2011年01月11日

Starpoint『It's So Delicious』

B級グルメのようにデリシャス!☆Starpoint『It's So Delicious』
It's So Delicious
発表年:1983年
ez的ジャンル:B級エレクトリック・ファンク/ブラコン
気分は... :デリシャス!

NFLは昨日NFLのワイルドカード・プレーオフの残り2試合「チーフス対レイブンズ」「イーグルス対パッカーズ」が行われ、レイブンズ、パッカーズが勝ち上がりました。個人的には復活したQBビック擁するイーグルスに期待していたのですが・・・

次はディビジョナル・プレーオフですが、AFCは「スティーラーズ対レイブンズ」「ペイトリオッツ対ジェッツ」という同地区のライバル同士が激突する好カード2試合になりました。この4チームは全てチャンピオンに相応しい強豪ですね。

一方のNFCは「ファルコンズ対パッカーズ」「ベアーズ対シーホークス」という対戦ですが、こちらは本命不在という印象です。

気が早いですが、今年のスーパーボウルはAFC出場チームの楽勝という気がします。

さて、今日はB級エレクトリック・ファンク/ブラコンが聴きたい気分です。
そこでセレクトしたのがStarpoint『It's So Delicious』(1983年)です。

メリーランド出身のPhillips兄弟を中心に結成されたファンク・グループStarpointの紹介は、『Wanting You』(1981年)に続き2回目となります。

本作『It's So Delicious』(1983年)はグループの5thアルバムとなります。

メンバーは、Ernesto Phillips(g、vo、key)、George Phillips(vo、key)、Orlando Phillips(b、vo、key)、Gregory Phillips(ds、vo)、Kayode Adeyemo(back vo)、Renee Diggs(vo)という不動の6名です。プロデューサーもお馴染みLionel Jobが務めています。

前回紹介した3rd『Wanting You』あたりと比較すると、よりブラコン/エレクトリック・ファンク色が強い内容になっています。

個人的には紅一点Renee Diggsのヴォーカルをフィーチャーしたスロウがお気に入りですが、改めて聴くとこの時代らしいエレクトリック・ファンクにもシンパシーを感じてしまいます。

ジャケのRenee Diggsの衣装のようにセンスが良いのか、悪いのかよくわかりませんが(笑)、B級グルメのようなデリシャス感が魅力だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Don't Be So Serious」
シングルとして全米R&Bチャート第14位となったオープニング曲。MJの「Don't Stop 'Til You Get Enough」を思い切りB級にしたようなダンス・チューン。良く悪くも80年代的なキラキラ感が印象的です(笑)

「Put Your Love On Me」
Renee Diggsのヴォーカルを前面に押し出したミディアム・チューン。ロック的なギター・サウンドが目立ちます。
http://www.youtube.com/watch?v=_1TmBdoAwbA

「Somethin' In Your Eyes」
僕の一番のお気に入り曲。Renee Diggsのキュートなヴォーカルの魅力を堪能できる胸キュンのメロウ・バラード。聴いているだけでトキメキます!
http://www.youtube.com/watch?v=4rC-R6Pysk4

「It's So Delicious」
タイトル曲はシングルにもなりました。この時代らしいエレクトリック・ファンクに仕上がっています。こういうサウンドにグッときてしまうのはオジサンの証でしょうか(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=qEESoSpU0vg

「Behind Your Back」
この曲もサウンドのブリブリ感にグッとくるダンサブルなエレクトリック・ファンク。このB級ノリがクセになります。
http://www.youtube.com/watch?v=Z-8zy4ToIWw

「Give Real Love A Try」
シングルにもなったバラード曲。ここではハイトーンの男性リード・ヴォーカル(Ernesto or George)で熱唱します。
http://www.youtube.com/watch?v=nl9NDoJpcxY

「I'M So Crazy 'Bout You」
この曲もシングルになりました。軽快なダンサブル・サウンドがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=WSneDmXB_7s

「I Got The Love」
「Somethin' In Your Eyes」と並ぶ僕のお気に入り。アーバン・メロウなブラコン・サウンドとReneeの艶やかなヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=8V0ED4C1u1w

「Let Go」
ラストは80年代全開のエレクトリック・ファンクです。B級のデリシャス感を楽しみましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=jHA71dox3JM

『Wanting You』(1981年)
Wanting You
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2011年01月10日

Osmar Milito『... E Deixa O Relogio Andar!』

ブラジリアン・ソフトロックの名盤!☆Osmar Milito『... E Deixa O Relogio Andar!』
E Deixa O Relogio Andar
発表年:1971年
ez的ジャンル:ブラジリアン・ソフトロック
気分は... :何とか引き分け・・・

昨日はNFL、ラグビー大学選手権決勝、サッカー日本代表と終日スポーツを楽しんだ1日でした。

NFLのワイルドカード・プレーオフ「シーホークス対セインツ」「コルツ対ジェッツ」は共に劇的な試合でした。

まさか昨シーズンの王者セインツがシーホークスに敗れると予想したNFLファンは皆無だったのでは?まさにプレーオフ史上、最大の番狂わせだったかもしれません。セインツはシーホークスのことをナメてたかもしれませんね。

ワイルドカード屈指の好カードとなった「コルツ対ジェッツ」は予想通り僅差のゲームとなりました。終了間際、コルツが逆転FGを決めた時点で誰しもコルツ勝利と思ったはずです。ジェッツが残り1分もないところから奇跡なドライブを行い、試合終了と同時の再逆転FGで見事に勝利しました。コルツは逆転FG直後のキックオフで一瞬気が緩み、大きなリターンを許してしまったことが命とりとなりましたね。勝負の怖さを

サッカー日本代表は、よくやくザック・ジャパンの公式戦を観ることができました。
日本にとっては冷や汗ものの初戦でしたね。あの状況であれば引き分け勝ち点1で良しとすべきでしょう。個人的にはアジア杯の勝敗で大騒ぎするつもりはありませんが、準備不足のまま大会に突入して簡単に勝てる程アジアは甘くないという点を再認識できたと思います。

 「香川はやはりサイドではなく中央で使うべき」
 「OGもあったけどDF吉田は及第点じゃない」
 「やはり日本にはサイドアタッカーがいないなぁ」
というのが個人的な感想です。初戦を踏まえて次戦どのように立て直してくるかが楽しみです。

今回はブラジリアン・ソフトロックの名盤Osmar Milito『... E Deixa O Relogio Andar!』(1971年)です。

Osmar Militoは1941年ブラジル、サンパウロ生まれのコンポーザー/アレンジャー/キーボード奏者。Sergio Mendes & Brasil '66の弟分グループBossa Rioのメンバーでした。

『... E Deixa O Relogio Andar!』(1971年)、『Nem Paleto, Nem Gravata』(1973年)、『Viagem』(1974年)、『Ligia』(1978年)といったソロ・アルバムをリリースしています。

本作『... E Deixa O Relogio Andar!』(1971年)は、ブラジリアン・ソフトロック幻の名盤としてアナログ盤が高値取引されていましたが、2006年にようやくCD化が実現した作品です。

ジャケが冬っぽくて良いですよね。
しかしながら、中身はジャケの雰囲気とは異なるドリーミーなブラジリアン・ソフトロックに仕上がっています。

本作では女性1人、男性3人の4人組コーラス・グループQuarteto Formaを大きくフィーチャーしており、彼らの爽快&ドリーミーなコーラスワークがアルバム全体の大きな魅力となっています。さらにはMarcos ValleLuiz Ecaもレコーディングに参加しています。Luiz Ecaはストリングス・アレンジも務めています。

本作以外にもブラジルを代表する優良MPBレーベルSom Livreからリリースされた作品です。

ブラジル好き、ソフトロック好きの人にはぜひ聴いて欲しい1枚です。

全曲紹介しときやす。

「E Deixa O Relogio Andar」
Nonato Buzar/William Prado作。オープニングはQuarteto Formaの爽快なコーラスとサンバのリズムが心地好い至極のブラジリアン・ソフトロックです。
http://www.youtube.com/watch?v=ogcP-bggAEY

