2011年02月11日

Mike James Kirkland『Hang On In There』

ニューソウル裏名盤として名高い1枚☆Mike James Kirkland『Hang On In There』
ハング・オン・イン・ゼア(紙ジャケット仕様)
発表年:1972年
ez的ジャンル:アンダーグラウンド・ニューソウル
気分は... :『What's Going On』好きにはたまりません!

今回はニューソウル裏名盤Mike James Kirkland『Hang On In There』(1972年)です。

レア・グルーヴ/フリーソウル名盤としても人気の高い作品ですね。昨年話題となったJohn Legend & The Rootsによるニューソウル・カヴァー・アルバム『Wake Up!』でもタイトル曲が取り上げられていたので、そちらでMike James Kirklandの名前や本作を知った方もいらっしゃるのでは?

John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)
Wake Up

Mike James Kirklandは1949年ミシシッピ州ヤズー生まれ。

60年代半ばにL.A.へ家族で移住してきたMikeは、兄Bob KirklandらとMike & The Censationsというグループを立ち上げ、リードシンガーとして活動するようになります。

Mike & The Censationsは、1965年の「Victim Of Circumstance」を皮切りに60年代後半まで6〜7枚のシングルをリリースしています。

1970年にソロとして独立したMikeは、1971年にシングル「Together/The Prophet」をリリースします。その後2枚のソロ・アルバム『Hang On In There』(1972年)、『Doin' It Right』(1973年)と、Bo Kirkland 名義でRuth Davisとのデュエット・アルバムBo Kirkland & Ruth Davis『Bo & Ruth』(1976年)をリリースしています。

今回紹介する1stアルバム『Hang On In There』(1972年)は、今日ではニューソウル裏名盤として知られていますが、当時は全く売れなかった作品だったようです。

レコーディングには、1971年のシングル「Together/The Prophet」のセッションに参加していたAl McKay(後にEW&Fへ)、James Gadson、Bernard BlackmonといったCharles Wright & The Watts 103rd St Rhythm Bandの面々らが参加しており、兄Bob Kirklandがプロデュース、The Watts 103rd St Rhythm BandのRay Jacksonがアレンジを担当しています。

オリジナルLPのA面には[Peace]、B面には[Love]というタイトルが付けられていますが、Marvin Gaye『What's Going On』Curtis Mayfield『Back To The World』あたりと一緒に聴きたくなる感動的なA面[Peace]の流れが本作の魅力だと思います。

『What's Going On』の二番煎じと言われてしまえばそれまでですが、『What's Going On』に触発されたアンダーグラウンド作品として実に聴き応えのある1枚に仕上がっていると思います。

『What's Going On』好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「What Have We Done」
レア・グルーヴ・ファンに人気のオープニング曲。格好良さで言えば、アルバムで一番かもしれませんね。パーカッシヴなグルーヴ感と不穏な緊張感を醸し出すフルートやストリングスが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=AkrK8g0886c

「Where's The Soul Of Man?」
前曲「What Have We Done」からの流れににグッときます。傷ついた心を優しく包み込んでくれるかのようなピースフル・グルーヴは感動的です。
http://www.youtube.com/watch?v=IIEVlvbLIvA

「Hang On In There」
タイトル曲は9分近くの大作です。Marvin Gaye『What's Going On』を9分に凝縮した組曲風の仕上がりです。全体を支配するどんよりとしたブルージー感が印象的ですね。。Ugly Duckling「I Did It Like This」のサンプリングソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Iz0WZmQN4Z4

ここまでは[Peace]と題されたオリジナルLPのA面です。

「Baby I Need Your Loving」
[Love]と題されたオリジナルLPのB面トップはThe Four Topsの1964年ヒット曲をカヴァー。女性コーラスを従え、愛に満ちたソウルを聴かせてくれます。

「Give It To Me」
自由で前向きな雰囲気が心地好いウォーミー・グルーヴ。程よいパーカッシヴ感と華やかな女性コーラスがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=mPh0yg8dSMY

「Blota Blota」
じわじわと込み上げてくるバラード。Mikeの抑えつつも情感豊かなヴォーカルがいいですね。

「You're Gonna Share Your Love」
解放的なグルーヴ感と鮮やかなホーン&ストリングスが印象的なミッド・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=6KRwoOOuWfA

「It's Alright With Me」
ラストはメロウな味わいが魅力のミッド・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=SLViKwMkDQA

CDには「The Prophet」「Together」「Love Is」というシングルのみの収録だった3曲が追加されています。

「The Prophet」
http://www.youtube.com/watch?v=kUmpHu-2D8A

興味がある方は他のMike James Kirkland作品もチェックしてみて下さい。

『Doin' It Right』(1973年)
ドゥーイン・イット・ライト(紙ジャケット仕様)

Bo Kirkland & Ruth Davis『Bo & Ruth』(1976年)
BO AND RUTH LP
posted by ez at 12:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月10日

The Specials『More Specials』

より音楽的な幅を広げた2ndにしてラスト・アルバム☆The Specials『More Specials』
モア・スペシャルズ(紙ジャケット仕様)
発表年:1980年
ez的ジャンル:2トーン系スカ調ミクスチャー・サウンド
気分は... :もうウンザリだ!

今日は最近の僕の音楽嗜好から少し外れた変化球の作品が聴きたい気分です。

思い切りForeignerあたりの産業ロックにしようとも思ったのですが(3rd『Head Games』までのForeignerは結構好きだったりします)、多分当ブログの読者層の方々からどん引きされそうなので止めました(笑)

代わりにセレクトしたのは、The Specialsの2ndにしてラスト・アルバム『More Specials』(1980年)です。

これまで当ブログで紹介したThe Specials関連作品は以下の3枚。

 The Specials『Specials』(1979年)
 Fun Boy Three『Waiting』(1983年)
 Special AKA『In The Studio』(1984年)

2Toneレーベルを立ち上げ、パンク直後のイギリスに一大スカ・ブームを巻き起こしたThe Specialsでしたが、方向性の違いなどからメンバー間の関係に亀裂が生じ、1981年にUKチャートNo.1となったラスト・シングル「Ghost Town」を置き土産にグループは解散してしまいます。

2ndアルバムと同時にラスト・アルバムとなった本作『More Specials』を聴けば、こうしたグループの状況を何となく想像することができます。

『Specials』(1979年)にあったスカ/パンクのテイストはかなり後退し、スカを基調に、レゲエ/ダブ、ロック、ソウル、ファンク、ラテン、エスニック、ラウンジ、映画音楽等のエッセンスを取り入れた独自の音世界が構築されています。一方で、後のFun Boy Threeに通じる変テコなポップ感覚も同居するあたりがSpecialsらしいのかもしれません。

おそらくサウンド面のイニシアティブを握っていたのがJerry Dammersであり、Terry Hallらはその方向に不満だったのでしょうね。

レコーディングには、Jerry Dammers(org)、Terry Hall(vo)、Neville Staple(vo)、Lynval Golding(g)、Roddy Radiation(Roddy Byers)(g)、Sir Horace Gentleman(b)、John Bradbury(ds)といったメンバー以外に、伝説のジャマイカ人トロンボーン奏者Rico RodriguezThe BodysnatchersThe Swinging Catsといった2Toneレーベル所属アーティスト、Specialsと並ぶスカ・ブームの立役者Madnessのメンバー、さらには後に大ブレイクするガールズ・ロックバンドThe Go-Go'sのメンバーも参加しています。

今回、久々に聴き返して「このアルバムって、こんなに面白かったっけ?」という新発見や再認識がたくさんありました。

スカ/パンクを期待して聴くと拍子抜けするアルバムかもしれません。むしろ、本作の持つミクスチャー感覚やエスニック/ラウンジ・ムードはサバービア系がお好きな人あたりが聴くと楽しめると思います。僕の新発見や再認識もそうした聴き方をしたからかもしれません。

その意味で先入観なしに聴くと、より楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Enjoy Yourself (It's Later Than You Think) 」
決して明るい内容ばかりではないアルバムのオープニングに、多くの歌手がカヴァーしているスタンダード曲(Herb Magidson/Carl Sigman)を配するあたりが興味深いですね。スカにニューリンズと汎カリブ的なエッセンスが加わったエンジョイ・モードの仕上がりです。

「Man At C & A」
Jerry Dammers/Terry Hall作。核戦争の脅威へ警鐘を鳴らした曲。重くダビーなレゲエ・サウンドは、Tricky「Nothing's Clear」の元ネタにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Ul_Ahhuto98

「Hey, Little Rich Girl」
邦題「悲しきディスコ・レイディ」。Roddy Radiation作。オールディーズ・テイストのポップな仕上がりですが、お金持ちの令嬢の転落人生を歌った悲しい歌詞です・・・。MadnessのKix Thompsonがサックスで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=0wmDDi_rSFA

「Do Nothing」
アルバムからの2ndシングルとして、UKシングル・チャート第4位となったヒット曲(Lynval Golding作)。藤原ヒロシ選曲のコンピ『Hiroshi's Kick Back (Private Mix)Vol.1 』収録曲としてご存知の方もいるのでは?労働者階級の人生の悲哀を歌ったルーツ・レゲエ調の仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=x-fEr0kv-E4

「Pearl's Cafe」
Jerry Dammers作。当時Bodysnatchersのメンバーであり、後にSpecial AKAに参加する女性ヴォーカリストRhoda Dakarがバック・コーラスで参加しています。タイトル通りカフェ・ミュージックとして聴くと、こういうのも変化球としてなかなか面白いのではと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=WEx_ByPS9xQ

「Sock It To 'Em J.B.」
Rex Garvin & The Mighty Craversによる1966年のファンク・チューンをカヴァー(Clayton Dunn作)。JBということで、SpecialsのJBであるJohn Bradburyがプロデュースしているのが面白いですね。2トーン調ファンク・サウンドがかなり格好良いです。The Swinging CatsのPaul Heskattがサックスで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=0LFHFeJ0XaI

「Rex Garvin & The Mighty Cravers「Sock It To 'Em J.B.」
 http://www.youtube.com/watch?v=nISSAZ-E62o

「Stereotypes/Stereotypes Pt. 2」
Jerry Dammers/Neville Staple作。「Stereotypes」はアルバムからの1stシングルとしてUKシングル・チャート第6位のヒットとなりました。リズムボックスとマカロニ・ウエスタン風の哀愁サウンドのミックスが今聴くとかなり面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=KQ4lvUJ39fE

「Holiday Fortnight」
邦題「2週間の休養」。Roddy Radiation作。メキシコ+カリブといった雰囲気のサウンドが印象的なインスト・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=c6FVeqlPQCY

「I Can't Stand It」
邦題「もうウンザリだ!」。Terry HallとRhoda Dakarのデュエット曲(Jerry Dammers作)。今聴くと一番面白いかも?ニューウェイヴ的なリズムボックスに、スウィンギング・ロンドン風のグルーヴィーなオルガンやエキゾチック・サウンドが絡み、そこにTerry HallとRhoda Dakarによるポップな歌声がのっかる摩訶不思議な魅力も持った1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=t6Id5k_fCDw

「International Jet Set」
スカ+ニューウェイヴ+エキゾチック・サウンドといった雰囲気の独特の音世界が展開されます。「I Can't Stand It」同様に摩訶不思議な魅力があります。
http://www.youtube.com/watch?v=FvJpbGhZbXI

「Enjoy Yourself (Reprise) 」
ラストはNHK"みんなのうた"のようなのどかな合唱でアルバムは幕を閉じます。多分、一緒に合唱しているのはThe Go-Go'sだと思います。

The Specials関連の過去記事もご参照下さい。

The Specials『Specials』(1979年)
Specials

Fun Boy Three『Waiting』(1983年)
Waiting

Special AKA『In The Studio』(1984年)
In the Studio
posted by ez at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月09日

Nicola Conte『Other Directions』

クラブジャズの牽引者Nicola Conteの会心作☆Nicola Conte『Other Directions』
Other Directions
発表年:2004年
ez的ジャンル:Schema系クラブジャズ
気分は... :水が飲みたい・・・

