2010年11月30日

Stephen Duffy『Because We Love You』

R&BテイストのダンサブルなUKポップ☆Stephen Duffy『Because We Love You』
Because We Love You
発表年:1986年
ez的ジャンル:イケメン系ダンサブルUKポップ
気分は... :ビジュアルで侮るなかれ!

今回は"Duran Duranになり損ねた男"Stephen Duffyの2ndアルバム『Because We Love You』(1986年)です。

Stephen Duffyは1960年イギリス、バーミング生まれのシンガー/ソングライター/マルチ奏者。

地元の美術学校でJohn Taylor、Nick Rhodesと共にDuran Duranの前身となるグループを結成。しかし、Duffyは音楽性の違いからグループを脱退してしまいます。

その後、Tin Tin名義で「Kiss Me」をレコーディングし、ダンス・チャートでヒットします。その後Stephen "Tin Tin" Duffyとして再デビューします。そして、1985年に再レコーディングした「Kiss Me」がUKシングル・チャート第4位の大ヒットとなり、Stephen Duffyの名が注目を浴びるようになります。

「Kiss Me」
http://www.youtube.com/watch?v=XSv3kSK41Oo

その勢いに乗り、1stアルバム『The Ups and Downs』(1985年)、2ndアルバム『Because We Love You』(1986年)をリリースしますが、思ったほどの商業的成功を収めることはできませんでした。また、この時期はソロと並行して、元PigbagのRoger FreemanとのユニットDr. Calculusとしても活動し、アルバム『Designer Beatnik』(1986年)をリリースしています。

結局、「Kiss Me」以外は不発に終わったダンサブル・ポップ・チューン路線に見切りをつけたDuffyは、アコースティック・ユニットThe Lilac Timeを結成し、『The Lilac Time』(1988年)、『Paradise Circus』(1989年)、『And Love for All』(1980年)、『Astronauts』(1991年)といったアルバムを残しています。

その後はソロ活動やMe Me MeThe Devils(Nick Rhodesとのユニット)といったユニットで作品をリリースしています。

僕の場合、Stephen Duffyの名は「Kiss Me」の頃から気になっていましたが、実際に作品を購入するようになったのはThe Lilac Time時代になってからです。そこから後追いで『The Ups and Downs』『Because We Love You』を購入しました。

Duffyのソロ作品の中で評価が高いのが、2nd『Because We Love You』ですね。「Kiss Me」のような大ヒットはありませんが、アルバム全体の完成度は高いと思います。プロデュースはDuffy自身とStephen Street、Guy Prattが務めています。ソングライティングも全てDuffy自身が手掛けています。

全体としてはR&Bテイストを巧みに取り入れたダンサブルなUKポップ作品に仕上がっています。

Duffyの歌は決して上手いわけではありませんが、ダンサブル・サウンドにマッチする雰囲気のあるヴォーカルを聴かせてくれます。また、曲作りとアレンジ・センスが抜群ですね。

初期作品はイケメン男性シンガーというイメージが強いDuffyですが、トータルなミュージシャンDuffyを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Something Special」
オススメその1。オープニングはSandiiとのデュエットによるダンサブルなポップ・チューン。Sandiiとは日本が誇る人気グループ、サンディー&ザ・サンセッツのアノSandiiさんです。二人のセクシー・ヴォーカルとエレガントなアレンジが80年代らしくて大好きです!アルバムで一番のお気に入り!
http://www.youtube.com/watch?v=XXRjb76zL9k ※12"ヴァージョン

「A Lot Of Ink」
オススメその2。ダンサブル&セクシーなミッド・グルーヴ。やりすぎないアレンジ・センスが抜群ですね。哀愁モードのアコーディオンもいいアクセントになっています。

「Sunday Sumplement」
Duffyが単なるポップ・スターではないことを実感できるワルツ調のジャジー・チューン。なかなか心憎い出来栄えです。

「Why Shouldn't I?」
序盤が哀愁ポップですが、中盤以降はダンサブルな展開へ・・・ブラジリアン・フレイヴァーな隠し味がグッド!

