしも現在の僕の嗜好と合致するHip-Hop作品ではありませんが、ネタ師らしい痛快なトラック作りと全体に漂うラテン・テイストには惹かれるものがあります。特にノスタルジックなネタを巧みに使ったトラックにグッときます。

まずは『Intoxicated Demon』『The Beatnuts:Street Level』を聴いてグッときた方は、ぜひ聴いてみて下さい。

全曲紹介しときやす。

「Intro」
アルバムのイントロ。

「Beatnuts Forever」
Triple Seis & Marlon Mansonをフィーチャー。Zulema「Giving Up」ネタのリズム&ストリングスが印象的です。最初と最後はLabi Siffre「I Got The...」ネタで・・・
http://www.youtube.com/watch?v=pj-JpwVI4Kc

「Muchachacha」
Willie Stubz & Swingerをフィーチャー。Daniel Janin & JC Pierric「Black Night」ネタのトラックが好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=iR_nFrWpqoA

「I Love It」
Enoch Light「And I Love Her」ネタのノスタルジックなビートとCheryl Pepsii Rileyが歌う♪I Love It〜♪という短いフレーズが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=GymttlXmyvY

「Slam Pit」
Cuban Link & Commonをフィーチャーしています。Main Source「Live at the Bar-Be-Que」ネタ
http://www.youtube.com/watch?v=MITnOJu_4Co

「Wild, Wild, What!」
ジャズ・モードのインタールード。

「Look Around」
Dead Prez & Cheryl Pepsii Rileyをフィーチャー。Danny Rivera「Gracias Mi Amor」ネタの哀愁トラックにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=JFD6X5A01Ms

「Cocotaso」
Tony Touchをフィーチャー。不穏な中にプエルトリコな雰囲気が漂います。♪ココ、ココ、タ〜ソ♪が日本語のように聴こえてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=5vgh2LTwJQc

「Monster for Music」
哀愁モードのピアノループが印象的です。Jungle Brothers「Baggin & Boastin」ネタ
http://www.youtube.com/watch?v=1aaMhZOoqTs

「Spelling Beatnuts with Lil' Donny」
Blowfly「Sesame Street」ネタの勢いのあるトラックがいいですね。

「Puffin' on a Cloud」
妖しげな雰囲気も漂いますが、Love Unlimited Orchestra「Under the Influence of Love」ネタのトラックが実にキャッチーです。
http://www.youtube.com/watch?v=k1YGlcCNdec

「Turn It Out」
シングル「Watch Out Now」のカップリング曲。Greg Nice(Nice & Smooth) をフィーチャーしています。BeatnutsらしいイカれたビートにのってGreg Niceが♪C'mon c'mon c'mon♪と連呼します。The New Vaudeville Band「A Nightingale Sang in Berkeley Square」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=bA8wD20kCPs

「Rated R」
Nogoodusをフィーチャー。キーボードのチープな響きにそそられます。
http://www.youtube.com/watch?v=sU1c7QJINPA

「Who You're Fuckin' Wit'」
Ann Peebles「Somebody's on Your Case」ネタのトラックが格好良いインタールード的な1曲。

「Story 2000」
Patrick Blazyをフィーチャー。マッタリとした気だるさが印象的です。

「Watch Out Now」
アルバムからの1stシングル。Yellaklawをフィーチャー。 Enoch Light「Hi-Jack」ネタのフルートが妖しげに響き渡ります。この印象的なループはJennifer Lopez「Jenny From The Block」でも使われましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=O2JgUvd4l30

Jennifer Lopez「Jenny From The Block」
 http://www.youtube.com/watch?v=Vd0hMcCl784

「You're a Clown」
Biz Markie & Tyler Fernandezをフィーチャー。ほのぼのとしたトラックにホッとしてしまいます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=JhM1xGZ_Fxw

「Buddah in the Air」
Carl Thomas & Gob Goblinをフィーチャー。オリエンタルな雰囲気も漂うミステリアスなトラックです。
http://www.youtube.com/watch?v=haIqfYJrF8k

「Se Acabo (It's Over)」
Swinger & Magic Juanをフィーチャー。Marco Antonio Muniz「Se Acabo」というノスタルジックなネタを実に上手く調理しています。
http://www.youtube.com/watch?v=OFstk-dz18Y

『Intoxicated Demon』(1993年)
Intoxicated Demons

『The Beatnuts:Street Level』(1994年)
ビートナッツ(紙ジャケット仕様)
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2010年10月19日

Carlos Lyra『Sarava』

メキシコ録音のボサノヴァ名盤☆Carlos Lyra『Sarava』
Sarava!
発表年:1970年
ez的ジャンル:永遠のボサノヴァ青年
気分は... :ドルフィンズ白星先行!

