2011年02月16日

Calvin Richardson『2:35 PM』

ソウル復活を強く印象づけた1枚☆Calvin Richardson『2:35 PM』
2:35 Pm
発表年:2003年
ez的ジャンル:21世紀流ソウル・ミュージック
気分は... :虫の目ではなく鳥の目で!

唐突ですが、「虫の目ではなく、鳥の目で物事を眺める」ということを普段心掛けています。要は、「近視眼的な眺め方で大事なことを見逃す」といった事態に陥らないよう物事を俯瞰して眺めるということです。

こうしたスタンスは僕の音楽ライフにも影響しています。「特定の年代・ジャンルに縛られない」という当ブログのコンセプトはその典型ですね。年代・ジャンルのバラつき感は当ブログの運営で最もこだわっている点です。この振れ幅の大きさこそが僕流の音楽の楽しみ方なのかもしれません。

さて、今回はCalvin Richardsonによる"ソウル"アルバム『2:35 PM』(2003年)です。

ジャケの雰囲気に惑わされそうですが、本作は"R&B"より"ソウル"という言葉が相応しい1枚です。

Calvin Richardsonはノースカロライナ州モンロー生まれ。K-Ci & Jojoとは幼なじみだったそうです。

K-Ci & JojoがJodeciを結成したことを知り、それに刺激を受けてCalvinも本格的にR&Bシンガーの道を歩むようになった模様です。1999年にデビューのチャンスをつかみ、1stアルバム『Country Boy』(1999年)をリリースします。『Country Boy』にはK-Ciもゲスト参加しています。

Angie Stone『Mahogany Soul』(2001年)の「More Than A Woman」Raphael Saadiq『Instant Vintage』(2002年)の「Excuse Me」といった話題の楽曲への参加を経て、2003年に今回紹介する『2:35 PM』をリリースし高い評価を得ました。

その後、『When Love Comes』(2008年)、『Facts Of Life: The Soul Of Bobby Womack』(2009年、Bobby Womackカヴァー集)、『American Most Wanted』(2010年)といったアルバムを発表しています。

今回紹介する『2:35 PM』(2003年)は、同じ年にリリースされたAnthony Hamilton『Comin' From Where I'm From』と並び当時のR&Bシーンに"ソウル復活"を強く印象づけた1枚ですね。

オーセンティックなソウル・チューンのみならず、ネオ・ソウルやHip-Hop経由のソウル・チューンも散りばめられており、単なる懐古趣味ではない、21世紀らしいソウル・アルバムに仕上がっているのが魅力だと思います。

Calvin Richardson本人に加え、Raphael Saadiq、The Underdogs、Slum Village、Young RJ、Mike City等がプロデュースしています。

アルバム全体を通じて、自然体な雰囲気が心地好いですよ!
ちなみにアルバム・タイトルはCalvinの子供が生まれた時間なのだとか。

全曲紹介しときやす。

「Keep On Pushin'」
本作のハイライト。Sam Cooke「A Change Is Gonna Come」を引用した出だしでグッとくるオープニング。シングルにもなりました。この1曲を聴けば、後にBobby Womackカヴァー集を出すのも納得ですね。Calvin Richardsonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=lXf1c0Tps30

「Falling Out」
Raphael Saadiq/Jake & The Phatmanプロデュース。Raphaelプロデュースらしいヴィンテージ感が魅力のソウル・チューン。ギター&ベースはRaphaelがプレイ。
http://www.youtube.com/watch?v=wq4DYgNP1XI

「I've Got To Move」
ネオ・ソウル感覚のシングル曲。こうした楽曲でアルバムの流れを野暮ったくしないあたりが心憎いですね。Jake & Trevプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=gJgqLC4HQYs

「I'm Worthy」
美しいメロディとはつらつとしたヴォーカルが清々しい1曲。Calvin Richardsonプロデュース。

「More Than A Woman」
Angie Stone『Mahogany Soul』(2001年)でAngie姉さんとデュエットしていた楽曲のセルフ・ヴァージョン。ここでは一人で歌っています。基本的には『Mahogany Soul』ヴァージョンと同じです。Eddie F & Darren Lightyプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=PO7zvVORx0s

「Not Like This」
The Underdogsプロデュース。アルバムでも屈指の美メロ・チューン。シングル曲にもありました。さすがはThe Underdogs!と思わせる素晴らしい仕事ぶりです。
http://www.youtube.com/watch?v=zafKrcSh6PM

「She's Got The Love」
Raphael Saadiq/Jake & The Phatmanプロデュース。ヴィンテージ感を漂わせつつ、ネオ・ソウルらしい浮遊感のあるグルーヴで体を揺らせます。
http://www.youtube.com/watch?v=KDwBKYlMli4

「You Got Me High」
故J Dillaが在籍していたHip-HopグループSlum Villageプロデュース&参加曲。アブストラクト感のあるトラックが他の楽曲とは異なる質感ですが、ソウルフルな味わいはしっかり保たれています。
http://www.youtube.com/watch?v=RoUqrTTskrg

「Put My Money On You」
レイドバック感が心地好いネオ・ソウル・チューン。リラックスできるグルーヴ感がグッド!Young RJプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=H8C8rXru6vI

「Your Love Is」
聴いている方が気恥かしくなりそうな直球勝負のラブ・バラード(笑)。Calvin Richardsonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=WCgR-jlS88g

「I Wansumo」
本作最もR&B寄りの仕上がり。でもアルバム全体のアクセントとしてこうした楽曲が1、2曲収録されていても良いと思います。Calvin Richardsonプロデュース。

「Cross My Heart」
ラストはMike Cityプロデュース。モロに僕好みの1曲。胸にグッとくるキャッチーな仕上がりがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=emDaYcxOLq8

興味がある方は他のCalvin Richardson作品もチェックを!

『Country Boy』(1999年)
Country Boy

『When Love Comes』(2008年)
When Love Comes

『Facts Of Life: The Soul Of Bobby Womack』(2009年)
Facts of Life: Soul of Bobby Womack

『American Most Wanted』(2010年)
America's Most Wanted
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2011年02月15日

Tek 9『Simply』

4HeroのDegoによるHip-Hopプロジェクト第2弾☆Tek 9『Simply』
Simply (+ Bonus Tracks)
発表年:1999年
ez的ジャンル:4Hero系UK産Hip-Hop
気分は... :今年のグラミー賞は...

皆さんはグラミー賞をご覧になりましたか?
僕は仕事をしながら生放送で観ていました。

主要4部門で最もサプライズだったのが最優秀新人賞でした。てっきりJustin BieberかDrakeが受賞するかと思いきや、意外にも当ブログで紹介した女性ジャズ・べーシストEsperanza Spaldingが受賞しました。

きっとTV観ていて、「誰この人?」と思った人も多かったのでは?これを機会にぜひ聴いてみて下さい。ただし、最新作『Chamber Music Society』(2010年)よりも当ブログで紹介した『Esperanza』(2008年)の方がオススメです。

Esperanza Spalding『Esperanza』(2008年)
Esperanza

最優秀ソング&最優秀レコードはLady Antebellum「Need You Now」が受賞しました。カントリーが苦手な僕ですが、「Need You Now」は昨年の全米チャート上位に入ったヒット曲の中でも素直に良いと感じた1曲でした。その意味で、こうした楽曲が主要部門を受賞することは望ましいと思います。

最優秀アルバムのArcade Fireについては・・・ノー・コメント(笑)

パフォーマンスでは、オープニングのAretha Franklinトリビュートに始まり、Bob Dylanトリビュート、故Solomon BurkeトリビュートでのMick JaggerRaphael Saadiqの共演(Raphaelはかなり地味でしたが)も良かったですが、個人的にはBarbra Streisandのステージが最も感動的でしたね。

名曲「Evergreen (Love Theme From "A Star Is Born")」を歌うBarbraを映画『A Star Is Born』の相手役Kris Kristoffersonが紹介するという演出が最高でした。さすがに以前のような圧倒的な声量で歌うことは難しいようでしたが、それでも存在感抜群のステージでしたね。

あとはB.o.BBruno MarsJanelle Monaeという当ブログでも紹介した期待のニューカマー3名の共演もエキサイティングでした。

Cee Lo Greenのコミカルなステージは思わず笑ってしまいました。

Eminemも盛り上がっていましたね。僕はEminem作品を1枚も持っていませんが、その迫力のパフォーマンスに息を呑んでしまいました。

こうして見てくると、当ブログで紹介した楽曲が結構パフォーマンスされていましたね。その意味では例年以上に楽しめたグラミーでした。

さて、今回は4HeroDegoによるHip-HopプロジェクトTek9の2ndアルバム『Simply』(1999年)です。グラミーとは全く関係ない作品ですが・・・

これまで当ブログではDego関連の作品として、4Hero『Parallel Universe』(1994年)、2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)の2枚を紹介済みです。

Tek9としては、『It's Not What You Think It Is !?!!』(1996年)、『Simply』(1999年)という2枚のアルバムをリリースしています。

一般には『It's Not What You Think It Is !?!!』(1996年)の方がお馴染みかもしれません。確かに1stの方がUS産Hip-Hopからの影響を素直に反映したキャッチーな仕上がりかもしれませんね。しかしながら、2nd『Simply』(1999年)もUKならではのHip-Hopを満喫できる魅力的な1枚に仕上がっています。

僕の場合、Degoのソロ・プロジェクト云々というよりも、US産Hip-Hopにはないアブストラクト感のあるUK産Hip-Hopという点に惹かれて本作を購入した記憶があります。

UKオリジナルや僕が保有するCDは上記ジャケのものですが、Amazonで確認すると下記のジャケのものもあるようです(Amazon.co.jpではこのジャケしか扱いがありません)。

Tek 9『Simply』(別ジャケ)
Simply

聴けば聴くほど、Degoの確かな音楽センスと先見性に感心する1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Teknology」
Chase Infiniteをフィーチャー。今聴くと、2000年代アングラHip-Hopを先取りしていたかのようなセンス抜群のオープニングです。

「Stand Clear」
Capitol A/D.T.X./Rob Lifeをフィーチャー。適度に浮遊感のあるメロウ・トラックにグッとくる1曲。

「Keep It Hot」
某コンピCDにも収録されている1曲。What? What?をフィーチャー。UKクラブ・ミュージック経由らしいリズム・トラックとメロウな上モノとWhat? What?の女声ラップが上手くマッチした仕上がりがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=5B2zmGunGyQ

「Off License」
M.A.D./Sha Shaをフィーチャー。リズム・トラックのハネハネ感がUK産Hip-Hopらしいのでは?ATCQあたりの浮遊感を進化させた仕上がりがグッド!

「Gus Interlude」
4HeroのGus Lawrenceプロデュースのインタールード。

「Black Expedition」
Chase Infiniteをフィーチャー。Dodge City ProductionsのIG Cultureが共同プロデュースで参加しています。アブストラクトな魅力で言えば、この曲が一番かも?

「2001」
Opioをフィーチャー。このあたりはUKクラブ・ミュージック経由らしいアブストラクト・チューンに仕上がっています。

「Bruklon」
What? What?をフィーチャー。近未来的なトラックはかなり時代を先取りしていた感じかもしれませんね。

「Interlude 2」
実験的なインタールード。

「Right Position」
M.A.D.をフィーチャー。ジャジー感とアブストラクト感を上手く融合させたトラックが魅力です。

「Seven Days」
「Keep It Hot」同様某コンピCDにも収録されている楽曲です。Pariss Clemonsをフィーチャー。アングラ・ジャジーHip-Hop好きの人であれば気に入るはず!

「Bad Baad 」
Capitol A/M.A.D./Opioをフィーチャー。ラストはクラブ・ミュージック経由ならではの格好良さが凝縮されたUKらしいHip-Hopチューンに仕上がっています。

『It's Not What You Think It Is !?!!』(1996年)
イッツ・ノット・ホワット・ユー・シンク・イット・イズ!?!!

NFLファンとしては、王者パッカーズのLBクレイ・マシューズがグラミーでプレゼンター役を務めていたのも興味深かったですね。若き守備リーダーも舞台が異なるとかなり緊張していたようですが(笑)
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2011年02月14日

Blossom Dearie『1975:From The Meticulous to the Sublime』

個性的なウィスパー・ヴォイスは年齢不詳!☆Blossom Dearie『1975:From The Meticulous to the Sublime』
1975 : From the Meticulous to the Sublime
発表年:1975年
ez的ジャンル:ウィスパー・ヴォイス系女性ジャズ・シンガー
気分は... :今日は"女子ジャズ"がいいんじゃない!

今日はグラミー賞&バレンタイン・デーですね。

そんなお日柄に相応しい1枚としてセレクトしたのは女性ジャズ・シンガーBlossom Dearie『1975:From The Meticulous to the Sublime』(1975年)です。

流行の"女子ジャズ"に興味がある方にもぜひ聴いて欲しい1枚です。

昨日のAmber Ojeda『Here I Am』の記事で、"女子ジャズ"に対して否定的見解を持っているとの誤解を招きかねないような文章を書いてしまいましたが、"女子ジャズ"的作品も嫌いじゃありませんよ。ただし、それに便乗しすぎのプロモや企画アルバムにはウンザリしていますが。

その点、Blossom Dearieは"女子ジャズ"に相応しいジャズ・シンガーなのでは?

Blossom Dearie(1926-2009年)はN.Y.出身のジャズ・シンガー/ピアニスト。

1940年代からWoody Herman OrchestraやAlvino Rey's bandで参加していましたが、1952年に渡仏してChristiane Legrand(Michel Legrandの姉)らとコーラス・グループLes Blue Starsを結成し、パリを舞台に活躍します。

1956年には初のリーダー作『Blossom Dearie Plays "April in Paris"』(1956年)を録音しましたが、ピアノのみでヴォーカルは披露していませんでした。

その後Verve Recordsと契約し、ヴォーカル入りのリーダー作『Blossom Dearie』(1957年)を録音します。60年代はアメリカと欧州を行き来しながら活動を続けていました。

1974年にはBlossomの兄Walter W. Birchettを社長に据えた自主レーベルDaffodil Recordsを設立します。また、子供向け教育番組『Schoolhouse Rock!』に出演し、Bob Doroughによる「Figure Eight」を歌っています(アルバム『Multiplication Rock』収録)。

その後もマイペースで活動を続けていましたが、2009年2月7日に老衰のためN.Y.で死去します。

キュートな容姿と個性的なウィスパー・ヴォイスのイメージが強いアーティストですね。

長いキャリアの中で多くの作品を録音しているBlossom Dearieですが、僕が気になる作品は『Blossom Dearie』(1956年)、『Give Him the Ooh-La-La』(1957年)、『Once Upon a Summertime 』(1958年)、『May I Come In?』(1964年)、『Sweet Blossom Dearie』(1967年)、『That's Just the Way I Want to Be』(1970年)、『Blossom Dearie Sings』(1973年)、『1975:From The Meticulous to the Sublime』(1975年)あたりになりますかね。

今日紹介する『1975:From The Meticulous to the Sublime』(1975年)は、自主レーベルDaffodil Recordsからの第2弾アルバムであり、サバービアでもセレクトされた今日人気の高い1枚です。

ジャケの通り、しっとりと落ち着いた雰囲気の大人のジャズ・ヴォーカル作品に仕上がっています。ただし、Blossomのキュートなウィスパー・ヴォイスを健在であり、その意味では年齢不詳のヴォーカルを堪能できます。

また、本作ではBlossomのエレピを多用しており、エレピによるメロウ・サウンドとBlossomのウィスパー・ヴォイスの組み合わせが最高に素敵な音世界を創り出しています。

惜しくも2009年に逝去したBlossom Dearieですが、彼女の若々しいウィスパー・ヴォイスはこれからも多くの音楽ファンを魅了し続けることでしょう。

全曲紹介しときやす。

「I'm Hip」
Dave Frishberg作詞、Bob Dorough作曲。Blossomの代表曲でもあるヒップなオープニング。個性的なウィスパー・ヴォイスと小粋なスウィング感が見事にハマった名演だと思います。聴いているだけで楽しくウキウキ・モードになりますよね。サイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=QbVft-fJ3g4

「Saving My Feeling For You」
Len Saltzberg作詞、Blossom Dearie作曲。彼への愛しい思いを歌う切ないラブ・ソング。前作『Blossom Dearie Sings』でも取り上げていた楽曲ですが、ここではエレピが加わったメロウな仕上がりが印象的です。

「Sweet Georgie Fame」
Sandra Harris作詞、Blossom Dearie作曲。ラジオから流れてきたGeorgie Fameの楽曲を聴いてインスパイアされた作品。本曲をきっかけにGeorgie Fameと交流を持つようになったようです。正直、Georgie Fameのイメージとは異なる雰囲気の楽曲ですが、Blossomの優しい歌声とメロウ・サウンドに魅了される素敵な1曲に仕上がっています。

「A Face Like Yours」
Tommy Wolf作詞、Victor Feldman作曲。どこへ行っても別れた恋人の面影を追いかけてしまう切ない恋心を歌っています。胸を締めつけるような切なさにグッとくる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=rqhVNRFjq7w

「Hey John」
Jim Council作詞、Blossom Dearie作曲。John Lennonへのトリビュート・ソング。英国のラジオ番組でJohnと共演したことがきっかけで作られた曲。Johnへのトリビュート云々よりもBlossomのキュートな魅力を満喫できる1曲として楽しめます。

「I'm Shadowing You」
Johnny Mercer作詞、Blossom Dearie作曲。前作『Blossom Dearie Sings』でも取り上げていた楽曲ですが、メロウなエレピ・グルーヴとして魅力的な1曲に仕上がっています。

「Many's The Time」
Len Saltzberg作詞、Blossom Dearie作曲。Blossomの優しい歌声がしみじみと胸に染み入ってくるバラード。心が癒されます。
http://www.youtube.com/watch?v=iuJfojUOZC4

「Send In The Clowns」
1973年のミュージカル『A Little Night Music』のために書かれたStephen Sondheim作品。僕の場合、Barbra Streisand『The Broadway Album』(1985年)でのBarbraの堂々とした歌いっぷりが印象深い楽曲ですが、Blossomヴァージョンはしっとりと聴かせてくれます。

「Isn't That The Thing To Do?」
Len Saltzberg作詞、Blossom Dearie作曲。ロマンティック・アレンジが素敵な1曲。相手の気持ちが知りたい恋心を恋人へ語りかけるように歌います。

「Feeling Groovy-The 59th St.Bridge Song」
ご存知Simon & Garfunkelの名曲カヴァー。小粋なアレンジで一味違う「Feeling Groovy」を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=zdiFmvbfGF4

「How Do You Say Auf Wiedersehn?」
Johnny Mercer作詞、Tony Scibetta作曲。ラストはジャズ・ヴォーカル然としたオーセンティックなバラードです。
http://www.youtube.com/watch?v=keOrmK8C8OM

興味のある方は他のBlossom Dearie作品もチェックしてみて下さい。

『Blossom Dearie』(1956年)
ブロッサム・ディアリー+3

『Give Him the Ooh-La-La』(1957年)
Give Him the Ooh La La

『Once Upon a Summertime 』(1958年)
Once Upon a Summertime

『May I Come In?』(1964年)
May I Come in

『Sweet Blossom Dearie』(1967年)
スウィート・ブロッサム・ディアリー

『That's Just the Way I Want to Be』(1970年)
ザッツ・ザ・ウェイ・アイ・ウォント・トゥ・ビー

『My New Celebrity Is You』(1975年)
My New Celebrity Is You

『Winchester in Apple Blossom Time』(1977年)
ウィンチェスター・イン・アップル・ブロッサム・タイム
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2011年02月13日

Amber Ojeda『Here I Am』

サンディエゴを拠点とする期待の女性シンガーのデビュー作☆Amber Ojeda『Here I Am』
Here I am
発表年:2010年
ez的ジャンル:ジャジー・ソウル系女性シンガー
気分は... :"女子ジャズ"ではないよ!

今日は期待の女性シンガーAmber Ojeda『Here I Am』(2010年)です。

Amber Ojedaはサンディエゴを拠点とする女性シンガー。ソングライティングも手掛けています。

昨年末に日本でリリースされた本作『Here I Am』がデビュー・アルバムとなります。

国内盤のわりには彼女のバイオグラフィー等が全く記載されていないので、彼女についてわかっているのはこの程度です。それなりの国内盤価格で販売するならば、発売元にはもう少し丁寧な仕事をして欲しかったですね。

ただし、内容の方は期待通りの素晴らしい内容です。

GiovancaNorah Jones好きにオススメ!というのが発売元の謳い文句です。また、僕が購入したCDショップでは、今流行の(???)"女子ジャズ"コーナーに置いてありました。

個人的には、"女子ジャズ"的な欧州の女性ジャズ・ヴォーカリストとは異なるジャンルのアーティストだと思います。また、Giovancaほどポップじゃないし、Norah Jonesともベクトルが異なる気がします。

サウンドはジャジーですが、根底にあるのはR&B/Soulであり、さらにはジャジーHip-Hop的な感性も覗えます。その意味ではネオ・ソウル/オーガニック・ソウルと(女子ジャズとは異なる)欧州ジャジー・ポップの中間あたりの魅力を持っている作品だと思います。

ヴォーカリストとしてもキュートな魅力を持つAmberですが、全てのソングライティングとヴォーカル・アレンジを手掛け、プロデュース&アレンジもJuan Van Dunkと共同で務めています。その意味では単にニュー・ディーヴァとしてではなく、よりトータルなアーティストとして期待したいですね。

ちなみに共同プロデューサーJuan Van Dunkは、Faith EvansVan Huntの楽曲も手掛けるベーシストらしいです。両アーティストを愛聴する僕は知りませんでしたが・・・

先月紹介したMichelle Shaprowもそうですが、こうしたクロスオーヴァー感覚のアーティストが米国西海岸から続々登場してくるのが興味深いですね。

最近では欧州や南米に目を向けがちな僕に米国音楽シーンの裾野の広さを再認識させてくれた1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Don't Rush」
オープニングはネオ・ソウル的グルーヴ感が心地好いジャジー・ソウル。少しレイジーなAmberのヴォーカルとサウンド&リズムが実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=MIWy8SLZNUg

「Lady Like」
憂いのあるヴォーカルで哀愁ソウル・チューン。サウンドとの一体感も含めて完成度の高い1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=OKYLFXxsCms

「So Lovely」
お気に入りその1。ネオ・ソウル/オーガニック・ソウル好きの人であれば間違いなく気に入るであろうジャジー・ソウル。タメの効いたグルーヴに自然と体が揺れます。
http://www.youtube.com/watch?v=0xFfGI2YnvU

「Love From The Band」
お気に入りその2。Amberのキュートな魅力を満喫できる爽快メロウ・グルーヴ。フルートの音色が涼しげです。ジャジー・テイストの欧州女性SSWが好きな人にオススメ!
http://www.youtube.com/watch?v=ni9dXLaR5iI

「Here I Am」
タイトル曲はノスタルジックな哀愁モードが漂うジャジー・チューン。ラップ風のパートもあり、AmberがHip-Hop的感性も持つアーティストであることを確認できます。
http://www.youtube.com/watch?v=Hf7FRuc4_QA

「Sometimes I」
お気に入りその3。クラブジャズ好きの方が聴くと楽しめる1曲なのでは?ノスタルジックなジャズ・サウンドと21世紀的なクラブ・サウンドを上手に融合させた魅惑のジャズ・ダンスに仕上がっています。

「What This Could Be」
お気に入りその4。オーガニックなグルーヴ感の中にエレガントな気品漂うジャジー・ソウル。ここでもジャジーHip-Hop的エッセンスを上手く取り入れています。
http://www.youtube.com/watch?v=hEG3884pxaw

「Hype Love」
お気に入りその5。サウンドの質感として、Sade好きの人は気に入るであろう大人のジャジー・ポップ。もっともSade Aduのセクシー・ヴォーカルとAmberのキュート・ヴォーカルはかなり異なりますが(笑)、
http://www.youtube.com/watch?v=0mD45JclBw8

「Get To Know Me」
ラストは切ない女心が訴える感じにグッとくる哀愁ジャジー・ソウル。

ここ数ヶ月はNFLに夢中で欧州サッカー観戦が疎かになっていましたが、久々にプレミアでのアーセナル戦を観ています。いつ観てもアーセナルのサッカーは美しいですね。

早く宮市がアーセナルのユニフォームを着てピッチに立つ日が来て欲しいですね。宮市やスペインサバデル所属の長身FW指宿あたりが欧州で活躍し、代表入りを目指せるようになることを願っています。
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2011年02月12日

Marcos Valle『Samba '68』

米国録音の初期名作!☆Marcos Valle『Samba '68』
サンバ’68
発表年:1968年
ez的ジャンル:ブラジル最高のメロディ・メーカー
気分は... :冬でもサンバ!

ブラジルを代表するシンガー・ソングライターMarcos Valleの初期の名作『Samba '68』(1968年)です。

アルバム・タイトル的には夏かもしれませんが、タートルネックに身を包むMarcosが写るジャケを眺めると冬に聴きたくなるアルバムです。

当ブログでこれまで紹介したMarcos Valle作品は以下の5枚。

 『Vento Sul』(1972年)
 『Previsao Do Tempo』(1973年)
 『Vontade De Rever Voce』(1981年)
 『Pagina Central』(2009年) ※Celso Fonsecaとの共演作
 『Esphera』(2010年)

1964年にデビューを果たし、本国ブラジルで成功を収めたMarcosは米国進出していたSergio Mendesから声を掛けられ渡米します。

結局、Sergio Mendesとの活動は短期間で終わった模様ですが、米国に拠点を残したままソロ活動を再開します。こうして米国マーケットを意識して制作された米国録音アルバムが本作『Samba '68』(1968年)であり、全編英語で歌われています。

また、全編にわたり奥方Anamaria Valle(vo)が参加しており、MarcosとAnamariaの夫婦アルバムと呼んでもいいかもしれません。内容的にはMarcosの初期名曲をMarcos & Anamariaの夫婦ヴォーカルで満喫できる魅力的な1枚に仕上がっています。また、Eumir Deodatoがアレンジを担当しており、作品の魅力を高めています。

Marcos Valleに関しては、70年代前半のアルバムへの関心が高いのですが、そうした作品へ辿り着く前の初期作品もブラジル最高のメロディ・メーカーの原点として外せないですよね。その意味で本作『Samba '68』は、「So Nice (Summer Samba)」「Batucada」をはじめとする名曲をコンパクトに堪能できる1枚だと思います。

全編英語という点に抵抗があるブラジル音楽好きの方もいるかもしれませんが、素晴らしいメロディとMarcos & Anamariaの爽快ヴォーカルのおかげでそれほど気にならないと思います。

Marcos入門編のオリジナル作品としても最適なのでは?

全曲紹介しときやす。

「The Answer」
オススメその1。♪チュルルル・チュ・チュル〜♪という歌いだしが印象的なオープニング。MarcosとAnamariaの息の合ったラブリーな歌声が爽やかな風を吹き込んでくれます。

「Crickets Sing For Anamaria」
オススメその2。軽快なテンポで疾走するサンバ・チューン。リズミックなサウンドがお好きな人にはオススメ!以前にWalter Wanderleyヴァージョンも紹介済みです。
http://www.youtube.com/watch?v=4BB4MWvpTTo

「So Nice (Summer Samba)」
オススメその3。Walter Wanderleyのヒットでもお馴染みの名曲です。初レコーディング・ヴァージョンは『O Compositor E O Cantor』(1965年)収録。当ブログではWalter Wanderley以外に、Astrud Gilberto/Walter Wanderley TrioBebel Gilbertoのヴァージョンも紹介済みです。ここでは寛いだ雰囲気で聴かせてくれます。Eumir Deodatoによるストリングス・アレンジもグッド!

「Chup Chup, I Got Away」
オススメその4。ブラジル音楽ファンならずとも楽しめるメロディアスな1曲。Marcosのメロディ・メイカーぶりを再認識できると思います。休日にゆっくりしながら聴きたい気分の1局ですね。

「If You Went Away」
ブラジルの音楽賞を受賞した名曲。哀愁モードのバラード。気品に溢れる演奏が印象的です。

「Pepino Beach」
MarcosとAnamariaのスキャットが駆け巡る軽快なグルーヴ感が魅力の1曲。

「She Told Me, She Told Me」
オススメその5。ここではAnamariaを主役に据え、Marcosがコーラスでサポートしています。美しくロマンティックな1曲に仕上がっています。

「It's Time To Sing」
オススメその6。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。今聴いても全く鮮度が失われていないミラクルなサンバ・グルーヴだと思います。当ブログではWalter Wanderleyヴァージョンも紹介済みです。

「Batucada」
オススメその7。お馴染みの名曲ですね。当ブログではWalter WanderleySergio Mendes & Brasil'66のカヴァーを紹介済みです。日本人はCMで使われたbirdのヴァージョンでご存知の方も多いのでは?ここではMarcos & Anamariaの瑞々しい歌声が心地好い爽快アコースティック・グルーヴで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=pyOpt-ARRec

「The Face I Love」
オススメその8。ワルツ調のリズムがエレガントな雰囲気を醸し出すEumir Deodatoのアレンジ・センスが光ります。Anamariaのキュートな歌声を堪能できる1曲でもあります。

「Safely In Your Arms」
ラストはロマンティックな雰囲気で締め括ってくれます。

Marcos Valleの過去記事もご参照下さい。

『Vento Sul』(1972年)
ヴェント・スル

『Previsao Do Tempo』(1973年)
Previsao Do Tempo

『Vontade De Rever Voce』(1981年)
ヴォンタージ・ジ・レヴェール・ヴォセ

『Pagina Central』(2009年)
パジナ・セントラウ [ボーナス・トラック付]

『Esphera』(2010年)
ESPHERA
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