「Unkiss That Kiss」
オススメその3。シングルにもなったダンサブルなエレポップ・チューン。抑えた雰囲気の大人のエレポップ感がサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=TQtrK2V-ABE

「I Love You」
オススメその4。この曲もシングルになりました。アルバムで最もポップで華やかな仕上がりの1曲。この儚いポップさが80年代ですね!
http://www.youtube.com/watch?v=qO06T5eoRPs

「When You Go To Bed」
美しくも切ないメロディにグッとくる1曲。ストリングスが盛り上げてくれます。

「Love Station」
オススメその5。「Unkiss That Kiss」、「I Love You」がお好きな人ならば気に入るであろうダンサブルなポップ・チューン。エヴァーグリーン感のあるメロディ&アレンジが魅力です。
http://www.youtube.com/watch?v=v1ztcnUwn5g

「We'll Never Argue」
オススメその6。ブルーアイド・ソウル色の強いダンサブル・チューン。ソウルフルな女性コーラス隊との絡みがサイコー!

「Julie Christie」
ラストはThe Lilac Timeを予感させるアコースティック・テイストのバラード。タイトルの通り、『Darling』、『Doctor Zhivago』(共に1965年)等への出演で知られる英国出身の女優Julie Christieについて歌ったものです。
http://www.youtube.com/watch?v=KrAaxu5T9DA

Stephen Duffy他のソロ作やThe Lilac Timeの作品もどうぞ!

『The Ups and Downs』(1985年)
The Up's & Down's

『Duffy』(1993年)
Duffy

『Music in Colours』(1995年)
Music in Colours

『I Love My Friends』(1998年)
I Love My Friends

The Lilac Time『The Lilac Time』(1988年)
Lilac Time

The Lilac Time『Paradise Circus』(1989年)
Paradise Circus

The Lilac Time『And Love for All』(1990年)
And Love for All

The Lilac Time『Astronauts』(1991年)
アストロノーツ
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2010年11月28日

Cee Lo Green『The Lady Killer』

巨漢ソウル・マシーンによる6年ぶりのソロ・アルバム☆Cee Lo Green『The Lady Killer』
Lady Killer
発表年:2010年
ez的ジャンル:レトロ・ソウル系個性派R&B
気分は... :ソウル・マシーンはさらに高性能!

Cee Lo Greenの6年ぶりのソロ・アルバム『The Lady Killer』です。

DJ Danger MouseとのユニットGnarls Barkleyとしてもアルバムをリリースしていたので久々という気にはなりませんでしたが、ソロは6年ぶりなんですねぇ!

これまで当ブログでは2ndソロ『Cee-Lo Green... Is The Soul Machine』(2004年)とGnarls Barkleyの2nd『The Odd Couple』(2008年)を紹介済みです。

本作『The Lady Killer』は、『Cee-Lo Green and His Perfect Imperfections』(2002年)、『Cee-Lo Green... Is The Soul Machine』(2004年)に続く3rdソロ・アルバムとなります。

前作『Cee-Lo Green... Is The Soul Machine』の頃はヴォーカルもなかなかイケる巨漢ラッパーというイメージでしたが、今ではすっかりソウル・シンガーCee Lo Greenという感じですね。

Gnarls Barkley『The Odd Couple』でもサイケデリックなレトロ・ソウルを聴かせてくれたCee Loですが、本作でも60年代テイストのレトロ&ポップなソウル・ワールドを展開しています。

Cee Loのクセのあるハイ・トーン・ヴォーカルは、不思議とレトロなポップ/ソウル・サウンドとマッチします。また、バックがどのようなサウンドであろうと、彼のヴォーカルが聴こえてきた途端に濃厚なCee Loワールドになってしまうところがスゴイですね!

プロデューサーには、今最も旬な男Bruno Marsらのプロデュース・チームThe Smeezingtonsをはじめ、Fraser T. Smith、Salaam Remi等が起用されています。

先行シングル「F**k You」はUKシングル・チャートNo.1に輝いています。

Cee Loの毒気のあるヴォーカルはハマると中毒性がありますよ!

全曲を紹介しときやす。

「The Lady Killer Theme (Intro) 」
アルバムのイントロ。勿体振った大袈裟な雰囲気がCee Loらしいのでは?

「Bright Lights Bigger City」
パワフルなソウル・チューン。生音リズム隊と上モノのエレクトロ・サウンド、さらにはストリングスが絡み、Cee Loのクセのあるヴォーカルに負けないスケール感の大きな音世界を展開します。Ben H. Allen/Graham Marshプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=UBhdIcb84Hw

「F**k You」
アルバムからの先行シングル。USチャート第9位、UKチャート第1位の大ヒットとなっています。Bruno Marsらのプロデュース・チームThe Smeezingtonsがプロデュースしていることも話題ですね。ノーザン・ソウル風のポップな仕上がりはBruno Marsにもつながるものがあります。ただし、タイトルがお下劣なので、インターナショナル盤にはより健全なタイトルの「Forget You」が収録されています。
http://www.youtube.com/watch?v=pc0mxOXbWIU

「Wildflower」
テンポの良いエヴァーグリーンな哀愁ポップに仕上がっています。よく思いますが、Cee Loのクセのあるヴォーカルはエヴァーグリーンなメロディ&サウンドとよくマッチします!Tinchy Stryder、Taio Cruz、Craig David等の作品を手掛けているFraser T. Smithがプロデュースしています。
http://www.youtube.com/watch?v=3UwFRbJ0P_g

「Bodies」
シブめのソウル・チューン。淡々とした中にも鋭さを感じます。FugeesNas、Amy Winehouse等の作品でお馴染みの敏腕プロデューサーSalaam Remiプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=QiZey6e9C_k

「Love Gun」
この曲もSalaam Remiがプロデュースに関与しています。Lauren Bennettのセクシー女声ヴォーカルをフィーチャーしています。パンチの効いたレトロ・テイストの仕上がりです。Amy Winehouseあたりが歌ってもマッチしそうな雰囲気ですな。
http://www.youtube.com/watch?v=ECkoddKjRso

「Satisfied」
いつも以上にハイ・トーンなCee Loのヴォーカルを聴くことができるエヴァーグリーンなポップ・チューン。Fraser T. Smith/Rick Nowelsプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=PxZq-lwrsLQ

「I Want You」
美しいメロディとエレガントなアレンジが印象的です。Cee Loのヴォーカルも少し抑え気味でそれがグッときます。Fraser T. Smith/Jack Splashプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=makxfxA_DGY

「Cry Baby」
軽やかでポップな曲調とCee Loのクセのあるソウルフル・ヴォーカルの相性はバッチリです。Fraser T. Smith/Rick Nowelsプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=iSDknLMfrbk

「Fool For You」
Earth,Wind & FirePhilip Baileyをフィーチャー。レトロ・モードのソウル・チューンに仕上がっています。同じハイ・トーン・ヴォーカルでもCee LoとBaileyでは対照的ですね。Jack Splashプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=TgRplZMRJvI

「It's OK」
アルバムからの2ndシングル。この曲にもエヴァーグリーンな魅力が詰まっています。キラキラとしたレトロ感がたまりませんな!The SmeezingtonsのPhilip Lawrenceがバック・ヴォーカルで参加しています。Element/Paul Epworthプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=cYjC75pmWIk

「Old Fashioned」
タイトル通りオールド・ファッションなソウル・バラード。ソウル・ヴォーカリストCee Loの魅力を堪能できる1曲に仕上がっています。Alan Nglish/Salaam Remiプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=gUAuZ2qWvsk

「No One's Gonna Love You」
ロック・バンドBand Of Horsesのカヴァー。このあたりのセレクトは面白いですね。フォーキーな味わいのオリジナルに対して、本ヴァージョンはストリングス・アレンジが素晴らしい哀愁ソウルに仕上がっています。Paul Epworthプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=SzAof7HjaxU

Band Of Horses「No One's Gonna Love You」
 http://www.youtube.com/watch?v=cuZo7pLnL7c

「The Lady Killer Theme (Outro) 」
ロッキンなアウトロでアルバムは幕を閉じます。

国内盤には「Georgia」「Grand Canyon」という2曲のボーナス・トラックが追加収録されています。

Cee LoGnarls Barkleyの過去作品もチェックを!

『Cee-Lo Green and His Perfect Imperfections』(2002年)
Cee-Lo Green & His Perfect Imperfections

『Cee-Lo Green... Is The Soul Machine』(2004年)
Cee-Lo Green... Is the Soul Machine

Gnarls Barkley『St. Elsewhere』(2006年)
St Elsewhere

Gnarls Barkley『The Odd Couple』(2008年)
The Odd Couple
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2010年11月27日

Arthur Verocai『Arthur Verocai』

優れたアレンジ・センスとエクスペリメンタルなポップ感覚に魅了されるブラジル音楽☆Arthur Verocai『Arthur Verocai』
ARTHUR VEROCAI
発表年:1972年
ez的ジャンル:至極のアレンジ系ブラジル音楽
気分は... :過ちだとしても・・・

今回はArthur Verocai『Arthur Verocai』(1972年)です。
今の時期にピッタリのジャケですね!

Arthur Verocaiは1945年ブラジル、リオ・デ・ジャネイロ生まれのシンガー・ソングライター/ギタリスト/アレンジャー/プロデューサー。

60年代後半からソングライター/ギタリスト/アレンジャーとして活躍するようになり、Ivan Linsをはじめ、Elis ReginaJorge BenGal Costa等の作品を手掛けています。また、1972年には今回紹介する自身の1stアルバム『Arthur Verocai』をリリースしています。

70年代半ば以降は音楽シーンの第一線とは距離を置いていたVerocaiですが、90年代に入るとDJを中心に再評価が高まり、俄かにArthur Verocaiの名や1stアルバム『Arthur Verocai』が注目を集めるようになります。遂には2002年に30年ぶりの2ndアルバム『Saudade Demais』をリリースしました。さらに2007年に3rdアルバム『Encore』をリリースしています。

当ブログで紹介した作品で言えば、2008年のマイ・ベスト10にも選んだSabrina Malheiros『New Morning』では約半分の楽曲のアレンジをVerocaiが担当しています。

さて、本作『Arthur Verocai』は、前述の通り今日では名盤として評価の高い1枚です。Verocaiの創り出すスケール感の大きな音世界と素晴らしいアレンジ・センスに魅了されます。また、屈折したエクスペリメンタルなポップ感覚も僕好みです。

レコーディングにはToninho Horta(vo)、Paulo Moura(s)、Oberdan(fl)、Luiz Carlos(vo)等が参加しています。

彼にしか生み出すことのできない独特の音世界を堪能あれ!

全曲を紹介しときやす。

「Caboclo」
哀愁ヴォーカルがグッとくるバラード。美しさの中に唐突にコズミックなテイストが混じってくるあたりが面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=pzUn6Ey4zro

「Pelas Sombras」
オススメその1。僕の一番のお気に入り。Luiz Carlosがボーカルをとるフリー・ソウル的なメロウ・グルーヴ。心地好いエレピの音色、ホーン&ストリングスが絡むエレガントなアレンジはさすがVerocaiですね。
http://www.youtube.com/watch?v=klCUuM321IU

「Sylvia」
オススメその2。DJ諸氏に人気のオーガニックなインスト・チューン。フォーキー感覚の中にも雄大なスケール感があっていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=j535pdeL80A

「Presente Grego」
オススメその3。「Pelas Sombras」と並ぶ僕のお気に入り。開放的な中にも緻密なアレンジ・センスが光るメロウ・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=PAAFzOUYgc0

「Dedicada A Ela」
淡々とした曲調ながらも美しいアレンジに魅了される1曲。寒空の中を歩きながら聴きたい気分の曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=8U9o2jQiRXw

「Seriado」
Celiaの素晴らしい女声ヴォーカルを堪能できる1曲。情熱的な雰囲気がアルバムのアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=1ZI7wt5V61g

「Na Boca Do Sol」
オススメその4。ブラジル音楽らしい哀愁のメロディにグッときます。印象的なイントロはMF Doom「Orris Root Powder」でサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=8zPRXKXFbro

「Velho Parente」
美しいメロディとスケールの大きなホーン・アレンジがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=m83hbVAjYvw

「O Mapa」
オススメその5。エレガントなストリングス・アレンジに魅了されるボッサ・チューン。

「Karina」
ラストはコズミックなインスト。いきなりのフリージャズ的な演奏に驚かされますがなかなか楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=ReznkwoFmhc

興味のある方は、『Saudade Demais』(2002年)、『Encore』(2007年)もチェックしてみて下さい。特に『Encore』はオススメです。

『Saudade Demais』(2002年)
胸いっぱいのサウダージ

『Encore』(2007年)
Encore
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2010年11月26日

Riff『Riff』

美メロ・スロウのオンパレード!初々しいデビュー作☆Riff『Riff』
Riff
発表年:1991年
ez的ジャンル:NJS系男性R&Bグループ
気分は... :ミポリン大好き...

一昨日からWOWOWで中山美穂の主演映画『東京日和』『Love Letter』『サヨナライツカ』を3夜連続で放送していますね。

ミポリン大好きの僕にとって、一昨夜の『東京日和』、昨夜の『Love Letter』は特にお気に入りの2本であり、二夜連続で幸せモードの夜を過ごしています。その影響でここ数日ミポリンのCDをよく聴いています。思わずミポリン作品をエントリーしそうな勢いです(笑)

そんな流れで今はスウィートなR&Bを聴きたい気分です。
そこでセレクトしたのが、ニュージャージー出身の男性R&BグループRiffのデビュー・アルバム『Riff』(1991年)です。

Kenny Kelly、Anthony Fuller、Dwayne Jones、Steven Capers、Michael Bestの5人組Riffの紹介は、2nd『To Whom It May Concern』(1993年)に続き2回目となります。

以前のエントリーでも書きましたが、90年代前半における期待の男性R&BグループがJodeciWhistleRiffの3組でした。

今日紹介するRiffのデビュー・アルバム『Riff』は、スウィートなスロウ〜ミディアムにグッとくる1枚です。2nd『To Whom It May Concern』はストリート色も打ち出してきましが、NJSしている本作はデビュー・アルバムらしい初々しさが好印象です。

本作からは、「My Heart Is Failing」(全米R&Bチャート第6位)、「If You're Serious」(全米R&Bチャート第7位)といったシングル・ヒットも生まれています。

プロデューサーの中にはベテランのプロデューサー/ソングライターDennis Lambertの名もあります。

アルバムの半数以上がオーソドックスな美メロ・スロウですが、単調になることなく全く飽きさせません。オーソドックスだからこそ年月を経て聴いても新鮮に聴けるのかもしれませんね。

スウィートな美メロ・スロウがお好きな方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Everytime My Heart Beats」
オススメその1。オープニングはアルバムからの3rdシングル。初々しいダンス・チューンに仕上がっています。いかにも90年代初めなPVもグッときますね!親しみやすいメロディも日本人向けなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=ELiP5hfpLRQ

「My Heart Is Failing Me」
オススメその2。全米R&Bチャート第6位、全米チャート第25位となったヒット・シングル。スウィートなメロディ&コーラスにグッとくるハートフルなスロウ・チューン。聴いていると、甘く切ない若き日の思い出が次々と甦ってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=eZf_-hKVzoY

「All Or Nothing」
この時代らしいタイトなリズムが印象的なアップ・チューン。イントロのプッシュ音も時代を感じさせますね(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=bOghpfb2Ztw

「If You're Serious」
オススメその3。2ndシングルとして全米R&Bチャート第7位のヒットとなりました。切なくも優しいメロディが心に沁みる美メロ・スロウ。Riffの魅力が凝縮された名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=F19ur08urcQ

「I Can't Believe We Just Met」
ハイ・トーンのヴォーカル&コーラスがマッチするバラード。このオーソドックスさがRiffの魅力ですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=_y1dvx3XT9s

「Baby It's Wonderful」
オススメその4。スロウ三連発の止めを刺す1曲。「If You're Serious」と並ぶ僕のお気に入り曲。初々しいヴォーカル&コーラスとスウィートなメロディに魅了されます。聴いているだけで心が温かくなるビューティフル・スロウです。
http://www.youtube.com/watch?v=9XwviT0CBug

「Temporary Insanity」
メンバーの5人の持ち味が堪能できるミッド・グルーヴ。打ち込みがこの時代らしいですが、なかなかグッとくるサウンド・プロダクションです。
http://www.youtube.com/watch?v=Pzx4m-OX7gM

「Little Girls」
オススメその5。彼らの初々しいコーラスの魅力が全開したスロウ。聴いているだけで胸がときめいてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=1AiOGAXvI1Y

「Read My Eyes」
オススメその6。これでもかと畳み掛けるビューティフル・スロウ!これだけスロウのオンパレードにも関わらず、全く飽きがこないのが彼らの凄いところかもしれません。

「April's Fool」
ラストはNJSモードで締め括ります。
http://www.youtube.com/watch?v=YkkGGzQZOvc

『To Whom It May Concern』(1993年)
To Whom It May Concern
posted by ez at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月25日

Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinity『Open』

スウィンギン・ロンドンなデビュー・アルバム☆Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinity『Open』
Open
発表年:1967年
ez的ジャンル:スウィンギン・ロンドン系オルガン・ロック
気分は... :僕はこのジャケが好き!

今回はJulie Driscoll, Brian Auger & The Trinity『Open』(1967年)です。

60年代後半の"スウィンギン・ロンドン"時代のファッション・リーダー的存在であった女性シンガーJulie Driscollとハモンド・オルガンを中心としたグルーヴィーなジャズ・ロックで人気を博したBrian Auger & The Trinityの共演第一弾アルバムです。

これまで当ブログで紹介したBrian Auger関連作品は以下の5枚です(発売年順)。

Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinity
 『Streetnoise』(1969年)
Brian Auger's Oblivion Express
 『Second Wind』(1972年)
 『Closer to It!』(1973年)
 『Straight Ahead』(1975年)
 『Reinforcements』(1975年)

Julie DriscollBrian Auger & The Trinity共にそれまで何枚かのシングルはリリースしていましたが、アルバム・リリースは本作『Open』が初めてとなります。

Julie DriscollBrian Augerは幻のスーパー・グループThe Steampacketで活動を共にしており、その流れで再編成されたBrian Auger & The Trinityとの共演が実現しました。

The Steampacketは、既に実績を重ねていたブルース・シンガーLong John Baldry(vo)をリーダー格に、スーパースターになる前のRod Stewart(vo)、Julie Driscoll(vo)、Brian Auger(org)、当時のThe TrinityのメンバーであったMicky Waller(ds)とRicky Brown(b)、後にEric Burdon & The Animalsに参加するVictor Briggs(g)というメンバーによるスーパー・ユニットでした。しかしながら、各メンバーが異なるレコード会社とソロ契約していたため、それが活動の障害となり約一年ほど活動した後に解散しています。

さて、本作『Open』ですが、構成としてはオリジナルLPのA面がBrian Auger & The Trinityのみのインスト中心のジャズ・ロック色の強いパート、B面がJulie Driscollも加わったR&B/ソウル色の強いパートとなっています。

本作におけるThe Trinityのメンバーは、Brian Auger(key、vo)、David Ambrose(b)、Clive Thacker(ds)、Gary Boyle(g)という編成です。

内容としては、60年代後半の"スウィンギン・ロンドン"時代を象徴するモッドで、グルーヴィーで、ソウルフルで、サイケな1枚に仕上がっています。収録されている4曲のカヴァーが、Wes Montgomery、Lowell Fulsom、The Staple Singers、Donovanというあたりがアルバムの雰囲気を象徴していると思います。

本作は発売国ごとに異なるジャケがいくつか存在しますね。
僕が保有しているのはUS盤であり、そちらは上記のようなジャケです。個人的には見慣れているこのジャケが一番しっくりきます。

オリジナルUK盤ジャケはこんな感じです。

『Open』 ※オリジナルUK盤ジャケ
Open

他にもフランス盤、ドイツ盤は異なるジャケだったようです。

プロデュースは悪名高き(?)敏腕マネージャーGiorgio Gomelsky。Richard Hillがアレンジを担当しています。GomelskyのMarmaladeレーベルから発売されました。

また、本作と同時にシングル「Save Me」Aretha Franklinのカヴァー)をリリースしていますので、併せてチェックしてみて下さい。

「Save Me」
http://www.youtube.com/watch?v=sl8coZUKCtM

モッド・ジャズ、R&B/ソウル、ロック、サイケの要素を取り入れたスウィンギン・ロンドンらしい1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「In And Out」
オープニングはWes Montgomeryのカヴァー。Gary BoyleのギターとAugerのハモンドが絡む小粋なモッド・ジャズに仕上がっています。

「Isola Natale」
オススメその1。軽くラテン・フレイヴァーの効いたモッドなオルガン・ジャズに仕上がっています。ここでもGary Boyleのギターがいい味出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=gp5_9y0zg18

「Black Cat」
オススメその2。今日的には本作のキラー・チューンです。Augerのヴォーカルが入ったグルーヴィーなオルガン・ロックです。オルガン・グルーヴ好きにはたまらん格好良さですね。The Spencer Davis Group「I'm a Man」あたりとセット聴きたい1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bT8tsDclHzU

「Lament For Miss Baker」
美しいAugerのピアノを堪能できるリリカルなインスト。
http://www.youtube.com/watch?v=6p-eqg10pdc

「Goodbye Jungle Telegraph」
エスニック・モードのパーカッシヴ感が印象的な1曲。実に摩訶不思議なムードを持った演奏です。

ここまでがオリジナルLPのA面です。

「Tramp」
オススメその3。ここからJulie Driscoll参加です。本曲はLowell Fulsomのカヴァー。Otis Reddingのヒットなどでもお馴染みの曲ですね。Julieのソウルフルなヴォーカルを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=D1-iIiEq20Y

「Why (Am I Treated So Bad)」
The Staple Singersのカヴァー。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、本作らしいオルガン・グルーヴに仕上がっています。それにしてもJulieはビジュアルからは想像できないほどソウルフルなヴォーカルを聴かせてくれますね。

「A Kind Of Love In」
オススメその4。全英チャート第5位となったシングル「This Wheel's On Fire」(アルバム未収録)のB面曲にもなりました。アルバム中最もポップな仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=8SRBVbxtaXY

シングル「This Wheel's On Fire」は当ブログでも紹介したBob Dylan/Rick Danko作の名曲カヴァーです。作者ヴァージョンはThe Band『Music From Big Pink』Bob Dylan & The Band『The Basement Tapes』で聴くことができます。そんな名曲をサイケ・モードで聴かせてしまうのが、Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinityらしいですね。

「This Wheel's On Fire」
http://www.youtube.com/watch?v=c7sQvBkcJdY

「Break It Up」
オススメその5。「Black Cat」と並ぶキラー・チューン。個人的には一番のお気に入り!パンチの効いたグルーヴィーなR&Bチューンに仕上がっています。Julieのヴォーカルが最高!ここでのAugerはオルガンではなくピアノで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=77Ee1FCJ1vg

「Season Of The Witch」
ラストはDonovanのサイケ名曲をカヴァー。最後にサイケを持ってくるあたりが"スウィンギン・ロンドン"時代らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Sv338_POnC0

Brian Auger関連の過去記事もご参照下さい。

Julie Driscoll,Brian Auger & The Trinity『Streetnoise』(1969年)
Streetnoise

Brian Auger's Oblivion Express『Second Wind』(1972年)
Second Wind

Brian Auger's Oblivion Express『Closer to It!』(1973年)
Closer to It (Dlx)

Brian Auger's Oblivion Express『Straight Ahead』(1975年)
ストレイト・アヘッド(紙ジャケット仕様)

Brian Auger's Oblivion Express『Reinforcements』(1975年)
Reinforcements
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