「A Famous Myth」
映画『Midnight Cowboy(邦題:真夜中のカウボーイ)』でThe Groopが歌っていたソフトロック名曲をカヴァー(Jeffrey M. Camanor作)。当ブログではセルメン・フォロワー系グループThe Carnivalのカヴァーも紹介済みです。本ヴァージョンもオリジナルの魅力を受け継いだドリーミーな仕上がりです。ここでもQuarteto Formaが素晴らしいコーラスワークを披露してくれます。

The Groop「A Famous Myth」
 http://www.youtube.com/watch?v=BZO9GVqp-94

「Que Bandeira」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle/Marlozinho Rocha作。Marcos Valleのオリジナルは『Garra』(1971年)に収録されています。本ヴァージョンはQuarteto Formaの歯切れの良いコーラスワークを活かした小粋な仕上がりです。

Marcos Valle「Que Bandeira」
 http://www.youtube.com/watch?v=IFOeRfY3m84

「Cantaloup Island」
Herbie Hancockのお馴染みの名曲をカヴァー。インストですがグルーヴィーなリズムがサイコーです。Herbieには申し訳ありませんが、オリジナルよりも格好良いと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=mru2u5FjDo0

「Garra」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。Marcos Valleのオリジナルは『Garra』(1971年)に収録されています。この曲もインストですが、開放的な演奏が実に心地好いです。
http://www.youtube.com/watch?v=hEyIXfBcMNM

Marcos Valle「Garra」
 http://www.youtube.com/watch?v=o3s6NucID_w

「Chovendo Na Roseira」
Antonio Carlos Jobim作品のカヴァー。フェンダーローズのメロウな音色とQuarteto Formaのドリーミーなコーラスがマッチしたロマンティック・チューンに仕上がっています。

「Rita Jeep」
Jorge Benのカヴァー。オリジナルは『Negro E Lindo』(1971年)に収録されています。オリジナルのリズミックな雰囲気を活かしつつも、Quarteto Formaのコーラスワークの魅力を前面に打ち出したミラクルなブラジリアン・ソフトロックに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=RnFypDxEuXY

Jorge Ben「Rita Jeep」
 http://www.youtube.com/watch?v=j1qxBKYlob8

「What Are You Doing For The Rest Of Your Life」
Michel Legrand作品。オリジナルは1969年の映画『The Happy Ending』の挿入歌です。哀愁を帯びたイージーリスニング調の仕上がりで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=nYF65vNkxKQ

「The Rio For Love」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle/Osmar Milito作。ドリーミーなソフトロック・チューン。Quarteto Formaのコーラスがサイコーです。ソフトロック好きの人であれば、かなりグッとくる仕上がりだと思います。

「Mercy Mercy Mercy」
Joe Zawinul作の名曲カヴァー。オリジナルは当ブログで紹介したCannonball Adderley『Mercy, Mercy, Mercy!』(1968年)に収録されています。Quarteto Formaのスキャット入りのリラックスした仕上がりがグッド!中盤以降のエキサイティングなリズムにもグッときます。

「Mudei De Ideia」
Antonio Carlos e Jocafiのカヴァー。Antonio Carlos e Jocafiのオリジナルは『Mudei De Ideia』(1971年)に収録されています。オリジナルをよりポップでキャッチーにした仕上がりにグッときます。ブラジリアン・ソフトロックらしい1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=MGAkt5VJG0o

Antonio Carlos e Jocafi「Mudei De Ideia」
 http://www.youtube.com/watch?v=Bx0EkmHn9t0

「Ta Falado」
Ivan Lins/Ronaldo Monteiro de Souza作。歯切れの良い軽快なリズムが魅力のインスト・カヴァーです。

「Joao Bello」
Osmar Milito作。ラストは緩急をうまくつけたファンキー&メロウなインストで締め括ってくれます。

ご興味のある方は他のOsmar Milito作品もチェックを!

『Nem Paleto, Nem Gravata』(1973年)
ネン・パレトー、ネン・グラヴァッタ(紙ジャケット仕様)

『Viagem』(1974年)
ヴィアージェン(紙ジャケット仕様)

『Ligia』(1978年)
LIGIA (1978)

また、本作で素晴らしいコーラスを聴かせてくれるQuarteto Formaのアルバム『Quarteto Forma』(1970年)もチェックを!

Quarteto Forma『Quarteto Forma』(1970年)
クアルテート・フォルマ
posted by ez at 00:15| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月09日

Avant『The Letter』

Verve移籍第一弾アルバム!Avantからファンへ宛てた手紙☆Avant『The Letter』
The Letter
発表年:2010年
ez的ジャンル:セクシー系男性R&B
気分は... :大人のセクシー&メロウは健在!

セクシーな男性R&BシンガーAvantの昨年末にリリースされた新作『The Letter』です。

昨年末の新作R&Bラッシュの中で埋もれてしまっている感のある1枚ですが、なかなか充実のセクシー&メロウR&Bに仕上がっています。

これまで当ブログで紹介したAvant作品は以下の3枚。

 『Private Room』(2003年)
 『Director』(2006年)
 『Avant』(2008年)

本作『The Letter』はVerve移籍第一弾アルバムとなります。前作『Avant』(2008年)でGeffenからCapitolへ移籍したAvantでしたが、結局Capitolでは1枚のみのアルバム・リリースとなりました。

正直、頻繁にレーベルを移籍するのはアーティストにとっては好ましい環境とは言えないので多少心配しましたが、相変わらずの大人のセクシー&メロウ路線で安堵しました。

アルバム・タイトルは、デビューから10年が経ち、自分のこれまでの生き方を綴ったAvantからファンへ宛てた手紙という意味合いがあるようです。

The Pentagon(Damon Thomas、Eric Dawkins、Antonio Dixon)、Kajun、Mike City、Marshall Leathers等がプロデューサーに起用されています。

決して派手な作品ではありませんが、メロディと歌を重視したメロウR&Bは貴重な存在だと思います。

大人のセクシー&メロウR&Bをお探しの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Graduated」
オススメその1。オープニングはセクシー&メロウなR&Bチューン。本作でもAvantらしいセクシーさは健在です。Coop The Truth/Avantプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=WCeRM5-7oAg

「Hot 16」
オススメその2。ギュっと胸を締め付けられるような切ないメロウネスがたまりません。The Pentagonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=rEQ6TE66Vlw

「Kiss Goodbye」
オススメその3。アルバムからの1stシングル。派手さはありませんが、しっかりと胸に響く美メロのミディアム・スロウに仕上がっています。The Pentagonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=yNlbz0VO17g

「Had Enough」
Kajun/Avantプロデュース。バウンジーな仕上がりは僕の好みではありませんが、アルバムのアクセントにはなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=nreOTb4yjsA

「Body Police」
オススメその4。僕の一番のお気に入り。アルバムの中でも抜群の美しさを持つ1曲。セクシー&メロウなAvantの魅力を存分に堪能できます。Kajun/Avila Brothersプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=YjRm9WfZvhM

「Nightlife」
オススメその5。アーバン・ナイトなR&Bチューン。適度にビート感があるのがいいですね。Mike City/Avantプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=bk0sDQeCQnk

「Your Body is the Business」
オススメその6。しっかりメロディを聴かせてくれるセクシー&ソフトリーなメロウ・チューン。Berris Bolton/Avantプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=y7KjN8twNVI

「Wake Up」
セクシー・モードで熱唱するバラード。The Pentagonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=WpSHKYSQ3Xk

「That Dude」
キャッチーな仕上がりですが、僕の好みではありません。Marshall Leathersプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=6kH8SGSGpBc

「Where Did We Go」
メランコリック・モードの哀愁チューン。The Pentagonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=mO_scBU1FX0

「Walking On Water」
ラストは美しいバラードでしっとりと締め括ってくれます。The Pentagonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=scnIYTjoFcU

Avant作品の過去記事もご参照下さい。

『Private Room』(2003年)
Private Room

『Director』(2006年)
Director

『Avant』(2008年)
Avant
posted by ez at 00:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月08日

Les McCann『Much Les』

"ニュー・ソウルの父"によるソウルフル・ジャズ☆Les McCann『Much Les』
Much Les
発表年:1969年
ez的ジャンル:"ニュー・ソウルの父"系ソウルフル・ジャズ
気分は... :流れゆくままに...

今回はLes McCann『Much Les』(1969年)です。

Les McCannは1935年ケンタッキー州レキシントン生まれのジャズ/ソウル・ピアニスト&ヴォーカリスト。

1960年代初めから勢力的にレコーディングを行い、Atlanticへ移籍した1960年代後半からはソウル色を強め、Eugene Mcdaniels作の「Compared to What」をヒットさせ、Roberta Flackを見出すなどニュー・ソウルの誕生に大きく貢献しました。

ジャズとソウルを股に掛けた彼の音楽は現在でもサンプリングソースやクラブシーンで人気です。

ジャズ・ピアニストでありながら"ニュー・ソウルの父"と呼ばれるあたりに、彼の音楽性を窺うことができますね。

そう言えば、昨年リリースされたJohn Legend & The Rootsによるニュー・ソウル・カヴァー集『Wake Up!』でも「Compared to What」がカヴァーされていましたね。

60年代から数多くのアルバムを残しているMcCannですが、人気があるのは60年代後半から70年代半ばあたりの作品だと思います。具体的には、『Bucket of Grease』(1967年)、Les McCann & Eddie Harris『Swiss Movement』(1969年)、『Much Les』(1969年)、『Comment』(1970年)、Les McCann & Eddie Harris『Second Movement』(1971年)、『Invitation To Openness』(1971年)、『Talk To The People』(1972年)、『Live At Montreux』(1973年)、『Another Beginning』(1974年)、『Layers』(1974年)、『Hustle To Survive』(1975年)といったところでしょうか。

今日紹介する『Much Les』(1969年)は、Les McCann & Eddie Harris『Swiss Movement』(1969年)、『Comment』(1970年)あたりと並び、ニューソウルへと向かっていく時期の作品です。

Les McCann(p)、Leroy Vinnegar(b)、Donald Dean(ds)という基本メンバーに、曲によってWillie Bobo (timbales)、Victor Pantoja(conga)およびストリングスが加わり、レコーディングが行われました。

全体的にはソウルフルなジャズ作品という印象であり、70年代作品のように思い切りソウルしている訳ではありません。ヴォーカル曲も1曲のみです。それでもソウルフルなジャズを存分に堪能できる充実の1枚だと思います。特にストリングスを配した演奏がかなりグッときます。

「Benjamin」「Roberta」はサンプリングソースにも使われています。

全曲紹介しときやす。

「Doin' That Thing」
オープニングはLeroy Vinnegar作。McCann、Vinnegar、Deanのピアノ・トリオに、Willie Bobo、Victor Pantojaのパーカッション、さらにストリングスが加わっています。軽快でリズム感のある演奏に雄大なストリングスが見事に融合した素晴らしい演奏です。

「With These Hands」
Abner Silver/Benny Davis作のスタンダードをMcCannのヴォーカル入りでカヴァー。スタンダードらしいロマンティックなバラードに仕上がっています。本作唯一のヴォーカル曲ですが、McCannのヴォーカルは例のソウルフルなダミ声ではなく、かなりスマートです(笑)

「Burnin' Coal」
Les McCann作。ハンドクラップが始まるゴキゲンなファンキー・チューン。ソウル・ジャズ好きの人には間違いない演奏です。

「Benjamin」
Les McCann作。哀愁モードのピアノ・ジャズ。ストリングスが哀愁ムードを高めてくれます。Mobb Deep「Right Back At You」、Ak Skills「East Ta West」のサンプリングソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=iEdct1Ah4pA

Mobb Deep「Right Back At You」
 http://www.youtube.com/watch?v=GjyZi2jYa8k

「Love For Sale」
Cole Porterの名曲カヴァー。当ブログではJorge DaltoGene HarrisDexter GordonAnita O'Dayのカヴァーを紹介済みです。本ヴァージョンでは、かなりノリの良い軽快な演奏を聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=yWmr73V6Yw4

「Roberta」
Les McCann作。ひたすら美しい演奏に感動する1曲。きちんと調べた訳ではありませんが、タイトルはRoberta Flackに因んだものだと思います。クレジットにも"Sweet Inspiration:Roberta Flack"と表記してあります。本曲はAfu-Ra「Whirlwind Thru Cities」、E Bros「Funky Piano」、I-Power「Play Da Back 96」のサンプリング・ネタになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=pU35VakerlY

Afu-Ra「Whirlwind Thru Cities」
 http://www.youtube.com/watch?v=7tNNhQMQv5w
E Bros「Funky Piano」
 http://www.youtube.com/watch?v=QaOzNtiTLwM
I-Power「Play Da Back 96」
 http://www.youtube.com/watch?v=YMxyNzgVN7E

興味がある方は他のLes McCann作品もチェックしてみて下さい。

『Bucket O' Grease』(1967年)
バケット・オ・グリーズ

Les McCann & Eddie Harris『Swiss Movement』(1969年)
Swiss Movement

『Comment』(1970年)
Comment

Les McCann & Eddie Harris『Second Movement』(1971年)
Second Movement

『Invitation To Openness』(1971年)
Invitation to Openness

『Talk To The People』(1972年)
Talk to People

『Another Beginning』(1974年)
Another Beginning

『Layers』(1974年)
Layers

『Hustle To Survive』(1975年)
Hustle to Survive
posted by ez at 14:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月07日

Bo Kaspers Orkester『I Centrum』

冬にピッタリ!小粋なスウェディッシュ・ジャジーポップ☆Bo Kaspers Orkester『I Centrum』
I Centrum
発表年:1998年
ez的ジャンル:スウェディッシュ・ジャジーポップ
気分は... :結末は描かない方が良い・・・

昨日、たまたまTVで映画『トニー滝谷』を観ました。
『トニー滝谷』は村上春樹の短編小説を映画化した2005年の作品です。

主要な登場人物はイッセー尾形と宮沢りえ(一人二役)の二人のみというシンプルな設定で、ストーリーも村上作品らしく劇的な結末がない淡々としたものですが、それが逆に心に刺さる何かを伝えてくれます。独特の雰囲気を持つ映像も魅力的で、西島秀俊のナレーションと坂本龍一の音楽も実に効果的に配されていました。

村上作品の魅力を見事に映像で表現した作品という印象を受けました。

さて、今回は冬にピッタリ!小粋なスウェディッシュ・ジャジーポップBo Kaspers Orkester『I Centrum』(1998年)の紹介です。

Bo Kaspers Orkester(略称BKO)はスウェーデンのストックホルムで1991年に結成されたジャジーポップ・グループ。

結成時のメンバーは、Bo Kasper(vo、g)、Fredrik Dahl(ds)、Michael Malmgren(b)、Mats Asplen(key、g)、Lars Halapi(g)の5名。このうち、Lars Halapiは1996年にグループを脱退しています。

グループはこれまで『Sondag I Sangen』(1993年)、『Pa Hotell』(1994年)、『Amerika』(1996年)、『I Centrum』(1998年)、『Kaos』(2001年)、『Vilka Tror Vi Att Vi Ar』(2003年)、『Hund』(2006年)、『8』(2008年)、『New Orleans』(2010年)といったアルバムをリリースしています。

基本的にはジャズの影響が強いポップ・グループだと思います。アシッド・ジャズのグループという紹介もありますが、彼らにはジャジーポップという表現の方がマッチしていると思います。スウェーデンを含む北欧は昔からジャズが盛んな土地柄であり、現在も最新クラブジャズの発信源となっていますが、BKOもそんなジャズ文化をベースに持つ北欧らしいポップ・グループです。ただし、こういったタイプのジャジーポップって、ありそうで無いのでは?

日本では知名度が低いBKOですが、最も有名な作品は本国スウェーデンで大ヒットし、日本でも国内盤が発売された3rd『Amerika』(1996年)だと思います。

今日紹介する『I Centrum』(1998年)は、大ヒットした『Amerika』に続く4thアルバムです。本国スウェーデンではアルバム・チャート初登場第2位という話題作でしたが、日本では残念ながらさほど話題になりませんでした。

僕が本作『I Centrum』がお気に入りなのは、小粋なジャジーポップのみならず、Curtis Mayfield風のグルーヴィー・ソウル、ラテン、アーバン・メロウ、Van Morrison風の激シブ・ロックといったように多彩な内容のアルバムになっている点です。

輸入盤と国内盤ではジャケが異なりますのでご注意を!

『I Centrum』(国内盤)
セントラル

約2週間前に紹介したLabradorなんかもそうですが、北欧のポップ・グループって何故こんなにハイセンスなんですかね?

全曲紹介しときやす。

「Allt Ljus Pa Mig」
オススメその1。オープニングは、Curtis Mayfieldあたりの70年代ソウルを彷彿させるグルーヴィー・チューン。70年代グルーヴィー・ソウルとスウェディッシュ・ポップの融合といった感じの格好良い仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=aSIjWWmgJTQ

「En Javel Vid Mitt Ora」
オススメその2。BKOらしい小粋なジャズ・チューン。彼らのセンスの良さがよく出た1曲だと思います。

「Undantag」
オススメその3。アルバムからの1stシングル。グループの新機軸を打ち出した哀愁モードのラテン・チューンに仕上がっています。スウェーデン語の語感が意外とラテンのリズムとマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=N6uY53Q3mMA

「Cigarett」
ピアノを中心としたジャジー・チューン。素朴でノスタルジックなムードがグッド!

「Vissa Har Det」
オススメその4。ジャジーHip-Hopのトラックにそのまま使えそうなアーバン・メロウな仕上がり。アーバン・メロウ好きの人は絶対に気に入るはず!

「Semester」
オススメその5。枯れた味わいが魅力のポップ・チューン。Van Morrisonを思い切りスタイリッシュにしたような渋いセンスにグッときます!実際、彼らはVan Morrison好きのようです。
http://www.youtube.com/watch?v=Ms9LjsOnIns

「Fyrarattersmal」
「Undantag」に続く哀愁ラテン・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=fLoneSMeJdY

「Innan Jag Sa Hej」
オススメその6。ビター・スウィートなジャジー・ポップ。フェイク・ジャズな雰囲気が逆に魅力的です。この曲にも軽くラテン・フレイヴァーが効いています。

「Brollopsresan」
映画音楽のようなエレガントなストリングスが印象的です。

「Finnas Battre Till」
オススメその7。ありきたりですが、"センス抜群"としか言いようがないクールなジャジー・チューン。Chet Bakerが現代に蘇ってジャジー・ポップするとこんな感じでは?

「Onska Dig En Stilla Natt」
ラストはクリスマス・ソング。神聖な気持ちになる清らかな仕上がっています。

国内盤には、「Undantag (Weekend Remix)」「Ser Du Stjarnan I Det Bla (Instrumental Version)」の2曲がボーナス・トラックとして収録されています。

興味がある方は、他のBo Kaspers Orkester作品もチェックしてみて下さい。本作以外であれば、ヒットした『Amerika』(1996年)あたりから聴くのが良いのでは?

ちなみに、カジヒデキの1stソロ・アルバム『ミニ・スカート』のアルバム・タイトルは、ミニスカートが写る『Amerika』のジャケ写真から影響を受けたようです。

『Sondag I Sangen』(1993年)
Sondag I Sangen

『Pa Hotell』(1994年)
Pa Hotell

『Amerika』(1996年)
Amerika

『Kaos』(2001年)
Kaos

『Vilka Tror Vi Att Vi Ar』(2003年)
Vilka Tror VI Att VI

『Hund』(2006年)
Hund

『8』(2008年)
8
posted by ez at 04:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする