発表年:2003年
ez的ジャンル:21世紀流ソウル・ミュージック
気分は... :虫の目ではなく鳥の目で!
唐突ですが、「虫の目ではなく、鳥の目で物事を眺める」ということを普段心掛けています。要は、「近視眼的な眺め方で大事なことを見逃す」といった事態に陥らないよう物事を俯瞰して眺めるということです。
こうしたスタンスは僕の音楽ライフにも影響しています。「特定の年代・ジャンルに縛られない」という当ブログのコンセプトはその典型ですね。年代・ジャンルのバラつき感は当ブログの運営で最もこだわっている点です。この振れ幅の大きさこそが僕流の音楽の楽しみ方なのかもしれません。
さて、今回はCalvin Richardsonによる"ソウル"アルバム『2:35 PM』(2003年)です。
ジャケの雰囲気に惑わされそうですが、本作は"R&B"より"ソウル"という言葉が相応しい1枚です。
Calvin Richardsonはノースカロライナ州モンロー生まれ。K-Ci & Jojoとは幼なじみだったそうです。
K-Ci & JojoがJodeciを結成したことを知り、それに刺激を受けてCalvinも本格的にR&Bシンガーの道を歩むようになった模様です。1999年にデビューのチャンスをつかみ、1stアルバム『Country Boy』(1999年)をリリースします。『Country Boy』にはK-Ciもゲスト参加しています。
Angie Stone『Mahogany Soul』(2001年)の「More Than A Woman」、Raphael Saadiq『Instant Vintage』(2002年)の「Excuse Me」といった話題の楽曲への参加を経て、2003年に今回紹介する『2:35 PM』をリリースし高い評価を得ました。
その後、『When Love Comes』(2008年)、『Facts Of Life: The Soul Of Bobby Womack』(2009年、Bobby Womackカヴァー集)、『American Most Wanted』(2010年)といったアルバムを発表しています。
今回紹介する『2:35 PM』(2003年)は、同じ年にリリースされたAnthony Hamilton『Comin' From Where I'm From』と並び当時のR&Bシーンに"ソウル復活"を強く印象づけた1枚ですね。
オーセンティックなソウル・チューンのみならず、ネオ・ソウルやHip-Hop経由のソウル・チューンも散りばめられており、単なる懐古趣味ではない、21世紀らしいソウル・アルバムに仕上がっているのが魅力だと思います。
Calvin Richardson本人に加え、Raphael Saadiq、The Underdogs、Slum Village、Young RJ、Mike City等がプロデュースしています。
アルバム全体を通じて、自然体な雰囲気が心地好いですよ!
ちなみにアルバム・タイトルはCalvinの子供が生まれた時間なのだとか。
全曲紹介しときやす。
「Keep On Pushin'」
本作のハイライト。Sam Cooke「A Change Is Gonna Come」を引用した出だしでグッとくるオープニング。シングルにもなりました。この1曲を聴けば、後にBobby Womackカヴァー集を出すのも納得ですね。Calvin Richardsonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=lXf1c0Tps30
「Falling Out」
Raphael Saadiq/Jake & The Phatmanプロデュース。Raphaelプロデュースらしいヴィンテージ感が魅力のソウル・チューン。ギター&ベースはRaphaelがプレイ。
http://www.youtube.com/watch?v=wq4DYgNP1XI
「I've Got To Move」
ネオ・ソウル感覚のシングル曲。こうした楽曲でアルバムの流れを野暮ったくしないあたりが心憎いですね。Jake & Trevプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=gJgqLC4HQYs
「I'm Worthy」
美しいメロディとはつらつとしたヴォーカルが清々しい1曲。Calvin Richardsonプロデュース。
「More Than A Woman」
Angie Stone『Mahogany Soul』(2001年)でAngie姉さんとデュエットしていた楽曲のセルフ・ヴァージョン。ここでは一人で歌っています。基本的には『Mahogany Soul』ヴァージョンと同じです。Eddie F & Darren Lightyプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=PO7zvVORx0s
「Not Like This」
The Underdogsプロデュース。アルバムでも屈指の美メロ・チューン。シングル曲にもありました。さすがはThe Underdogs!と思わせる素晴らしい仕事ぶりです。
http://www.youtube.com/watch?v=zafKrcSh6PM
「She's Got The Love」
Raphael Saadiq/Jake & The Phatmanプロデュース。ヴィンテージ感を漂わせつつ、ネオ・ソウルらしい浮遊感のあるグルーヴで体を揺らせます。
http://www.youtube.com/watch?v=KDwBKYlMli4
「You Got Me High」
故J Dillaが在籍していたHip-HopグループSlum Villageプロデュース&参加曲。アブストラクト感のあるトラックが他の楽曲とは異なる質感ですが、ソウルフルな味わいはしっかり保たれています。
http://www.youtube.com/watch?v=RoUqrTTskrg
「Put My Money On You」
レイドバック感が心地好いネオ・ソウル・チューン。リラックスできるグルーヴ感がグッド!Young RJプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=H8C8rXru6vI
「Your Love Is」
聴いている方が気恥かしくなりそうな直球勝負のラブ・バラード(笑)。Calvin Richardsonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=WCgR-jlS88g
「I Wansumo」
本作最もR&B寄りの仕上がり。でもアルバム全体のアクセントとしてこうした楽曲が1、2曲収録されていても良いと思います。Calvin Richardsonプロデュース。
「Cross My Heart」
ラストはMike Cityプロデュース。モロに僕好みの1曲。胸にグッとくるキャッチーな仕上がりがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=emDaYcxOLq8
興味がある方は他のCalvin Richardson作品もチェックを!
『Country Boy』(1999年)
『When Love Comes』(2008年)
『Facts Of Life: The Soul Of Bobby Womack』(2009年)
『American Most Wanted』(2010年)