今日は午前中に検査なので、それまでは断食断水せねばなりません。
う〜ん苦しい・・・

今回はクラブジャズの牽引者Nicola Conteが2004年にリリースした『Other Directions』です。

イタリアを代表するクラブジャズ・レーベルSchemaの看板プロデューサー/アーティストNicola Conteの紹介は、『Rituals』(2008年)に続き2回目となります。

本作はBlue Noteからリリースされた作品であり、従来のラウンジ色は薄まり、より本格的なジャズ作品に仕上がっています。

Nicola Conte本人はプロデュース、ギターを担当し、カヴァー2曲以外のソングライティングも手掛けています。

レコーディングには、Fabrizio Bosso(tp)、Pietro Lussu(p)、Pietro Ciancaglini(b)、Lorenzo Tucci(ds)といったHigh Five、LTCのメンバーや、Daniele Scannapieco(ts)、Gianluca Petrella (tb)等名うてのイタリア人ジャズ・ミュージシャンがバックを固め、"現代のChet Baker"として人気のドイツ人トランペット奏者/シンガーTill Bronnerも参加しています。

また、全12曲中9曲がヴォーカル入りであり、Till Bronner、西ロンドンの歌姫Bembe Segue、ドイツ人女性ヴォーカリストLisa BassengeCristina ZavalloniLucia Minettiといった多彩なヴォーカリストが参加しています。特にBembe Segueは、Mark De Clive-Lowe『Journey 2 The Light』Jazzanova『Of All The Things』といった当ブログで紹介した作品でもフィーチャーされています。

コンパクトなかたちでNicola Conteというアーティストのセンスやイタリアのクラブジャズを満喫できる1枚に仕上がっています。

最初に聴くNicola Conte作品としては本作が最適かもしれません。

全曲紹介しときやす。

「Sea And Sand」
Till Bronnerのヴォーカル&トランペットをフィーチャー。男の哀愁漂う黄昏チューンにグッときます。Pierpaolo Bisognoのボンゴが全体にアクセントをつけています。
http://www.youtube.com/watch?v=yaI-5dzbmx4

「Wanin Moon」
オススメその1。西ロンドンの歌姫Bembe Segueをフィーチャー。彼女の個性的なヴォーカルを活かしたワルツ・チューンに仕上がっています。ピアノのLussu、テナー・サックスのDaniele Scannapieco、トランペットのBossoがそれぞれ雰囲気のあるソロを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ol6ryxCNCnQ

「Nefertiti」
オススメその2。クラブジャズ好きならば間違いない1曲。Lorenzo Tucciの叩き出す波動のようなリズムとBossoのトランペットに魅了されます。危うさと華やかさが背中合わせな雰囲気が好きです。Cristina Zavalloniのスキャットが彩りを添えてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ys89gzpNHTY

「Impulso」
スリリングに疾走するインスト・チューン。Pietro Ciancagliniの超カッチョ良いベースだけ集中して聴くのが好きだったりします。

「A Time For Spring」
オススメその3。Lisa Bassenge Trio、Micatone、Nylonの活動で知られるドイツ人女性ヴォーカリストLisa Bassengeをフィーチャー。彼女は今年新作『Nur Fort』をリリースしたばかりですね。大人の色気が香る妖艶なワルツ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=y09hRqt88Rc

「Kind Of Sunshine」
オススメその4。Lucia Minettiの女性ヴォーカルをフィーチャー。Ciancaglini & Tucciのリズム隊が支配するフロアライクなNu Jazzチューンです。Gianluca Petrella、Daniele Scannapieco、Bossoの三管も盛り上げてくれまうs。
http://www.youtube.com/watch?v=_NdIRja-Kzc

「Aphrodite's Dream」
エレガントな雰囲気がいいですね。特にBossoのフリューゲル・ホーンがそそります。

「Several Shades Of Dawn」
Bembe Segueをフィーチャー。妖しげな雰囲気はスパイ映画のサントラとかにハマりそうですね。

「The Dharma Bums」
オススメその5。クラブジャズ好きにとっては本作のハイライトかもしれませんね。Till BronnerとLucia Minettiの男女スキャットをフィーチャーしたスタイリッシュなボッサ・ジャズです。
http://www.youtube.com/watch?v=W_2zA1Be57M

「All Gone」
オススメその6。1963年の映画『The Servant(邦題:召使)』のために書かれた楽曲のカヴァー(John Dankworth作)。Lisa Bassengeのヴォーカルをフィーチャーした、実に気の利いたワルツ・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=SbXH_TUDwts

「Other Directions」
オススメその7。タイトル曲は清々しささえ漂うストレート・アヘッドな仕上がりです。聴いていてスカッとした気分になります。

「The In-Between」
オススメその8。Lucia Minettiのヴォーカルをフィーチャー。ボッサ・ジャズと4ビート・ジャズが交錯するエレガントな仕上がりです。

「Le Depart」
ラストは1967年の映画『Le Depart(邦題:出発)』のために書かれた楽曲をカヴァー(Krzysztof Komeda作)。Cristina Zavalloniのヴォーカルをフィーチャーした哀愁バラードに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=fvSxTWEx5yA

未聴の方はNicola Conteの他作品もチェックを!

『Jet Sounds』(2000年)
Jet Sounds

『Bossa Per Due』(2001年)
Bossa Per Due

『Jet Sounds Revisited』(2001年)
Jet Sounds Revisited

『Rituals』(2008年)
リチュアルズ

水飲みてぇ〜
posted by ez at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月08日

Leroy Hutson『Hutson II』

至極のメロウ・グルーヴを堪能しましょう!☆Leroy Hutson『Hutson II』
Hutson II
発表年:1976年
ez的ジャンル:メロウ・グルーヴ系ニューソウル
気分は... :パッカーズ勝利!

NFLスーパーボウル「パッカーズ対スティーラーズ」は、31対25でパッカーズが14年ぶりの王者に輝きました。

生放送で観戦していましたが、見事に僕の予想は外れましたね(笑)

前半はパッカーズ、後半はスティーラーズのペースでしたね。
終盤の展開としてはスティーラーズの逆転パターンかと思いましたが、何とかパッカーズが逃げ切りました。

パッカーズの守備の要ウッドソンが負傷して、一気にスティーラーズへモメンタムが移ったと思ったのですが、それを乗り越えたパッカーズの底力は本物でしたね。QBロジャーズの落ち着いたプレーぶりも賞賛すべきでした。

スティーラーズも王者に相応しい戦いぶりでしたが、前半のツケが大きかったですね。スティーラーズの守備陣が思ったほど、パッカーズ攻撃陣を抑え込むことができなかった印象を受けました。

これで今シーズンのNFLは終了。毎年思いますが、NFLは他のプロ・スポーツと比較して、あっという間にシーズンが終わってしまいますね。

今回は久々にニューソウルを代表する男性シンガーLeroy Hutsonです。

『Hutson』(1975年)に続いて紹介するのは、『Hutson II』(1976年)です。

当ブログで3rdアルバム『Hutson』(1975年)を紹介したのは、5年以上前の2005年11月です。

当ブログでは定期的にアクセス数の多い記事を紹介していますが、『Hutson』は1800本以上の記事投稿がある現在においても多くのアクセス数がある記事の1つであり、改めてLeroy Hutsonの支持の高さを実感しています。

そんな根強い人気にも関わらず、オリジナル作品はCDで入手しづらい状況が続いていますね。

今日紹介する『Hutson II』(1976年)は、2ndアルバムと勘違いしそうですが、『Love Oh Love』(1973年)、『The Man!』(1974年)、『Hutson』(1975年)、『Feel the Spirit』(1976年)に続く5thアルバムとなります。

前作『Feel the Spirit』のファンク路線を踏襲し、本作『Hutson II』でもファンク調の楽曲が目立ちます。一方でLeroy Hutsonらしいメロウ・グルーヴも健在!「I Think I'm Falling In Love」「Love To Hold You Close」「Don't It Make You Feel Good」というとびきりの3曲が収録されています。