NFLでは我がドルフィンズがアウェーでパッカーズを相手にOTで勝利し、何とか白星先行となりました。正直、敵地でパッカーズに勝利するのはかなり難しいと思っていたので嬉しい誤算です。

一方で同地区のライバル、ジェッツ、ペイトリオッツは共に勝利し、1敗を維持しました。この2チームは正直かなり強いですね。この2チームに終盤まで離されないように、イルカ軍団には粘って欲しいものです。

今回はボッサ作品が聴きたい気分なので、Carlos Lyra『Sarava』(1970年)をセレクト!

Carlos Lyraは1939年ブラジル、リオ・デ・ジャネイロ生まれのシンガー・ソングライター。Antonio Carlos JobimJoao Gilberto、Vinicius de Moraesというボサノヴァのパイオニアに続き、ボサノヴァの発展に貢献したミュージシャンの一人です。

Roberto Menescalの記事でも書きましたが、高校でRoberto Menescalと出会い、二人はギター教室を開始します。生徒にはNara Leao等もいました。

その後、オリジナル楽曲が話題になり、1959年にはJoao GilbertoがLyraの代表曲「Maria Ninguem」をレコーディングしています。

そして、1959年にはデビュー・アルバム『Bossa Nova』をリリースしています。その後も名曲を数多く作り、永遠のボサノヴァ青年として現在も活躍しています。

今日紹介する『Sarava』(1970年)はメキシコで録音された作品です。

以前にもJoao Gilbertoのメキシコ録音作品『Ela E Carioca(En Mexico)』(1970年)を紹介しましたが、この時期はブラジル軍事政権の厳しい検閲から逃れるため、メキシコを訪れたブラジル人ミュージシャンが多かったようです。逆に、メキシコではボサノヴァが大いに受け入れられていたみたいですね。

Carlos Lyraも1968年から1971年までメキシコに滞在していました。その間に『Carlos Lyra』(1968年)、『Sarava』(1970年)という2枚のアルバムをレコーディングしています。

特に今日紹介する『Sarava』(1970年)は、Paul Winterとの共演作、『The Sound of Ipanema』(1965年)と共に人気の高い作品です。

バックは全員メキシコ人ミュージシャン、全11曲中9曲がLyraのオリジナル、残り2曲がカヴァーです。

今の時期に聴くのにピッタリなボッサ・アルバムです。
程好くリズムの効いたボッサ・チューンは、サバービア好きの人であれば相当グッとくると思いますよ。

個人的にはかなりど真ん中のボッサ作品です。

全曲紹介しときやす。

「Vacilada」
オープニングは軽快なサンバ・チューン。(Lyra曰く)あまり意味の無い歌詞を羅列したようですが、リズミカルな語感の響きが演奏全体に華やかな印象を与えます。Carlos Lyra作。

「Quien Te Manda?」
Vinicius de Moraes/Carlos Lyra作。(Lyra曰く)Vinicius de MoraesがLyraのために書いた最も素晴らしい歌詞とのこと。サウダージ・モードで♪彼女なしで僕はもう生きてはいられない♪と歌うサンバランソ・チューン。

「Para No Decir Adios」
Walmir Ayala/Carlos Lyra作。ボンゴのリズムが心地好く響くロマンチック・チューンにグッときます。

「Solo Tu No Vienes」
Carlos Fernando Fortes/Walmir Ayala/Carlos Lyra作。少し寂しげな歌声は秋にピッタリなのでは?美しいストリングスが盛り上げてくれます。

「Balanceo」
歌詞は難解ですが、演奏自体は小気味良いテンポと爽快なギターの響きが実に心地好いサンバ・チューン。Carlos Lyra作。

「Tristeza」
Haroldo Lobo/Niltinho作の名曲カヴァー。当ブログではSergio Mendes & Brasil'66Elis ReginaBirgit Lystagerのヴァージョンを紹介済みです。それら紹介済みヴァージョンのような軽快な盛り上がりを連想する曲ですが、ここではロマンチック・ムードの「Tristeza」を聴かせてくれます。

「El Jacal」
Gianfrancesco Guarnieri/Carlos Lyra作。賑やかなパーカッションのバトゥカーダ・パートとロマンチックなボッサ・パートのコントラストが印象的です。

「Paz Sin Amor」
Nelson Lins e Barros/Carlos Lyra作。ワルツ調のエレガントな仕上がりに惹かれます。

「Viene del Amo」
Nelson Lins e Barros/Carlos Lyra作。パーカッシヴな疾走感がモロに僕好み!訳もなく走り出したくなる1曲。

「Lugar Bonito」
Chico de Assis/Carlos Lyra作。農民がより素晴らしい土地を求める歌ですが、イナたい雰囲気の演奏が実にマッチしています。

「Samba de la Bendicion (Sarava)」
本作のハイライト。Vinicius de Moraes/Baden Powell作の名曲をカヴァー。当ブログでも紹介した映画『Un Homme Et Une Femme(邦題:男と女)』の挿入歌としてもお馴染みですね。ここでLyraはスペイン語訳の歌詞を織り交ぜた意欲的なカヴァーを聴かせてくれます。Pierre Barouhによるフランス語ヴァージョンで聴き慣れた曲ですが、ポルトガル語&スペイン語ヴァージョンも新鮮ですよ!YouTubeに音源があるのは本曲のみというのは実に残念ですが、この1曲を聴けば本作の素晴らしさが一発でわかると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=OAzcFRi01D4

Carlos Lyraの他の作品もぜひチェックを!

『Bossa Nova』(1959年) ※『Carlos Lyra』(1961年)との2in1
BOSSA NOVA

『Depois do Carnaval』(1963年)
デポイス・ド・カルナヴァル

Carlos Lyra & Paul Winter『The Sound of Ipanema』(1965年)
ザ・サウンド・オブ・イパネマ

『...E no Entanto e Preciso Cantar』(1971年)
僕と彼女たち
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2010年10月18日

Elsie Bianchi Trio『The Sweetest Sound』

人気曲「Little Bird」収録。ピアノ・トリオによるヴォーカル作品☆Elsie Bianchi Trio『The Sweetest Sound』
ザ・スウィーテスト・サウンド (紙ジャケット仕様)
録音年:1965年
ez的ジャンル:女性ジャズ・ヴォーカル&ピアノ・トリオ
気分は... :そろそろジャズが似合う季節...

10月も中旬となり、ようやくジャズが似合う季節になってきました。

今回はクラブジャズ・サイドより再評価が高まったジャズ作品Elsie Bianchi Trio『The Sweetest Sound』(1965年)です。

Elsie Bianchi Trioは、Elsie Bianchi(p、vo)、Siro Bianchi(b)、Charly Antolini(ds)によるピアノ・トリオ。

中心メンバーであるElsie Bianchiは1930年スイス、チューリッヒ生まれの女性ジャズ・ピアニスト/シンガー。

6人兄弟の末っ子として生まれ、母親が熱心であったこともあり、幼少期よりアコーディオンを習っていた模様です。その後、ピアノを演奏し始め、地元チューリッヒでジャズのジャム・セッションに参加するようになります。そこでベーシストのSiro Bianchiと出会い、1954年に二人は結婚します。その後アメリカに渡り、アメリカとスイスの行き来しながら演奏活動をしていたようです。

今日紹介する『The Sweetest Sound』(1965年)は、ジャズ・ファンにはお馴染みのドイツのレーベルSABAで録音されたものです。

埋もれたジャズ作品であった本作が注目を集めるようになったきっかけは、Gilles Peterson監修による人気コンピ『Talkin' Jazz Vol.3』で本作収録の「Little Bird」がセレクトされ、人気曲となったことです。それ以来、謎のベールに包まれた女性ピアニスト/シンガーとしてElsie Bianchiの名が知れ渡るようになりました。

そんな人気曲「Little Bird」が収録されたアルバムが『The Sweetest Sound』(1965年)です。

全12曲中、オリジナルは1曲のみで残りは有名スタンダード等のカヴァーです(その中で「Little Bird」は異色の選曲ですが)。また、8曲がBianchiのヴォーカル入りです。

軽快なスウィング、しっとりとした大人のバラード、洗練されたボッサ・チューンといった、奇をてらわない、わかりやすいピアノ・トリオ+女性ジャズ・ヴォーカル作品であり、初心者からクラブジャズ好きまで楽しめます。

なかなか侮れない1枚ですよ!

全曲紹介しときやす。

「Teach Me Tonight」
Gene De Paul作詞、Sammy Cahn作曲のスタンダード。ピアノ・トリオらしい小粋にスウィングした演奏と清々しいBianchiの歌がいいですね!

「Fallin' In Love」
Lorenz hart作詞、Richard Rodgers作曲のスタンダード。1938年のミュージカル『The Boys From Syracuse』のために書かれた楽曲です。さり気ない雰囲気にグッときてしまいます。

「Little Bird」
Tommy Wolf作詞、Dick Grove/Peter Jolly作曲。前述のように本作のハイライトとなるボッサ・テイストのインスト・チューン。45年前というのが信じられないクラブジャズ・テイストな演奏に相当グッときます。作者の一人ジャズ・ピアニストのPeter JollyとBianchiはアメリカでの演奏仲間であり、その関係から本曲を取り上げたのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=z6pqg28r6Jc

「A Sleepin' Bee」
Truman Capote作詞/Harold Arlen作曲。1954年のミュージカル『A House of Flowers』のために書かれた楽曲です。実にスウィートなムードにうっとりですね。Bianchiのヴォーカルが最高です。Truman Capoteの名を聞くと、彼を描いた映画『Capote』(2005年)を思い出してしまいます。Capote役のPhilip Seymour Hoffmanがアカデミー主演男優賞を受賞しましたね。

「The Shadow Of Paris」
映画ピンク・パンサーシリーズの第2作『A Shot In The Dark(邦題:暗闇でドッキリ)』(1964年)の主題歌カヴァー(Robert Wells作詞、Henry Mancini作曲)。スロー・ワルツ調の哀愁を帯びた演奏とヴォーカルが印象的です。

「Fiddler On The Roof」
ミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』のタイトル曲(Jerry Bock作曲)。ミステリアスな雰囲気に包まれたスウィング感にグッとくるインスト・チューン。

「The Sweetest Sound」
タイトル曲は1962年のブロードウェイ・ミュージカル『No Strings』の挿入歌です(Richard Rodgers作)。タイトルとは異なり、甘くなりすぎないビター・スウィートな演奏&ヴォーカルにグッときます。

「Spring Can Really Hang You Up The Most」
Fran Landesman作詞、Tommy Wolf作曲。ミュージカル『The Nervous Set』の挿入歌として作られた曲です。春をテーマとした曲ですが、ここでの味わい深い演奏は秋にピッタリだと思います。

「Meditation」
Antonio Carlos Jobim作品のカヴァー(原題「Meditacao」)。当ブログではJoanie Sommersによるカヴァーも紹介済みです。「Little Bird」に次ぐ人気曲なのでは?少し気だるいBianchiのヴォーカルにグッとくるボッサ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=6pHbuo5e9h0

「Why Did I Choose You」
Herbert Martin作詞、Michael Leonard作曲。しっとりとした大人の哀愁バラード。胸に迫ってくるものがありますね。かなり好きです。

「Little Blues」
本作唯一のオリジナル。タイトルの通り、ブルージーな演奏を堪能できるインスト・チューン。

「Guess Who I Saw Today」
Elisse Boyd作詞、Murray Grand作曲。ブロードウェイ・ミュージカル『New Faces of 1952』の挿入歌です。ラストはしっとりとした大人のバラードで締め括ってくれます。

興味がある方は『Atlantis Blues』(1962年)もどうぞ!『Atlantis Blues』は、10インチLPとして100枚限定で配布された1962年録音の音源を復刻したものです。

『Atlantis Blues』(1962年)
Atlantis Blues
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2010年10月17日

Seductive Souls『Spirit』

Cool Millionに続くRob Hardtのソウル・プロジェクト☆Seductive Souls『Spirit』
Spirit
発表年:2010年
ez的ジャンル:ドイツ産モダン・ソウル
気分は... :レトロではなくモダン!

今回は最近お気に入りのモダン・ソウル新作Seductive Souls『Spirit』です。

Seductive Soulsはドイツ人プロデューサーRob Hardtによるプロジェクト。

Rob Hardtと言えば、デンマーク人Frank RyleとのプロジェクトCool Millionの2ndアルバム『Back For More』が今年リリースされ、話題になりましたね。

Meli'sa Morgan、Eugene Wilde等の懐かしいソウル・シンガーをフィーチャーした80年代テイストのファンク/ディスコ・サウンドで多くのソウル/ファンク好きを歓喜させました。

Cool Million「Back For More」
 http://www.youtube.com/watch?v=i8_j32VQtCU
Cool Million「Sweet Baby」
 http://www.youtube.com/watch?v=0dv0ymsOKBA

そのRob Hardtによる、もう1つのプロジェクトがSeductive Soulsであり、これまで「Prisionera De Tu Amor」(2003年)、「Dazz」(2009年)等のシングルをリリースしています。

さて、Seductive Soulsの1stアルバムとなる本作『Spirit』ですが、Cool Millionの80年代ファンク/ディスコ・テイストと比較すると、こちらは70年代ソウル/80〜90年代アシッド・ジャズ・テイストといった感じですね。

Rob Hardtは、Leroy HutsonIncognitoを敬愛しているらしいですが、確かにそんなRobの嗜好を反映したサウンドを聴くことができます。

Cool Million『Back For More』のように当時活躍していたソウル・シンガーの起用はなく、(多分)無名の若手シンガーを起用しています。

全体的にはCool Millionのようなモロにレトロ・ソウルへのオマージュといった色合いは薄く、ソウル/アシッド・ジャズを踏まえたモダン・ソウル作品という印象を受けます。その意味ではCool Millionとはリスナー層が異なるかもしれません。

アシッド・ジャズのテイストも加わったドイツ産モダン・ソウルを堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Symetry」
Sulane Flemingをフィーチャー。Sulane Flemingの個性的なヴォーカル生かした哀愁モードのアコースティック・ソウルです。
http://www.youtube.com/watch?v=-2MLGKZ_d0c

「Your Love」
オススメその1。Aaron Washingtonをフィーチャー。軽いラテン・フレイヴァーが心地好いメロウ・ソウル。Leroy Hutson好きの人は気に入る1曲だと思います。

「Is This Love」
オススメその2。Michael Arkkをフィーチャー。帯に"Leroy Hutsonの様な美しいメロウダンサー"と形容されていますが、アシッド・ジャズ感覚のメロウ・グルーヴといった印象です。
http://www.youtube.com/watch?v=ZTEDhf2d3OE

「Dazz (A Tom Moulton Mix) 」
アルバムに先駆けてシングル・リリースされていた「Dazz」のTom Moultonによるリミックス。「Dazz」はBrickの1976年のヒット曲カヴァーです。Salsoul作品でお馴染みだった人気リミキサーTom Moultonを起用するあたりがRob Hardtらしいですね。Donald McCollumをフィーチャー。
http://www.youtube.com/watch?v=7lOTnNKD_vA

Brick「Dazz」
 http://www.youtube.com/watch?v=RT3_IfYd9DM

「Neo's Theme」
ジャズ・ファンク調のインスト・チューン。

「Love Don't Hurt At All」
オススメその3。C. Robert Walkerをフィーチャー。"フリーソウルファン直撃の軽快なポップソウル"という帯の説明も頷けるレトロ感覚たっぷりのヤング・ソウル・チューン。

「How It Feels」
オススメその4。C. Robert Walkerをフィーチャー。Matthias Strassによるギター・カッティングが心地好いメロウ・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=AzzD3nqH9S8

「One People」
オススメその5。C. Robert Walkerをフィーチャー。70年代ニューソウル風の仕上がり。C. Robert Walkerのソウルフルなヴォーカルがいい感じ!

「Seductive Hustle」
クラブジャズ・テイストのインスト・チューン。アルバムの流れを考えると異質な楽曲ですが、コレはコレで格好良いです。

「Favela Funk」
オススメその6。Cleo Fernandesをフィーチャーしたジャズ・ファンク調のファンキー・グルーヴ。

「Real Love」
ラストはDonald McCollumをフィーチャーした哀愁ソウル・チューン。

興味がある方はCool Millionもチェックを!

Cool Million『Going Out Tonight』(2008年)
Going Out Tonight

Cool Million『Back For More』(2010年)
Back for More
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2010年10月16日

Free Design『Stars/Time/Bubbles/Love』

最高傑作の呼び声も高い4th☆Free Design『Stars/Time/Bubbles/Love』
スターズ・タイム・バブルズ・ラヴ
発表年:1970年
ez的ジャンル:ミラクル・コーラス系ソフト・ロック
気分は... :自由に羽ばたきたい・・・

バタバタ状態であった今週の疲れがドッと出たせいか、今日も昼まで寝ていました。慌てて記事を書いています。

そんな慌しい中、セレクトしたのがFree Design『Stars/Time/Bubbles/Love』(1970年)です。

Chris Dedrickを中心とした兄弟グループFree Designの紹介は、3rdアルバム『Heaven/Earth』、デビュー・アルバム『Kites Are Fun』(1967年)に続き3回目となります。

『Stars/Time/Bubbles/Love』は、デビュー・アルバム『Kites Are Fun』と並んで人気の高い作品ですね。本作を彼らの最高傑作に挙げる人も多いと思います。

プロデュースは発売元Project 3のオーナーEnoch LightとChris Dedrick、エンジニアはPhil Ramoneが務めています。

次男Chrisを中心に長男Bruce、長女Sandy(Sandra)、妹Ellenの4人が織り成す緻密で美しい魔法のコーラスの完成度がさらに高まっています。まさにコーラスのアートですね。

ロック、フォーク、ポップス、ジャズ、クラシック、映画音楽等のエッセンスを上手く取り込んでアレンジ・センスもFree Design作品の魅力ですが、本作ではサイケ・サウンドも聴かれ更にサウンドの幅が広がっています。

過去3作とは異なりメンバーの写真が登場しないジャケも含めて、よりアーティスティックなFree Designを堪能できる1枚です。

※追記
グループの中心であったChris Dedrickが、8月6日に癌のため亡くなったそうです。享年62歳。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

全曲紹介しときやす。

「Bubbles」
オススメその1。小粋にドライブするバックと魔法のコーラスに魅了されるオープニング。この1曲のみでFree Designワールドの虜になるはず!Chris Dedrick作。
http://www.youtube.com/watch?v=CsGo6mxQaUM

「Tomorrow Is The First Day Of The Rest Of My Life」
1969年のロック・ミュージカル『Salvation』挿入歌のカヴァー(Peter Link & C.C. Courtney作)。グルーヴィーなインタールードに続き、ピースフル・ハーモニーを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=k6x9fI8JRd0

「Kije's Ouija」
オススメその2。ポップで爽快なコーラスにグッときます。子供向け番組のバックで流れているとピッタリな雰囲気ですね。Chris Dedrick作。
http://www.youtube.com/watch?v=OSKfxVw1vaM&feature=related

「Butterflies Are Free」
オススメその3。シングルにもなりました。1969年に上演されたブロードウェイ・コメディ『Butterflies Are Free』のタイトル曲のカヴァー(Stephen Schwartz)。タイトルの通り、自由に羽ばたきたくなるような1曲です。ジワジワと盛り上がってくるのもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=JQa-CRZBt6c

「Stay Off Your Frown」
Free Designらしいジャジーな雰囲気を楽しめます。Chris Dedrick作。

「Starlight」
オススメその4。Chris Dedrick作。4人の織り成すハーモニーの美しさを堪能できます。聴いていると夢心地に・・・
http://www.youtube.com/watch?v=363PkReusCM

「Time and Love」
オススメその5。Laura Nyroの人気曲カヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『New York Tendaberry』に収録されています。オリジナルの軽快な雰囲気を生かした爽快ハーモニーが心地好いですね。

「I'm a Yogi」
オススメその6。Chris Dedrick作。タイトルから想像できるようにシタール入りのサイケ調サウンドが印象的です。サウンドは怪しげでもコーラスは爽快です(笑)

「Raindrops Keep Fallin' On My Head」
オススメその7。映画『明日に向って撃て!』の挿入歌としてお馴染みB.J.Thomasによる全米No.1ヒット「雨にぬれても」のカヴァー(Hal David/Burt Bacharach作)。このカヴァーは聴かなくてもハマりすぎという気がしますよね。期待通りのドリーミー・カヴァーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=CrTezUsluQs

「Howdjadoo(Fly Me Down)」
Carole Bayer Sager/George Fischoff作品。明るく楽しげな雰囲気がいいですね。

「That's All People」
Chris Dedrick作。ラストはドラマチックに締め括ってくれます。

Free Designの過去記事もご参照下さい。
Free Designは永遠なり!

『Kites Are Fun』(1967年)
Kites Are Fun

『Heaven/Earth』(1969年)
ヘヴン・アース
posted by ez at 14:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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