発表年:1993年
ez的ジャンル:オルタナ系ブラジル音楽
気分は... :Suzanoのパンデイロが凄い!!
今回は、ブラジル音楽シーンを代表する才能の一人Lenineと、同じくブラジル音楽シーンには欠かせないパンデイロ/パーカッション奏者Marcos Suzanoの共演作『Olho De Peixe(邦題:魚眼)』(1993年)です。
二人の存在を世界中の音楽ファンに知らしめ、その才能に注目が集まった名盤ですね。
Lenineのプロフィールについては、以前に紹介した『O Dia Em Que Faremos Contato』(1997年)の記事で簡単に触れたので、今回はMarcos Suzanoのプロフィールを簡単に紹介しますね。
Marcos Suzanoは1963年リオ・デ・ジャネイロ生まれ。14歳でパーカッションを始め、その後パンデイロ(タンバリン)に専念するようになります。
やがて、MPBの大物Paulo Mouraのバンドで活動するようになり、80年代後半にはMarisa Monte、Maria Bethania等のレコーディングへ参加するようになります。
さらに世界的リリースされたJoan Baez『Play Me Backwards』(1992年) への参加で刺激を受けたSuzanoは、今日紹介するLenineとの共演作『Olho De Peixe(邦題:魚眼)』(1993年)をリリースし、注目を集めるようになります。
そして、1996年には初のソロ名義でのアルバム『Sambatown』をリリースし、高い評価を受けました。さらに2000年には2枚目のソロ作『Flash』、2007年にはVictor Ramilとの共演作『Satolep Sambatown 』をリリースしています。
また、宮沢和史(ザ・ブーム)、山下洋輔といった日本人ミュージシャン作品への参加でも知られていますね。
当ブログで紹介した作品を振り返っても、Marisa Monte『Marisa Monte(MM)』、Celso Fonseca & Ronaldo Bastos『Paradiso』、『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』、Bebel Gilberto『Tanto Tempo』、Clara Moreno『Morena Bossa Nova』、Ana Costa『Novos Alvos』といった作品にSuzanoが参加しています。
こうして眺めると、Suzanoの参加作品に外れナシ!という気がします。
そんなSuzanoの名を世に知らしめたのが、今日紹介するLenine & Suzano『Olho De Peixe』です。共演のLenineのソングライター/音楽クリエイターとしての才能と相俟って、パンデイロ(タンバリン)という楽器の持つ魅力と可能性を存分に伝えてくれた作品です。
基本的にはLenineの歌&ギター、Suzanoのパンデイロ/パーカッションをベースにしたシンプル編成の演奏が目立つ作品ですが、それだけにLenineの書く曲の素晴らしさや、Suzanoによるパンデイロの驚愕の演奏を堪能することができます。
また、ブラジル音楽の枠に収まらないオルタナ感も魅力ですね。
ブラジルが誇る2つ才能を楽しみましょう!
全曲紹介しときやす。
「Acredite Ou Nao」
邦題「君が信じなくても」 。このオープニングに本作の魅力が凝縮されています。LenineのギターとSuzanoのパンデイロが生み出す、アコースティックなファンキー感覚に魅了されてしまいます。特にSuzanoのパンデイロが生み出すグルーヴには驚くばかりです。ライナーノーツにG. Love & Special Sauceあたりとの共通性が指摘されていましたが、確かにそういったミクスチャー感覚を持ったブラジル音楽という期がします。Lenine/Braulio Tavares作。
「O Ultimo Por Do Sol」
邦題「最後の日没」。Lenineのソングライターとしての才能を実感できる1曲。美しいメロディを堪能しましょう。Lenine/Lula Queiroga作。
http://www.youtube.com/watch?v=LMbaAXfRgsY
「Miragem Do Porto」
邦題「港の蜃気楼」。シンプルな編成なのに、このずっしりとくる感じは何なんでしょうね。Lenine/Braulio Tavares作。
http://www.youtube.com/watch?v=9g9URjj46zg
「Olho De Peixe」
邦題「魚の目」 。タイトル曲はCarlos Maltaのサックスも加わり、華やかな仕上がりです。Suzanoの凛としたリズムが全体を引き締めてくれます。Lenine作。
「Escrupulo」
邦題「不安」。オープニングの「Acredite Ou Nao」と並び、本作の先進性を感じることのできる1曲に仕上がっています。Lenineの次作『O Dia Em Que Faremos Contato』を予感させますね。Lenine/Lula Queiroga作。スタジオ・ヴァージョンとは多少雰囲気が異なりますが、二人による本曲ライブ映像があったので紹介しておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=PugXbRRZaHc
「O Que E Bonito?」
邦題「美しいものとは」。この曲はLenine一人による弾き語りです。Leninワールドを堪能しましょう。Lenine/Braulio Tavares作。
http://www.youtube.com/watch?v=Fk4aG11TE5M
「Caribenha Nacao/Tuaregue e Nago」
邦題「カリブの国/トゥアレグ族とナゴー王」。
Lenineによるア・カペラ「Caribenha Nacao」に続き、「Tuaregue e Nago」へと続きます。音が重なり次第に音の表情が豊かになっていく様がいいですね。Lenine/Braulio Tavares作。
「La e Lo」
邦題「高みの見物」。ロッキンなギター・サウンドも加わったスリリングなオルタナ感に魅了されます。Suzanoの繰り出す激しいリズムの洪水にテンション上がります。Lenine作。
「Leao Do Norte」
邦題「北のライオン」。切れ味鋭いリズム感に魅了されます。特に終盤のエキサイティングな展開にグッときます。Lenine/Paulo Cesar Pinheiro作。
http://www.youtube.com/watch?v=UyszadJkR50
「A Gandaia Das Ondas/Pedra E Areia」
邦題「波の花/石と砂」。ブラジル音楽らしい郷愁感を堪能できる1曲。Lenineはいい曲書きますね。Lenine/Braulio Tavares作。
http://www.youtube.com/watch?v=-V2XIvXDJT8
「Mais Alem」
邦題「遼遠なるもの」。ラストは壮大な世界観を持った楽曲で締め括ってくれます。まさに遼遠なる音世界です!
Lenine/Braulio Tavares/Lula Queiroga/Ivan Santos作。
http://www.youtube.com/watch?v=Ba8iY5wFlMs
Marcos Suzano、Lenineの他の作品もどうぞ!
Marcos Suzano『Sambatown』(1996年)
Marcos Suzano『Flash』(2000年)
Victor Ramil & Marcos Suzano『Satolep Sambatown 』(2007年)
Lenine『O Dia Em Que Faremos Contato』(1997年)
Lenine『Na Pressao』(1999年)
Lenine『Falange Canibal』(2002年)
Lenine『In Cite』(2004年)
Lenine『Labiata』(2008年)