発表年:1974年
ez的ジャンル:歌姫系MPB
気分は... :クリアランス・セールへ行きました!
昨日はタワーレコード渋谷店の輸入CDクリアランス・セールへ!
15時開場の10分前に着くと、既に地下1階から5階までの行列ができていました。
いざ入場すると、そこは戦場そのもの!
銀座のデパートの福袋並みに激闘でした。
個人的にはワールドものを期待していたのですが、スペースが小さい上に数名が占領状態で全く動かず・・・かなりムカついたので、よっぽど後ろから蹴飛ばしてやろうと思いましたが(笑)
そんな状況のため、Soul/R&B/Hip-Hopコーナーを中心に物色。ロックコーナーはスペースが広すぎてとても回る気がしなかったので最初から断念しました。
掘り出し物は少ないと予想していたので、あまり高望みせずにブックオフの250円〜500円コーナーでは見かけない作品を目安に漁ってみました。結果、18枚をゲット!1枚290円なので18枚でも5,220円で済みました。
収穫の一部を紹介しておきます。
Cymande『Promised Heights』(1974年)
Dionne Warwick『Just Being Myself』(1973年)
James "D-Train" Williams『In Your Eyes』(1988年)
First Love『Love at First Sight』(1982年)
Rodrigo Del Arc『A Kind of Bossa』(2009年)
とにかく疲れましたね。
と言いつつ、少し消化不良感があったのでディスクユニオンとレコファンにも立ち寄ることに・・・すると、レコファンで長年探していたLeroy Hutsonの『Hutson II』と『Closer to the Source』の2in1CDを安価で入手できたため、ようやくスカッとした気分で帰宅できました(笑)
帰宅後はぐったり状態・・・
そんなぐったりモードの中で女神のような女性ヴォーカルが聴きたくなりました。
セレクトしたのはGal Costa『Cantar』(1974年)です。
MPBの歌姫Gal Costaの紹介は『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)に続き2回目となります。
トロピカリズモの中心的な女性シンガーとしてデビューしたGal Costaは、Caetano VelosoやGilberto Gilといった盟友がブラジル軍事政権の弾圧を受けてイギリスへ亡命した後もブラジルに残り、そのイデオロギーを歌い続けました。
やがてトロピカリズモの時代が終わり、CaetanoやGilがブラジルへ帰国すると、Galも次のステージへステップ・アップし、音楽性の幅を広げると同時に、シンガーとして成熟していきます。
そんな中期Gal Costaの第1弾アルバムがGilberto Gilプロデュースの『India』(1973年)でした。その流れを受けて制作されたのが本作『Cantar』(1974年)です。
本作ではCaetano VelosoとPerinho Albuquerqueがプロデュースを務めています。さらに、Gilberto Gil、Joao Donatoもアレンジで参加しています。
試行錯誤しながらも、CaetanoやGilといった仲間と一緒に"歌うこと"を喜び、シンガーとしての成長を渇望するピュアなGalを堪能できるアルバムという気がします。内容もバラエティに富んでいて可憐なGalの歌声を多彩なスタイルで堪能できる点が大好きです。
そこにGal Costaの歌声があるだけで、気持ちが晴れやかになります。
やはり彼女は女神のようなシンガーですね。
聴けば聴くほど、Galの虜になるアルバムだと思います。
全曲紹介しときやす。
「Barato Total」
オープニングはGilberto Gil作品。Gil自身もギターで参加しています。そのGilのギターをバックに、Galの可憐な歌声が響き渡ります。この歌声を聴くだけで疲れが一気に吹き飛びます!!
http://www.youtube.com/watch?v=pfk6KxIUkq0
「A Ra」
Joao Donatoの名曲をカヴァー。Donato自身がアレンジ&ピアノで参加しています。当ブログでは『Quem e Quem』収録のDonato自身のヴァージョン、本曲の初録音となるSergio Mendes & Brasil '66のヴァージョン(タイトル「The Flog」)、Joao Gilbertoのカヴァー(タイトル「O Sapo」)を紹介済みです。GalヴァージョンはDonatoのエレガント&メロウ・アレンジが冴え渡るキュートな「カエル」を聴くことができます(笑)
「Lua, Lua, Lua, Lua」
Caetano Veloso作品。Caetano自身のヴァージョンは翌1975年にリリースされた名盤『Joia』に収録されています。神秘的なCaetano自身のヴァージョンと比較すると、Galヴァージョンはピュアな雰囲気ですね。作者Caetanoの変テコなコーラスは無くても良い気がしますが(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=kbp2HXYsbCA
「Cancao Que Morre No Ar」
Carlos Lyra/Ronaldo Boscoli作品。エレガントなストリングスが盛り上げてくれるロマンティックな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=cb7IoojuyT0
「Flor De Maracuja」
Joao Donato作品の2曲目。「パッションフルーツの歌」という邦題がぴったりな開放的なファンキー・チューンに仕上がっています。Chiquitoのカッティング・ギターとホーン隊が盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=xD34a7kSOwg
「Flor De Cerrado」
Caetano Veloso作品の2曲目。Perinho Albuquerqueのギターが素晴らしい爽快ボッサ・チューン。途中でCaetanoが名曲「Garota De Ipanema(イパネマの娘)」を引用するあたりが小粋ですね。
「Joia」
Caetano Veloso作品の3曲目。前述のように1975年にリリースされたCaetanoの名盤『Joia』のタイトル曲です。Galの歌とPerinho Albuquerqueが弾くBordaoとHermes ContesiniとBira Da Silvaが叩き出すリズムが一体化して呪術的な音世界を創っています。
http://www.youtube.com/watch?v=8h2FAlmLCEY
「Ate Quem Sabe」
Joao Donato 作品のの3曲目。当ブログではDonatoのオリジナル(『Quem e Quem』収録)、Tania Mariaのカヴァーを紹介済みです。GalヴァージョンはDonatoのピアノをバックした美しくロマンティックな仕上がりです。胸に込み上げてくるものがあります。
「O Ceu E O Som」
Pericles R. Cavalcanti作。邦題「空と音」。キュートなGalの魅力を堪能できる1曲。聴いているだけで気分はサンシャイン・モードに!Galにはこういったサンシャイン・ソングがよく似合いますな。
「Lagrimas Negras」
Jorge Mautner/Nelson Jacobina作。邦題「黒い涙」。哀愁を帯びたGalのヴォーカルとジャジー&ブルージーなサウンドでしっとりと聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=dFuHtat3J98
「Chululu」
Mariah Costa作。Joao DonatoのピアノをバックにGalの子守唄でアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=qEjhUoS5bks
Gal Costaの過去記事もご参照下さい。
『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)
本作が気に入った方は以下の3枚もチェックを!
『India』(1973年)
『Gal Canta Caymmi』(1976年)
『Caras E Bocas』(1977年)
また、本作とセットでCaetano Veloso『Joia』(1975年)を聴くのも楽しいかも?
Caetano Veloso『Joia』(1975年)