録音年:1970年
ez的ジャンル:アフロ・アメリカン系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :見ざる、言わざる、聞かざる
今の時期にぴったりなジャケのPharoah Sanders『Pharoah』(1976年)を紹介しようと思い、記事を途中まで書いたところでAmazonに扱いがないことが判明し、止む無く断念しました。
急遽変更し、セレクトし直したのが同じPharoah Sandersの『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun) 』 (1970年)です。
大好きなジャズ・サックス奏者Pharoah Sanders!
これまで紹介してきたPharoah作品は以下の5枚です(録音年順)。
『Izipho Zam』(1969年)
『Thembi』(1970年)
『Elevation』(1973年)
『Love In Us All』(1975年)
『Rejoice』(1981年)
『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』 (1969年)は、『Tauhid』 (1967年)、『Karma』 (1969年)、『Jewels of Thought』 (1969年)に次ぐImpulse第4弾となるアルバムです。
アルバム・タイトル"Summun Bukmun Umyun"は「見ざる、言わざる、聞かざる」という意味です。英タイトルの流れでいけば、「聞かざる、言わざる、見ざる」となるのかもしれませんが・・・
レコーディング・メンバーは、Pharoah Sanders (ss、fl、thumb p、per)、Woody Shaw (tp、vo、per)、Gary Bartz(as、per)、Lonnie Liston Smith(p、thumb p、per)、Cecil McBee (b)、Clifford Jarvis(ds)、Nathaniel Bettis(per、bylophone、vo)、Anthony Wills(per)という編成です。
特にWoody Shaw、Gary Bartzの参加が目を惹きますね。
全体としてはアフリカ色を強く押し出したスピリチュアル・ジャズに仕上がっています。
LPでA面、B面各1曲の全2曲というPharoah Sandersらしい構成です。Pharoah作品の場合、1曲20分くらいの尺がないとスピリチュアルなPharoahワールドを堪能できませんよね。
他のPharoah作品同様、聴き終わった後に独特の感動で胸が一杯になります。
全曲紹介しときやす。
「Summun Bukmun Umyun」
多様なアフリカン・パーカッションとCecil McBeeのベースによるパーカッシヴなリズムが特徴的です。そこにLonnie Liston Smithのピアノが加わり、さらにはPharoah、Gary Bartz、Woody Shawの3人による熱いプレイが展開されます。特に西アフリカの民族楽器バラフォン(木琴の一種)の音色がいいアクセントになっています。アフリカの大地や生命の躍動感を感じずにはいられないパーカッシヴな演奏は実に僕好み!後半のフリー・ジャズ的な演奏もスリリングです。
「Let Us Go Into The House Of The Lord」
Lonnie Liston Smith作。Pharoah作品らしい崇高で感動的なスピリチュアル・ワールドが展開されます。聴いていると瞑想の世界へ・・・アフリカの大地から観る真っ赤な夕陽がイメージされます。美しさと崇高さが漂うSmithのピアノが素晴らしいですね。優しく歌いかけるようなMcBeeのソロにもグッときます。このスケール感の大きさこそがPharoahワールド!
Pharoah Sandersの過去記事もご参照下さい。
『Izipho Zam』(1969年)
『Thembi』(1970年)
『Elevation』(1973年)
『Love In Us All』(1975年)
『Rejoice』(1981年)