2010年11月24日

Louisa Bey『Blue Thoughts』

パリのジャズ・カフェ気分のフレンチ・ジャズ・ヴォーカル☆Louisa Bey『Blue Thoughts』
ブルー・ソウツ
発表年:2006年
ez的ジャンル:フレンチ女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :ブルーな想い

今日は秋冬らしいジャズ・アルバムを聴きたい気分・・・

そこでセレクトしたのはLouisa Bey『Blue Thoughts』(2006年)です。

Louisa Beyはフランス人女性ジャズ・ヴォーカリスト。大学で法律を学び、その後3年間ほど一般の仕事に従事してから2002年よりシンガーの道を志すようになります。

2003年頃からステージに立つようになり、イタリア人ジャズ・ピアニストNico Morelliにもその才能を認められるようになります。そして、2006年に1stアルバム『Blue Thoughts』をリリース。2009年には2ndアルバム『Turning Me Jazz』をリリースしています。

今日紹介するデビュー作『Blue Thoughts』(2006年)はタイトル、ジャケ共に秋冬らしい感じが気に入っています。

内容も秋冬らしいアンニュイな女性ジャズ・ヴォーカル作品に仕上がっています。時に切なく、時に優しく、時に力強くとアルバム全編を通して、Louisaの素晴らしい表現力に魅了されます。

レコーディング・メンバーを眺めると、Louisa Bey(vo)、Alexandre Saada(p)、Jean-Daniel Botta(b)、Laurent Series(ds)の4名がLouisa Bey Groupのメンバーとしてクレジットされています。それ以外にXavier Desandre-Navarre(per)、Olivier Louvel(g)、Nico Morelli(p)がゲスト参加しています。特にOlivier Louvelのアルバムへの貢献が大きいですね。

全12曲、2曲のスタンダード・カヴァーとThe Policeのカヴァー以外はLouisaのオリジナルです。女性ジャズ・ヴォーカルらしいスタンダード然とした楽曲、優しさに包まれた楽曲、女性シンガー・ソングライター風の楽曲、パリらしい無国籍風の楽曲などがバランス良く配されています。

話題となった作品ではありませんが、聴けば聴くほど味わい深くなる1枚です。
パリのジャズ・カフェ気分を満喫できるフレンチ・ジャズ・ヴォーカルを堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Tell Me」
オススメその1。オープニングは透明感溢れるワルツ調の1曲。Joni MitchellRickie Lee Jonesあたりに通じるシンガー・ソングライター的な佇まいを感じさせる曲ですね。時に穏やかに、時に力強く歌うLouisaのヴォーカルが印象的です。中盤のAlexandre Saadaのピアノも素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qv6DzVmw0r8

「Blue Thoughts」
オススメその2。タイトル曲はちょっぴり切ないミディアム・スロウ。デビュー当時のNorah Jonesが好きな人なんかはグッとくるのでは?

「The Red Virgo」
Olivier Louvelのギターが印象的な哀愁チューン。ヨーロピアンな哀愁感が今の季節にピッタリです。Louisaの表現力の素晴らしさを実感できます。

「In A Sentimental Mood」
Duke Ellington作のスタンダードのカヴァー(1935年作)。このスタンダードをミステリアスな雰囲気のカヴァーに仕上げています。

「Roxanne」
オススメその3。The Policeのヒット曲のカヴァー(Sting作)。以前にブラジル人女性シンガーAlexia Bomtempoのカヴァーを紹介しましたが、意外に女性シンガーに人気がある曲なのでしょうか(笑)。まぁ、元々がパリの娼婦をモチーフにStingが書いた曲なので、それをフランス人女性シンガーが歌うというはハマるはずですが・・・。実際、Louisaの感情移入が素晴らしい絶品カヴァーに仕上がっています。

「Bye Bye Boy」
オススメその4。Jean-Daniel Bottaのベースを中心に小粋なバックの演奏にグッとくる1曲。パリのジャズ・カフェが似合いそうですね。

「My One And Only Love」
オススメその5。Robert Mellin/Guy Wood作のスタンダード(1952年作)。曲自体が笠井紀美子さんの『My One And Only Love』(1986年)を愛聴してきた影響で昔から大好きなので、個人的に嬉しいカヴァーですね。内容もスタンダード然とした正攻法のカヴァーに文句なしです。ゲスト参加のNico Morelliのピアノも絶品です。

「Humans Fall」
ブルー・モードの哀愁チューンに仕上がっています。愁いを帯びながらも熱い演奏を聴かせてくれるバックに惹かれます。

「Opened To The Unknown」
オススメその5。アルバムで一番のお気に入り。パーカッションが加わり、無国籍な魅力に溢れたジャジー・グルーヴに仕上がっています。この無国籍な雰囲気こそがパリらしいのかもしれませんが・・・

「Magic Spell」
オススメその6。キャッチーさで言えば、アルバム随一かもしれません。Olivier Louvelのギターがアクセントになった力強い演奏が印象的です。

「Vanished Melodies」
オススメその7。メロウな仕上がりにグッとくる1曲。優しいジャジー・ムードに包まれたい方にオススメ!

「Song In Blue」
オススメその8。ラストはOlivier LouvelのギターとLouisaのヴォーカルにうっとりしまくりです。まさに秋冬にジャスト・フィットする1曲ですよ。

ボーナス・トラックとして「Roxanne」の別ヴァージョンが収録されています。

昨年リリースされた2ndアルバム『Turning Me Jazz』には、Bob Dylan「Everything Is Broken」、Gil Scott-Heron「Pieces Of A Man」、Nick Drake「Saturday Sun」なども収録されています。

『Turning Me Jazz』(2009年)
Turning Me Jazz
「Everything Is Broken」
http://www.youtube.com/watch?v=ids1gBTsAZo
「Pieces Of A Man」
http://www.youtube.com/watch?v=i_bly1yZgWg
「Saturday Sun」
http://www.youtube.com/watch?v=EQ9HBTsM-kw
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2010年11月23日

The Brief Encounter『The Brief Encounter』

遂に実現した待望の世界初CD化☆The Brief Encounter『The Brief Encounter』
ザ・ブリーフ・エンカウンター [世界初CD化] [紙ジャケット仕様]
発表年:(多分)1977年頃
ez的ジャンル:激レア系ローカル・ソウル/ファンク
気分は... :待望のCD化!

今回は先月めでたく世界初CD化が実現したソウル・アルバムThe Brief Encounter『The Brief Encounter』です。

これまで激レア・アルバムとして市場価格25万円!なんて話もあった作品がお手頃価格でCD化され、多くのソウル・ファンの方が歓喜していることと思います。

僕の場合、彼らについて殆ど知りませんでしたが、とりあえず話題の1枚ということで購入したところ、噂通りの内容に思わずニンマリしているところです。

鈴木啓志氏のライナーノーツ等に基づき、彼らのプロフィールを簡単に整理すると、ノースカロライナ出身のBailey4兄弟を中心とする9人組ヴォーカル&インストゥルメンタル・グループのようです。5人組と表記しているサイトもありますが、ジャケに9名の姿が写っているのを観れば、9人組と考える方が自然ですよね。

グループは1970年前後に結成され、「I'm So Satisfied/Don't Let Them Tell You」(1972年)、「I'm Crazy About You/We're Gonna Make It」(1973年)、「Just A Little Notion/I'm So In Love With You」(1974年)、「What About Love/Get Right Down」(1976年)、「In A Very Special Way/Get A Good Feeling」(1977年)、「Total Satisfaction/Human」(1978年)といったシングルと、『The Brief Encounter』『We Want To Play』(1981年)という2枚のアルバムを残しています。

また、「I'm So Satisfied/Don't Let Them Tell You」、「I'm Crazy About You/We're Gonna Make It」、「Just A Little Notion/I'm So In Love With You」、「Total Satisfaction/Human」というシングル8曲は1988年に日本のP-Vineからリリースされた編集盤『Brief Encounter With Sweet Soul Music』に収録されています。特に「Human」が人気だったようですね。

「Human」
http://www.youtube.com/watch?v=5c3aiapqxlc

今回記事を書くに際して、よくわからないのが本作の発表年です。

多くのサイトに"1970年リリースの1stアルバム"と記載されていますが、おそらく1977年前後の作品ではないかと思います。明確な発表年には言及されていませんが、鈴木氏のライナーノーツにも1977年前後の作品であることが指摘されています。シングルにもなっている「In A Very Special Way/Get A Good Feeling」のリリースが1977年であることから考えても妥当だと思いますし、何より中身を聴けば1970年の音ではないと思います。

多くのサイトで"1970年リリース"としているのは、僕もよく参照する某有名サイト(アーティストのディスコグラフィーがDB化された便利サイトです)に本作のリリース年が1970年と記載されていることが影響しているように思います。

内容の方ですが、甘茶ソウル好き向けのスウィート・バラード満載のイメージがあったのですが、思った以上にファンキーなヴォーカル&インストゥルメンタル・グループという印象を受けました。個人的にはスウィートなバラードよりもファンクなアップ・チューンに惹かれましたね。

適度にポップなので濃すぎるソウルが苦手!といった人もスンナリ聴けるのでは?逆にそのあたりに物足りなさを感じるソウル好きの方もいるのかもしれませんが・・・

激レア盤の世界初CD化ということを抜きにしても、楽しめる1枚なのではと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Brief Encounter (Introduction) 」
オススメその1。グループ名をタイトルに冠したオープニング曲。グループのテーマ曲といった感じでしょうか。なかなか格好良いファンキー・チューンに仕上がっています。つかみはOK!
http://www.youtube.com/watch?v=P7xPup3rX_w

「Visions」
オーソドックスなスウィート・ソウル。それ程濃くないところで好き/嫌いが別れるのかもしれませんが、僕はこの位の濃さでも全然OKです。
http://www.youtube.com/watch?v=n0hpvdmsbjo

「Smile」
オススメその2。キャッチーなファンキー・グルーヴ。華やかなヴォーカルとファンキーなバックが一体となり、ヴォーカル&インストゥルメンタル・グループとしての魅力を堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=dn5ZesOQju0

「Just One Moment」
ホーン隊が活躍するファンキーチューン。ポップな聴きやすさもあっていいですね。

「Loving And Carin」
オススメその3。胸キュン度の高いスウィート・ソウルです。バリトンとファルセットのリード・ヴォーカルが絡み、コーラスもなかなかグッとくるヴォーカル・グループとしての実力を堪能できる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=Aodt7A0w9Oc

「In A Special Kind Of Way」
オススメその4。シングルにもなったスウィート・バラード。甘く切ないファルセット・ヴォーカルににグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=V3RiT5zq3po

「Good Thing, Bad Thing」
オススメその5。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。心地好いヴォーカル&リズムがドリーミー・モードへ誘ってくる極上メロウ・グルーヴ。ホーン隊もそんな気分も盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Nv6zCrYKh5Q

「Time Is Moving」
ファンク・グループとしてのBrief Encounterを堪能できるグルーヴィーなインスト・チューン。

「Get A Good Feeling」
オススメその6。「In A Special Kind Of Way」とのカップリングでシングルにもなった人気曲。ファンキーなアップ・チューンでは一番の完成度だと思います。ファンキーなリズム隊とホーン・リフ、ファルセット・コーラスが一体となって盛り上がります!
http://www.youtube.com/watch?v=oc6kkVVtWGo

「We're Gonna Have A Good Time」
オススメその7。ラストはEW&Fのようなポップさも兼ね備えたファンキー・グルーヴ。個人的にはこのポップな聴きやすさは大好きです。

2nd『We Want To Play』(1981年)もチェックしたいと思います。

『We Want To Play』(1981年)
ウィ・ウォント・トゥ・プレイ
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2010年11月22日

Paul Davis『Paul Davis』

心に沁みるAOR作品☆Paul Davis『Paul Davis』
Paul Davis
発表年:1980年
ez的ジャンル:パステル系AOR
気分は... :パステル・メッセージ!

今回は2008年に惜しくも亡くなったシンガー・ソングライターPaul Davisが1980年にリリースした『Paul Davis』です。『パステル・メッセージ』という邦題の方がお馴染みかもしれませんね。

Paul Davis(1948-2008年)はミシシッピ州生まれ。60年代後半にセッション・ミュージシャンとして活動するようになり、1970年にシングル「Mississippi River」でデビュー。それに続くシングル「A Little Bit of Soap」(The Jarmelsの1961年のヒット曲のカヴァー)が全米チャート第52位のヒットとなっています。同じ1970年にデビュー・アルバム『A Little Bit of Paul Davi』をリリースしています。

その後、『Paul Davis』(1974年)、『Ride 'Em Cowboy』(1975年)、『Southern Tracks And Fantasies』(1976年)といったアルバムをリリースしています。

そして、1977年にリリースした『Singer of Songs-Teller of Tales』からシングル・カットされた「I Go Crazy」が全米チャート第7位のヒットとなり、Paul Davisの名が広く知られるようになりました。

その後、『Paul Davis』(1980年)、『Cool Night』(1981年)とったアルバムをリリースし、『Cool Night』からは「Cool Night」(全米チャート第11位)、「'65 Love Affair」(全米チャート第6位)という2曲のヒットが生まれました。

その後は目立った活動を聞かなくなりましたが、カントリー方面などで活動していたようです。2008年に心臓発作により死去。享年60歳でした。

やはり、映画『なんとなくクリスタル』のサントラにも収録されていた「I Go Crazy」「Cool Night」「'65 Love Affair」といったシングル・ヒットの印象から"クリスタルなAOR"といったイメージの強い人ですよね。本人の風貌はどう見てもカントリー&ウエスタンみたいな感じですが(笑)

「I Go Crazy」が収録されたアルバム『Singer of Songs-Teller of Tales』にしても、『アイ・ゴー・クレイジー』と題された花のイラストでクリスタル・モードな国内盤(1981年発売)のイメージが強く、オリジナル・ジャケがPaul自身のうっとおしい姿のものであると知ったのはかなり後のことでした。

当時、「I Go Crazy」はTop40に40週チャート・インしていた楽曲としても知られていましたね。確か、その記録を抜いたのはSoft Cell「Tainted Love」だったと記憶していますが・・・

さて、今日紹介する『Paul Davis』(1980年)ですが、『Singer of Songs-Teller of Tales』『Cool Night』の間に挟まれて、地味な存在のアルバムかもしれませんが、アルバム全体の完成度ではPaul Davis作品中でも一、二位を争う出来栄えなのでは?

目立ったシングル・ヒットはありませんが、彼のカントリーやソウルからも影響を受けた温かみのある甘いヴォーカルが、AORサウンドと実にマッチしています。

派手さはありませんが、じんわりと心に沁みてくるアルバムです。
まさに"パステル・メッセージ"という邦題がぴったりな1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Do Right」
オススメその1。邦題「パステル・メッセージ」。アルバムからの1stシングルとして全米チャート第23位まで上昇しました。一般には本曲がアルバムのハイライトだと思います。ライト・タッチのミディアムAORに仕上がっています。Paulのジェントルなヴォーカルがじわじわと胸にきます。終盤のコーラスワークもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=Xy9zJP6SgMY

「Cry Just A Little」
オススメその2。アルバムからの2ndシングル。甘く切ないAORチューン。「I Go Crazy」がお好きな人であれば、気に入る1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=PbVwsWrZ908

「He Sang Our Love Songs」
オススメその3。僕の一番のお気に入り曲。何となく切ない疾走感にグッときます。彼の魅惑のヴォーカルとAORサウンドがばっちりハマった1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=fkszkpV7wUk

「All The Way」
巧みにキーボード・サウンドを配したミディアム・スロウ。じんわりと心に沁みてきます。

「Too Slow To Disco」
この時期はSSW/AOR系のアルバムにも、こういったディスコを意識した曲が入っていましたね。今聴くとご愛嬌といったところでしょうか(笑)

「Let Me Know If It's Over」
僕的にはサウンドが少し仰々しい気もしますが、それもこの時代らしくていいのかもしれません。

「Do You Believe In Love」
オススメその4。Roberta Flackとのデュエット「Tonight I Celebrate My Love」、Regina Belleとのデュエット「A Whole New World (Aladdin's Theme)」でお馴染みの男性ソウル・シンガーPeabo Brysonとの共作曲。PaulとPeabo Brysonはかつてのレーベル・メイトであり、そんな繋がりでこの共作が実現したようです。これがなかなかグッドなライト・タッチのAORチューンに仕上がっています。同時期にヒットしていたRobbie Dupree「Steal Away」がお好きな人であれば気に入ると思います。

「So True」
Will Boulware作。作者Will Boulware自身もバック・ヴォーカルで参加している爽快ライト・グルーヴ。晴れた日の朝に聴くとピッタリですね。

「When Everything Else Is Gone」
オススメその5。ラストもWill Boulware作品。Paulの甘いヴォーカルを堪能できる小粋なAORバラードになっています。 Paul Davisの場合、声質自体がとても魅力的なのでメロウなエレピの音色と実にマッチします。

それにしても『Singer of Songs-Teller of Tales』のオリジナル・ジャケには驚きます(笑)

『Singer of Songs-Teller of Tales』(1977年)
Singer Of Songs - Teller Of Tales

『Cool Night』(1981年)
クール・ナイト(紙ジャケット仕様)
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2010年11月21日

Electro Deluxe『Play』

Hip-Hop/ソウル感覚に溢れたフランス産ジャズ・ファンク☆Electro Deluxe『Play』
プレイ
発表年:2010年
ez的ジャンル:フランス産ジャズ・ファンク
気分は... :戯れましょ!

今回はフランスのジャズ・ファンク・グループElectro Deluxeの新作『Play』です。

Electro Deluxeは2001年にフランス、パリで結成されたジャズ・ファンク・グループ。グループ名は、ジャズ・ファンクにエレクトロなエッセンスを取り入れたサウンドを志向して付けられたようです。

メンバーはArnaud Renaville(ds)、Jeremie Coke(b)、Thomas Faure(s、prog)、Gael Cadoux(key)、Guillaume Poncelet(tp)の5名。

グループはこれまで2005年に1st『Stardown』(2005年)、2007年に2nd『Hopeful』という2枚のアルバムをリリースしています。

新作『Play』は彼らにとっての3rdアルバムとなります。

内容としては、それほどエレクトロ・サウンドが前面に出てきているわけではありません。むしろ、Hip-Hopの影響を強く感じます。Hip-Hopを通過してきたジャズ・ファンクにエレクトロな隠し味が効いているといった印象ですかね。また、モダン・ソウルな楽曲も収録されています。

ゲストとして、フランス注目のソウル・シンガーBen l'Oncle Soul、フランス最強のHip-HopバンドHocus Pocusの天才MC 20Syl、ジャマイカからUKに移住したスポークン・ワード・アーティストHKB FiNN、イスラエル生まれフランス育ちのR&BシンガーNyr (Nyr Raymond)等が参加しています。特にBen l'Oncle Soul20Sylが話題ですね。20Sylは本作のアートワークも手掛けています。

ジャジーHip-Hopとジャズ・ファンクとモダン・ソウルがいい感じでミックスされている1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Play」
タイトル曲はグルーヴィーなジャズ・ファンク・チューン。軽快なホーンとフェンダー・ローズの音色がいいですな。軽くスクラッチやエレクトロなスパイスが効いているあたりが心憎い!
http://www.youtube.com/watch?v=M7Z_6MwgpB4

「Please Don't Give Up」
オススメその1。Ben l'Oncle SoulとHKB FiNNをフィーチャー。HKB FiNNによるラップと注目のソウル・シンガーBen l'Oncle Soulのヴォーカルを堪能できるソウルフルな仕上がり。ジャジーHip-Hop好きの人あたりもグッとくる1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=c8qx5dbVDSQ

「Black And Bitter」
James Copleyをフィーチャー。ビターな味わいのファンキー・グルーヴに仕上がっています。聴き込むほどに味わい深くなる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=CPGWVAkRffM

「California」
ホーン隊とリズム隊の絡みが絶妙なファンキー・インスト・チューン。 サンプリングのセンスが90年代アシッド・ジャズっぽくて好きです。

「Between The Lines」
オススメその2。Ben l'Oncle Soulと20Sylをフィーチャー。この曲を本作のハイライトに挙げる人も多いのでは?天才MCの20SylのフロウとBen l'Oncle Soulのソウル・ヴォーカルが絡むジャジーHip-Hop/ソウル・チューンです。このメンバーにグッとくる人はかなりの通ですね!
http://www.youtube.com/watch?v=paM8GOIroQQ

「Let's Go To Work」
オススメその3。James CopleyとGael Fayeをフィーチャー。Gael Fayeの畳み掛けるフレンチ・ラップがなかなか強烈です。それを盛り上げるリズム隊の生み出すグルーヴが実に格好良いですね。ホーン隊の切れ味も抜群!
http://www.youtube.com/watch?v=R3XpBW9mzdM

「Mousse」
クラブジャズとHip-Hopの感覚を上手くブレンドさせたインスト・チューン。

「Where Is The Love」
オススメその4。Ben l'Oncle Soulをフィーチャーしたソウル・チューン。彼が参加した3曲の中では最も彼のシンガーとしての魅力を堪能できると思います。モダン・ソウル好きの人に聴いて欲しい1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=Fm-IN301fmw ※メイキング映像

「Old Stuff」
オススメその5。インスト曲の中では一番好きです。グループ名に反して、生音クラブジャズの魅力を堪能できるグルーヴィーな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=sUxfIAa5Ve4

「Fine」
オススメその6。Nyrをフィーチャー。Nyrの魅惑のファルセット・ヴォーカルをフィーチャーしたジャジー・ソウル・チューンです。ネオ・フィリーがお好きな人ならば気に入る仕上がりだと思います。

「Talking About Good Love...」
オススメその7。前曲に続きNyrをフィーチャー。アルバムで最もキャッチーな1曲だと思います。スリリングな疾走感がたまりません。この曲もネオ・ソウル好きの人であればグッとくるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=2hzZIX-c7us

「...Talking After Good Love」
前曲と似たようなタイトルですが、微妙に異なります(笑)。Nyrをフィーチャーしており、前曲の続編といった雰囲気です。
http://www.youtube.com/watch?v=5A2dCFecRFQ

「Chasseur De Tetes」
Hip-Hopを通過してきたクラブジャズといった趣のインスト・チューン。

「Sorry」
オススメその8。Nyrをフィーチャー。Ben l'Oncle Soulへ注目が集まる本作ですが、Nyrもそれに負けない魅力的なR&Bシンガーだと思います。そんな彼の魅力を堪能できるソウル・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=ga4xJa6zNoc

「Nucks」
国内盤CDのボーナス・トラック。HKB FiNNをフィーチャーした切れ味鋭い生音Hip-Hopチューンに仕上がっています。スクラッチもいい感じ!
http://www.youtube.com/watch?v=mv9ZOzzxz8U

ご興味のある方は1st『Stardown』(2005年)、2nd『Hopeful』(2007年)もチェックを!

『Stardown』(2005年)
Stardown

『Hopeful』(2007年)
Hopeful

20Syl率いるHocus Pocusも要チェックですよ!

『73 Touches』(2005年)
73タッチズ

『Place 54』(2007年)
プレイス54

『16 Pieces』(2010年)
シックスティーン・ピーシーズ
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2010年11月20日

Pharoah Sanders『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun) 』

Woody Shaw、Gary Bartzも参加したスピリチュアル・ジャズ作品☆Pharoah Sanders『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』
SUMMUM BUKMUM UMYUM(紙ジャケット仕様)
録音年:1970年
ez的ジャンル:アフロ・アメリカン系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :見ざる、言わざる、聞かざる

今の時期にぴったりなジャケのPharoah Sanders『Pharoah』(1976年)を紹介しようと思い、記事を途中まで書いたところでAmazonに扱いがないことが判明し、止む無く断念しました。

急遽変更し、セレクトし直したのが同じPharoah Sanders『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun) 』 (1970年)です。

大好きなジャズ・サックス奏者Pharoah Sanders
これまで紹介してきたPharoah作品は以下の5枚です(録音年順)。

 『Izipho Zam』(1969年)
 『Thembi』(1970年)
 『Elevation』(1973年)
 『Love In Us All』(1975年)
 『Rejoice』(1981年)

『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』 (1969年)は、『Tauhid』 (1967年)、『Karma』 (1969年)、『Jewels of Thought』 (1969年)に次ぐImpulse第4弾となるアルバムです。

アルバム・タイトル"Summun Bukmun Umyun"は「見ざる、言わざる、聞かざる」という意味です。英タイトルの流れでいけば、「聞かざる、言わざる、見ざる」となるのかもしれませんが・・・

レコーディング・メンバーは、Pharoah Sanders (ss、fl、thumb p、per)、Woody Shaw (tp、vo、per)、Gary Bartz(as、per)、Lonnie Liston Smith(p、thumb p、per)、Cecil McBee (b)、Clifford Jarvis(ds)、Nathaniel Bettis(per、bylophone、vo)、Anthony Wills(per)という編成です。

特にWoody ShawGary Bartzの参加が目を惹きますね。

全体としてはアフリカ色を強く押し出したスピリチュアル・ジャズに仕上がっています。
LPでA面、B面各1曲の全2曲というPharoah Sandersらしい構成です。Pharoah作品の場合、1曲20分くらいの尺がないとスピリチュアルなPharoahワールドを堪能できませんよね。

他のPharoah作品同様、聴き終わった後に独特の感動で胸が一杯になります。

全曲紹介しときやす。

「Summun Bukmun Umyun」
多様なアフリカン・パーカッションとCecil McBeeのベースによるパーカッシヴなリズムが特徴的です。そこにLonnie Liston Smithのピアノが加わり、さらにはPharoah、Gary Bartz、Woody Shawの3人による熱いプレイが展開されます。特に西アフリカの民族楽器バラフォン(木琴の一種)の音色がいいアクセントになっています。アフリカの大地や生命の躍動感を感じずにはいられないパーカッシヴな演奏は実に僕好み!後半のフリー・ジャズ的な演奏もスリリングです。

「Let Us Go Into The House Of The Lord」
Lonnie Liston Smith作。Pharoah作品らしい崇高で感動的なスピリチュアル・ワールドが展開されます。聴いていると瞑想の世界へ・・・アフリカの大地から観る真っ赤な夕陽がイメージされます。美しさと崇高さが漂うSmithのピアノが素晴らしいですね。優しく歌いかけるようなMcBeeのソロにもグッときます。このスケール感の大きさこそがPharoahワールド!

Pharoah Sandersの過去記事もご参照下さい。

『Izipho Zam』(1969年)
Izipho Zam

『Thembi』(1970年)
Thembi

『Elevation』(1973年)
Elevation (Reis)

『Love In Us All』(1975年)
ラヴ・イン・アス・オール(紙ジャケット仕様)

『Rejoice』(1981年)
リジョイス
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