録音年:1964年
ez的ジャンル:名アレンジャー系ラウンジ・ボッサ
気分は... :適者生存!
今回は名アレンジャー/ヴァイヴ奏者Gary McFarlandの代表作『Soft Samba』(1964年)です。
Gary McFarland(1933-1971年)はL.A.生まれのヴィブラフォン奏者/コンポーザー/アレンジャー。
バークリー音楽院で学んだ後、N.Y.へ進出したMcFarlandはGerry Mulliganのグループで活躍していたトロンボーン奏者Bob Brookmeyerに認められ、アレンジャーとして活躍するようになります。その仕事ぶりはStan Getz『Big Band Bossa Nova』(1962年)等で聴くことができます。
また、『Point Of Departure』(1963年)、『The Gary McFarland Orchestra』(1963年)、『Soft Samba』(1964年)等自身のリーダー作もコンスタントにリリースするようになります。
1968年には同じヴァイヴ奏者のCal Tjader、ギタリストのGabor Szaboと共にSkye Recordsを設立し、さらに勢力的に活動するようになります。当ブログでもCal Tjader『Sounds Out Burt Bacharach』、Wendy & Bonnie『Genesis』といったSkye Records作品を紹介済みです。
しかし、1971年の『Butterscotch Rum』(画家/詩人のPeter Smithとの共作)をリリースした直後に心臓発作で急死してしまいます。享年38歳。
ジャズの枠に止まらないポップ/ボサノヴァ/ラウンジ・センスで現在でも幅広い人気を誇るアーティストですね。
サバービア好きの方には『Does The Sun Really Shine On The Moon?』(1968年)、『Today』(1969年)あたりが人気かもしれませんが、まずは基本アイテムとして代表作『Soft Samba』(1964年)をセレクトしました。
本作は名アレンジャーMcFarlandがポップスのボサノヴァ化に取り組んだ作品です。
有名な映画音楽、ポピュラー・ソング、The Beatles作品等がラウンジ感覚のボッサ・チューンで楽しむことができる1枚です。
レコーディングには、Gary McFarland(vib、arr)、Jimmy Cleveland(tb)、Seldon Powell(fl)、Spencer Sinatra(fl)、Antonio Carlos Jobim(g)、Kenny Burrell(g)、Patti Bowen(p)、Sol Gubin(ds)、Willie Bobo(per)、Arnie Wise(per)、Richard Davis(b)等のメンバーが参加しています。
インパクトのあるキラーチューンはありませんが、アルバム1枚通して極上のラウンジ気分を満喫できる作品に仕上がっています。スキャット入りなのもグッドですね!
年末にラウンジ感覚のボッサ・チューンで1年間の疲れを癒すというはいかが?
全曲を紹介しときやす。
「Ringo」
Jerry Mack/Linda Laurie作品。哀愁モードの演奏でアルバムはスタートします。
「From Russia With Love」
映画007シリーズ第2弾『007 ロシアより愛をこめて(From Russia with Love)』の主題歌をカヴァー(Lionel Bart)。有名なこの主題歌を軽快なボッサ・チューンへ変貌させた演奏は実にフレッシュ!
「She Loves You」
The Beatlesのカヴァー1曲目。お馴染みの大ヒット曲をラウンジ感覚のボッサ・チューンで楽しめます。Rita Lee『Bossa'n Beatles』を聴いた時にも思いましたが、この曲ってボサノヴァとの相性抜群ですね!
http://www.youtube.com/watch?v=LWWZQEixlLQ
「A Hard Day's Night」
The Beatlesのカヴァー2曲目。本作に収録された4曲のThe Beatlesカヴァーの中で最もお気に入りがコレ。McFarlandのアレンジ・センスが冴え渡ったラウンジ・ボッサに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=zx29R7xt598
「The Good Life」
Sacha Distel作による有名なポピュラー・ソングのカヴァー(フランス語原題「La Belle Vie」)。この曲はMcFarlandワールドにバッチリはまりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=nf5Lp39XYnU
「More (Theme From The Film "Mondo Cane") 」
1962年のイタリア映画『Mondo Cane(邦題:世界残酷物語)』の主題歌カヴァー(Riz Ortolani/Nino Oliviero作)。当ブログでは以前にBalancoによる女声スキャット・ボッサ・カヴァーを紹介済みです。本ヴァージョンも200%ラウンジ・ボッサ気分を満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=EPCL0VgIKjU
「And I Love Her」
The Beatlesのカヴァー3曲目。口笛でメロディが奏でられる小粋なアレンジにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=YlaHuzhHlLU
「The Love Goddess」
映画『The Love Goddess』の主題歌カヴァー(Percy Faith作)。リラックス・モードのゆっくり寛げる演奏がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Q_bCk8rjzhc
「I Want To Hold Your Hand」
The Beatlesのカヴァー4曲目。男性スキャットとヴァイヴの響きとボッサ・リズムが実に調和しています。
http://www.youtube.com/watch?v=hCBLg-zxUFk
「Emily」
1964年の映画『The Americanization of Emily(邦題:卑怯者の勲章)』の主題歌カヴァー(Johnny Mercer/Johnny Mandel作)。2分足らずの短い演奏ながらもエレガントなラウンジ・チューンに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=bJyOdW2WfhM
「California, Here I Come」
1921年のブロードウェイ・ミュージカル『Bombo』主題歌カヴァー(Al Jolson/Buddy DeSylva/Joseph Meyer作)。僕の一番のお気に入り曲。ジャズ・サンバのリズムが心地好く響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=0CDblNkl3pk
「La Vie En Rose」
ラストはEdith Piafの代表曲をカヴァー(Edith Piaf作詞/Louis Gugliemi作曲)。少しヨーロピアンな雰囲気にグッときます。
興味がある肩は他のGary McFarland作品もどうぞ!
『The Jazz Version of "How to Succeed in Business Without Really Trying"』(1961年)
『Point Of Departure 』(1963年)
『The Gary McFarland Orchestra』(1963年)※Bill Evansをフィーチャー
『The In Sound 』(1965年)
Gary McFarland & Gabor Szabo『Simpatico』(1966年)
『Eye of the Devil』(1966年)
Gary McFarland & Steve Kuhn『The October Suite』(1967年)
『Does The Sun Really Shine On The Moon?』(1968年)
『America The Beautiful:An Account Of Its Disappearance』(1968年)
『Today』(1969年)
Gary McFarland/Peter Smith『Butterscotch Rum』(1971年)