発表年:1972年
ez的ジャンル:ニューオリンズR&Bの立役者
気分は... :その眼光の先に見えるものは・・・
今回は人気プロデューサー/アレンジャー/ソングライターAllen Toussaintのソロ作品『Life, Love And Faith』(1972年)です。
Allen Toussaintは1938年ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれのプロデューサー/アレンジャー/ソングライター/ピアニスト/シンガー。
1950年代後半からセッション・ミュージシャン/アレンジャー/ソングライターとして活躍するようになり、1858年には初のソロ・アルバム『The Wild Sound of New Orleans』を発表しています。
1960年代に入るとプロデューサーとして数多くのR&Bヒットを手掛け、ニューオリンズR&Bの立役者として業界内では注目の存在となります。1970年代に入ると、
The Band『Cahoots』へのホーン・アレンジでの参加や、彼が手掛けるファンク・グループThe Metersの活躍などがきっかけで広く名前が知られるようになります。1972年にはThe Metersと共にWarner Bros.との契約に成功します。
その後はロック/ソウルのフィールドで活動領域を広げていきます。同時に、彼に影響を受けてニューオリンズ・サウンドを取り入れり、彼の楽曲を取り上げたロック作品も数多くリリースされ、名プロデューサー/アレンジャー/ソングライターの地位を不動のものとしました。
同時に、自身のソロ作品として『Toussaint』(1970年)、『Life, Love and Faith』(1972年)、『Southern Nights』(1975年)、『Motion』(1978年)などのアルバムをリリースしています。
僕の場合、Allen Toussaintやニューオリンズ・サウンドを意識するようになったのは、Little Feat、The Band、Robert Palmerといったロック作品がきっかけでした。特にLittle Feat『Dixie Chicken』の印象が強いかもしれません。
彼のソロ作では『Life, Love and Faith』(1972年)、『Southern Nights』(1975年)の2枚が有名ですね。僕が所有しているのもこの2枚です。代表作と言えば、『Southern Nights』を挙げる人の方が多いかもしれませんが、個人的には『Life, Love and Faith』を聴く頻度の方が多いですね。
全体的にソウルフル、ファンキー、メロウネスのバランスが絶妙な仕上がりだと思います。意外にメロウな味わいが効いており、ニューオリンズ・サウンドと聴いてイメージする、アーシーでルーズなグルーヴ満載という雰囲気とは少々異なる印象を受けるかもしれません。その分、ニューオリンズ・サウンドに特に思い入れのない人でもスンナリと聴ける1枚なのでは?
レコーディングには、Leo Nocentelli(g)、George Porter, Jr.(b)、Joseph Modeliste(ds)といったThe Metersのメンバー等参加しています。
Allen Toussaintらしいリズム、ホーン・アレンジの妙は勿論のこと、コーラス・パートの作りが魅力だったりします。
フリーソウル・クラシック「Soul Sister」をはじめ、いい曲揃っています!
ジャケも最高ですね!
全曲紹介しときやす。
「Victims Of The Darkness」
オープニングは彼らしいニューオリンズ・サウンドを堪能できるファンキー・チューン。タイトルの通り、軽くダークなのが印象的です。
「Am I Expecting Too Much」
オススメその1。ソウルフルな魅力に溢れた1曲。僕のイメージするAllen Toussaintとは異なる雰囲気ですが、彼のソウル魂が炸裂する素晴らしい出来栄えです。
「My Baby Is The Real Thing」
シブめのファンキー・チューン。彼らしいリズムやホーン・アレンジを堪能しましょう。
「Goin Down」
オススメその2。突進力のあるグルーヴにグイグイと引っ張られる1曲。重心の低いグルーヴ感がたまりません。ホーン隊の絡みも格好良すぎ!
「She Once Belonged To Me」
オススメその3。ドラマチックなアレンジと男の哀愁モードにグッとくるソウル・チューン。目を閉じて聴くと、勝手にPV映像を妄想しそうな1曲です。
「Out Of The City (Into Country Life) 」
Beatles「Come Together」のニューオリンズ版のように聴こえるのは僕だけでしょうか(笑)
「Soul Sister」
オススメその4。フリーソウル・クラシックとして人気の高い1曲。この曲目当てで本作を購入した人も多いのでは?マッタリとした中の躍動感にグッとくる"マッタリ・グルーヴ"です(何じゃそりゃ?)。コーラスパートでの盛り上げ方も最高ですね!
「Fingers And Toes」
本作らしいメロウネスとニューオリンズらしいテイストを上手く融合したメロウ・チューン。聴いていると、センチメンタルな気分になります・・・
「I've Got To Convince Myself」
オススメその5。ファンキーな中にも小粋なセンスが光る1曲。輪郭のはっきりしたグルーヴが実に格好良いですね。当ブログでは以前にJose Felicianoのカヴァーを紹介したこともあります。
「On Your Way Down」
オススメその6。アーシー&ブルージーな激シブ曲。ダークな風味が効いているのがいいですね。
「Gone Too Far」
オススメその7。ソウルフルなコクが最高の1曲。適度にメロウなところも僕好み。コーラス隊の盛り上げもグッド!この時期のRolling Stonesと一緒に聴いてもマッチしそうな気がします。
「Electricity」
ラストはロック・テイストを取り入れた1曲。なかなかエキサイティングな仕上がりです。
もう1枚の代表作『Southern Nights』(1975年)もそのうち紹介したいと思います。
『Toussaint』(1970年)
『Southern Nights』(1975年)