2010年12月08日

Chico Buarque『Construcao』

ブラジル版Rolling Stone誌が歴代ベスト・アルバム第3位に選んだ名作☆Chico Buarque『Construcao』
Construcao
発表年:1971年
ez的ジャンル:戦う好青年系MPB
気分は... :John Lennonの命日ですが・・・

今日はJohn Lennonの命日ですね。昔はJohnの命日に彼のアルバムをエントリーするというベタなこともしていましたが(笑)

今回はJohnの命日に相応しく、社会派アルバムを紹介したいと思います。

セレクトしたのはブラジル人シンガー/ソングライターChico Buarqueの名盤『Construcao』(1971年)です。

Chico Buarqueは1944年オ・デ・ジャネイロ生まれのシンガー/ソングライター/劇作家/小説家。姉はJoao Gilbertoの奥さんでもあったMiuchaです。

有名な歴史家、社会学者である父親がボサノヴァの創始者の一人Vinicius de Moraesと親友ということもあり、幼い時から音楽や執筆に興味を持っていたようです。

1964年にはシンガー/ソングライターとしてデビューし、注目を浴びるようになります。そして、1966年には「A Banda」「Ole Ola」「Tem Mais Samba」「Pedro Pedreiro」「Sonho De Um Carnaval」といった名曲を収めたデビュー・アルバム『Chico Buarque de Hollanda (Vol. 1) 』をリリースします。

その後もコンスタントに作品をリリースし、「Noite Dos Mascarados」「Com Acucar,Com Afe」「Quem Te Viu,Quem Te Ve」「Carolina」Antonio Carlos Jobimとの共作「Retrato Em Branco E Preto(邦題:白黒のポートレイト)」などの名曲を世に送り出します。

こうして人気シンガー/ソングライターの地位を確立したChicoですが、他のミュージシャン同様にブラジル軍事政権から反社会的人物と見なされるようになり、Chicoも1969年にローマへ亡命します。しかし、1970年に帰国し、その後は独裁政権の検閲を受けながらもプロテスト・ソングをリリースし続け、ブラジル国民から熱烈に支持されます。

ブラジルを代表するミュージシャンでありながら、同世代のCaetano VelosoMilton Nascimentoあたりと比較すると、日本での知名度は低いミュージシャンということになるのでしょうね。でも本国ブラジルでの人気は、CaetanoやMiltonを凌ぐものがあるようです。

今回紹介する『Construcao』(1971年)は、イタリアから帰国後の第1弾アルバム『Chico Buarque de Hollanda (Vol. 4) 』(1970年)に続く作品です。

数年前に発表されたブラジル版Rolling Stone誌が選ぶブラジル音楽ベスト・ディスク100で、本作『Construcao』は何と第3位にランクされていました。つまり、ブラジル音楽史上ベスト3に入るほどの名盤ということになります。

ジャケに写るChicoの風貌は、それまでの好青年イメージとはかけ離れたものであり、それ自体が軍事独裁政権と対峙するスタンスだったのかもしれません。

内容も、オープニング「Deus Lhe Pague」やタイトル曲「Construcao」など閉塞したブラジル社会を痛烈に風刺した歌詞が目立ちます。ただし、単に過激なメッセージを歌うというのではなく、独裁政権の検閲をバネに誌的表現の可能性を広げていくあたりが、Chico Buarqueという人のアーティスティックな部分なのかもしれません。

また、重々しいプロテスト・ソングのみならず、人気サンバ・チューン「Samba de Orly」をはじめとする親しみやすい楽曲も収められています。その意味では、アルバム全体のバランスが良いのではと思います。

Roberto Menescalがプロデュースを務め、MPB4Magroが音楽ディレクターとしてクレジットされています。そのMPB4やAntonio Carlos JobimとJobimの息子Paulinhoがゲスト参加しています。

決して派手な作品ではありませんが、ブラジル音楽の真髄が詰まった1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Deus Lhe Pague」
Chico Buarque作。平穏な社会が訪れるように願う神への祈りが歌われます。この不穏な空気感は当時のブラジルそのものだったのかもしれませんね。重々しさのみならず、アヴァンギャルド感もあるところがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=PvN7nocb9kA

「Cotidiano」
Chico Buarque作。彼女との日常生活を歌った歌詞の中に軍事政権下の社会の閉塞感を感じます。そんな歌詞を反映し、サウンド面でもサンバながら重々しさが支配します。

「Desalento」
Chico Buarque/Vinicius de Moraes作。哀愁チューンですが不穏な空気を醸し出す大胆なストリングス・アレンジが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=eh2pu6G-y8s

「Construcao」
Chico Buarque作。タイトル曲は表現の自由を奪った軍事政権に屈せず、新たな歌詞の可能性へ挑戦した意欲作です。レンガ職人の死をテーマに、鋭いメッセージを突き刺します。MPB4のコーラスとオーケストレーションが加わった後半は社会風刺劇でも観ている気分になります。
http://www.youtube.com/watch?v=JnOAYO8aOrU

「Cordao」
Chico Buarque。邦題「楽団」。ようやく美しいメロディのボッサ・チューンを聴くことができます。ここでは♪誰も僕を止めることはできない♪と歌われます。静かなる決意!といったところでしょうか。

「Olha Maria」
Antonio Carlos Jobim/Chico Buarque/Vinicius de Moraes作。大御所二人との共作です。演奏にはJobim本人(p)とJobimの息子Paulinho(g)が参加しています。Jobim親子の美しいピアノ&ギターとChicoの歌声が一体化した素晴らしい出来栄えです。

「Samba de Orly」
Chico Buarque/Toquinho/Vinicius de Moraes作。やはり本作のハイライトと言えば、この人気サンバ・チューンなのでは?当ブログではCafe Apres-midiでも人気のTania Mariaのヴァージョンを紹介済みです。Chico本人のヴァージョンも聴く者全てを魅了する素晴らしい仕上がりです。歌詞は亡命中のChicoの心情を歌ったものです。やはり、この曲は名曲ですな。
http://www.youtube.com/watch?v=rfpjEeK1Jeg

「Valsinha」
Chico Buarque/Vinicius de Moraes作。邦題「ワルツ」。哀愁のメロディにグッときます。この曲はリオよりもかつての亡命先パリの街角が似合う雰囲気の曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=2bV5rVUJ7-I

「Minha Historia」
Chico Buarque/Lucio Dalla/Pallotino作。イタリアの曲「Gesubambino」にChicoがポルトガル語の歌詞をつけたもの。独特の味わい深さがあって大好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=66For4DyLOc

「Acalanto」
Chico Buarque作。前年に生まれたChicoの次女へ向けた子守唄らしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=ldeqk1fDO-g

興味がある方は他のChico Buarque作品もどうぞ!

『Chico Buarque de Hollanda (Vol. 1) 』(1966年)
シコ・ブアルキ・ジ・オランダ

『Chico Buarque de Hollanda (Vol. 2) 』(1967年)
シコ・ブアルキ・ジ・オランダ Vol.2

『Chico Buarque de Hollanda (Vol. 4) 』(1970年)
Chico Buarque

『Sinal Fechado 』(1974年)
Sinal Fechado

『Meus Caros Amigos』(1976年)
Meus Caros Amigos

『Chico Buarque』(1978年)
Chico Buarque
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2010年12月07日

Boogie Down Productions『By All Means Necessary』

Scott La Rockの死を乗り越えた、The Source誌マイク5本獲得の名盤☆Boogie Down Productions『By All Means Necessary』
By Any Means Necessary
発表年:1988年
ez的ジャンル:ブロンクス系コンシャスHip-Hop
気分は... :たまには硬派なHip-Hopも・・・

今回はKRS-One率いるHip-HopグループBoogie Down Productionsの2ndアルバム『By All Means Necessary』(1988年)です。

Boogie Down Productions(BDP)は、KRS-OneD-NiceDJ Scott La Rockの3人によりサウス・ブロンクスで結成。1987年に1stアルバム『Criminal Minded』をリリースします。当時彼らはMarley Marl、MC Shan、Roxanne Shanteらクイーンズ出身のHip-HopクルーJuice Crewと激しいバトルを繰り広げており、『Criminal Minded』には、それを象徴する「South Bronx」「The Bridge Is Over」といった曲が収録されています。