レコーディングにはPhil Upchurch(g)、Henry Gibson(per)等も参加しています。

プロデュース&アレンジはLeroy Hutson自身。ソングライティングもインタールード的な「Situations (Instrumental)」を除けば、全てHutsonのオリジナルです。

やはり、Leroy Hutsonの作品には、ヴォーカル、メロディ、アレンジが三位一体となったメロウ・グルーヴを欲してしまいます。その点、本作は至極のメロウ・グルーヴ3曲を堪能できる傑作だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Love The Feeling」
オススメその1。オープニングはまさに"愛"を感じるファンキー・グルーヴ。ヴォーカル&コーラス良し!グルーヴィーなリズム良し、ホーン&ストリングスを含めたアレンジ良し!抜群のサウンド・センスを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=CAW6KkdcOys

「Situations (Instrumental)」
インタールード的なオーケストレーションによるインスト。

「I Do I Do (Want To Make Love To You)」
本作唯一のスロウ・チューン。Hutsonのハイ・トーンのメロウ・ヴォーカルを堪能できるスウィート・バラードです。
http://www.youtube.com/watch?v=NeRn8I-EFuo

「I Think I'm Falling In Love」
オススメその2。フリーソウル・クラシックとしてお馴染みの1曲。フルートの涼しげな音色が先導するメロウ・グルーヴ。この円やかで心地好いグルーヴ感こそがHutsonサウンドの魅力ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Rvzf3fiP7PM

「Love To Hold You Close」
オススメその3。『Closer to the Source』収録の「Where Did Love Go?」と並ぶ、マイ・フェイバリット・Hutsonソングです。ヴォーカル、メロディ、アレンジ全てが完璧ですね!この至極のメロウ・グルーヴを聴いていると、いつでもラブリー&ハッピー・モードになれます。サイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=g6t19g___OY

「Flying High」
歯切れの良いホーン・サウンドで盛り上げてくれるファンキー・チューン。グルーヴィーなベース・ラインの推進力が大好き!

「Blackberry Jam」
オススメその4。アルバムで最もファンクネスを感じる1曲。重くうねるリズム隊とアープ・オデッセイが生み出す黒いグルーヴが最高にカッチョ良いですね!

「Sofunkstication (Instrumental)」
エキサイティングなファンク・サウンドを堪能できるインスト。この曲もファンク度数高いです。

「Don't It Make You Feel Good」
オススメその5。ラストもHutsonワールド全開のメロウ・グルーヴで締め括ってくれます。メロウ&パーカッシヴなサウンドは本当に僕のど真ん中です!サイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=hGtVGnXdM_8

Curtom時代のLeroy Hutsonは本当に最高です!
CD再発で入手しやすくなることを切望します!

『Love Oh Love』(1973年)
Love Oh Love / the Man!

『The Man!』(1974年)
The Man!

『Hutson』(1975年)
Hutson

『Feel the Spirit』(1976年)
Feel the Spirit

『Closer to the Source』(1977年)
Closer to the Source

昨日はサッカーの長友インテル・デビューも感動的でしたね。
こちらも早朝から生放送で観ていましたが、長友の堂々としたプレーぶりに安堵しました。

ただし、インテルでレギュラー・ポジションを獲得するのはそう簡単ではないとも思います。長友が投入されるまで左サイド・バックを務めた元アルゼンチン代表サネッティのプレーぶりはさすがでしたね。長友には、さらなる成長を期待しましょう!
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月07日

Joyce『Hard Bossa』

『Feminina』サウンドをレベルアップさせた快作☆Joyce『Hard Bossa』
Hard Bossa
発表年:1999年
ez的ジャンル:アコースティック・グルーヴ系女性MPB
気分は... :スティーラーズ勝利と予想します!

今日はいよいよNFLスーパーボウル「パッカーズ対スティーラーズ」です。

攻守のバランスのとれた両チームだけに、ハイ・スコアorロー・スコアの展開も読みづらいのですが、経験とQBロスリスバーガーの勝負強さでスティーラーズ勝利と予想しています。パッカーズもQBロジャーズの調子次第で十分勝機はあると思います。いずれにしても4Q終盤までもつれる僅差の試合になるのでは?

結果はいかに?

今回はブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyceの3回目の登場です。

『Feminina』(1980年)、『Tardes Cariocas』(1983年)に続いて紹介するのは、『Hard Bossa』(1999年)です。

日本でも相変わらず高い人気を誇るブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyceですが、代表作ということで言えば、『Feminina』(1980年)、『Agua E Luz』(1981年)、『Tardes Cariocas』(1983年)といった80年代前半の作品を挙げる方が多いと思います。

個人的にはそれらの作品と同じくらいオススメしたい1枚が『Hard Bossa』です。本作はJoe Davisが主宰するUKのレーベルFar Out Recordingsからリリースされたものです。

『Hard Bossa』は、Joyce自身が『Feminina』の頃のサウンドを意識し、そのレベルアップを図った1枚となっています。

90年代に入り、欧州や日本といった本国以外でのライブで大きな手応えを感じたJoyceが、改めて『Feminina』サウンドに対する支持の高さを実感し、こうしたアプローチを試みたのかもしれませんね。

結果、『Feminina』好きの人には相当グッとくるブラジリアン・アコースティック・グルーヴを満喫できる1枚に仕上がっています。

レコーディングは、Lula Galvao(g)、Jorge Helder(b)、Tutty Moreno(ds、per)を中心に、Carlos Malta(fl、sax)、Vittor Santos(tb)、Zero(per)、Ana Martin(vo)、Paulo Cesar Pinheiro(vo)といったメンバーが参加しています。特に旦那様Tutty Moreno、娘Ana MartinClara Morenoの妹)のサポートが目立ちますね。

透明感溢れるアコースティック・グルーヴを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Zoeira」
オススメその1。まさに『Feminina』サウンド再び!といった雰囲気のブラジリアン・アコースティック・グルーヴ。軽やかでメロウでリズムの切れ味もあるところがグッド!

「Quarup」
透明感のあるアコースティック・サウンドとナチュラルなJoyceの歌声を堪能できる、清らかな魅力に溢れた1曲。

「Crianca」
オススメその2。シンプルなのにセンス抜群の小粋なボッサ・サウンドを堪能きます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZV02GlW-nio

「Nome de Guerra」
オススメその3。Paulo Cesar Pinheiroをフィーチャー。本作でも5曲で詞を提供している最高のサンバ詩人Paulo Cesar Pinheiroですが、ここではの激シブ・ヴォーカルで盛り上げてくれます。心地好いサンバのリズムが楽園へと誘ってくれます。

「London Samba」
オススメその4。クラブ系リスナーの方に一番人気なのは本曲なのでは?まさにロンドン仕様のスタイリッシュなブラジリアン・アコースティック・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=XpUMGVQ0w7w

「Todos Os Santos」
オススメその5。娘Ana Martinとの母娘ヴォーカルを堪能できる1曲。楽曲、アレンジも素晴らしい聴き応え十分のアコースティック・グルーヴに仕上がっています。

「Juparana」
シンプルながらも表情豊かなアコースティック・サウンドが魅力の1曲。少しミステリアスな雰囲気がいいですね。

「Novelo」
しっとりとしたバラード。Paulo Cesar Pinheiroによる詞を丁寧に歌い上げます。中盤以降のワルツ調のリズムが心地好いですね。

「Hard Bossa」
タイトル曲はJoyceの高速スキャットとジャジー・サウンドが印象的です。

「Vatapa」
オススメその6。個人的にはアルバムで一番のお気に入り曲。透明なアコースティック・サウンドと心地良いサンバのリズムが開放的な気分にさせてくれます。聴いているだけでハッピー・モードになれる1曲。

Joyceの過去記事もご参照下さい。

『Feminina』(1980年)
フェミニーナ、そして水と光

『Tardes Cariocas』(1983年)
Tardes Cariocas
posted by ez at 01:30| Comment(4) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする