発表年:2005年
ez的ジャンル:北欧クラブジャズ
気分は... :FCQ以上にグッときます...
今日はクラブジャズ・ファンを虜にするJukka Eskolaの1stソロ『Jukka Eskola』(2005年)です。
Jukka Eskolaは1978年フィンランド、エスポー生まれのジャズ・トランペット奏者。
Jukka Eskolaと言えば、北欧クラブジャズを代表するユニットThe Five Corners Quintet(FCQ)のメンバーとしてお馴染みですね。これまでFCQとして、『Chasin' the Jazz Gone By』(2005年)、『Hot Corner』(2008年)という2枚のスタジオ作をリリースしています。
またソロとして、『Jukka Eskola』(2005年)、『Hub Up』(2006年)、『Walkover』(2009年)という3枚のアルバムをリリースしています。
今日紹介する『Jukka Eskola』(2005年)はJukkaの1stアルバムであり、FCQの1st『Chasin' the Jazz Gone By』に先駆けてリリースされた作品です。
Tuomoも参加していたクロスオーヴァー・ユニットQuintessenceの『Talk Less Listen More』(2002年)、Jimi Tenorの『Higher Planes』(2003年)、『Beyond The Stars』(2004年)、Teddy Rok Seven『Universal Four』(2004年)といったフィンランドのジャズ/クロスオーヴァー作品への参加で知られるようになった、Jukkaの存在を強烈にアピールした1枚ですね。
名盤として評価の高いFCQ『Chasin' the Jazz Gone By』も悪くないですが、個人的には本作『Jukka Eskola』の方が聴く頻度は多いですね。
60年代ジャズ的なFCQ『Chasin' the Jazz Gone By』よりも、70年代クロスオーヴァー的な『Jukka Eskola』の方が僕の音楽嗜好にマッチしているようです。
レコーディング参加メンバーは、Jukka Eskola(tp、flh)、Timo Lassy (sax、fl)、Jukkis Uotila(p、el-p)、Antti Lotjonen(b)、Teppo Makynen(Teddy Rok)(ds、per、key)、Timo Hirvonen(el-b)というFCQメンバー+αの構成です。Teppo Makynenがプロデュースも務めています。
北欧クラブジャズ好きは勿論のこと、70年代ジャズファンク/クロスオーヴァー、エレクトリック・マイルス、レア・グルーヴ好きの人も楽しめる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Introduction」
声ネタのコラージュで気鋭のトランペッターJukka Eskolaを紹介するオープニング。アングラ・ジャジーHip-Hop作品を聴いている気分です。
「1974」
本作のハイライト。アルバムに先駆けて先行シングルとしてリリース(C/W「Buttercup」)された人気曲。Jukkis Uotilaのフェンダーローズの音色が心地好いブラジリアン・グルーヴ。Jukkaのフリューゲルホーンの円やかな響きにグッときます。タイトルの通り、1974年あたりのジャズ・ファンク/クロスオーヴァーへのオマージュといったところでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=xGbNs1hn2Uw
「Kulo」
ファンキーながらもエレガントな佇まいが香ります。60年代ジャズロック調ですが、フェンダーローズの音色やリズムが21世紀北欧ジャズといった感じです。
「Go Time」
エレクトリック・マイルス時代のMiles Davisを彷彿させます。このクールネスがたまりません。あっという間に終わってしまうので、長尺で聴きたいですね。そこが狙いなのでしょうが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=Ux9y8v1xd08
「Buttercup」
この曲も人気!前述のように「1974」とのカップリングでシングルにもなりました。JukkaのアイドルであるFreddie Hubbardの「Little Sunflower」(Al Jarreauのヴォーカル入り)を想起させる演奏という形容されるブラジリアン・グルーヴです。序盤のメロウな雰囲気は確かに「Little Sunflower」風です。「Little Sunflower」云々に関係なく21世紀クラブジャズらしいモーダルな疾走感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=j4c1WCCtpak
Freddie Hubbard「Little Sunflower」
http://www.youtube.com/watch?v=VATGrV0396s
「Timber Up」
Sky High ProductionやRoy Ayersが好きな人にはグッとくる1曲。ファンキーなリズム隊とJukkaとTimoのホーン隊の絡みがイイ感じです。Roy Ayers「Everybody Loves The Sunshine」風のフレーズにニンマリです。
「Selim」
Milesを逆から読んだタイトルの通り、エレクトリック・マイルス風の仕上がり。以前に紹介したJohnny Lytle「Selim」とは同名異曲です。「Go Time」同様あっという間に終わってしまいます。もっと聴きたぁ〜い!
http://www.youtube.com/watch?v=aXqJkrBJh80
「Duudamdej」
ライナーノーツに書いてあるように、Fela Kuti風アフロ・ジャズでスタートし、中盤以降はブロークンビーツ風の展開となります。本曲のみTimo Hirvonenがエレクトリック・ベースで参加し、ブンブンとベースを響かせています。本作が単に70年代ジャズ/フュージョンへのオマージュ作品ではないことを証明してくれる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=QjVxjNgSjQU
「Last Breath」
実に気の利いたジャズ・ファンク・チューン。上手く説明できませんが、実に洗練されたジャズ・ファンクです。Jukkaのフリューゲルホーンの音色にもかなりグッときます。
国内盤にはボーナス・トラックとして「Kulo」のスタジオライブ(take 4)が収録されています。
未聴の方は他のJukka Eskola作品やFCQ作品もチェックしてみて下さい。
『Hub Up』(2006年)
『Walkover』(2009年)
The Five Corners Quintet 『Chasin' the Jazz Gone By』(2005年)
The Five Corners Quintet 『Hot Corner』(2008年)