しかしながら、1987年にDJ Scott La Rockがブロンクスでの乱闘騒ぎを止めに入ったところを銃撃されて死亡してしまいます。グループ存続の危機に追い込まれたKRS-Oneでしたが、それを乗り越えて2ndアルバム『By All Means Necessary』(1988年)をリリース。暴力禁止や教育の重要性を訴えるようになります。

その後、『Ghetto Music』(1989年)、『Edutainment』(1990年)、『Live Hardcore Worldwide』(1991年)、『Sex and Violence』(1992年)といったアルバムをリリースし、グループは解散。KRS-Oneはその後もソロで活躍しています。

僕の中でKRS-Oneは、Public EnemyChuck Dと並ぶ社会派Hip-Hopのリーダーというイメージが強かったですね。しかしながら、De La SoulJungle BrothersA Tribe Called QuestといったNative Tongues一派好きだったので、それ程熱心にBDPを聴いてわけではありませんでした。

それでも1st『Criminal Minded』、2nd『By All Means Necessary』はHip-Hop史を語る上で外せない2枚だと思います。共に有名なHip-Hop雑誌『The Source』でマイク5本(最高評価)を獲得した作品です。80年代、90年代のHip-Hop作品の中でマイク5本を獲得した作品は40枚にも満たないはずなので、いかにBDPの最初の2枚が強烈であったか想像できると思います。

僕の記憶が正しければ、『The Source』誌でデビュー作と2ndが連続でマイク5本を獲得したのはBDPA Tribe Called Questの2組しかいないのではと思います。
※後年、マイク5本に訂正された作品は除く

今日紹介する2nd『By All Means Necessary』は前述のように、Scott La Rockの死を乗り越えて制作された作品であり、BDPが社会派ユニットへ大きく舵を切った作品です。

ファンはご存知の通り、ジャケのポーズはMalcolm Xの有名な写真を模したものです。

「My Philosophy」「Stop the Violence」「I'm Still #1」「Jimmy」といったクラシックを中心にリアルHip-Hopを堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「My Philosophy」
クラシックその1。これぞBDP!シングル曲にもなりました。Stanley Turrentine「Sister Sanctified」ネタのトラックにのって、KRS-Oneの哲学を叩きつけます!Hip-Hopのストレートな格好良さが伝わってきますね!また、N.W.A.「Gangsta Gangsta」、Black Moon「How Many MC's...」、Beastie Boys「The Sounds of Science」、Canibus「M-Sea-Creasy」、Slaughterhouse「Wack Mc's」でサンプリングされていることからも本曲のクラシックぶりがわかると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=DOaHLsNPM88

N.W.A.「Gangsta Gangsta」
 http://www.youtube.com/watch?v=KHaOul8gVVc

「Ya Slippin'」
Deep Purple「Smoke on the Water」を大胆にサンプリング。個人的には少し気恥ずかしくなるトラックですが(笑)

「Stop the Violence」
クラシックその2。シンプルながらも推進力のあるトラックをバックにKRS-Oneが暴力禁止を訴えます!そのBDPは本曲のタイトルの通り、Stop the Violenceというの名の運動を展開し、米国の大学をツアーすることになります。本曲はBlack Star「Definition」Fugees「Stop The Violence」でサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=OngLP0CnyUs

「Illegal Business」
BDPらしさの1つであるラガ・テイストの仕上がり。Fat Albert and the Cosby Kids「Creativity」、Jefferson Starship「Rock Music」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=aE5DwGkuu6k

「Nervous」
スペイシー感のあるヒップ・ハウス調のトラックがこの時期らしいですね。Rhythm Heritage「Sky's the Limit」、War「Galaxy」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=TuOBkmYaS1c

「I'm Still #1」
クラシックその3。All The People「Cramp Your Style」ネタのトラックが文句なしに格好良いシングル曲。余計なものが削ぎ落とされるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=5N9t3aNPvt0

「Part Time Suckers」
Stevie Wonder「Part-Time Lover」をパロったタイトル、リリックと、Smokey Robinson & the Miracles「Mickey's Monkey」ネタのビートが印象的です。このパターンで2Pacも「Part Time Mutha」という曲をリリースしていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=LKsTbvb8trM

「Jimmy」
クラシックその4。Sequence「Funk You Up」ネタのトラックに、Paul McCartney & Wings「Let 'Em In」の替え歌フロウがのっかる思わずニヤリとしてしまう1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=12mbmoEJ2dg

「T'Cha-T'Cha」
ラガ色の強い仕上がり。昔ラガ調の曲って苦手だったのですが、久々に聴くとパンチが効いていていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ha5F3A9njtk

「Necessary」
ラストは淡々とKRS-Oneのメッセージが語られます。
http://www.youtube.com/watch?v=nnW8oGkDeqo&feature=fvst

他のBDP作品もどうぞ!
個人的にはラスト作『Sex and Violence』あたりも結構好きです。

『Criminal Minded』(1987年)
Criminal Minded

『Ghetto Music』(1989年)
Ghetto Music

『Edutainment』(1990年)
Edutainment

『Live Hardcore Worldwide』(1991年)
Live Hardcore Worldwide

『Sex and Violence』(1992年)
Sex & Violence
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2010年12月06日

Zoe『Scarlet Red And Blue』

ヒット曲「Sunshine On A Rainy Day」収録☆Zoe『Scarlet Red And Blue』
SCARLET RED AND BLUE
発表年:1991年
ez的ジャンル:UKダンス・ミュージック
気分は... :懐かしい味との再会!

今日は90年代に活動していた女性シンガーZoeのデビュー・アルバム『Scarlet Red And Blue』です。

Zoe(Zoe Pollock)はロンドン生まれの女性シンガー/ソングライター。

80年代に活動していたロック・バンドBrilliantのリードシンガー・オーディションを受けたのがキャリアのきっかけとなったようです。Brilliantには後に彼女の作品をプロデュースすることになるYouth(元Killing Joke)やJimi Cauty(後にThe KLFを結成)が在籍していました。

1990年にデビュー・シングル「Sunshine On A Rainy Day」をリリースしますが、ヒットには至りませんでした。しかしながら、1990年にYouthがリミックスしたヴァージョンで再リリースしたところ、UKシングル・チャート第4位の大ヒットとなりました。

その勢いに乗り、1991年にデビュー・アルバム『Scarlet Red and Blue』をリリースしましたが、シングル「Sunshine On A Rainy Day」ほどの成功を収めることはできませんでした。その後1996年に2ndアルバム『Hammer』をリリースしています。

多分、殆どの人がご存知ない女性シンガーだと思います。
僕もすっかり忘れており、CDを整理していて久々にめぐり逢いました。約15年ぶりに本作を聴いた次第です。

正直、シングルになった「Sunshine On A Rainy Day」「Lightning」の2曲のみ聴くつもりでしたが、聴き直すとアルバム全体もなかなか良かったのでエントリーすることに・・・

何十年ぶりに学生時代に通っていた定食屋へ赴き、懐かしい味と再会したような気分です。ホッとするB級グルメといったところでしょうか。

基本的にはUKダンス・ミュージック作品ですが、グラウンドビートやアシッドなダンスビートも取り入れた、90年代初頭のUKクラブミュージックらしい1枚に仕上がっています。

ジャケの雰囲気も大好き!
よく憶えていませんが、当時このZoeの妖艶な表情に魅了されてジャケ買いしたのかもしれません(笑)

全曲紹介しときやす。

「Lightning」
お気に入りその1。「Sunshine On A Rainy Day」に続く2ndシングル。90年代初めのUKらしいダンス・チューンに仕上がっています。この頃はこのタイプの曲にハマっていました。
http://www.youtube.com/watch?v=vmoWFEdJLhg

「Mountains」
アコースティック・サウンドを上手く取り入れたダンサブル・チューン。今聴いても爽快な躍動感にグッときます。

「Loving Kind」
お気に入りその2。久々に聴いて、かなりグッときたのがこの曲。哀愁モードのダンサブル・チューンですが、妖しげなギターの音色に引きずり込まれます。全体的にインド・テイストのスパイスが効いているのが僕好み!

「Scarlet Red & Blue」
タイトル曲はタブラの響きとレゲエ調のリズムが妖しげな音空間を創り出す哀愁チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=WJJaHdAEr9M

「Holy Days」
ロック・サウンドとダンス・サウンドが融合したこの時期のUKらしいダンサブル・チューン。

「Sunshine On A Rainy Day」
お気に入りその3。前述の大ヒット・シングル。この時期らしいグラウンドビートのダンス・チューンです。♪Sunshine On A Rainy Day〜♪みんなで大合唱できそうなサビの作り方は如何にもって感じですが、そんなわかりやすさが魅力の1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=tPOXhIlAy4g

「Rainbow」
アコースティック・ギターの爽快感とダンサブルなリズムがいい感じで調和しています。

「Moonsister」
妖しいムードに包まれたダークなダンス・チューン。シングル「Sunshine On A Rainy Day」には本曲のダブ・ヴァージョンLunar Dubが収録されています。コチラはオリジナルとは随分異なりますが・・・

「Moonsister(Lunar Dub)」
http://www.youtube.com/watch?v=SmR_kqodhrw

「Runaway Child」
お気に入りその4。クールなダンス・チューン。グラウンドビート調のキャッチーな仕上がりは僕好み。

「Baby On Higher Love」
お気に入りその5。ハウスとR&Bの距離が近かった90年代初頭らしいダンス・グルーヴに仕上がっています。

「Smile In The Darkness」
ラストは哀愁モードのミッド・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=AAvkjvzoafs

90年代前後のUKクラブミュージックは面白かったですね。このあたりはCD棚を探せば、まだまだ忘れている作品があるかもしれないので発掘(?)してみます(笑)
posted by ez at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月05日

Eric Benet『Lost In Time』

今年のベスト男性R&Bアルバムはコレで決まり!☆Eric Benet『Lost In Time』
Lost in Time
発表年:2010年
ez的ジャンル:正統派系男性R&Bシンガー
気分は... :今年のベストR&Bアルバムはコレでしょ!

11月後半から12月にかけてR&Bシーンは話題の新作が続々とリリースされていますね。

今年のR&Bは不作か?なんて嘆いていた僕ですが、この新作ラッシュが終わると帳尻が合っているのかもしれません(笑)

そんな中から、今回は大好きな男性R&BシンガーEric Benetの新作『Lost In Time』です。

話題の新作がまだまだ続きますが、個人的には今年のベスト男性R&Bアルバムはコレで決まり!と断言してしまうほどのお気に入りです。

良質なR&B作品をリリースし続けるかつてのニュークラシック・ソウルの旗手の一人Eric Benetの紹介は、『True to Myself』(1996年)、『Love & Life』(2008年)に続き3回目となります。

前作『Love & Life』以来2年ぶりとなる新作は、70年代ソウルのヴァイヴ満載のR&Bアルバムに仕上がっています。R. Kellyの新作『Love Letter』も王道ソウル・アルバムのようですし、 正統派路線のR&B/ソウル新作が増えることはいい傾向ですね。

70年代ソウルへの愛情を感じるアルバムですが、単なる懐古趣味的なアルバムになっていないのが素晴らしいですね。とにかくアルバム全編を通じて、胸を熱くするヴァイヴが伝わってきます。それだけEric BenetというR&Bシンガーが実力と存在感を兼ね備えたシンガーだという証拠なのでしょうね。

Faith EvansEddie LevertO'Jays)、Chrisette MicheleLedisiというゲスト陣も僕のお気に入りシンガーばかりでウェルカムです!また、前作にも参加していた娘のIndia Benetも参加しています。

プロデュースはEric Benet本人とGeorge Nash, Jr.が務めています。

これを聴いてしまうと、これからリリースされる他のR&B新作は相当分が悪いと思います(笑)

捨て曲ナシ!全曲オススメの今年の男性R&BNo.1アルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Never Want to Live Without You」
愛と魂の伝道師らしいビューティフル・バラード。純粋に素晴らしい曲とヴォーカルがここにあります。このオープニングを聴けば本作が名作だと確信できるはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=4KW8lKl3WeA

「Feel Good」
Faith Evansをフィーチャー。Faith Evansも新作『Something About Faith』をリリースしたばかりですね。70年代ディスコ・テイストのダンス・チューンを聴かせてくれます。スウェイ・ビート好きの人は間違いなく気に入る1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=cwjWeac-SKs

Faith Evans『Something About Faith』
Something About Faith

「Sometimes I Cry」
アルバムからの先行シングルとして、全米R&Bチャート第16位のヒットとなりました。これでもかと言うほど正統派のソウル・バラードです。ヴィンテージ感の中にもニュークラシック・ソウル世代のシンガーらしさを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=3IW7_eSIXp4

「Always A Reason」
Ericの魅惑のファルセット・ヴォーカルを堪能できるバラード。柔らかい雰囲気がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=legIYGKPLfM

「Paid」
O'JaysのEddie Levertとのデュエット。Eddieがエネルギッシュなヴォーカルで健在ぶりを示してくれる、予想通りの濃密な1曲に仕上がっています。ラテン・フレイヴァーが軽く効いたアレンジも僕好みです。

「Take It」
Chrisette Micheleをフィーチャー。大好きな二人のデュエットというだけで大満足な僕ですが、中身もセクシー&メロウな充実のソウル・チューンに仕上がっています。Chrisetteの新作『Let Freedom Reign』も数日前にゲットし、現在聴き込み中です。こちらも近日中に記事アップしますね。
http://www.youtube.com/watch?v=LDfThYK8PQU

Chrisette Michele『Let Freedom Reign』
Let Freedom Reign

「Stir It Up」
何気ないけど実に素晴らしいミディアム・スロウ。Benjamin Wrightの素晴らしいホーン&ストリングス・アレンジと女性バック・コーラスのキュートな歌声にも魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=HsBxeL4v7pI

「Summer Love」
娘India Benetをフィーチャー。タイトル通り、サマー・モードのメロウ・チューンに仕上がっています。季節外れですが、夏の定番曲になりそうな素晴らしい出来栄えです。また、これ見よがしの親子共演ではなく、純粋にバック・コーラスに徹している娘Indiaにも好感が持てます。父親のDNAを受け継いで素晴らしいシンガーへ成長して欲しいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=A66ywvJZ9WQ

「Lost In Time」
タイトル曲は70年代ソウルへの愛情を感じる素敵なスウィート・ソウルに仕上がっています。あまりの素晴らしさに胸が熱くなります。
http://www.youtube.com/watch?v=mOHsCmwoqNI

「Good Life」
Ledisiをフィーチャー。ホーン隊が盛り上げてくれるアップ・チューンです。

「Something's Wrong」
ラストは極上ネオ・ソウルのバラードで締め括ってくれます。愛の伝道師のセクシー・ヴォーカルを堪能しましょう!

Eric Benetの過去記事もご参照下さい。

『True to Myself』(1996年)
True to Myself

『Love & Life』(2008年)
愛すること、生きること。
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2010年12月04日

Leon & Mary Russell『Wedding Album』

Maryとの結婚記念アルバムはラブラブ&ソウルフル☆Leon & Mary Russell『Wedding Album』
Wedding Album
発表年:1976年
ez的ジャンル:スワンプ大将のソウルフル夫婦アルバム
気分は... :瞳の中にレインボウ!

今日はLeon Russellが聴きたい気分です。
あのダミ声を体がとても欲しています(笑)

セレクトしたのは妻Maryとの結婚記念アルバム『Wedding Album』(1976年)です。

Leon Russellの紹介は、『Leon Russell』(1970年)、『Will O' The Wisp』(1975年)に続き3回目となります。

スワンプ大将Leon Russellと言えば、『Leon Russell』(1970年)、『Leon Russell And the Shelter People』(1971年)、『Carney』(1972年)、『Leon Live』(1973年)あたりがピークという見方が多いのではと思います。。

確かに、そのあたりの作品が最もLeon Russellらしいかもしれません。しかしながら、今の僕に最もフィットするのは『Will O' The Wisp』(1975年)や今日紹介する『Wedding Album』(1976年)あたりです。

『Wedding Album』は、Sly & the Family Stoneのバック・ヴォーカルを務めていたMary McCrearyと1975年に結婚し、新婚モードで制作された夫婦アルバムです。二人はさらにもう1枚『Make Love to the Music』(1977年)をリリースしています。

結婚記念アルバムということで、ラブラブ・モードなのは当然ですが、ソウルフルな黒人ヴォーカリストの妻Maryを大きくフィーチャーしていることもあり、Leonの作品の中でも最もソウルフルな作品に仕上がっています。僕が本作に惹かれるのもそのあたりが大きな要因だと思います。

レコーディングには、Robert Wilson(The Gap Band)(b)、Jim Horn(sax)、Willie Weeks(b)、Nigel Olsson(ds)等が参加しています。また、Bobby Womackが自身の楽曲「Daylight」 のカヴァーをプロデュースしています(ギターでも参加)。

サウンド面では、『Will O' The Wisp』でも聴かれたシンセ・サウンドがアルバムの随所で聴かれます。このシンセに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、個人的にはやり過ぎずにいい塩梅で使っているのではと思います。

ラブラブ・モードの作品ですが、幸せモードの二人のエネルギッシュなパワーがいい形で音楽に結びついていると思います。

聴いてだけで幸せ御裾分けしてもらえそうな1枚です!

全曲紹介しときやす。

「Rainbow In Your Eyes」
本作のハイライト。この1曲のみでも本作をゲットする価値がある名曲だと思います。美しいア・カペラで引き寄せられた後、ラブラブ・モードのスウィート&メロウ・チューンが展開されます。息ピッタリの夫婦ヴォーカルがかなりグッときます。ザンオールスターズのデビュー・アルバム『熱い胸さわぎ』収録の「瞳の中にレインボウ」は本曲に因んだタイトルであることは有名ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XreurSdHICY

本曲と言えば、フリーソウル・クラシックとして人気のAl JarreauやJudy Robertsのカヴァーも外せませんね。あとはDoug Parkinson & The Southern Star Bandヴァージョンも忘れてはいけませんね。

Al Jarreau「Rainbow In Your Eyes」
 http://www.youtube.com/watch?v=M78-VVs6DVc

「Like A Dream Come True」
『Will O' The Wisp』の雰囲気を受け継いだしっとりとした仕上がりです。夢は叶う・・・

「Love's Supposed To Be That Way」
スワンプ大将らしいスワンピーなソウル・チューンに仕上がっています。Maryのソウルフル・ヴォーカルを堪能しましょう。

「Fantasy」
本作らしいシンセ・サウンドが目立つコズミックで神秘的な1曲。独特の魅力がありますね。ブロークンビーツ的なリズムでリミックスするとハマりそうな気がします。以前に紹介したJudy Robertsによるブラジリアン・テイストのカヴァーもグッド!

Judy Roberts Band「Fantasy」
 http://www.youtube.com/watch?v=tQesu8OBnig

「Satisfy You」
「Rainbow In Your Eyes」と同タイプのラブリーな仕上がり。シンセ・サウンドが目立つ本作ですが、ここではLeonの小粋なピアノを堪能できます。

「You Are On My Mind」
シンセ・サウンドを前面に打ち出した1曲。スワンピーなテイストとシンセ・サウンドが上手く融合させることに成功しています。Maryの躍動するヴォーカルにグッときます。

「Lavender Blue (Dilly Dilly)」
英国のフォーク・ソングを見事なカヴァーです。程好くポップながらもソウルフルな味わいでまとめているのが素晴らしいですね。

「Quiet Nights」
LeonとJulius Wechterの共作。作者Julius Wechterのマリンバも入った南国気分のロマンティック・チューンです。

「Windsong」
個人的には「Rainbow In Your Eyes」と並ぶイチオシ曲。聴いていると思わず胸キュンになるビューティフル・ソングです。サイコー!

「Daylight」
ラストは「Rainbow In Your Eyes」と並ぶハイライトと呼べるBobby Womackプロデュース曲。Bobby自身のオリジナルは本作と同年にリリースされたアルバム『Safety Zone』に収録されています。Bobby自身のギターに、Willie Weeks(b)、Nigel Olsson(ds)がリズム隊を務めるバックも豪華です。オリジナルのメロウネスをさらに強めた仕上がりにグッときます。

Bobby Womack「Daylight」
 http://www.youtube.com/watch?v=HtdtoXNDLqg

『Make Love to the Music』(1977年)
Make Love to the Music
posted by ez at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする